フアン・アントニオ・サマランチ

	フアン・アントニオ・サマランチ; Juan Antonio Samaranch
	;
	国際こくさいオリンピック委員いいん会かい; 第だい7代だい会長かいちょう（英語えいご版ばん）
任期にんき	1980年ねん7月がつ16日にち – 2001年ねん7月がつ16日にち
出生しゅっしょう	1920年ねん7月がつ17日にち; スペイン王国おうこく、バルセロナ
死去しきょ	2010年ねん4月がつ21日にち（89歳さい没ぼつ）; スペイン、バルセロナ
配偶はいぐう者しゃ	マリア・テレサ・サリサチス・ロー; (1955-2000、2000年ねん死別しべつ)

この名前なまえは、スペイン語ご圏けんの人名じんめい慣習かんしゅうに従したがっています。第だい一いち姓せい（父方ちちかたの姓せい）はサマランチ、第だい二に姓せい（母方ははかたの姓せい）はトレジョーです。

フアン・アントニオ・サマランチ・トレジョー（スペイン語ご：Juan Antonio Samaranch Torelló、カタルーニャ語ご：Joan Antoni Samaranch i Torelló ジュアン・アントーニ・サマランク・イ・トゥラリョー、1920年ねん 7月がつ17日にち - 2010年ねん 4月がつ21日にち）は、スペイン・バルセロナ出身しゅっしんのスポーツ官僚かんりょう。1980年ねんから2001年ねんにかけて国際こくさいオリンピック委員いいん会かい（IOC）の会長かいちょうを務つとめた。フランコのファランヘ党とうの熱心ねっしんな支持しじ者しゃだった。

来歴らいれき[編集へんしゅう]

繊維せんい業ぎょうを営いとなむ裕福ゆうふくな一族いちぞくに生うまれたサマランチは、少年しょうねん時代じだいにローラーホッケーに親したしんだ。スペイン内戦ないせんでは当初とうしょ共和きょうわ国こく派はとして戦たたかうが、第だい二に共和きょうわ国こく政府せいふには懐疑かいぎ的てきで、程ほどなくフランスに出でる。内戦ないせんがスペイン国粋こくすい主義しゅぎの反乱はんらん軍ぐんの勝利しょうりで終おわると帰国きこくし、フランシスコ・フランコのファシスト党とうであるファランヘ党とうに加くわわった。サマランチは、フランコが死しぬまで自身じしんを「100％のフランコ主義しゅぎ者しゃ」と呼よんで、はばからなかった^[1]。

サマランチはスポーツ・ジャーナリストとして社会しゃかい人じんのキャリアを始はじめ、1942-1943年ねんシーズンの総統そうとう杯はい準決勝じゅんけっしょう、レアル・マドリード対たいFCバルセロナ第だい2ラウンド（マドリードがバルセロナを11-1の大差たいさで下くだした）では、ホームであるマドリードのサポーターを批判ひはんして、所属しょぞくしていた会社かいしゃを解雇かいこされた。1950年代ねんだい後半こうはんに、ファシストの青あおシャツを着きていたサマランチの姿すがたが、写真しゃしんに残のこされている。その後ごは家業かぎょうを継つぐ傍かたわら、数すう多おおくのオリンピック大会たいかいでスペインチームの代表だいひょうを務つとめた。1966年ねんにはスポーツ長官ちょうかんに任にんぜられ、さらにスペインオリンピック委員いいん会かいの会長かいちょうに就任しゅうにん、IOCメンバーにも名なを連つらねることになった。ブランデージとサマランチは、クーベルタンのお気きに入いりだったと報道ほうどうされた。ブランデージはアパルトヘイトの南みなみアフリカの五輪ごりん参加さんかに尽力じんりょくし、サマランチは後のちに肥大ひだい化かした商業しょうぎょう五輪ごりんへの道みちを開ひらいた。1974年ねんから1978年ねんにかけてはIOC副ふく会長かいちょうを務つとめた、また1977年ねんから1980年ねんまでスペインの駐ちゅうソ連それん・駐ちゅうモンゴル大使たいしに任にんぜられ、1984年ねんには大手おおて貯蓄ちょちく銀行ぎんこう「ラ・カイシャ」の役員やくいんとなり、1987年ねんから1999年ねんまで頭取とうどりの座ざにあった。1992年ねんのバルセロナオリンピックを前まえにして、1991年ねんにはサマランチ侯爵こうしゃく（Marquesado de Samaranch）に叙じょせられた。

