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ディオプトリ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ディオプトリー
dioptre
眼鏡
記号きごう Dptr(計量けいりょうほう),D(計量けいりょうほう), dpt
けい MKS単位たんいけいSI単位たんい
りょう 屈折くっせつ
SI m−1
定義ていぎ 焦点しょうてん距離きょりが1メートルである屈折くっせつ
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ディオプトリー計量けいりょうほううえ用語ようご[1])、ディオプトリ、またはディオプター(イギリス英語えいご: dioptre、アメリカ英語えいご: diopter)、(記号きごう: Dptr, D)は、(しゅとして眼鏡めがねようの)レンズ屈折くっせつ[2]屈折くっせつりょくこげ)の単位たんいであり、焦点しょうてん距離きょりメートルあらわしたものの逆数ぎゃくすう定義ていぎされている[3]

ディオプトリーは国際こくさい単位たんいけい(SI)の単位たんいではない(SI単位たんい)ため、SIにおいてはまいメートル(m−1)を使用しようする必要ひつようがある。計量けいりょう単位たんいれいでも、まいメートル(m−1)をさだめている。

たとえば、3ディオプトリーのレンズは、平行へいこう光線こうせんをレンズの中心ちゅうしんから13メートルの位置いち収束しゅうそくさせる。ひかり収束しゅうそく発散はっさんもしないたいらなガラスばん屈折くっせつりょくは0ディオプトリーである。

焦点しょうてん距離きょり自体じたいではなくその逆数ぎゃくすう使用しようするのは、レンズを製作せいさくするのに使用しようする方程式ほうていしきでは、物体ぶったい距離きょりぞう距離きょり焦点しょうてん距離きょりのいずれもが逆数ぎゃくすうになっているためである。また、レンズを複数ふくすうまいかさねた場合ばあい屈折くっせつりょくを、単純たんじゅんざんもとめることができる。たとえば、2.0ディオプトリーのレンズと0.5ディオプトリーのレンズをかさねたものは、2.5ディオプトリーのレンズ1まいとほぼおな焦点しょうてん距離きょりになる。

メートル単位たんい焦点しょうてん距離きょり逆数ぎゃくすうもとづいてレンズに番号ばんごうをつけるというアイディアは、1866ねんにドイツの科学かがくしゃアルブレヒト・ナーゲルドイツばん提案ていあんしたものである[4][5]。ディオプトリーという言葉ことばは、1872ねんにフランスの眼科がんかフェルディナン・モノワイエ英語えいごばんが、ヨハネス・ケプラーあらわした望遠鏡ぼうえんきょうレンズについての理論りろんしょ"dioptrice"(ジオプトリス)からって提案ていあんしたものである[6][7][8]

記号きごう[編集へんしゅう]

ディオプトリーの単位たんい記号きごうは、計量けいりょうほうでは、「Dptr」または「D」とさだめられている[9]科学かがくではD記号きごうがよく使つかわれている。

ドイツ規格きかく協会きょうかい(DIN)などいくつかの国家こっか標準ひょうじゅん団体だんたい規格きかくとしてこの単位たんいさだめており、単位たんい記号きごうdpt規定きていしている。

眼科がんか矯正きょうせいにおいて[編集へんしゅう]

屈折くっせつりょくがほぼあいてきであることから、眼科がんか光学こうがくけいとレンズ)全体ぜんたい詳細しょうさい分析ぶんせきすることなく、屈折くっせつりょく単純たんじゅん補正ほせいするだけで矯正きょうせいレンズ英語えいごばん処方しょほうすることができる。

人間にんげん場合ばあい、リラックスした状態じょうたい屈折くっせつりょく合計ごうけいやく60ディオプトリーである[10][11]。このうちやく3ぶんの2(やく40ディオプトリー)を角膜かくまくが、のこりの3ぶんの1(やく20ディオプトリー)を水晶すいしょうたいになっている[10]がピントをわせるさいには、もうさまたいすじ収縮しゅうしゅくさせ、チンしょうおびから水晶すいしょうたいつたわる張力ちょうりょく応力おうりょく軽減けいげんする。その結果けっか水晶すいしょうたいとつおおきくなり、眼球がんきゅう屈折くっせつりょく増加ぞうかする。収縮しゅうしゅく振幅しんぷくは、15さいやく11〜16ディオプトリーだが、25さいやく10ディオプトリーに減少げんしょうし、60さい以上いじょうではやく1ディオプトリーとなる。

焦点しょうてん距離きょり正負せいふ区別くべつし、レンズの場合ばあいひかり進行しんこう方向ほうこう焦点しょうてんがある場合ばあいせいとする。遠視えんし老眼ろうがん矯正きょうせい使用しようされるとつレンズはせいのディオプトリーを、近視きんし矯正きょうせい使用しようされるおうレンズはまけのディオプトリーつ。通常つうじょうせい場合ばあいにも符号ふごうをつけて "+2.0 Dptr" のように表記ひょうきする。軽度けいど近視きんしのための典型てんけいてきなメガネは-0.50〜-3.00ディオプトリーで、市販しはん老眼鏡ろうがんきょうは+1.00〜+4.00ディオプトリーである。眼科がんかは、通常つうじょう0.25ディオプトリーごとに等級とうきゅうけされたレンズを使つかって屈折くっせつ異常いじょう測定そくていする。

ディオプトリーの絶対ぜったいおおきいことをぞくに「つよい」「がきつい」などとう。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 計量けいりょう単位たんい規則きそく 別表べっぴょうだい1、こうばん7、屈折くっせつらん
  2. ^ 計量けいりょうほううえ用語ようごは「屈折くっせつ」であり、物象ぶっしょう状態じょうたいりょうひとつである。
  3. ^ 計量けいりょう単位たんい規則きそく 別表べっぴょうだい1、こうばん7、屈折くっせつらん、「焦点しょうてん距離きょりいちメートルである屈折くっせつ
  4. ^ Rosenthal, J. William (1996). Spectacles and Other Vision Aids: A History and Guide to Collecting. Norman. pp. 32. ISBN 9780930405717 
  5. ^ Collins, Edward Treacher (1929). The history & traditions of the Moorfields Eye Hospital: one hundred years of ophthalmic discovery & development. London: H.K. Lewis. pp. 116. https://ucl-new-primo.hosted.exlibrisgroup.com/primo-explore/fulldisplay?vid=UCL_VU2&id=990011065180204761&inst=44UCL_INST&context=L 
  6. ^ Monoyer, F. (1872). “Sur l'introduction du système métrique dans le numérotage des verres de lunettes et sur le choix d'une unité de réfraction” (フランス語ふらんすご). Annales d'Oculistiques (Paris) 68: 101. 
  7. ^ Thomas, C.. “Monoyer, Ferdinand” (フランス語ふらんすご). La médecine à Nancy depuis 1872. 2011ねん4がつ26にち閲覧えつらん
  8. ^ Colenbrander, August. “Measuring Vision and Vision Loss”. Smith-Kettlewell Institute. 2014ねん12月4にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2009ねん7がつ10日とおか閲覧えつらん
  9. ^ 計量けいりょう単位たんい規則きそく 別表べっぴょうだい5(省令しょうれい単位たんい)、屈折くっせつらん
  10. ^ a b Najjar, Dany. “Clinical optics and refraction”. Eyeweb. 2008ねん3がつ23にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2008ねん3がつ25にち閲覧えつらん
  11. ^ Palanker, Daniel (2013ねん10がつ28にち). “Optical Properties of the Eye”. American Academy of Ophthalmology. 2017ねん10がつ16にち閲覧えつらん