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プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
カナダ航空こうくう宇宙うちゅう博物館はくぶつかん（英語えいご版ばん）に展示てんじ中ちゅうのPT6

プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6（英語えいご：Pratt & Whitney Canada PT6）は航空機こうくうき史し上うえ最もっとも普及ふきゅうしたターボプロップ航空こうくう用ようエンジンの一ひとつで[1]、プラット・アンド・ホイットニー・カナダ社しゃによって製造せいぞうされる。PT6系列けいれつは複数ふくすうの型式けいしきにおいて平均へいきん故障こしょう間隔かんかく（Mean Time Between Failures, MTBF）が9,000時じ間あいだを越こえる卓越たくえつした高信頼こうしんらい性せいで知しられるため[2]、100を超こえる航空機こうくうきでの採用さいようが行おこなわれている。

アメリカ軍ぐんでの使用しようにおける識別しきべつ番号ばんごうは「T74」または「T101」である。主要しゅような派生はせい型がたは幅広はばひろく使用しようされる軸馬力じくばりきが580shpから920shpまでの「PT6A」となり、大だい出力しゅつりょくエンジン系統けいとうで最大さいだいな物ものは1,940 shp (1,450 kW)である。また「PT6B」と「PT6C」はヘリコプター用ようのターボシャフトエンジン仕様しようとなる。

設計せっけいと開発かいはつ

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PT-6エンジンのカットモデル

1956年ねん、PWCの社長しゃちょうのRonald Rileyはより高こう出力しゅつりょくで高こう出力しゅつりょく重量じゅうりょう比ひのエンジンの需要じゅようを予見よけんしており、技術ぎじゅつ主任しゅにんのDick Guthrieに既存きそんのレシプロエンジンを代替だいたいするターボプロップの開発かいはつを要請ようせいした。プラット・アンド・ホイットニー・ワスプ（英語えいご版ばん）星ほし型がたエンジンは当時とうじでも尚なお、強力きょうりょくで製造せいぞうラインは堅調けんちょうで採算さいさんも良好りょうこうだった。RileyはGuthrieに100,000カナダドルの予算よさんを与あたえた。Guthrie はオタワのカナダ国家こっか研究けんきゅう評議ひょうぎ会かい（英語えいご版ばん）とオンタリオのオレンダ・エンジンズから若手わかての技術ぎじゅつ者しゃを雇やとい入いれた。

1958年ねん、グループは450軸馬力じくばりきの出力しゅつりょくのターボプロップの開発かいはつを開始かいしした。最初さいしょのエンジンの運転うんてんに成功せいこうしたのは1960年ねん2月がつだった[3][4]。最初さいしょの飛行ひこう試験しけんは1961年ねん5月がつ30日にちにデ・ハビランド・カナダのオンタリオ州しゅうダウンズビューの施設しせつでビーチ 18航空機こうくうきで実施じっしされた。1963年ねんから量産りょうさんが開始かいしされ次じの年としから就航しゅうこうした。2001年ねんには40周年しゅうねんの祝賀しゅくが飛行ひこうが実施じっしされ、他たの派生はせい型がたを含ふくまない36,000基き以上いじょうのPT6Aが出荷しゅっかされた[5]。このエンジンは100型式けいしき以上いじょうの異ことなる機体きたいに採用さいようされる。

本ほんエンジンではガス発生はっせい器きとパワータービンが分離ぶんりされており、自動車じどうしゃのトルクコンバータのようにエンジンの回転かいてん数すうと出力しゅつりょくの回転かいてん数すうを分離ぶんりしている[6]。また、始動しどう時じにパワータービンを回まわす必要ひつようが無ないため、点火てんかはガス発生はっせい器きのみの始動しどうで部分ぶぶん的てきな寒冷かんれい気候きこうにおいてもエンジンは容易よういに始動しどうする[6]。エンジンは整備せいびのために容易よういに分割ぶんかつ可能かのうな2区画くかくで構成こうせいされる[6]。高温こうおん・短たん寿命じゅみょうとなる燃焼ねんしょう器きなどはプロペラに近ちかい部分ぶぶんにまとめてあり、エンジンを機体きたいに固定こていしたままこの区画くかくを点検てんけん・交換こうかんすることができる。

空気くうきはエンジン側面そくめんのフィルタを通とおってガス発生はっせい器き区画くかくの低圧ていあつ軸じく流りゅう式しき圧縮あっしゅく機きへと流入りゅうにゅうする。これは小しょう中型ちゅうがた機きでは3段式だんしきで大型おおがた機きでは4段式だんしきである。空気くうきは単たん段だんの遠心えんしん式しき圧縮あっしゅく機きへ流ながれアニュラ型がた燃焼ねんしょう器きへ送おくられ、最終さいしゅう的てきに単たん段だん圧縮あっしゅく機き駆動くどうタービンを約やく45,000 rpmで駆動くどうする。ガス発生はっせい器きからの高温こうおんガスは分割ぶんかつされたエンジンの出力しゅつりょく区画くかくへ流ながれ、出力しゅつりょくタービンを駆動くどうする事ことにより出力しゅつりょく軸じくでは約やく30,000 rpmである。ターボプロップの用途ようとにおいてはこの出力しゅつりょくは2段だんの遊星ゆうせい歯車はぐるま減速げんそく機きで1,900 から 2,200 rpmに減速げんそくしてプロペラを回まわす。排気はいきガスは出力しゅつりょくタービンの側面そくめんの排気はいき口こうから排出はいしゅつされる。エンジンは出力しゅつりょくタービンを燃焼ねんしょう器きの内側うちがわに配置はいちする事ことにより全長ぜんちょうを短縮たんしゅくする。

プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6ガスタービンエンジンの遊星ゆうせい歯車はぐるま減速げんそく機き

PT6を搭載とうさいする大半たいはんの航空機こうくうきはナセル内ないに後方こうほうを向むいて収おさめるので吸気きゅうき口こうは航空機こうくうきの後部こうぶを向むく。この配置はいちにより出力しゅつりょく部ぶはナセルの前方ぜんぽうで長ながい軸じくを必要ひつようとせずに直接ちょくせつプロペラを駆動くどうできる。吸気きゅうきは通常つうじょうエンジンの下部かぶに設置せっちされたダクトを流ながれ2本ほんの排気はいき管かんから直接ちょくせつ後部こうぶへ排気はいきされる。この配置はいちは同様どうように整備せいび時じにおいてプロペラを外はずすだけでガス発生はっせい器き区画くかくが露出ろしゅつする事ことが企図きとされる。同様どうように不ふ整地せいちでの運用うんよう下かにおいて異物いぶつ吸すい込こみ時ときに吸気きゅうき口内こうないの分離ぶんり装置そうちによって外部がいぶへ排出はいしゅつする事ことを企図きとする[7]。

PT6の複数ふくすうの他ほかの派生はせい型がたは長年ながねん使用しようされる。出力しゅつりょくタービンを追加ついかして減速げんそく比ひを大おおきくしたPT6A largeは出力しゅつりょくが約やく2倍ばいの1,090 から1,920 shp (1,430 kW)である。PT6Bはヘリコプターターボシャフト型がたはフリーホイールクラッチを備そなえた減速げんそく機きと出力しゅつりょくタービン調ちょう速そく機きを特徴とくちょうとして4,500 rpmでの出力しゅつりょくは1,000 hp (750 kW)である。ヘリコプター用ようのPT6Cは単体たんたいの側がわ方かた排気はいきで30,000 rpmでの出力しゅつりょくは2,000 hp (1,500 kW)である。 PT6T ツインパックでは2基きのPT6エンジンで共通きょうつうの出力しゅつりょく軸じくの減速げんそくギアボックスを駆動くどうして出力しゅつりょくはおよそ6,000 rpmで2,000 hp (1,500 kW)である。ST6は元もとはUAC ターボトレイン用ようだが、後のちに定置ていち用ようも開発かいはつされその他たに航空機こうくうきの補助ほじょ動力どうりょく装置そうち用ようもある。[8]

デ・ハビランド・カナダがPT6 Largeのおよそ2倍ばいの出力しゅつりょくの超ちょう大型おおがたのエンジンに関かんして打診だしんしたとき、プラット・アンド・ホイットニー・カナダはPT7として知しられる新しん設計せっけいを提示ていじした。これの開発かいはつ中ちゅうにプラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW100に改名かいめいされた。PT6とPW100のようなターボプロップではバイパス比ひが50以上いじょうになるが、[9][10][11] プロペラの気流きりゅうはターボファンよりも遅おそい[12][13]。

ST6B-62とSTN 6/76はフォーミュラレーシングカー（「STP-パクストン・ターボカー」と「ロータス・56」）に使つかわれた。

採用さいよう実績じっせき

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PT6A
PT6B ターボシャフトエンジン
アグスタウエストランド AW139に搭載とうさいされるPT-6Cエンジン
PT6C ターボシャフトエンジン
PT6D
PT6E
ST 6
STN

仕様しよう諸しょ元もと (PT6A-6)

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一般いっぱん的てき特性とくせい

  • 形式けいしき: ターボプロップ
  • 全長ぜんちょう: 62 in (1,575 mm)
  • 直径ちょっけい: 19 in (483 mm)
  • 乾燥かんそう重量じゅうりょう: 270 lb (122.47 kg)

構成こうせい要素ようそ

  • 圧縮あっしゅく機き: 軸じく流りゅう式しき3段だん + 遠心えんしん式しき1段だん圧縮あっしゅく機き
  • 燃焼ねんしょう器き: アニュラ型がた 反転はんてん流りゅう 14基きの単体たんたい燃焼ねんしょう器き
  • タービン: ガス発生はっせい器き駆動くどうタービン1段だん + 出力しゅつりょくタービン1段だん
  • 使用しよう燃料ねんりょう: MIL-F-5624E規格きかくに適合てきごうする航空こうくう用ようケロシン / JP-4 / JP-5
  • 潤滑じゅんかつシステム: 歯車はぐるま型がた加圧かあつ、回収かいしゅうポンプによる噴射ふんしゃ装置そうちと第だい2ポンプによるギアボックスの加圧かあつ

