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フィル・ヴォルグ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

フィル・ヴォルグ、あるいはフィル・ボルグあい: Fir Bolg)はアイルランド伝説でんせつじょう民族みんぞくである。 広義こうぎではかれらとどう時期じきにアイルランドに入植にゅうしょくしたフィル・ドーナン英語えいごばんやゲーリオンじん(Gáilióin)(「あらし[1])もふくめてフィル・ヴォルグとしょうする[2]

概要がいよう

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アイルランド来寇らいこうしょにおいて、フィル・ヴォルグはアイルランドに入植にゅうしょくしたよん番目ばんめ[3]民族みんぞくとしてしるされている。フィル・ヴォルグと番目ばんめ民族みんぞくトゥアハ・デ・ダナーン双方そうほうともさん番目ばんめ民族みんぞくである「ネウェド英語えいごばん従者じゅうしゃたち」の子孫しそんにあたり、おな言葉ことば使用しようしたとされる。ネウェドと従者じゅうしゃたちは疫病えきびょうによりおおきく人数にんずうらしたのちフォモールぞくから重税じゅうぜいいられた。そのためかれらのだい部分ぶぶんはアイルランドをのちにした。

このうちのギリシアにかったものたちこうのフィル・ヴォルグとなり、「世界せかいきた」へかったものたちこうトゥアハ・デ・ダナーンとなる。

かれらはアイルランドへ入植にゅうしょくフォモールぞく婚姻こんいん関係かんけいむすび、こうフォモールのおうとなるインジッヒ(Indich mac de domnann)もまれる[1]かれらは地域ちいきを5つにけ、東部とうぶのレンスター、西部せいぶコナハト、南部なんぶのマンスターと北部ほくぶのアルスター、東中央ひがしちゅうおうのミ―ス[4]制定せいていした。いつつの地域ちいきはクイギュー(Coigedh 直訳ちょくやくすると「5ぶんの1」)とばれた[5]かれらは、その入植にゅうしょくしたトゥアハ・デ・ダナーンとは、言語げんごほか戦争せんそうかんするルールもおなじであったため、当初とうしょ「エリンのしま半分はんぶんずつにたがいにわかれてらそう」という友好ゆうこう関係かんけいつものの、たがいの人口じんこう増加ぞうかにより戦争せんそうとなる。

ドゥーン・エンガス

そのようにしておこなわれただいいちマグ・トゥレドのたたかでトゥアハ・デ・ダナーンに敗北はいぼくしたのちアラン諸島しょとうへと敗走はいそうする。伝説でんせつではアラン諸島しょとうにあるイニシュモアとう英語えいごばんドゥーン・エンガス英語えいごばん[6]かれらがつくった城塞じょうさいとされる。 伝承でんしょうによってはコナハトゆうすることをゆるされた[7]

 かれらは伝承でんしょうなかで、アイルランドの最初さいしょ妖精ようせいとなったが、それは巨人きょじんごときグロテスクな存在そんざいであったという[8]。また、巨人きょじんとしてかたられたのちには、身長しんちょう90cmで、あかいチェックやプレードのふくる 農民のうみんのようなかたちわれるようになり、るいやラース(円形えんけいとりで)にみ、人間にんげん交配こうはいができるが、高齢こうれいした一族いちぞく人間にんげん子供こども交換こうかんする、チェンジリングおこなうとかたられる[9]

 キャサリン・ブリッグズは、金髪きんぱつ碧眼へきがん巨大きょだいであったトゥアハ・デ・ダナーンとたたかやぶ征服せいふくみんとなるかれらを、ギリシャ神話しんわ登場とうじょうする、オリュンポスかみ々とたたかやぶれる巨人きょじんティターン関係かんけいしうるとしている[8]

呼称こしょう

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「フィル・ヴォルグ」(Fir Bholg あるいはFirbolgs)の呼称こしょう資料しりょうによって、「かわひと[10]」、「かわぶくろみん[1]」、「沼地ぬまちひと[9]」と説明せつめいされるほか、フィルはゲール英語えいごの"men"にあたるかたりであり、ヴォルグはかれらの崇拝すうはいするかみビルグ(Builg)[7]湿地しっち[11]かみなり[12]など諸説しょせつがある。

またかれらはコルカ・オイドカ(やみひと)コルカ・ドゥイブナ(よるひと)ともわれる[13]

歴史れきし

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フィル・ヴォルグは完全かんぜん伝説でんせつじょう民族みんぞくではなく、現実げんじつ歴史れきし一部いちぶ伝説でんせつへと反映はんえいされた存在そんざいである。広義こうぎのフィル・ヴォルグのなか一部いちぶぞくであるゲーリオンじんは「レンスター」の語源ごげんであるリーインぞく英語えいごばんすとかんがえられている。また、フィル・ヴォルグのなか一部いちぶぞくフィル・ドーナンはブリテンのドゥムノニぞく英語えいごばん関係かんけいがある[14]。ヤン・ブレキリアンはフィル・ヴォルグを「ベルギーひと」と、フィル・ゲーリオンを「ガリアじん」とし[15]、フランク・ディレイニーは「フィル・ヴォルグ」と呼称こしょう大陸たいりくケルトじんたる「ベルガエじん」との関連かんれん示唆しさしている[16]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c けん 2004, p. 216.
  2. ^ "[the Gaileoin, the Fir Bolg and the Fir Domnann] are all called Fir Bolg, ..." (Macalister 1941, pp. 9, 17)[1][2]
    「そして[フィル・ボルグぞくの3つのグループのうちの1つである] 厳密げんみつ意味いみでのフィル・ボルグぞくはアルスター[中略ちゅうりゃく]に上陸じょうりくした.」(リース 2001)
  3. ^ ケスィル英語えいごばんらをいち番目ばんめとした場合ばあい彼女かのじょらを勘定かんじょうれるかどうかには異論いろんがある(リース 2001, p. 637)。
  4. ^ ディレイニー 2000, p. 42.
  5. ^ マッカーナ 1991, p. 111.
  6. ^ 北緯ほくい5307ふん32びょう 西経せいけい946ふん01びょう / 北緯ほくい53.125553 西経せいけい9.766847 / 53.125553; -9.766847 (Dún Aonghasa)
  7. ^ a b グリーン 1997, p. 29.
  8. ^ a b ブリッグズ 1990, p. 292.
  9. ^ a b フランクリン 2004, p. 392.
  10. ^ 井村いむら 1990, p. 61.
  11. ^ デイヴィス 2006, p. 115.
  12. ^ 丸山まるやま 2016, p. 69.
  13. ^ ローズ 2003, p. 328.
  14. ^ マッカーナ 1991, p. 112.
  15. ^ ブレキリアン 1998, p. 207.
  16. ^ ディレイニー 2000, p. 38.

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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