(Translated by https://www.hiragana.jp/)
デーン平面 - Wikipedia コンテンツにスキップ

デーン平面へいめん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

幾何きかがくにおいて、デーン平面へいめんえい: Dehn plane)とは、デーン導入どうにゅうした2つのユークリッド幾何きかれいをいう。マックス・デーンは2つの平面へいめんれいはんユークリッド幾何きかルジャンドル幾何きかとを導入どうにゅうした。これらは、所与しょよてん直線ちょくせんたいし、そのてんとお無限むげんほん平行へいこうせんつようなものでありながら、三角形さんかっけい内角ないかくすくなくとも となるようなものである。同様どうよう現象げんしょうそうきょく幾何きかでもられるが、そこでは三角形さんかっけい内角ないかく まんである。デーンのれいアルキメデスてき順序じゅんじょたい利用りようして構成こうせいされるが、それゆえアルキメデスの公理こうりれる。これらはMax Dehn (1900)導入どうにゅうされ、Hilbert (1902, p.127–130, or p. 42-43 in some later editions)でろんじられている。

デーンのアルキメデスてき順序じゅんじょたい Ωおめが(t)

[編集へんしゅう]

デーンはみずからの幾何きか構成こうせいするためアルキメデスてき順序付じゅんじょづけられたピタゴラスてきからだ もちいた。これはじつ係数けいすう1変数へんすう有理ゆうりしき関数かんすう)のからだ ピタゴラス閉包へいほう、すなわちじつ定数ていすう関数かんすう不定ふていもと t意味いみする恒等こうとう関数かんすう実数じっすうをそれ自身じしんうつ関数かんすう)をふくみ、演算えんざん じた最小さいしょう関数かんすうたいである。この つぎのように順序付じゅんじょづけられる: であるのは、十分じゅうぶんおおきな任意にんい実数じっすう たいして つときである。もと 有限ゆうげんばれるのは、ある整数せいすう たいして となるときである。有限ゆうげんでないもと無限むげんだいばれる。

デーンのはんユークリッド幾何きか

[編集へんしゅう]

いま、もと によって あらわされるすべてのもとからなる集合しゅうごうに、つぎのような通常つうじょう計量けいりょう

れたものをかんがえる。ここで ることに注意ちゅうい。この空間くうかんユークリッド幾何きかのモデルをあたえる。平行へいこうせん公準こうじゅんはこのモデルにいてしんである。すなわち、1つの直線ちょくせんに2ほん直線ちょくせんまじわり、おながわにある内角ないかくが2直角ちょっかくよりもちいさいならば、2ほん直線ちょくせんはそのがわまじわる。他方たほう、もしその内角ないかくと2直角ちょっかくとの誤差ごさ無限むげんしょう(どんなせい有理数ゆうりすうよりもちいさいことを意味いみする)ならば、その2つの直線ちょくせん交点こうてんは、平面へいめん有限ゆうげんでないてんまじわる。すなわち、もしこのモデルを平面へいめん有限ゆうげん部分ぶぶん(つまり がともに有限ゆうげんであるてん)に制限せいげんしたならば、平行へいこうせん公準こうじゅんやぶりつつ、三角形さんかっけい内角ないかく であるような幾何きかがくられる。これがデーンのはんユークリッド幾何きかである。これはRucker (1982, page 98)でろんじられている。

デーンのルジャンドル幾何きか

[編集へんしゅう]

おな論文ろんぶんいて、デーンはルジャンドル幾何きかれい構成こうせいしている。これは、あるてんとおべつ直線ちょくせんまじわらない無限むげんほん直線ちょくせん存在そんざいする(平行へいこうせん公準こうじゅんやぶれている)が、三角形さんかっけい内角ないかくえるようなものである。 うえのリーマンの楕円だえん幾何きか うえ射影しゃえい平面へいめんから構成こうせいされ、これは かたちてんに"無限むげんとおにある直線ちょくせん"をくわえたアファイン平面へいめん同一どういつできる。これはいかなる三角形さんかっけい内角ないかくえるという性質せいしつつ。ルジャンドル幾何きかは、このアファイン部分ぶぶん空間くうかんてん がともに有限ゆうげんであるものからなる。(ここで 恒等こうとう関数かんすうによって表現ひょうげんされる もとである。)ルジャンドルの定理ていり三角形さんかっけい内角ないかく高々たかだか であることをべるが、これはアルキメデスの公理こうり仮定かていするものである。デーンのれいは、ルジャンドルの定理ていりがアルキメデスの公理こうりのぞくと成立せいりつしない可能かのうせいがあることをしめしている。

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • Dehn, Max (1900), “Die Legendre'schen Sätze über die Winkelsumme im Dreieck”, Mathematische Annalen 53 (3): 404–439, doi:10.1007/BF01448980, ISSN 0025-5831, JFM 31.0471.01, https://books.google.com/books?id=vEbWAAAAMAAJ&pg=PA404 
  • Hilbert, David (1902), The foundations of geometry, The Open Court Publishing Co., La Salle, Ill., MR0116216, http://www.gutenberg.org/files/17384/17384-pdf.pdf 
  • Rucker, Rudy (1982), Infinity and the mind. The science and philosophy of the infinite, Boston, Mass.: Birkhäuser, ISBN 3-7643-3034-1, MR0658492