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ニクロサミド

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ニクロサミド
IUPAC命名めいめいほうによる物質ぶっしつめい
臨床りんしょうデータ
販売はんばいめい Niclocide, Fenasal, Phenasal, others[1]
Drugs.com Micromedex Detailed Consumer Information
識別しきべつ
CAS番号ばんごう
50-65-7 ×
ATCコード P02DA01 (WHO) QP52AG03 (WHO)
PubChem CID: 4477
DrugBank DB06803 チェック
ChemSpider 4322 チェック
UNII 8KK8CQ2K8G チェック
KEGG D00436  チェック
ChEMBL CHEMBL1448 チェック
化学かがくてきデータ
化学かがくしきC13H8Cl2N2O4
分子ぶんしりょう327.119 g/mol
物理ぶつりてきデータ
融点ゆうてん225 - 230 °C (437 - 446 °F)
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ニクロサミド(Niclosamide)は商標しょうひょうめいニクロシド(Niclocide)でられているサナダムシ駆虫くちゅう使用しようされる医薬品いやくひんである[2]きれあたまじょうむししょうヒメノレアしょうテニヤじょうむししょうたいして効果こうかがある[2]。その蟯虫ぎょうちゅう感染かんせんしょうまたは線形せんけい動物どうぶつたいしては効果こうかがない[3]経口けいこうやくである[2]

副作用ふくさよう嘔吐おうと腹痛はらいた便秘べんぴ、かゆみがあげられる[2]妊娠にんしんなかでも服用ふくよう可能かのうであり、胎児たいじへの影響えいきょうはなく安全あんぜんとされる[2]。ニクロサミドは駆虫くちゅうくすり分類ぶんるいされる[3]じょうちゅうへの糖分とうぶん吸収きゅうしゅうさまたげぐことにより効果こうかがある[4]

ニクロサミドが発見はっけんされたのは1958ねんである[5]世界せかい保健ほけん機関きかん必須ひっす医薬品いやくひんリスト掲載けいさいされており、もっと効果こうかてき安全あんぜん医療いりょう制度せいど必要ひつようとされる医薬品いやくひんである[6]開発途上国かいはつとじょうこくでの一貫いっかん治療ちりょう使つかわれるくすり卸値おろしねやく$0.24あめりかドルである[7]。アメリカでは、一般いっぱん販売はんばいされていない[3]日本にっぽんでも販売はんばいされていない。おおくの動物どうぶつ効果こうかてきである[4]

2018ねん以降いこう世界せかい各国かっこく研究けんきゅう機関きかんによってニクロサミドの幅広はばひろ効能こうのう注目ちゅうもくされ、研究けんきゅうされはじめている。こう寄生虫きせいちゅうやくとしての効果こうかまらず、ウイルス感染かんせんしょうIIがた糖尿とうにょうびょうアルコールせい脂肪しぼう肝炎かんえん動脈どうみゃく狭窄きょうさく子宮しきゅうないまくしょう神経しんけいいんせい疼痛とうつう関節かんせつリウマチ移植いしょくへんたい宿主しゅくしゅせいきょうかわしょう全身ぜんしんせい硬化こうかしょうひとしといった全身ぜんしんせい疾患しっかん治療ちりょう応用おうようできないか検討けんとう研究けんきゅう開発かいはつおこなわれている。[8]しかし間接かんせつてき非常ひじょうおおくの作用さようはたらいている可能かのうせいがあるため、これらの生体せいたい化学かがく反応はんのう重大じゅうだい副作用ふくさようこさないか、作用さよう機構きこう詳細しょうさい解明かいめいする必要ひつようせいたかまっている。

作用さようじょ

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ニクロサミドは、サナダムシのグルコースみ、酸化さんかてきリン酸化さんか嫌気いやけせい代謝たいしゃ阻害そがいする[9]

研究けんきゅう開発かいはつ

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ニクロサミドは、すうおおくのがん治療ちりょうやくとして研究けんきゅうされたことがある[10]。ニクロサミドには細胞さいぼう異常いじょう増殖ぞうしょく阻害そがいする効能こうのうがあり、これがこうがんざいとしての機能きのうたしている可能かのうせいがある。[11]

