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ダランベールの収束しゅうそく判定はんていほう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

ダランベールの収束しゅうそく判定はんていほう(ダランベールのしゅうそくはんていほう、ratio test)とは、実数じっすう複素数ふくそすうこうにもつ級数きゅうすうが、収束しゅうそくするか発散はっさんするかを判定はんていする方法ほうほうである。級数きゅうすうにおける、前後ぜんごこうかんがえる。もし、この極限きょくげんが 1 未満みまんであれば、級数きゅうすう絶対ぜったい収束しゅうそくする。

この判定はんていほうは、ジャン・ル・ロン・ダランベールによって発表はっぴょうされた。

判定はんていほう

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厳密げんみつには、ダランベールの収束しゅうそく判定はんていほうは、つぎのようにべられる。

であれば、級数きゅうすう

絶対ぜったい収束しゅうそくする。また、

であれば、級数きゅうすう発散はっさんする。

もし、極限きょくげんがちょうど 1 であれば、級数きゅうすう収束しゅうそくする場合ばあいもあるし、発散はっさんする場合ばあいもある。したがって、この場合ばあいは、ダランベールの収束しゅうそく判定はんていほうではどちらともえない。

収束しゅうそくする場合ばあい

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まず基本きほんてき級数きゅうすうであるべき級数きゅうすう

収束しゅうそくすることはひろられているがこれを再度さいどダランベールの収束しゅうそく判定はんていほうたしかめることが出来できる:

これをモデルケースとしておぼえればこの収束しゅうそく判定はんていほうおぼえやすい。

つぎ級数きゅうすうかんがえる。

これに、ダランベールの収束しゅうそく判定はんていほう適用てきようすると、

1/e1よりちいさいため、級数きゅうすう収束しゅうそくする。

発散はっさんする場合ばあい

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つぎ級数きゅうすうかんがえる。

これに、ダランベールの収束しゅうそく判定はんていほう適用てきようすると、

e1よりおおきいため、級数きゅうすう発散はっさんする。

どちらともえない場合ばあい

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もし、級数きゅうすう

たす場合ばあい、ダランベールの判定はんてい条件じょうけんから、収束しゅうそくするか発散はっさんするかを推定すいていすることは不可能ふかのうである。

たとえば、級数きゅうすう

発散はっさんし、

である。一方いっぽうで、

絶対ぜったい収束しゅうそくするが、

である。最後さいごに、

条件じょうけん収束しゅうそくするが、

である。

ダランベールの判定はんていほう収束しゅうそく判定はんてい出来できるなら絶対ぜったい収束しゅうそくなのでこの結果けっかはある意味いみ当然とうぜんである。これは交代こうたい級数きゅうすうかんするライプニッツの定理ていりないしその一般いっぱんであるディリクレの収束しゅうそく判定はんていほうにより条件じょうけん収束しゅうそくせいがわかる。

どちらともえない場合ばあいには

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以上いじょうれいたとおり、極限きょくげん1である場合ばあいは、ダランベールの収束しゅうそく判定はんていほうではどちらともえない。しかし、ラーベによるダランベールの収束しゅうそく判定はんていほう拡張かくちょうラーベの収束しゅうそく判定はんていほう)では、このような場合ばあいあつかうことも考慮こうりょれることができる。ラーベの収束しゅうそく判定はんていほうは、つぎのようにべられる。もし、

で、かつ正数せいすうc存在そんざいして

たす場合ばあい級数きゅうすう絶対ぜったい収束しゅうそくする。

より精密せいみつ判定はんていほうとしてクンマー判定はんていほうがある。

なお、2021ねん現在げんざいにおいてどのような級数きゅうすう収束しゅうそく判定はんていできる判定はんていほうというものはつかっていない。実際じっさいに、収束しゅうそくするかかが解明かいめいである級数きゅうすういちれいとしてFlint Hills級数きゅうすう

というものがある。

関連かんれん記事きじ

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • Knopp, Konrad, "Infinite Sequences and Series", Dover publications, Inc., New York, 1956. (§ 3.3, 5.4) ISBN 0-486-60153-6
  • Whittaker, E. T., and Watson, G. N., A Course in Modern Analysis, fourth edition, Cambridge University Press, 1963. (§ 2.36, 2.37) ISBN 0-521-58807-3