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フィタリエンブリューダー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
フィタリエンブリューダー
ドイツ語ご: Vitalienbrüder
フィタリエンブリューダーを描えがいた数少かずすくない同どう時代じだい史料しりょうである、 ゴットランドのBunge教会きょうかいの壁画へきが（1405年ねんごろ）
後継こうけい リケデーラー
設立せつりつ 1393年ねん
解散かいさん 1398年ねん
本部ほんぶ ヴィスビュー, ゴットランド, スウェーデン
所在地しょざいち
貢献こうけん地域ちいき 北きたヨーロッパ
組織そしき的てき方法ほうほう 私わたし掠かすめ、封鎖ふうさ突破とっぱ、海賊かいぞく
会員かいいん数すう
 不明ふめい
公用こうよう語ご ドイツ語ご
重要じゅうよう人物じんぶつ
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フィタリエンブリューダー[1] 、ヴィターリエンブリューダー[2](ドイツ語ご: Vitalienbrüder [viˈtaːli̯ənbryːdɐ][3]、「食糧しょくりょう兄弟きょうだい団だん」の意い) は、14世紀せいきの北海ほっかいやバルト海ばるとかいで活躍かつやくした私わたし掠かすめ船せん、後のちには海賊かいぞくたちの集団しゅうだん、ギルド[4]。

歴史れきし[編集へんしゅう]

メクレンブルクの傭兵ようへい[編集へんしゅう]

14世紀せいき、デンマークの支配しはい者しゃマルグレーテ1世せいは、スカンディナヴィア半島はんとうにおける覇権はけんをめぐってメクレンブルク家かのアルブレクトと争あらそっていた。アルブレクトは1364年ねんにスウェーデン王おう、1383年ねんにメクレンブルク公こうに即位そくいしていた。彼かれは1389年ねんにマルグレーテ1世せいに敗やぶれて息子むすこエーリヒ1世せいと共ともに捕とらえられ、スウェーデン王位おういを奪うばわれた。しかし1392年ねんに彼かれは巻まき返かえしを図はかり、デンマークと戦たたかうべく、後のちにフィタリエンブリューダーとして知しられるようになる者ものたちを雇やとい入いれた。マルグレーテ1世せいの軍ぐんがストックホルムを包囲ほういすると、フィタリエンブリューダーの封鎖ふうさ突破とっぱ船せんが海戦かいせんの末すえに海上かいじょう包囲ほういを破やぶり、ストックホルムへの補給ほきゅう線せんを確保かくほした。ヴィタリエン（Vitalien）の語源ごげんは、ラテン語らてんごの"victualia"すなわち「食糧しょくりょう」である。彼かれらの名なは、この歴史れきし上じょう最初さいしょの任務にんむとなったストックホルムへの補給ほきゅう作戦さくせんに由来ゆらいしている[5][6]。

私わたし掠かすめ船団せんだんから海賊かいぞくへ[編集へんしゅう]

フィタリエンブリューダーの組織そしきは、フラタニティあるいはギルドの形態けいたいをとっていた。1392年ねんの時点じてんで、彼かれらにとっての最大さいだいのライバルは、ハンザ同盟どうめい都市としでデンマークを支援しえんしていたリューベックだった。一方いっぽうでハンザ同盟どうめいの他ほかの大だい部分ぶぶんの諸しょ都市としは、海上かいじょう交通こうつうの要衝ようしょうを支配しはいするデンマークが勝利しょうりすることを望のぞんでいなかったため、当初とうしょフィタリエンブリューダーを支援しえんしていた。1392年ねんから数すう年ねんのうちに、フィタリエンブリューダーはバルト海ばるとかいにおける一大いちだい勢力せいりょくに成長せいちょうした。ロストック、リーブニッツ、ヴィスマール、シュトラールズントなどの都市としは、彼かれらに避難ひなん港こうを提供ていきょうした。しかし間あいだもなく、フィタリエンブリューダーは公然こうぜんと海賊かいぞく行為こういを働はたらくようになり、沿岸えんがん地域ちいきを襲撃しゅうげきした。1393年ねんにはベルゲンを初はじめて略奪りゃくだつし、1394年ねんにはマルメを征服せいふくした。またフィタリエンブリューダーは、フリースラントやシュレースヴィヒの一部いちぶを制圧せいあつした。さらに彼かれらは、トゥルク、ヴィボルグ、ステューレホルム、コルソルム、ヘルシングランド地方ちほうセーデルハムンのFaxeholm城じょうを略奪りゃくだつした[7]。