ニクロサミドとオキシクロザニド英語えいごばん(サナダムシ駆虫くちゅうやく)は、2015ねん研究けんきゅうで「メチシリンたいせい黄色おうしょくブドウ球菌きゅうきん(MRSA)にたいするつよin vivo およびin vitro活性かっせい」をしめこと判明はんめいした[12]。ブドウ球菌きゅうきんだけでなくほか細菌さいきんについても抗菌こうきん作用さようはたらいている可能かのうせい示唆しさされている。

2018ねんには、培養ばいよう大脳皮質だいのうひしつニューロンにおいて、ニクロサミドがPTEN誘導ゆうどうキナーゼ1英語えいごばん強力きょうりょく活性かっせいすることが確認かくにんされた[13]。 PINK1の機能きのう障害しょうがいパーキンソンびょう一種いっしゅであることから[14]、ニクロサミドとその誘導体ゆうどうたい化合かごうぶつは、パーキンソンびょう研究けんきゅうツールとして、また治療ちりょう手段しゅだんとして魅力みりょくてきである。

ニクロサミドをCOVID-19治療ちりょう転用てんようしようとの研究けんきゅうおこなわれている[15][16]

吸収きゅうしゅうりつひくい、非常ひじょうみじかちゅう濃度のうど半減はんげん」という欠点けってん韓国かんこくのバイオ企業きぎょう現代げんだいバイオサイエンスしゃ解決かいけつしたと発表はっぴょう[17]生体せいたい適合てきごうせい無機むき物質ぶっしつ使用しようした独自どくじ薬物やくぶつ送達そうたつ技術ぎじゅつ利用りようして薬剤やくざい吸収きゅうしゅうしやすくしたという。

その生体せいたい実験じっけん世界せかいはつとなるニクロサミドのこうウイルスざい(CP-COV03)としての効能こうのう立証りっしょうした。[18]ニクロサミドは、体内たいない細胞さいぼうしょく作用さようであるオートファジーを活性かっせいする薬理やくり作用さようがあるという。

2023ねん8がつ現代げんだいバイオサイエンスUSAは、Xafty(CP-COV03)の共同きょうどう開発かいはつ臨床りんしょう試験しけんアメリカ国立こくりつ衛生えいせい研究所けんきゅうじょ契約けいやくすることを発表はっぴょう[19]NIAIDはまずぜん臨床りんしょう動物どうぶつ実験じっけん実施じっしする。NIHが米国べいこくでの臨床りんしょう研究けんきゅう担当たんとうし、すべての財政ざいせいてき費用ひよう負担ふたんするという。

2023ねんビル&メリンダゲイツ財団ざいだんはニクロサミドの効能こうのう活用かつようについてXaftyをはじめとした薬剤やくざい開発かいはつ金銭きんせんてき支援しえんおこなうことを決定けっていした。[20] 将来しょうらいのパンデミック有事ゆうじたいするそなえとする。

