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バルデナフィル

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
バルデナフィル
IUPAC命名めいめい法ほうによる物質ぶっしつ名めい
臨床りんしょうデータ
販売はんばい名めい レビトラ
Drugs.com monograph
MedlinePlus a603035
ライセンス EMA:リンク
胎児たいじ危険きけん度ど分類ぶんるい
  • AUえーゆー: B3
  • US: B
法的ほうてき規制きせい
投与とうよ経路けいろ Oral
薬物やくぶつ動態どうたいデータ
生物せいぶつ学がく的てき利用りよう能のう15%
血漿けっしょうタンパク結合けつごう95%
代謝たいしゃHepatic (CYP3A4)
半減はんげん期き4–5 hours
排泄はいせつBiliary
識別しきべつ
CAS番号ばんごう
 224785-90-4 チェック
ATCコード G04BE09 (WHO)
PubChem CID: 110634
IUPHAR/BPS 7320
DrugBank DB00862 チェック
ChemSpider 99300 チェック
UNII UCE6F4125H チェック
KEGG D08668
ChEMBL CHEMBL1520 チェック
化学かがく的てきデータ
化学かがく式しきC23H32N6O4S
分子ぶんし量りょう488.604 g/mol
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バルデナフィル（英えい: Vardenafil）は、 勃起ぼっき不全ふぜんの治療ちりょうに使用しようされるPDE5阻害そがい剤ざい（ホスホジエステラーゼ5阻害そがい剤ざい、PDE-5)で、レビトラ（Levitra） 、スタキシン（Staxyn) 、およびビバンザ（Vivanza）という商品しょうひん名めいで販売はんばいされていたが、2022年ねんに先発せんぱつ医薬品いやくひんは販売はんばい終了しゅうりょうし、後発こうはつ医薬品いやくひんのみ存在そんざいしている[1]。

医療いりょう用よう[編集へんしゅう]

バルデナフィルの適応てきおうと禁忌きんきは、他たのPDE5阻害そがい剤ざいと同一どういつである。クエン酸くえんさんシルデナフィル（バイアグラ）とタダラフィル（シアリス）の機能きのうに密接みっせつに関連かんれんしている。 バルデナフィルとクエン酸くえんさんシルデナフィルの違ちがいは、窒素ちっそ原子げんしの位置いちと、シルデナフィルのピペラジン環たまきメチル基もとのエチル基もとへの変化へんかである。タダラフィルは、シルデナフィルおよびバルデナフィルの両方りょうほうと構造こうぞう的てきに異ことなる。バルデナフィルの有効ゆうこう時間じかんは比較的ひかくてき短みじかいが、シルデナフィルに比くらべると多少たしょう長ながい。

勃起ぼっき不全ふぜんの適応症てきおうしょうを超こえて、バルデナフィルは早漏そうろうの治療ちりょうに有効ゆうこうである可能かのう性せいがあり、浸透しんとうから射精しゃせいまでの時間じかんを大幅おおはばに増加ぞうかさせる可能かのう性せいがある [2]。

服用ふくよう方法ほうほう[編集へんしゅう]

早はやい場合ばあいは服用ふくよう後ご15分ふん程度ていどで効果こうかを発揮はっきするが、平均へいきん的てきには性行為せいこういの30分ふん～1時じ間あいだ前まえあたりがベストのタイミングとなる。「食事しょくじの影響えいきょうを受うけない」と誤解ごかいされることもあるが、食事しょくじと同どうタイミングの服用ふくようは効果こうかを減退げんたい、あるいはまったく効果こうかを発揮はっきしないリスクを高たかめる。食事しょくじが避さけられない時ときは、空腹くうふく時じにあらかじめ服用ふくようを済すませておく、食事しょくじ後ごに2～3時じ間あいだの間隔かんかくを空あけ服用ふくようするなどの工夫くふうが必要ひつようである。

有害ゆうがい反応はんのう[編集へんしゅう]

一般いっぱん的てきな有害ゆうがい反応はんのう（副作用ふくさよう）は、他たのPDE5阻害そがい剤ざいと同一どういつである。 よくあるバルデナフィル特有とくゆうの副作用ふくさようは、吐はき気け。まれな副作用ふくさようは、腹痛はらいた、腰痛ようつう、光線こうせん過敏かびん症しょう、視覚しかく異常いじょう、眼め痛つう、顔面がんめん浮腫ふしゅ、低てい血圧けつあつ、動悸どうき、頻しき脈みゃく、関節かんせつ痛つう、筋肉きんにく痛つう 、発疹はっしん、かゆみ、および持続じぞく勃起ぼっき症しょう。

