ドイツ国立こくりつ図書館としょかん

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ドイツ国立こくりつ図書館としょかん(ドイツこくりつとしょかん、どくDeutsche Nationalbibliothek)は、東西とうざいドイツさい統一とういつのちドイツ国立こくりつ図書館としょかん機能きのうたすべく統合とうごうされた下記かきの2かん統一とういつ名称めいしょうである。略称りゃくしょうDNB

  1. きゅうひがしドイツ時代じだい国立こくりつ図書館としょかん継承けいしょうしたライプツィヒたてきゅう Deutsche Bücherei1912ねん創立そうりつ
  2. きゅう西にしドイツ時代じだい国立こくりつ図書館としょかん継承けいしょうしたフランクフルト・アム・マインたてきゅう Deutsche Bibliothek1947ねん創立そうりつ

歴史れきし[編集へんしゅう]

統一とういつ国家こっかとしての歴史れきしあさく、プロイセン王国おうこくバイエルン王国おうこくひとししょくにの併立時代じだいながかったドイツでは、ベルリン1661ねん創立そうりつのプロイセン王立おうりつ図書館としょかんげんベルリン州立しゅうりつ図書館としょかんどくStaatsbibliothek zu Berlin)、ミュンヘン1558ねん創立そうりつのヴィッテルスバッハ宮廷きゅうてい図書館としょかんげんバイエルン州立しゅうりつ図書館としょかんどく:Bayerische Staatsbibliothek )など歴史れきしあるだい図書館としょかん (Universal library) は数多かずおおくあった。しかしドイツ全体ぜんたいとして印刷いんさつされるすべての書籍しょせき納本のうほんれ、その書誌しょし情報じょうほう整備せいびする近代きんだいてき意味いみにおける国立こくりつ図書館としょかん (National library) の成立せいりつおくれた。

ドイツにおける全国ぜんこく規模きぼ納本のうほん図書館としょかんは、1912ねんドイツ書籍しょせきしょう組合くみあいによりライプツィヒ創設そうせつされたドイチェ・ビュッヘライ(げんドイツ国立こくりつ図書館としょかんライプツィヒかん)にはじまる。ドイチェ・ビュッヘライは、設立せつりつ以来いらいドイツ国内こくない印刷いんさつされたすべての出版しゅっぱんぶつ収集しゅうしゅうし、1940年代ねんだいには蔵書ぞうしょ180まんさつ国立こくりつ図書館としょかんへと発展はってんしていくが、だい世界せかい大戦たいせんのちにライプツィヒがソ連それん占領せんりょう地域ちいきになったため、ドイツ民主みんしゅ共和きょうわこく国立こくりつ図書館としょかんとされた。

一方いっぽう、ライプツィヒの国立こくりつ図書館としょかんうしなった西にしドイツドイツ連邦れんぽう共和きょうわこく)では、1946ねんフランクフルト・アム・マイン協力きょうりょくしてドイチェ・ビブリオテーク(げんドイツ国立こくりつ図書館としょかんフランクフルト・アム・マインかん)を発足ほっそくさせた。ドイチェ・ビブリオテークは1952ねんから財団ざいだんとなり、フランクフルトヘッセンしゅうおよ西にしドイツ連邦れんぽう政府せいふによって共同きょうどう運営うんえいされたが、1969ねん連邦れんぽう政府せいふ直轄ちょっかつ機関きかん改組かいそされ、連邦れんぽう財政ざいせい負担ふたんにより運営うんえいされることになった。よく1970ねんには西にしベルリンに、ドイチェ・ビブリオテークの付設ふせつ施設しせつとしてドイツ音楽おんがく図書館としょかんDeutsches Musikarchiv)が設立せつりつされた。

1990ねん東西とうざいドイツは統一とういつたすにたり、統一とういつ条約じょうやくにおいて両国りょうこく国立こくりつ図書館としょかんであるドイチェ・ビュッヘライとドイチェ・ビブリオテークの統合とうごうさだめた。統合とうごうされた国立こくりつ図書館としょかんはドイチェ・ビブリオテークに冠詞かんしの Die をしたDie Deutsche Bibliothek (ドイツ図書館としょかん)を3かん総称そうしょうおよ統合とうごう組織そしき名称めいしょうとして使用しようし、各館かくかん従来じゅうらい名称めいしょう使用しよう継続けいぞくしてきたが、2006ねんDeutsche Nationalbibliothek (ドイツ国立こくりつ図書館としょかん)に改称かいしょうした。また2010ねんにドイツ音楽おんがく図書館としょかんがライプツィヒに移転いてんした。

しかし、他国たこくの National library とことなりドイツ国立こくりつ図書館としょかん1913ねん以降いこう出版しゅっぱんされた文献ぶんけん資料しりょう限定げんていしていることから国内こくないではこの名称めいしょうたいして批判ひはんがある。

だかほん分野ぶんや分担ぶんたん[編集へんしゅう]

