バリュート

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曖昧さ回避 この項目こうもくでは、現実げんじつ世界せかいにおけるバリュートについて説明せつめいしています。ガンダムシリーズにおけるバリュートについては「バリュート (ガンダムシリーズ)」をご覧らんください。
バリュートを展開てんかいしながら投下とうかされる無む誘導ゆうどう爆ばく弾だん

バリュート（英語えいご：ballute）とは、ガスなどにより展開てんかいする袋ふくろ状じょうの大気たいき制動せいどう装置そうち。balloon（風船ふうせん）とparachute（パラシュート）を組くみ合あわせた造語ぞうごである。高速こうそく時じにおいてパラシュートより耐久たいきゅう性せいがあるのが特徴とくちょう。

概要がいよう[編集へんしゅう]

1948年ねんにグッドイヤー社しゃにより開発かいはつされた。形状けいじょうは円錐えんすい形がた。

現代げんだいにおいて、バリュートが多おおく使用しようされているものの一ひとつは、航空機こうくうき搭載とうさい無む誘導ゆうどう爆ばく弾だんの減速げんそく装置そうちとしてである。装置そうちは爆ばく弾だんの尾お部ぶに装備そうびされ、投下とうか直後ちょくごにガスにより、逆ぎゃく円錐えんすい形状けいじょうの袋ふくろが展開てんかいする。この袋ふくろにより大気たいき抵抗ていこうが増大ぞうだいし、爆ばく弾だんの投下とうか速度そくどが減速げんそくされ、降下こうか角度かくども高たかくなる。

宇宙うちゅう開発かいはつへの応用おうよう[編集へんしゅう]

アメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょく(NASA)では、Hypersonic Inflatable Aerodynamic Decelerator (HIAD) 技術ぎじゅつの一種いっしゅである、傘かさ状じょうの膨張ぼうちょう型がた大気圏たいきけん再さい突入とつにゅう実験じっけん装置そうち(IRVE)を開発かいはつに成功せいこうした[1][2]。2007年ねんと2009年ねん、そして3号機ごうきは2012年ねん夏なつに小型こがたロケットで試験しけん飛行ひこうが行おこなわれた[3]。NASAではこれを将来しょうらいの火星かせい、木星もくせい、土星どせいなどの探査たんさ機きに搭載とうさいする構想こうそうがある。

Low-Earth Orbit Flight Test of an Inflatable Decelerator (LOFTID)は、同おなじく HIAD 技術ぎじゅつの一種いっしゅであり、IRVE の後継こうけいである[2]。LOFTID は2022年ねん10月がつ10日とおかに Atlas V にて打うち上あげられ[4]、無事ぶじ回収かいしゅうされている[5]。実験じっけんされたLOFTIDの傘かさの直径ちょっけいは6メートル[4]。

欧州おうしゅう宇宙うちゅう機関きかん(ESA)は、IRDT(Inflatable Re-entry and Descent Technology)と呼よぶ再さい突入とつにゅう機きの飛行ひこう試験しけんを2000年ねんから2005年ねんにかけて4回かい(うち3回かいは潜水せんすい艦かんから発射はっしゃするヴォルナを利用りよう)行おこなったが、全すべて失敗しっぱいに終おわった。IRDTは宇宙うちゅうから地上ちじょうへ物資ぶっしを回収かいしゅうすることを考慮こうりょして実証じっしょう試験しけんを行おこなった。直径ちょっけい80cmの本体ほんたいから窒素ちっそガスを膨張ぼうちょうさせて耐たい熱ねつシールドを2段階だんかいに展開てんかいすることにより直径ちょっけいを3.8mまで広ひろげて減速げんそくし、着地ちゃくち時じの速度そくどを13-15m/sまで落おとすことを目指めざしていた[6]。

