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テリパラチド

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
（フォルテオから転送てんそう）
テリパラチド
臨床りんしょうデータ
販売はんばい名めい Forteo
Drugs.com monograph
胎児たいじ危険きけん度ど分類ぶんるい
  • C
法的ほうてき規制きせい
投与とうよ経路けいろ SubQ
薬物やくぶつ動態どうたいデータ
生物せいぶつ学がく的てき利用りよう能のう95%
代謝たいしゃHepatic (nonspecific proteolysis)
半減はんげん期きSubQ: 1 hour
排泄はいせつRenal (metabolites)
識別しきべつ
CAS番号ばんごう
 52232-67-4 チェック
ATCコード H05AA02 (WHO)
PubChem CID: 16133850
DrugBank DB06285 チェック
UNII 10T9CSU89I チェック
KEGG D06078  チェック
化学かがく的てきデータ
化学かがく式しきC181H291N55O51S2
分子ぶんし量りょう4117.72 g/mol
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テリパラチド（Teriparatide）は遺伝子いでんし組くみ換かえパラトルモンである。 効果こうか的てきな骨ほね同化どうか（骨ほね成長せいちょう）剤ざいであり[1]骨粗鬆症こつそしょうしょうの治療ちりょうに用もちいられる[2]。適応てきおう外がい使用しようで骨折こっせつの治癒ちゆ促進そくしんに用もちいられる場合ばあいもある。商品しょうひん名めいフォルテオ、テリボン。テリパラチドはヒトパラトルモン（PTH）のN末端まったんから34個このアミノ酸あみのさんを切きり出だした[3]ポリペプチドであり、間歇かんけつ的てき投与とうよにより破やぶ骨ほね細胞さいぼうよりも骨ほね芽め細胞さいぼうを活性かっせい化かさせ、その結果けっか骨ほね量りょうを増加ぞうかさせる。

効能こうのう・効果こうか

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テリパラチドは、骨折こっせつのリスクを複数ふくすう有ゆうし他ほかの治療ちりょう法ほうに不ふ忍しのぶ容ひろしな閉経へいけい後ご女性じょせいに投与とうよできる唯一ゆいいつの骨ほね同化どうか剤ざい[1]である[4]。米国べいこくでは2002年ねん11月に承認しょうにんされた[5]。日本にっぽんでは2010年ねん7月がつに承認しょうにんされた[3]。骨ほね成長せいちょうの効果こうかを持もち、脊椎せきついの骨ほね密度みつどを1年間ねんかんで8%増加ぞうかさせ[6]、脆弱ぜいじゃく性せい骨折こっせつの危険きけん性せいを減少げんしょうさせた[5][7]。日本にっぽんでの効能こうのう・効果こうかは「骨折こっせつの危険きけん性せいの高たかい骨粗鬆症こつそしょうしょう」である[8][9]。骨粗鬆症こつそしょうしょう治療ちりょう薬やくとして概おおむね安全あんぜんであるが、頭痛ずつう、嘔気、眩暈げんうん、四肢しし疼痛とうつう等とうが起おこることがある[5]。

椎しい体たい骨折こっせつ歴れきのある閉経へいけい後ご女性じょせいを対象たいしょうとしたテリパラチド20µg/日にち、40µg/日にち、偽薬ぎやくの3群ぐん比較ひかく無作為むさくい化か臨床りんしょう試験しけんが実施じっしされた。投与とうよ開始かいし約やく19ヶ月かげつ後ご、偽薬ぎやくを投与とうよされた女性じょせいの14%で新あらたな椎しい体たい骨折こっせつが発生はっせいした一方いっぽう、20µg/日にち群ぐんでは5%、40µg/日にち群ぐんでは4%であった。椎骨ついこつ以外いがいの骨折こっせつもテリパラチド投与とうよ群ぐんでは統計とうけい学がく的てきに有意ゆういに低率ていりつであった。20µg/日にち群ぐんでは脊椎せきついおよび寛ひろし骨こつの骨ほね塩しお密度みつどが上昇じょうしょうした[4]。

テリパラチドは男性だんせいの原発げんぱつ性せい骨粗鬆症こつそしょうしょうおよび性腺せいせん機能きのう不全ふぜん性せい骨粗鬆症こつそしょうしょうで骨折こっせつリスクの高たかい患者かんじゃや他たの治療ちりょう法ほうが無効むこうまたは不ふ忍しのぶ容ひろしな男性だんせい患者かんじゃにも使用しようされる。

テリパラチドは糖とう質しつコルチコイド継続けいぞく投与とうよによる骨粗鬆症こつそしょうしょうについても男女だんじょとも使用しようされる。

テリパラチドは骨肉こつにく腫しゅによる骨折こっせつリスク増加ぞうかには使用しようすべきでない。骨ほねページェット病びょうである場合ばあいや血ち中ちゅうアルカリホスファターゼが上昇じょうしょうしている場合ばあい、骨ほね端はし（英語えいご版ばん）が開ひらいている場合ばあい、骨ほねへの放射線ほうしゃせん療法りょうほう後ごも同様どうように使用しようすべきでない。

