ヘルマン・エンデ

ヘルマン・グスタフ・ルイ・エンデ（Hermann Gustav Louis Ende、1829年ねん3月4日にち - 1907年ねん8月がつ10日とおか）は、ドイツ（プロイセン王国おうこく）の建築けんちく家か。明治めいじ政府せいふのお雇やとい外国がいこく人じん。

ベルリンの建設けんせつ学校がっこうベルリン・バウアカデミー建築けんちく学校がっこう教授きょうじゅとして後進こうしんを指導しどうした（後のちに学長がくちょう）。1860年ねんに後輩こうはいのヴィルヘルム・ベックマンとともに建築けんちく設計せっけい事務所じむしょを開設かいせつ。ネオバロック様式ようしきの作品さくひんを遺のこした。

経歴けいれき

父ちちカールゴットフリートはランツベルク・アン・デア・ヴァルテで本屋ほんやを経営けいえい。また美術びじゅつ愛好あいこう家かであったという。

1837年ねん、8歳さいのとき、一家いっかでベルリンに引ひっ越こし、エンデはドロテーエンシュタット市立しりつ学校がっこうに進学しんがくする。1841年ねんから1846年ねんまでは、ベルリンのケルン・ギムナジウムで学まなぶ。その後ご、医学いがくを志こころざそうとしていたが教育きょういく費用ひようがかかるため、また製図せいず能力のうりょくを生いかすため、1867年ねんにポツダムの測量そくりょう学校がっこうに進学しんがく。1848年ねんにプロイセン建築けんちく局きょく測量そくりょう士しに認定にんていされ、1849年ねんまでポツダムの測量そくりょう業務ぎょうむに従事じゅうじ。1850年ねんからはポツダム市し建築けんちく監かんユリウス・マンガーのもとで建築けんちく業務ぎょうむに従事じゅうじし、ミヒャエル教会きょうかいの建設けんせつに携たずさわる。 1851年ねん、ベルリン・バウアカデミーに進学しんがくする。途中とちゅう1853年ねんから1年間ねんかん兵役へいえき。1852年ねん、建築けんちく家か協会きょうかいに入会にゅうかい。1855年ねん、試験しけんに合格ごうかくし建築けんちく監督かんとくの資格しかくを取得しゅとく。また成績せいせき優秀ゆうしゅうのため旅行りょこう奨学しょうがく金きんを受給じゅきゅうしたほか、再度さいどアカデミーで教育きょういくを受うける。この間あいだバウアカデミー教授きょうじゅフェルディナント・フォン・アルニムのもとで設計せっけいの補佐ほさを務つとめる。 1856年ねん、ナウムブルク近郊きんこうのプフォルタ学院がくいんで農のう学校がっこうの建設けんせつに従事じゅうじ。 1857年ねん、のちのパートナー、ヴィルヘルム・ベックマンと国外こくがい旅行りょこうを共ともにする。イタリア滞在たいざい中ちゅうにローマのドイツ芸術げいじゅつ家か協会きょうかいに入会にゅうかい。

1858年ねんに優等ゆうとう国こく賞しょうを受賞じゅしょう。1859年ねん、バウマイスター試験しけんを受験じゅけんし、同年どうねん資格しかく取得しゅとく。ベルリン美術びじゅつアカデミー主催しゅさい設計せっけい競技きょうぎにも入選にゅうせんし賞金しょうきんを得える。その後ご帝国ていこく宰相さいしょう官邸かんていの改築かいちくに従事じゅうじ。

1860年ねん、商務しょうむ大臣だいじんを務つとめていたアウグスト・フォン・デア・ハイトのためにフォン・デア・ハイト邸ていを設計せっけい（現げんドイツ・プロイセン文化ぶんか財団ざいだん事務じむ総局そうきょく）。

フォン・デア・ハイト邸てい

また同年どうねん、ベックマンと協きょう働はたらけで建築けんちく設計せっけい事務所じむしょを開設かいせつ。1864年ねん、自邸じていを手てがける。 1866年ねんには一時いちじバウアカデミーの助手じょしゅを務つとめる。

1874年ねん、プロイセン美術びじゅつアカデミー会員かいいん。1876年ねん、美術びじゅつアカデミー評議ひょうぎ員いん。

1878年ねん、バウアカデミー教授きょうじゅ就任しゅうにん。プロイセン技術ぎじゅつ建築けんちく局きょく役員やくいん。 1881年ねんにシャルロッテンブルク工科こうか大学だいがく建築けんちく学科がっか教授きょうじゅ。途中とちゅう建築けんちく学科がっか評議ひょうぎ員いん。