出典しゅってん

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  1. ^ CID 4477 - PubChem
  2. ^ a b c d e WHO Model Formulary 2008. World Health Organization. (2009). pp. 81, 87, 591. ISBN 9789241547659. オリジナルの2016-12-13時点じてんにおけるアーカイブ。. http://apps.who.int/medicinedocs/documents/s16879e/s16879e.pdf 
  3. ^ a b c Niclosamide Advanced Patient Information - Drugs.com”. www.drugs.com. 20 December 2016てんオリジナルよりアーカイブ。8 December 2016閲覧えつらん
  4. ^ a b Jim E. Riviere; Mark G. Papich (13 May 2013). Veterinary Pharmacology and Therapeutics. John Wiley & Sons. p. 1096. ISBN 978-1-118-68590-7. オリジナルの10 September 2017時点じてんにおけるアーカイブ。. https://books.google.com/books?id=xAPa4WDzAnQC&pg=PA1096 
  5. ^ Mehlhorn, Heinz (2008) (英語えいご). Encyclopedia of Parasitology: A-M. Springer Science & Business Media. p. 483. ISBN 9783540489948. オリジナルの2016-12-20時点じてんにおけるアーカイブ。. https://books.google.ca/books?id=Jpg1ysgVn-AC&pg=PA483 
  6. ^ WHO Model List of Essential Medicines (19th List)”. World Health Organization (April 2015). 13 December 2016てんオリジナルよりアーカイブ。8 December 2016閲覧えつらん
  7. ^ Niclosamide”. International Drug Price Indicator Guide. 10 May 2017てんオリジナルよりアーカイブ。1 December 2016閲覧えつらん
  8. ^ Chen, Wei; Mook, Robert A.; Premont, Richard T.; Wang, Jiangbo (2018-01-01). “Niclosamide: Beyond an antihelminthic drug”. Cellular Signalling 41: 89–96. doi:10.1016/j.cellsig.2017.04.001. ISSN 0898-6568. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0898656817301018. 
  9. ^ “Mechanism of action of reagents that uncouple oxidative phosphorylation”. Nature 221 (5185): 1016–8. (1969). Bibcode1969Natur.221.1016W. doi:10.1038/2211016a0. PMID 4180173. 
  10. ^ Clinical Trials Using Niclosamide”. NCI. 20 March 2019閲覧えつらん
  11. ^ Chen, Wei; Mook, Robert A.; Premont, Richard T.; Wang, Jiangbo (2018-01-01). “Niclosamide: Beyond an antihelminthic drug”. Cellular Signalling 41: 89–96. doi:10.1016/j.cellsig.2017.04.001. ISSN 0898-6568. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0898656817301018. 
  12. ^ “Repurposing Salicylanilide Anthelmintic Drugs to Combat Drug Resistant Staphylococcus aureus”. PLOS ONE 10 (4): e0124595. (April 2015). Bibcode2015PLoSO..1024595R. doi:10.1371/journal.pone.0124595. ISSN 1932-6203. PMC 4405337. PMID 25897961. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4405337/. 
  13. ^ Barini E, Miccoli A, Tinarelli F, Mulholland K, Kadri H, Khanim F, Stojanovski L, Read KD, Burness K, Blow JJ, Mehellou Y, Muqit MMK (March 2, 2018). “The Anthelmintic Drug Niclosamide and Its Analogues Activate the Parkinson's Disease Associated Protein Kinase PINK1”. ChemBioChem 19 (5): 425–429. doi:10.1002/cbic.201700500. PMC 5901409. PMID 29226533. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5901409/. 
  14. ^ Entrez Gene: PINK1 PTEN induced putative kinase 1”. 2021ねん1がつ20日はつか閲覧えつらん
  15. ^ GmbH, finanzen net. “UNION Receives Approval From Danish Medicines Agency to Initiate Clinical Study With Niclosamide for Treatment of COVID-19 | Markets Insider”. markets.businessinsider.com. 2021ねん5がつ12にち閲覧えつらん
  16. ^ https://www.nature.com/articles/s41586-021-03491-6
  17. ^ ニクロサミド「吸収きゅうしゅうりつ問題もんだい韓国かんこくのバイオ企業きぎょう解決かいけつ”. ZDNet Japan. 2022ねん6がつ16にち閲覧えつらん
  18. ^ CNPharm、生体せいたい実験じっけん世界せかいはつ「ニクロサミド」こうウイルスの効能こうのう立証りっしょう”. プレスリリース・ニュースリリース配信はいしんシェアNo.1|PR TIMES. 2022ねん6がつ16にち閲覧えつらん
  19. ^ Hyundai Bioscience, US agency to develop antiviral drug” (英語えいご). www.theinvestor.co.kr. 2023ねん9がつ26にち閲覧えつらん
  20. ^ The 'Penicillin' of Antivirals, Xafty by Hyundai Bioscience, Opened a New Era of Treating Respiratory Viral Infections with Single Drug” (朝鮮ちょうせん). 팜뉴스 (2023ねん6がつ18にち). 2024ねん3がつ11にち閲覧えつらん