その他たの疾患しっかんへの適用てきよう

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テリパラチドは適応てきおう外がい使用しようとして骨折こっせつ治癒ちゆの促進そくしんや骨折こっせつ後ごの偽にせ関節かんせつの治療ちりょうにも用もちいられる[10]、偽にせ関節かんせつ治療ちりょうに成功せいこうした症例しょうれいが報告ほうこくされている[11]。一般いっぱんにHIPAA（英語えいご版ばん）により、米国べいこく人じんの運動うんどう選手せんしゅが骨折こっせつ治療ちりょうでこの治療ちりょう法ほうを受うけても公表こうひょうされない[10]が、イタリア人じんサッカー選手せんしゅフランチェスコ・トッティが脛骨けいこつ・腓骨ひこつ骨折こっせつ後ごにこの治療ちりょうを受うけ、2006 FIFAワールドカップに出場しゅつじょうできた事ことは報道ほうどうされた[10]。野球やきゅう選手せんしゅのマーク・マルダーが寛ひろし骨こつを骨折こっせつした際さい[12]やアメリカンフットボール選手せんしゅのテレル・オーウェンスが踝くるぶしを骨折こっせつした際さい[12]にもこの治療ちりょうが実施じっしされた。

用法ようほう・用量ようりょう

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  • テリボンは週しゅう1回かいの皮下ひか注射ちゅうしゃ[1][13][8][9]。脂肪しぼう組織そしきの薄うすい部位ぶいに注射ちゅうしゃすると、血ち中ちゅうパラトルモン濃度のうどの急上昇きゅうじょうしょうを原因げんいんとする悪心あくしんや気分きぶん不良ふりょうが出現しゅつげんしやすいので、なるべく脂肪しぼう組織そしきの多おおい上腕じょうわん背せ側がわや臀部でんぶ、腹部ふくぶに注射ちゅうしゃするように推奨すいしょうされている。日本にっぽん国内こくないでは2017年ねん5月がつ18日にち、投与とうよ期間きかんの上限じょうげんを当初とうしょの72週間しゅうかんから24ヵ月かげつ間あいだに延長えんちょうする承認しょうにん事項じこう一部いちぶ変更へんこう承認しょうにんを取得しゅとくした。
  • フォルテオは、連日れんじつ皮下ひか注射ちゅうしゃで、在宅ざいたく自己じこ注射ちゅうしゃとなり、在宅ざいたく自己じこ注射ちゅうしゃ指導しどう管理かんり料りょう（C101）と注射ちゅうしゃ針はり加算かさん（C153）の算定さんてい対象たいしょうとなる。インスリンと同おなじ皮下ひか注射ちゅうしゃキットで市販しはんされる。1回かいあたりの投与とうよ量りょうが少すくないのでテリボンのような副作用ふくさようが比較的ひかくてき少すくない反面はんめん、手技しゅぎ的てきな問題もんだいと費用ひよう的てきな問題もんだいが存在そんざいする。24か月げつ間あいだの投与とうよ制限せいげんがある。

副作用ふくさよう

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重大じゅうだいな副作用ふくさようには、ショック、アナフィラキシーがある（0.3%）。また理論りろん的てきには骨肉こつにく腫しゅのリスクがありラットでも観察かんさつされているが、ヒトでは確認かくにんされていない[1]。ラットではヒトと異ことなり生涯しょうがいにわたり骨ほね成長せいちょうが続つづく事ことが一因いちいんであると考かんがえられる[1]。腫瘍しゅようは投与とうよ開始かいし後ごに成長せいちょうした骨ほねの端はしで見付みつかっている[14]。販売はんばい開始かいし後ご9年ねんで骨肉こつにく腫しゅの発生はっせいが2例れい報告ほうこくされた[6]。このリスクはFDAにより「極きわめて稀まれ」（10万まん人にんに1人ひとり）と判定はんていされた。60歳さい以上いじょうの場合ばあいはその確かく率りつはさらに低ひくい（10万まん人にんに0.4人にん）とされる[5]。

作用さよう機き序じょ

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テリパラチドはヒトパラトルモン（PTH）（84のアミノ酸あみのさんから成なる）の1〜34番ばんアミノ酸あみのさんを切きり出だしたペプチドである。内因ないいん性せいのPTHは骨ほねならびに腎じんでのカルシウムおよびリン酸さん代謝たいしゃを司つかさどっている。PTHは血ち中ちゅうカルシウムを増加ぞうかさせるが、この際さいに骨ほね吸収きゅうしゅうが増加ぞうかするため、長期ちょうき的てきにはPTHの増加ぞうかは骨ほね量りょうを激減げきげんさせる。しかし、間歇かんけつ的てきなPTH投与とうよは破やぶ骨ほね細胞さいぼうよりも造みやつこ骨こつ細胞さいぼうを活性かっせい化かさせる。従したがって、テリパラチドの1日にち1回かい投与とうよは実質じっしつ的てきに骨ほね形成けいせいを促進そくしんし、骨ほね密度みつどを増加ぞうかさせる[15][16][17]。