宇宙うちゅう航空こうくう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう(JAXA)は、柔軟じゅうなんエアロシェルを有ゆうする大気たいき突入とつにゅうシステム[7]の開発かいはつ研究けんきゅうを2003年ねんから開始かいしし、大気たいき突入とつにゅう機きによる観測かんそくロケット実験じっけんを2012年ねん8月がつ7日にちに行いった。実験じっけん機きは外縁がいえん部ぶのトーラスにガスを注入ちゅうにゅうして直径ちょっけい120cmのエアロシェルを展開てんかいさせて降下こうかし、観測かんそくデータを正常せいじょうに取得しゅとくして実験じっけんを成功せいこうさせた[8][9]。2017年ねん1月がつ16日にち、展開てんかい型がたエアロシェル実験じっけん超ちょう小型こがた衛星えいせい「EGG」（重おもさ約やく4kg・展開てんかい時じの直径ちょっけい約やく80cm）が国際こくさい宇宙うちゅうステーション「きぼう」モジュールから放出ほうしゅつされ、軌道きどう上じょうでのエアロシェル展開てんかいや大気圏たいきけん突入とつにゅうの技術ぎじゅつ実証じっしょうなどが行おこなわれた[10]。EGGは日本にっぽん近海きんかいへの誘導ゆうどうができなかったため大気たいき上層じょうそうで燃もえ尽つきる設計せっけいだったが、軌道きどう制御せいぎょエンジンを載のせて地球ちきゅう帰還きかんを目指めざす次期じき実験じっけん衛星えいせい（いわば「スーパーEGG」）も計画けいかくされている[11][12]。

フィクションへの登場とうじょう[編集へんしゅう]

  • 『2010年ねん』 - 1984年ねんの映画えいが。木星もくせい大気たいきを利用りようした制動せいどう装置そうちとして使用しよう。
  • 『機動きどう戦士せんしZガンダム』 - 1985年ねんのテレビアニメ。モビルスーツと呼よばれる架空かくう兵器へいきが宇宙うちゅうから大気圏たいきけんに突入とつにゅうする際さいの保護ほご装置そうちとして使用しよう。
  • 『ロケットガール』 - 野尻のじり抱だき介かいの小説しょうせつ。バリュートの派生はせい形がたといえる、ロガロ翼つばさ形状けいじょうの極きょく超ちょう音速おんそくカイトを大気圏たいきけん再さい突入とつにゅうに使用しよう。
  • 『ひまスペ兎うさぎ!(≧ωおめが≦)』 - 中島なかじま諭さとし宇樹の漫画まんが。パラフォイル形がたの展開てんかいエアロシェルを軌道きどう上じょうからのスカイダイビングに使用しよう。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ “Inflatable Re-entry Vehicle Experiment (IRVE)”. 2022年ねん12月14日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b “NASA Inflatable Heat Shield Finds Strength in Flexibility”. 2022年ねん12月14日にち閲覧えつらん。
  3. ^ NASA - IRVE-3: Inflatable Heat Shield a Splashing Success | NASA
  4. ^ a b “Low-Earth Orbit Flight Test of an Inflatable Decelerator (LOFTID)”. 2022年ねん12月14日にち閲覧えつらん。
  5. ^ “LOFTID Team Retrieves Backup Data Recorder”. 2022年ねん12月14日にち閲覧えつらん。
  6. ^ Inflatable Re-entry Demonstrator Technology (IRDT) - ESA Fact Sheet
  7. ^ http://gd.isas.jaxa.jp/~kzyamada/MAAC/2010/memo/2010_1116_SR_Meeting_memo.pdf
  8. ^ ISAS | 観測かんそくロケットS-310-41号機ごうき 打上うちあげ終了しゅうりょう
  9. ^ ISAS | 柔やわらかい大気圏たいきけん突入とつにゅう機きの実現じつげんに向むけて ～シイタケ型がた実験じっけん機きはいかにしてつくられたか～ / 宇宙うちゅう科学かがくの最前線さいぜんせん (2013年ねん1月がつ25日にち)
  10. ^ “展開てんかい型がたエアロシェル実験じっけん超ちょう小型こがた衛星えいせい（EGG）、ミッション完了かんりょう”. 2017年ねん6月がつ30日にち閲覧えつらん。
  11. ^ “傘かさフワリ地球ちきゅう帰還きかん／衛星えいせいや探査たんさ機き 高熱こうねつ化かせず”. 『日本経済新聞にほんけいざいしんぶん』朝刊ちょうかんサイエンス面めん. (2017年ねん7月がつ16日にち). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO18872730U7A710C1MY1000/ 
  12. ^ 鈴木すずき宏ひろし二郎じろう (2017年ねん10月がつ25日にち). “展開てんかい型がたエアロシェルと超ちょう小型こがた推進すいしん機きを搭載とうさいしたsuper EGG衛星えいせい構想こうそう” (PDF). 第だい61回かい 宇宙うちゅう科学かがく技術ぎじゅつ連合れんごう講演こうえん会かい. JAXA 宇宙うちゅう科学かがく研究所けんきゅうじょ. 2017年ねん12月14日にち閲覧えつらん。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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