バルデナフィルを使用しようした場合ばあいの深刻しんこくな、しかしまれな副作用ふくさようの1つに、心臓しんぞう発作ほっさがある。また、まれに、バルデナフィルの使用しようにより持続じぞく勃起ぼっき症しょうを引ひき起おこすことがあり、治療ちりょうしないまま放置ほうちするとインポテンスを引ひき起おこす可能かのう性せいがある、非常ひじょうに痛いたみを伴ともなう緊急きんきゅう状態じょうたいである [3]。

2007年ねん10月がつ18日にち、米国べいこく食品しょくひん医薬品いやくひん局きょく（FDA）は、バルデナフィルおよび他たのPDE5阻害そがい薬やくの薬物やくぶつラベルに難聴なんちょうの可能かのう性せい（突然とつぜんの難聴なんちょう）に関かんする警告けいこくを追加ついかすると発表はっぴょうした[4]。

相互そうご作用さよう[編集へんしゅう]

バルデナフィルは、すべてのPDE5阻害そがい剤ざいと同様どうように、硝酸しょうさん薬くすりを服用ふくようしている人ひとには使用しようすることができない。バルデナフィルと併用へいようすると、生命せいめいを脅おびやかす可能かのう性せいのある低てい血圧けつあつを引ひき起おこすことがある[5][6][7]。

さらに、バルデナフィルはQT間隔かんかくの延長えんちょうを引ひき起おこす。したがって、QT間隔かんかくに影響えいきょうする他ほかの薬くすり（アミオダロンなど）を服用ふくようしている人ひとは併用へいようできない[8][9]。

歴史れきし[編集へんしゅう]

バルデナフィルは、バイエル・ファーマシューティカルズ 、 グラクソ・スミスクライン 、シェリング・プラウにより、 レビトラ（Levitra）という商品しょうひん名めいで共同きょうどう販売はんばいされた。 ドイツ・バイエル社しゃが開発かいはつしたレビトラ錠じょうの国際こくさい誕生たんじょうは2003年ねん3月がつ4日にち。2005年ねん現在げんざい、 米国べいこく以外いがいの多おおくの市場いちばでレビトラのGSKの共同きょうどう販促はんそく権けんをバイエルに戻もどされた。イタリアでは、バイエルはレビトラ、GSKはVivanzaとしてそれぞれ販売はんばいしている。したがって、欧州おうしゅう連合れんごうの貿易ぼうえき規則きそくにより、並行輸入へいこうゆにゅうすることで、EUではレビトラの隣となりにVivanzaが販売はんばいされる可能かのう性せいがある。

StaxynおよびLevitra Softとして販売はんばいされている口腔こうくう内ない崩壊ほうかい剤ざいは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく[10]やカナダなどの国家こっかで承認しょうにんを得えている[11]。

日本にっぽんでの承認しょうにんはレビトラ錠じょう5 mgと10 mgが2004年ねん4月がつ23日にち、20 mgが2007年ねん5月がつ24日にち[12]。日本にっぽんでは処方箋しょほうせん医薬品いやくひんで、薬価やっか基準きじゅん未み収載しゅうさい（自由じゆう診療しんりょう）だが、レビトラ錠じょうは2022年ねんに販売はんばい終了しゅうりょう[1]。後発こうはつ医薬品いやくひんは2020年ねん7月がつに沢井製薬さわいせいやく[13]と東和薬品とうわやくひん[14]から発売はつばいされ、2022年ねんからは後発こうはつ品ひんのみ販売はんばいされている[1]。後発こうはつ品ひんは新薬しんやくと同おなじ有効ゆうこう成分せいぶん・同おなじ効果こうか・同おなじ時間じかんで効果こうかが現あらわれることが確認かくにんされている。

剤ざい型がた[編集へんしゅう]

レビトラ錠じょう20mg

2.5 mg、5 mg、10 mg、および20 mgの丸まるいオレンジ色しょくの錠剤じょうざいがある。 通常つうじょうの開始かいし用量ようりょうは10mg [15]（ほぼシルデナフィル 50 mgに相当そうとう）。バルデナフィルは、性行為せいこういの 1〜2時じ間あいだ前まえに服用ふくようし、1日にち1回かいまで使つかうことができる。 イギリスなどの一部いちぶの地域ちいきでは、特定とくていの用量ようりょうのみが利用りようできる場合ばあいがある。 日本にっぽんでは2004年ねん6月がつよりレビトラ5 mg、10 mg錠じょうを、2007年ねん7月がつより20 mg錠じょうを、バイエル薬品ばいえるやくひんが販売はんばいしていた[16]。

バルデナフィルには、錠剤じょうざいの形かたちで飲のみ込こむのではなく、舌したの上うえで溶とける錠剤じょうざい（口腔こうくう内ない崩壊ほうかい錠じょう）のスタキシン（Staxyn） 10 mgもある[17]が、日本にっぽんでは販売はんばいされていない。

汚染おせんされたサプリメント[編集へんしゅう]