テリパラチドは骨粗鬆症こつそしょうしょう治療ちりょう薬やくとしてFDAに初はじめて承認しょうにんされた医薬品いやくひんである[18]。

デノスマブとの併用へいよう療法りょうほう

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テリパラチドとデノスマブを併用へいようすると、単たん剤ざいの場合ばあいよりも、既すんで承認しょうにんの治療ちりょう法ほうよりも、骨ほね塩しお密度みつど（BMD）が増加ぞうかする。従したがって併用へいよう療法りょうほうは恐おそらく骨折こっせつリスクの高たかい患者かんじゃに有用ゆうようであると思おもわれる[19]。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e Riek AE and Towler DA (2011). “The pharmacological management of osteoporosis”. Missouri Medicine 108 (2): 118–23. PMC 3597219. PMID 21568234. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3597219/. 
  2. ^ Saag KG, Shane E, Boonen S, et al. (November 2007). “Teriparatide or alendronate in glucocorticoid-induced osteoporosis”. The New England Journal of Medicine 357 (20): 2028–39. doi:10.1056/NEJMoa071408. PMID 18003959. http://content.nejm.org/cgi/pmidlookup?view=short&pmid=18003959&promo=ONFLNS19. 
  3. ^ a b “フォルテオ皮下ひか注ちゅう：自己じこ注射ちゅうしゃ可能かのうな1日にち1回かい投与とうよの骨粗鬆症こつそしょうしょう治療ちりょう薬やく”. 日経にっけいメディカル (2010年ねん9月がつ16日にち). 2015年ねん8月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  4. ^ a b Estébanez, P.; Sarasqueta, C.; Nájera, R.; Contreras, G.; Pérez, L.; Fitch, K.; Vicente, A. (1992). “Prevalence of HIV-1, HIV-2, and HTLV-I/II in Spanish seamen”. Journal of acquired immune deficiency syndromes 5 (3): 316–317. doi:10.1097/00126334-199203000-00015. PMID 1346808. 
  5. ^ a b c d Rizzoli, R.; Reginster, J. Y.; Boonen, S.; Bréart, G. R.; Diez-Perez, A.; Felsenberg, D.; Kaufman, J. M.; Kanis, J. A. et al. (2011). “Adverse Reactions and Drug–Drug Interactions in the Management of Women with Postmenopausal Osteoporosis”. Calcified Tissue International 89 (2): 91–104. doi:10.1007/s00223-011-9499-8. PMC 3135835. PMID 21637997. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3135835/. 
  6. ^ a b Kawai, M.; Mödder, U. I.; Khosla, S.; Rosen, C. J. (2011). “Emerging therapeutic opportunities for skeletal restoration”. Nature Reviews Drug Discovery 10 (2): 141–156. doi:10.1038/nrd3299. PMC 3135105. PMID 21283108. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3135105/. 
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  8. ^ a b “テリボン皮下ひか注ちゅう用よう56.5µg 添付てんぷ文書ぶんしょ” (2015年ねん11月). 2016年ねん7月がつ1日にち閲覧えつらん。
  9. ^ a b “フォルテオ皮下ひか注ちゅうキット600µg 添付てんぷ文書ぶんしょ” (2014年ねん7月がつ). 2015年ねん8月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  10. ^ a b c Bruce Jancin (2011年ねん12月12日にち). “Accelerating Fracture Healing With Teriparatide”. Internal Medicine News Digital Network. http://www.internalmedicinenews.com/index.php?id=2049&type=98&tx_ttnews%5btt_news%5d=93933&cHash=da03e20e36 2013年ねん9月がつ20日はつか閲覧えつらん。 
  11. ^ Giannotti, S.; Bottai, V.; Dell’Osso, G.; Pini, E.; De Paola, G.; Bugelli, G.; Guido, G. (2013). “Current medical treatment strategies concerning fracture healing”. Clinical cases in mineral and bone metabolism : the official journal of the Italian Society of Osteoporosis, Mineral Metabolism, and Skeletal Diseases 10 (2): 116–120. PMC 3796998. PMID 24133528. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3796998/. 
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  13. ^ Estébanez, P.; Sarasqueta, C.; Nájera, R.; Contreras, G.; Pérez, L.; Fitch, K.; Vicente, A. (1992). “Prevalence of HIV-1, HIV-2, and HTLV-I/II in Spanish seamen”. Journal of acquired immune deficiency syndromes 5 (3): 316–317. doi:10.1097/00126334-199203000-00015. PMID 1346808. 
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  18. ^ Fortéo: teriparatide (rDNA origin) injection
  19. ^ Joy N Tsai, Alexander V Uihlein, Hang Lee, Ruchit Kumbhani, Erica Siwila-Sackman, Elizabeth A McKay, Sherri-Ann M Burnett-Bowie, Robert M Neer, Benjamin Z Leder (15 May 2013). “Teriparatide and denosumab, alone or combined, in women with postmenopausal osteoporosis: the DATA study randomised trial.”. The Lancet 382 (9886): 50-6. doi:10.1016/S0140-6736(13)60856-9. PMID 23683600. http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2813%2960856-9/abstract. 

外部がいぶリンク

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