1980年ねんのモスクワオリンピックの後のち、IOC会長かいちょうだったキラニン男爵だんしゃくが辞任じにんし、その後任こうにんとしてサマランチが選出せんしゅつされた。任期にんき中ちゅう、サマランチは放映ほうえい権けんやスポンサーシップの管理かんりを通つうじてオリンピック活動かつどうの財政ざいせい健全けんぜん化かを実現じつげんした。1984年ねん夏季かきのロサンゼルスオリンピックでも東側ひがしがわ諸国しょこくの大会たいかいボイコットがあったものの、サマランチの任期にんき中ちゅうにおけるIOC加盟かめい国こくとオリンピック参加さんか国こくの数かずは増加ぞうかし続つづけた。

2005年ねん、浙江せっこう大学だいがくより名誉めいよ博士はかせ号ごうを授与じゅよされた。

2010年ねん 4月がつ20日はつか、心臓しんぞう疾患しっかんのためバルセロナ市内しないの病院びょういんに入院にゅういんし集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつ内うちで人工じんこう呼吸こきゅう器きをつけるなど重体じゅうたいに陥おちいり、その翌日よくじつの4月がつ21日にちに死去しきょした。89歳さい没ぼつ^[2]。

家族かぞく[編集へんしゅう]

サマランチは1955年ねん 12月1日にちにマリア・テレサ・サリサチス・ローと結婚けっこんした。2人ふたりの間あいだには1男なん1女じょがいて、息子むすこのフアン・アントニオ・サマランチ・サリサチスは現在げんざいIOCのメンバーとなっている。

実績じっせきと批判ひはん[編集へんしゅう]

サマランチは、元もと会長かいちょうのアベリー・ブランデージのアマチュアリズムの維持いじという方針ほうしんを大幅おおはばに転換てんかんし、プロ選手せんしゅの解禁かいきんと五輪ごりんの商業しょうぎょう化か・巨大きょだい化かに踏ふみ切きった。これに対たいしては五輪ごりんの商業しょうぎょう化か、拡大かくだい化か、権威けんいの低下ていか等とうを招まねいたという批判ひはんが強つよく、2012年ねんのロンドンオリンピックからは一部いちぶの競技きょうぎ種目しゅもくが削減さくげんされる事態じたいを招まねいた^{[注釈ちゅうしゃく 1]}。またサマランチ時代じだいにはドーピング違反いはんのみせしめ処罰しょばつ^{[注釈ちゅうしゃく 2]}も行おこなわれた。

1998年ねんの長野ながのオリンピック誘致ゆうちの際さい、賄賂わいろを含ふくむ腐敗ふはいが暴露ばくろされたにもかかわらず、サマランチは末端まったんIOC委員いいんを容赦ようしゃなく切きり捨すてて体制たいせいを維持いじした^[3]。長野ながの五輪ごりんの閉会へいかい式しきでは、「ありがとうナガノ、さよならニッポン。また合あいましょう」と日本語にほんごの挨拶あいさつをおこなった。なお、サマランチは退任たいにん前まえの誘致ゆうちを目指めざした中国ちゅうごくでの2008年ねん北京ぺきんオリンピックの開催かいさい決定けっていにも成功せいこうし^[4]、中国ちゅうごくでは五輪ごりん開催かいさいの功績こうせきに感謝かんしゃして北京ぺきんオリンピック公園こうえんにサマランチの銅像どうぞうが建たてられている^[5]。

受賞じゅしょう歴れき[編集へんしゅう]

