チアール

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チアールの構造こうぞうしき

チアールえい: thial)は官能かんのうもと一種いっしゅアルデヒド(RC(O)H)の酸素さんそ原子げんし硫黄いおうえたもので、チオアルデヒドともばれる。チオケトンくらべて反応はんのうせいみ、たんはなれ困難こんなんである。たとえば、チオアクロレイン(H2C=CHCH=S)は、ニンニクふくまれるアリシン分解ぶんかいによりしょうじ、ディールス・アルダー反応はんのうにより異性いせいたいビニルジチイン (vinyldithiinへと変化へんかする[1][2]チオホルムアルデヒド(H2C=S)は環状かんじょうさんりょうたい1,3,5-トリチアンちぢみごうする。 チオホルムアルデヒドは反応はんのうせいたかいが、ねつ力学りきがくてきには安定あんていしており、重水素じゅうすいそなどとともにほしあいだ物質ぶっしつから発見はっけんされている[3]十分じゅうぶん立体りったい保護ほごのもとでは、安定あんていしたチアールをたんはなれすることができる。[4]

初期しょき研究けんきゅうでは、チアールの存在そんざいはトラッププロセスにより推定すいていされた。れいとして、1,3,2,4-ジチアジホスフェタン 2,4-ジスルフィド(Fc2P2S4)とベンズアルデヒドとの反応はんのうによりチオベンズアルデヒド形成けいせいされる。これはジチオホスフィンたまき付加ふか反応はんのうし、C2PS3たまき形成けいせいする[5]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ H. W. Kroto, B. M. Landsberg, R. J. Suffolk, A. Vodden (1974). “The photoelectron and microwave spectra of the unstable species thioacetaldehyde, CH3CHS, and thioacetone, (CH3)2CS”. Chem. Phys. Lett. 29 (2): 265–269. Bibcode1974CPL....29..265K. doi:10.1016/0009-2614(74)85029-3. 
  2. ^ E. Block (2010). Garlic and Other Alliums: The Lore and the Science. Royal Society of Chemistry. ISBN 0-85404-190-7. https://books.google.co.jp/books?id=6AB89RHV9ucC&printsec=frontcover&redir_esc=y&hl=ja 
  3. ^ http://www.astro.uni-koeln.de/site/vorhersagen/molecules/ism/H2CS.html
  4. ^ N. Takeda, N. Tokitoh, R. Okazaki (1997). “Synthesis, Structure, and Reactions of the First Rotational Isomers of Stable Thiobenzaldehydes, 2,4,6-Tris[bis(trimethylsilyl)methyl]thiobenzaldehydes”. Chem. Eur. J. 3: 62–69. doi:10.1002/chem.19970030111. 
  5. ^ A. Capperucci, A. Degl’Innocenti, P. Scafato, P. Spagnolo (1995). “Synthetic Applications of Bis(trimethylsilyl)sulfide: Part II. Synthesis of Aromatic and Heteroaromatic o-Azido-Thioaldehydes”. Chemistry Letters 24 (2): 147. doi:10.1246/cl.1995.147.