性能せいのう

出典しゅってん: [15]

名称めいしょう PT6A-11AG PT6A-50 PT6A-68C PT6B-36A PT6B-37A PT6C-67B PT6C-67C PT6C-67E PT6T-6B
直径ちょっけい 483 mm 825 × 495 mm 495 mm 584 mm 584 mm 825 × 1105 mm
全長ぜんちょう 1.58 m 1.73 m 1.83 m 1.5 m 1.63 m 1.50 m 1.67 m
乾燥かんそう重量じゅうりょう 193 kg 169 kg 172 kg
出力しゅつりょく 550 kW (748 PS) 705 kW (958 PS) 1,175 kW (1,600 PS) 732 kW (995 PS) 747 kW (1,015 PS) 895 kW (1,217 PS) 1,252 kW (1,702 PS) 1,324 kW (1,800 PS) 1,469 kW (2,000 PS)
比ひ燃料ねんりょう消費しょうひ 353 g/ekWh 0.581 lbs/shph 0.584 lbs/shph 0.602 lbs/shph

関連かんれん項目こうもく

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類似るいじのエンジン

出典しゅってん

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  1. ^ “United Technologies History”. 2007年ねん10月がつ17日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2007年ねん10月がつ17日にち閲覧えつらん。
  2. ^ “PT6A Model Specifications”. 2008年ねん8月がつ19日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2016年ねん1月がつ27日にち閲覧えつらん。
  3. ^ “PT6 engine - The Legend”. PT6 Nation. Pratt & Whitney Canada. 2013年ねん2月がつ19日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2013年ねん2月がつ19日にち閲覧えつらん。
  4. ^ “Pratt's 'dirty dozen'”. Aviation Week and Space Technology: 42–43. 
  5. ^ “Pratt & Whitney Canada's PT6 Turboprop Marks 40 Years of in-Flight Success”. プラット・アンド・ホイットニー・カナダ. CCN Newswire (2001年ねん6月がつ18日にち). 2013年ねん10月がつ5日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2001年ねん6月がつ18日にち閲覧えつらん。
  6. ^ a b c “An Engine Ahead of Its Time”. PT6 Nation. プラット・アンド・ホイットニー・カナダ. 2007年ねん10月がつ17日にち閲覧えつらん。
  7. ^ Thomas A. Horne (December 2013). “The PT6 at”. AOPA Pilot: T-7. 
  8. ^ “Pratt & Whitney PT6A-42 Turboprop”. Turbokart.com. 2016年ねん1月がつ27日にち閲覧えつらん。
  9. ^ Ilan Kroo and Juan Alonso. "Aircraft Design: Synthesis and Analysis, Propulsion Systems: Basic Concepts Archive" Stanford University School of Engineering, Department of Aeronautics and Astronautics. Quote: "When the bypass ratio is increased to 10-20 for very efficient low speed performance, the weight and wetted area of the fan shroud (inlet) become large, and at some point it makes sense to eliminate it altogether. The fan then becomes a propeller and the engine is called a turboprop. Turboprop engines provide efficient power from low speeds up to as high as M=0.8 with bypass ratios of 50-100."
  10. ^ Prof. Z. S. Spakovszky. "11.5 Trends in thermal and propulsive efficiency Archive" MIT turbines, 2002. Thermodynamics and Propulsion
  11. ^ Nag, P.K. "Basic And Applied Thermodynamics Archived 2015年ねん4月がつ19日にち, at the Wayback Machine." p550. Published by Tata McGraw-Hill Education. Quote: "If the cowl is removed from the fan the result is a turboprop engine. Turbofan and turboprop engines differ mainly in their bypass ratio 5 or 6 for turbofans and as high as 100 for turboprop."
  12. ^ "Turboprop Engine" グレン研究けんきゅうセンター (NASA)
  13. ^ Philip Walsh, Paul Fletcher. "Gas Turbine Performance", page 36. John Wiley & Sons, 15 April 2008. Quote: "It has better fuel consumption than a turbojet or turbofan, due to a high propulsive efficiency.., achieving thrust by a high mass flow of air from the propeller at low jet velocity. Above 0.6 Mach number the turboprop in turn becomes uncompetitive, due mainly to higher weight and frontal area."
  14. ^ "DHC-2T Turbo Beaver" (Press release). Viking Air. 24 October 2018.
  15. ^ Taylor, John W.R. FRHistS. ARAeS (1962). Jane's All the World's Aircraft 1962-63. London: Sampson, Low, Marston & Co Ltd 

外部がいぶリンク

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  • PT6A（英語えいご） - Pratt & Whitney Canada
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