US FDAは、バルデナフィルおよびその他たの合成ごうせいPDE5阻害そがい剤ざいを、男性だんせい用よう精力せいりょく強化きょうかのための「ハーブ」サプリメントまたは「すべて天然てんねん」製品せいひんとして販売はんばいされている多おおくの製品せいひんで検出けんしゅつした[18][19]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c 『販売はんばい中止ちゅうしのお知しらせ』（プレスリリース）バイエル薬品ばいえるやくひん株式会社かぶしきがいしゃ。https://pharma-navi.bayer.jp/sites/g/files/vrxlpx9646/files/2021-11/LEV_PNS_202111010.pdf。2022年ねん12月3日にち閲覧えつらん。 
  2. ^ “Effects of vardenafil administration on intravaginal ejaculatory latency time in men with lifelong premature ejaculation”. International Journal of Impotence Research 21 (4): 221–7. (July 2009). doi:10.1038/ijir.2009.21. PMID 19474796. 
  3. ^ Schools of Pharmacy (Glen L. Stimmel, Pharm.D., and Mary A. Gutierrez, Pharm.D.) and Medicine (Glen L. Stimmel, Pharm.D.), University of Southern California, Los Angeles, California.. “Counseling Patients About Sexual Issues: Drug-Induced Priapism”. Medscape. 2010年ねん12月6日にち閲覧えつらん。
  4. ^ “FDA Announces Revisions to Labels for Cialis, Levitra and Viagra”. Food and Drug Administration (2007年ねん10月がつ18日にち). 2009年ねん8月がつ6日にち閲覧えつらん。
  5. ^ “Pharmacology and drug interaction effects of the phosphodiesterase 5 inhibitors: focus on alpha-blocker interactions”. The American Journal of Cardiology 96 (12B): 42M–46M. (December 2005). doi:10.1016/j.amjcard.2005.07.011. PMID 16387566. 
  6. ^ “PDE5 inhibitors: are there differences?”. The Canadian Journal of Urology 13 Suppl 1: 34–9. (February 2006). PMID 16526979. 
  7. ^ “Levitra for Treatment of Erectile Dysfunction” (英語えいご). www.erectiledysfunction.com. 2017年ねん10月がつ27日にち閲覧えつらん。
  8. ^ “The QT Interval and Selection of Alpha-Blockers for Benign Prostatic Hyperplasia”. Reviews in Urology 10 (2): 85–91. (2008). PMC 2483321. PMID 18660858. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2483321/. 
  9. ^ Learning, Jones & Bartlett (2010-06-29) (英語えいご). 2011 Nurse's Drug Handbook. Jones & Bartlett Publishers. ISBN 9781449653729. https://books.google.com/?id=PaiBU04wrrgC&pg=PA1079&lpg=PA1079&dq=vardenafil++QT+interval++amiodarone#v=onepage&q=vardenafil%20%20QT%20interval%20%20amiodarone&f=false 
  10. ^ New erectile dysfunction treatment STAXYN™ approved in the U.S. - Pharmaceutical Processing - ウェイバックマシン（2012年ねん4月がつ6日にちアーカイブ分ぶん）
  11. ^ STAXYN® - New Innovation in Erectile Dysfunction Helps Younger Men Rise to the Occasion - ウェイバックマシン（2018年ねん11月1日にちアーカイブ分ぶん）
  12. ^ レビトラ錠じょうインタビューフォーム
  13. ^ 『バルデナフィル錠じょう10mg「サワイ」・バルデナフィル錠じょう20mg「サワイ」発売はつばいのお知しらせ』（プレスリリース）沢井製薬さわいせいやく株式会社かぶしきがいしゃ、2020年ねん6月がつ23日にち。https://www.sawai.co.jp/release/detail/497。 
  14. ^ 『バルデナフィル製剤せいざいのジェネリック医薬品いやくひん製造せいぞう販売はんばい承認しょうにんを取得しゅとく　7月がつ15日にちより発売はつばい』（プレスリリース）東和薬品とうわやくひん株式会社かぶしきがいしゃ、2020年ねん7月がつ9日にち。https://www.towayakuhin.co.jp/company/press/2020/07/7.php。 
  15. ^ “Levitra Dosage”. Drugs.com. 2018年ねん2月がつ23日にち閲覧えつらん。
  16. ^ 医療いりょう用よう医薬品いやくひん レビトラ KEGG
  17. ^ “Vardenafil”. Medicine Net. 2014年ねん2月がつ18日にち閲覧えつらん。
  18. ^ “Tainted Products Marketed as Dietary Supplements”. United States Food and Drug Administration. 2020年ねん3月がつ5日にち閲覧えつらん。
  19. ^ “Unapproved Pharmaceutical Ingredients Included in Dietary Supplements Associated With US Food and Drug Administration Warnings”. JAMA Network Open 1 (6): e183337. (October 2018). doi:10.1001/jamanetworkopen.2018.3337. PMC 6324457. PMID 30646238. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6324457/. 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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