フィタリエンブリューダーはこの1394年ねんにスウェーデン領りょうゴットランドを征服せいふくしヴィスビューに本拠地ほんきょちを築きずいて、絶頂ぜっちょう期きを迎むかえた。さらにその後ご、彼かれらはフィンランドのトゥルク諸島しょとうまで遠征えんせいした。トゥルク城じょう主しゅクヌート・ボッソン(在位ざいい:1395年ねん-1398年ねん)はメクレンブルクのアルブレクトと同盟どうめいしていたため、フィタリエンブリューダーが彼かれの管轄かんかつ地域ちいきで活動かつどうするのを許ゆるしたばかりか、略奪りゃくだつを助たすけさえした[8]。バルト海ばるとかい交易こうえきやニシン漁りょう産業さんぎょうは、彼かれらの活動かつどうによって事実じじつ上じょう崩壊ほうかいした。マルグレーテ1世せいはイングランド王おうリチャード2世せいに助たすけを乞こい、海賊かいぞくと戦たたかうよう求もとめすらした。しかし1395年ねん以降いこう、マルグレーテ1世せいは政治せいじ的てきに優位ゆういに立たち始はじめた。彼女かのじょはデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3王国おうこくを連合れんごうさせてカルマル同盟どうめいを結成けっせいした。この巨大きょだい勢力せいりょくの出現しゅつげんを前まえにして、ハンザ同盟どうめいはマルグレーテ1世せいに協力きょうりょくせざるを得えなくなり、これが彼かれら自身じしんの没落ぼつらくの予兆よちょうともなった。一方いっぽうで、アルブレクトはゴットランドを誓約せいやく地ち（レーエンに近ちかい扱あつかい）とすることをドイツ騎士きし団だんに認みとめ、同盟どうめいを結むすんだ。1398年ねん、総長そうちょうコンラート・フォン・ユンキンゲン率ひきいるドイツ騎士きし団だんがゴットランドに侵攻しんこう、征服せいふくした。ヴィスビューは破壊はかいされ、フィタリエンブリューダーは島しまを追おい出だされた[9][10]。

その後ごのフィタリエンブリューダーとリケデーラー[編集へんしゅう]

1401年ねんのシュテルテベーカーの処刑しょけい。1701年ねんのニコラウス・サウアーの濃淡のうたん木版もくはん画が (Hamburger Staatsarchiv)

フィタリエンブリューダーが敗やぶれてゴットランドを出でて行いった後のち、ハンザ同盟どうめいは何なん度どもバルト海ばるとかいの海上かいじょう覇権はけんを握にぎろうとしたが、失敗しっぱいした。というのも、まだフィタリエンブリューダーの残党ざんとうが各かく海域かいいきに残のこっていたからである。彼かれらはボスニア湾わん、フィンランド湾わん、ゴットランドを追おわれると、エムス川がわ河口かこうのシュライ湾わんやフリースラントの各地かくちに拠点きょてんを移うつした。フィタリエンブリューダーの後継こうけい者しゃたちは、リケデーラー（ドイツ語ご: Likedeeler、「平等びょうどうな分配ぶんぱい者しゃ」の意い）を名乗なのった。彼かれらは戦利せんり品ひんを沿岸えんがん地域ちいきの貧者ひんじゃに分わけ与あたえたのである。リケデーラーは北海ほっかいや大西おおにし洋ひろし沿岸えんがんにまで活動かつどう範囲はんいを広ひろげ、ブラバントやフランス、さらにはスペインまで南下なんかして沿岸えんがんを襲撃しゅうげきした。

