パイパー PA-46

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PA-46 マリブ

パイパー PA-46(Piper PA-46)は、パイパー・エアクラフト製造せいぞうするけい飛行機ひこうきシリーズ。愛称あいしょうはマリブ。

概要がいよう[編集へんしゅう]

1982ねんすえ、パイパーしゃあたらしいかんがかたあずかあつキャビンをピストンエンジン単発たんぱつ発表はっぴょうした。これはけいレシプロあずかあつ双発そうはつセスナ 340英語えいごばんビーチクラフト デュークなど)の内容ないよう単発たんぱつ実現じつげんしようとした意欲いよくさくで、実際じっさいけいレシプロあずかあつ双発そうはつ徐々じょじょ生産せいさんげんじていくことになる。

ピストン単発たんぱつあずかあつキャビンを装備そうびするというかんが自体じたいは1960年代ねんだいごろから存在そんざいした(最初さいしょムーニー M22英語えいごばんである)。

戦後せんご小型こがたようエンジンにおけるきゅうスーパーチャージャー(GSIO-470など)によることからはじまったが、きゅうあつ制御せいぎょ有効ゆうこう手段しゅだんがまだ確立かくりつされておらず、離着陸りちゃくりく訓練くんれんちゅうのオーバーブースト(GSIO-470を装備そうびしたビーチクラフト65クイーンエアなど)など、慎重しんちょうあつかいをようするめんがあった。1960年代ねんだい後半こうはんになると、ギャレット・エアリサーチしゃなどによって小型こがたのターボチャージャーが実用じつようされる。きゅうあつ制御せいぎょにウエイストゲート(Waste Gate)をもちいる現在げんざいるいレイアウトが確立かくりつされ、あつかいが容易よういになるとともに、てい価格かかくすすんで普及ふきゅうはじめた。

レシプロエンジンにターボチャージャーを装備そうびすることで、性能せいのうてきには巡航じゅんこう高度こうど上限じょうげんが15,000フィート程度ていどから25,000フィートへと向上こうじょうしたが、この高空こうくう性能せいのうかすため、乗組のりくみいんは11,000フィート以上いじょうでのわずらわしい酸素さんそマスクの着用ちゃくよう上昇じょうしょう降下こうかによる、身体しんたいてき負荷ふかをともなう気圧きあつ変化へんかえなければならなかった。

あずかあつキャビンがあればこれらのしょ問題もんだい解決かいけつするので、ムーニー M22ではじめてあずかあつピストン単発たんぱつこころみられ、そのセスナ 210英語えいごばんあずかあつキャビンをあたえたP210などがつづいた。

PA-46-310P マリブ(Malibu)は、これらの初期しょき世代せだいのピストン単発たんぱつあずかあつとはことなった2つの特徴とくちょうがある。

幅広はばひろ胴体どうたい
2クラスじょうのピストン双発そうはつのような椅子いす椅子いすあいだ通路つうろ幅広はばひろ胴体どうたいを、ピストン単発たんぱつとしてははじめて採用さいよう当時とうじのカタログじょうでパイパーしゃは「Cabin class」とんでいた)。乗員じょういんはパイロット1めい乗客じょうきゃく5めい
グライダーのようなつばさ
こう高度こうど性能せいのう向上こうじょうするため、グライダーのようなこうアスペクトうすつばさあたえて、単発たんぱつのパワーでもこう高度こうど巡航じゅんこう可能かのうにした。

これらによって、ピストン単発たんぱつ免許めんきょで、あずかあつけい双発そうはつパイパーセネカなど)みのコストで、あずかあつ双発そうはつ(ビーチデュークなど)のように、25,000フィートを対地たいち速度そくど250ノットで巡航じゅんこうすることを可能かのうにした。

マリブの試作しさく1979ねん11月30にちはつ飛行ひこうしており、1983ねん9月形式けいしき証明しょうめい取得しゅとく予告よこくどお同年どうねん12がつからわたしを開始かいしした。

マリブはその改良かいりょうおこなわれ、エンジンメーカーをコンチネンタルからライコミングに変更へんこうしたマリブ・ミラージュ(Malibu Mirage)、ターボプロップエンジン(P&W PT-6)装備そうびするマリブ・メリディアン(Malibu Meridian)、そしてマリブ・ミラージュからあずかあつしきキャビンをのぞいた廉価れんかばんマトリックス(Matrix)を発売はつばいした。現在げんざいはマリブ・ミラージュがM350、マリブ・メリディアンがM500名称めいしょう変更へんこうされ、生産せいさんつづいている。

派生はせいがた[編集へんしゅう]

PA-46-500TP マリブ・メリディアン
PA-46-310P マリブ
最初さいしょ量産りょうさんがた。エンジンはテレダイン・コンチネンタルせいTSIO-520-BE(310 hp)を搭載とうさい。404生産せいさん
PA-46-350P マリブ・ミラージュ/M350
エンジンをテキストロン・ライカミングせいTIO-540-AE2A(350 hp)に強化きょうか現在げんざい生産せいさんちゅう
PA-46-500TP マリブ・メリディアン/M500
エンジンをプラット・アンド・ホイットニー・カナダせいPT6A-42A(500 hp)に変更へんこうしたターボプロップがた現在げんざい生産せいさんちゅう
PA-46-350T マトリックス
マリブー・ミラージュのあずかあつがた
M600
M500のエンジンはそのままに、出力しゅつりょく向上こうじょう燃料ねんりょう容量ようりょう増加ぞうかなどをおこなったかた現在げんざい生産せいさんちゅう

要目ようもく(PA-46-350P)[編集へんしゅう]

  • 全長ぜんちょう:8.81 m
  • 全幅ぜんぷく:13.11 m
  • 全高ぜんこう:3.44 m
  • つばさ面積めんせき:16.26 m2
  • 全備ぜんび空虚くうきょ重量じゅうりょう:1,416 kg
  • 最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう:1,968 kg
  • エンジン:テキストロン・ライカミング TIO-540-AE2A 水平すいへい6気筒きとうピストンエンジン(350hp) × 1
  • 最大さいだい水平すいへい速度そくど:407 km/h
  • 証明しょうめい認定にんてい高度こうど:7,620 m
  • 航続こうぞく距離きょり:1,953 km(最大さいだい燃料ねんりょう
  • 乗客じょうきゃく最大さいだい5めい
  • 乗員じょういん:1めい

関連かんれん情報じょうほう[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

  • 公式こうしきサイト(英語えいご