ドイツ国立こくりつ図書館としょかんしゅうほんは、1913ねん以降いこう出版しゅっぱんされた下記かき文献ぶんけん資料しりょう限定げんていされる。1)ドイツ国内こくないすべての印刷いんさつもの電子でんし出版しゅっぱんもの出版しゅっぱん形態けいたいわない)、ドイツ出版しゅっぱんされたすべての資料しりょう、2)国外こくがい出版しゅっぱんされたすべてのドイツ文献ぶんけん資料しりょう外国がいこく出版しゅっぱんされたドイツにかんするすべての文献ぶんけん資料しりょうである。1933ねんから1945ねんのナチス・ドイツ時代じだい国外こくがい出版しゅっぱんされたドイツじん亡命ぼうめいしゃ出版しゅっぱんぶつ収集しゅうしゅうし、目録もくろく収載しゅうさいする責任せきにんもある。

出版しゅっぱん業者ぎょうしゃとの協力きょうりょくは、ライプツィヒでは1935ねん以来いらい法律ほうりつ制定せいていされており、フランクフルトでは1969ねんに、統一とういつには1990ねん制定せいていされている。資料しりょう収集しゅうしゅう実現じつげんするために、ドイツ連邦れんぽう共和きょうわこく法律ほうりつさだめられている納本のうほん制度せいど利用りようしている。営利えいり営利えいり団体だんたいわず、資料しりょう出版しゅっぱんするさいには2図書館としょかん提出ていしゅつしなければならない。その対象たいしょうは、伝統でんとうてき印刷いんさつ資料しりょうだけでなく、マイクロフィルムレコードAV資料しりょう電子でんし出版しゅっぱんぶつ多岐たきにわたっている。

統一とういつまえはライプツィヒとフランクフルトはいずれもドイツ文献ぶんけん全国ぜんこく書誌しょし作成さくせいをしており、競合きょうごう関係かんけいにあった。統一とういつ重複じゅうふくをなくすため、資料しりょう出版しゅっぱんによって分担ぶんたんして収集しゅうしゅう整理せいりすることにした。ライプツィヒはきゅうひがしドイツ地区ちく、ベルリン、ノルトライン=ヴェストファーレンしゅうオーストリアスイスを、フランクフルトはノルトライン=ヴェストファーレンしゅうのぞきゅう西にしドイツ地区ちく担当たんとうする。ドイツ図書館としょかんほう改正かいせいにより2納本のうほんせい採用さいようされたため、保存ほぞん各館かくかん1となる。

各館かくかん存在そんざい意義いぎがなくならないよう、それぞれに専門せんもん分野ぶんやたせてあり、ライプツィヒは、書物しょもつ保存ほぞん研究けんきゅう、テキストのほか媒体ばいたい、マイクロフィルムへの変換へんかん、ドイツにかんする外国がいこく出版しゅっぱんぶつ、ドイツ文献ぶんけん翻訳ほんやく国際こくさい寄託きたく図書としょ収集しゅうしゅう楽譜がくふ・レコードなど音楽おんがく資料しりょう整理せいり。フランクフルトは、全国ぜんこく書誌しょしサービスの管理かんり中央ちゅうおうコンピュータの管理かんり情報じょうほう技術ぎじゅつ、コミュニケーション技術ぎじゅつ研究けんきゅう、となっている。

蔵書ぞうしょ利用りよう[編集へんしゅう]

ドイツ国立こくりつ図書館としょかん現在げんざいそう蔵書ぞうしょすうは、やく3200まんてんであり、ドイツけんもっと規模きぼおおきい図書館としょかんとなっている。

ドイツ国立こくりつ図書館としょかんは、完全かんぜん館内かんない閲覧えつらんせいかんがい貸出かしだしはできない)である。ライプツィヒかんとフランクフルトかんにそれぞれおおきな閲覧えつらんしつ存在そんざいする。一般いっぱんてき利用りようほか電子でんし資料しりょう視聴覚しちょうかく資料しりょう閲覧えつらんできるため、研究けんきゅう可能かのうせいひろがっている。利用りようしゃ通常つうじょう図書館としょかん使つかかたくわえ、電子でんしメディアやインターネット利用りようして、最新さいしん情報じょうほう入手にゅうしゅすることもできる。図書館としょかんいんは、利用りようしゃ電子でんし所蔵しょぞう目録もくろくCD-ROM、インターネットをかいして必要ひつよう文献ぶんけん検索けんさくするのを手助てだすけする。要求ようきゅうおうじて検索けんさく代行だいこうすることもある。また、インターネットをとおして蔵書ぞうしょ目録もくろく検索けんさくすることもできる。みたい文献ぶんけん資料しりょうをオーダーして、翌日よくじつ以降いこう、それぞれの閲覧えつらんしつ利用りようすることができる。それにくわ著作ちょさくけん範囲はんいないで、雑誌ざっし論文ろんぶん図書としょすうしょうぶん新聞しんぶん記事きじコピーをオーダーすることもできる。

これらのサービス有料ゆうりょうである。図書館としょかんとし単位たんいあるいはしゅう単位たんい利用りよう料金りょうきん設定せっていしており、利用りようしゃはインターネット使用しようりょう印刷いんさつ料金りょうきん(コピーおよびプリントアウト)などを支払しはら必要ひつようがある。図書館としょかんいんによる情報じょうほうサービスも課金かきん対象たいしょうになっている。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]