フィタリエンブリューダーあるいはリケデーラーの指導しどう者しゃとしては、クラウス・シュテルテベーカーが名高なだかい。彼かれは1394年ねんごろにフィタリエンブリューダーとして歴史れきし上じょうに現あらわれる[11]。シュテルテベーカー（Störtebeker）は低地ていちドイツ語ごで「ビーカー一いち杯はいを飲のみ干ほす者もの」を意味いみする。この名なは、彼かれがビーカー（壺つぼ）を口くちから離はなさず4リットルものビールを飲のみほしたという逸話いつわに由来ゆらいしているあだ名なだとされている。ただ、この名なは単たんにヴィスマール出身しゅっしんの生うまれ持もった姓せいである可能かのう性せいもある。1401年ねん、シモン・ファン・ユトレヒトと戦艦せんかんブンテ・クー号ごう率ひきいるハンブルクの小しょう艦隊かんたいが、ヘルゴラント島とう付近ふきんでシュテルテベーカー艦隊かんたいを捕捉ほそくした。3日間にちかんにわたる絶たえ間まない戦闘せんとうの末すえ、シュテルテベーカーと彼かれの部下ぶかたちは敗やぶれて捕とらえられ、処刑しょけいされた[12]。

しかしその後ごも、リケデーラーの沿岸えんがん襲撃しゅうげきは続つづいた。シュテルテベーカーの処刑しょけいから実じつに28年ねん後ごである1429年ねんには、重要じゅうような貿易ぼうえき港みなとであるベルゲンをフィタリエンブリューダーの一団いちだんが襲撃しゅうげきして略奪りゃくだつし、最終さいしゅう的てきに焼やき払はらった。北海ほっかいやバルト海ばるとかいの海上かいじょう交易こうえきは、1440年ねんごろまでリケデーラーの脅威きょういにさらされ続つづけた。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 谷澤たにさわ毅あつし『北欧ほくおう商業しょうぎょう史しの研究けんきゅう : 世界せかい経済けいざいの形成けいせいとハンザ商業しょうぎょう』 早稲田大学わせだだいがく〈博士はかせ(経済けいざい学がく) 乙おつ第だい2290号ごう〉、2010年ねん、65頁ぺーじ。hdl:2065/36571。NAID 500000543121。https://hdl.handle.net/2065/36571。2023年ねん6月がつ12日にち閲覧えつらん。 
  2. ^ “ハンザ 12-17世紀せいき LA HANSE”. みすず書房しょぼう. 2020年ねん10月がつ24日にち閲覧えつらん。
  3. ^ Duden Aussprachewörterbuch (Duden Band 6), Auflage 6, ISBN 978-3-411-04066-7
  4. ^ Piraten in Norddeutschland (Birgit Bachmann und Stefan R. Müller) Archived 2013-02-10 at Archive.is
  5. ^ Helge Salvesen: vitaliebrødrene (Store norske leksikon)
  6. ^ Halvard Bjørkvik: Margrete Valdemarsdatter, Dronning (Norsk biografisk leksikon)
  7. ^ Vitalianer (Andra Upplagan, 1921. Nordisk familjebok
  8. ^ Janne Harjula, Sonja Hukantaival, Visa Immonen, Tanja Ratilainen & Kirsi Salonen (2018) (フィンランド語ご). Koroinen - Suomen ensimmäinen kirkollinen keskus. Turun historiallinen yhdistys. p. 17 
  9. ^ Die Vitalienbrüder (Stoertebeker) Archived 2005-02-04 at the Wayback Machine.
  10. ^ Konrad von Jungingen (Neue Deutsche Biographie)
  11. ^ Meier, 150.
  12. ^ Germany's most famous pirate (Gudrun Stegen: Deutsche Welle)

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  • Lornsen, Boy (2005) (German). Klaus Störtebeker: Gottes Freund und aller Welt Feind. Hamburg: Carlsen Verlag GmbH. ISBN 978-3-551-35447-1 
  • Meier, Dirk; McGeoch, Angus (translator) (2006). Seafarers, Merchants and Pirates in the Middle Ages. Boydell Press. ISBN 978-1-843-83237-9 
  • Puhle, Matthias (1992) (German). Die Vitalienbrüder: Klaus Störtebeker und die Seeräuber der Hansezeit. Frankfurt/Main: Campus Verlag. ISBN 978-3-593-34525-3 
  • Wiechmann, Ralf; Bräuer, Günter; Püschel, Klaus (2003) (German). Klaus Störtebeker: ein Mythos wird entschlüsselt. München: Fink Wilhelm GmbH + Co.KG. ISBN 978-3-770-53837-9 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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