Grand Officer of the Order of Merit of the Italian Republic (Italy, 2 June 1971)
Grand Cross of the Order of Isabella the Catholic (Spain, 29 September 1975)
Grand Cross of the Order of Charles III (Spain, 20 October 1980)
Order of the Yugoslav Flag with Sash (Yugoslavia, 9 January 1984)
Gold Medal of the Generalitat de Catalunya (1985)
Order of Friendship of Peoples (Soviet Union, 1994)
Order of the Cross of Terra Mariana, First Class (Estonia, 2003)
Grand Cross of the Royal Order of Sports Merit (Spain, 5 December 1986)
Collar of the Order of Isabella the Catholic (Spain, 31 March 2000)
Grand Cross of the Grand Order of King Tomislav (26 August 1993)
Order of the Golden Fleece (Georgia, 2001)
Grand Cross of the Ancient Order of Sikatuna (Philippines, 11 April 2001)
Grand Cross of the Order of the Lithuanian Grand Duke Gediminas (Lithuania, 4 April 1994)
Order of the Republic (Moldova, 14 May 1999)
Order of Honour (Russia, 25 June 2001)
Order of the White Double Cross, 1st Class (Slovakia, 2000)
Order of Prince Yaroslav the Wise Third class (Ukraine, 21 May 2005)
Grand Cross of the Order of Merit of the Italian Republic (Italy, 27 January 1981)
In 1982 he was awarded the Cup Stadium for the promotion of Spanish sport.
In 1985 he received the Gold Medal of the Generalitat of Catalonia.
In 1988 he was awarded the Prince of Asturias Award for Sports and the Peace Prize awarded by South Korea.
In 1986 he was named president of the credit institution La Caixa, which was already a member advisor since 1984.
In 1991 he was awarded the noble title of Marquis of Samaranch.
In 2010 he was awarded with the "Excellence Guirlande d'Honneur" by the FICTS.
Doctor Honoris Causa by the University of Alicante (1992), University of Granada (1997), Universidad Camilo José Cela (2002), University of Huelva (2003) and Universidad Europea de Madrid (2009).

書籍しょせき[編集へんしゅう]

アンドリュー・ジェンキンス『ロード・オブ・ザ・リング』
ヴィヴ・シムソン『黒くろい輪わ―権力けんりょく・金きむ・クスリオリンピックの内幕うちまく』光文社こうぶんしゃ 1992年ねん ISBN 978-4334960599

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

^ 批判ひはんの声こえの驚おどろくほどの小ちいささはメディアと大衆たいしゅうの著いちじるしいモラル低下ていかを証明しょうめいする事態じたいとなっている。しかし、そもそもスポーツ選手せんしゅは「一部いちぶの優秀ゆうしゅうな人ひと以外いがいは生活せいかつが成なりたない」といった側面そくめんを常時じょうじ抱かかえており、生活せいかつの基盤きばんを整ととのえてくれる人々ひとびとに対たいしては大衆たいしゅうは何なにも言いえないということに考慮こうりょするべきである。
^ ベン・ジョンソン (陸上りくじょう選手せんしゅ)ほか。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

^ NYTの蓋ぶた棺かん録ろく 2010年ねん4月がつ22日にち
^ サマランチ前ぜんIOC会長かいちょうが死去しきょスポーツニッポン 2010年ねん4月がつ21日にち閲覧えつらん
^ Samaranch corruption2021年ねん4月がつ10日とおか閲覧えつらん
^ “サマランチ：どうして私わたしは中国ちゅうごくを愛あいしているのか？”. 中国ちゅうごく国際こくさい放送ほうそう. (2009年ねん11月25日にち) 2018年ねん7月がつ30日にち閲覧えつらん。
^ “北京ぺきん五輪ごりんの「恩人おんじん」に哀悼あいとう、サマランチ氏し銅像どうぞうに献花けんか－北京ぺきん”. エキサイトニュース. (2010年ねん4月がつ23日にち) 2018年ねん7月がつ30日にち閲覧えつらん。

フアン・アントニオ・サマランチ Juan Antonio Samaranch

国際こくさいオリンピック委員いいん会かい第だい7代だい会長かいちょう（英語えいご版ばん）
任期にんき	1980年ねん 7月がつ16日にち – 2001年ねん 7月がつ16日にち

出生しゅっしょう	(1920-07-17) 1920年ねん 7月がつ17日にちスペイン王国おうこく、バルセロナ
死去しきょ	(2010-04-21) 2010年ねん 4月がつ21日にち（89歳さい没ぼつ）スペイン、バルセロナ
配偶はいぐう者しゃ	マリア・テレサ・サリサチス・ロー (1955-2000、2000年ねん死別しべつ)

典拠てんきょ管理かんりデータベース
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