1882年ねん、美術びじゅつアカデミー副ふく学長がくちょう。1883年ねん、プロイセン技術ぎじゅつ建築けんちく局きょく建設けんせつ並なみ建築けんちくアカデミー建築けんちく部長ぶちょう。1886年ねんからは工科こうか大学だいがくのほか美術びじゅつアカデミーでも講義こうぎをもち教師きょうし兼務けんむ。さらにこの年とし開設かいせつのマイスターアトリエ建築けんちくコースの教授きょうじゅに就任しゅうにん。1895年ねん、美術びじゅつアカデミー学長がくちょう。 1896年ねんには建築けんちく設計せっけい事務所じむしょを閉とじる。1897年ねんには工科こうか大学だいがく教授きょうじゅを退官たいかん。 1907年ねん、永眠えいみん。遺言ゆいごんにより基金ききんが設立せつりつされ、工科こうか大学だいがく学生がくせいに奨学しょうがく金きん支給しきゅうがなされる。

官庁かんちょう集中しゅうちゅう計画けいかく

日本にっぽんの外務がいむ大臣だいじん井上いのうえ馨かおるは、西洋せいよう式しきの建築けんちくによる首都しゅと計画けいかく（官庁かんちょう集中しゅうちゅう計画けいかく）により近代きんだい国家こっかとしての体制たいせいを整ととのえようとしており、1887年ねん、エンデ＝ベックマン事務所じむしょと日本にっぽん政府せいふは契約けいやくを結むすんだ。ベックマン、エンデ、所員しょいんのヘルマン・ムテジウス、リヒャルト・ゼール、カルロス・チーゼ技師ぎし（煉瓦れんが製造せいぞう）、ブリーグレップ博士はかせ（セメント製造せいぞう）、ジェームス・ホープレヒト（ベルリン都市とし計画けいかくの父ちちと呼よばれる）ら総勢そうぜい12名めいが来日らいにちし、計画けいかくに関かかわった。

まずベックマンらが来日らいにちし、都市とし計画けいかくなどの案あんを作成さくせいした。当初とうしょの計画けいかく（ベックマン案あん）では日比谷ひびや・霞ヶ関かすみがせき付近ふきんに議事堂ぎじどう、中央ちゅうおう官庁かんちょうなどを集中しゅうちゅうして建築けんちくする壮大そうだいな都市とし計画けいかく案あんであったが、後のちに縮小しゅくしょうされた。

エンデはベルリンで作成さくせいした設計せっけい図ずを持もって、翌よく1887年ねんに来日らいにちした。奈良ならや京都きょうとなどの社寺しゃじも見学けんがくして、同年どうねん帰国きこくした。（その後ご、日本にっぽんの古こ建築けんちくのデザインを採とり入いれた和洋折衷わようせっちゅう様式ようしきの議事堂ぎじどう計画けいかく案あんなども作成さくせいしたが、採用さいようされなかった）

旧きゅう司法省しほうしょう庁舎ちょうしゃ

エンデの帰国きこく後ごまもなく、井上いのうえが条約じょうやく改正かいせいの失敗しっぱいにより失脚しっきゃくしたことで官庁かんちょう集中しゅうちゅう計画けいかくは破棄はきされた。議事堂ぎじどう・司法省しほうしょう・裁判所さいばんしょの3棟むねについては設計せっけいが続つづけられたが、結局けっきょく、1890年ねんにはエンデ＝ベックマンに契約けいやく解除かいじょが通告つうこくされた。後のちにエンデ＝ベックマン設計せっけいの司法省しほうしょう、裁判所さいばんしょだけが実現じつげんした。

日本にっぽんの作品さくひん

• 旧きゅう司法省しほうしょう庁舎ちょうしゃ（現存げんそん）
• 大審院だいしんいん庁舎ちょうしゃ（取と壊）

参考さんこう文献ぶんけん

• 建築けんちく史学しがく第だい7号ごう1986年ねん9月がつ号ごう　ベックマン「日本にっぽん旅行りょこう記き」について
• 日本にっぽんの建築けんちく明治めいじ大正たいしょう昭和しょうわ　4議事堂ぎじどうへの系譜けいふ　三省堂さんせいどう　1981年ねん
• 首都しゅと計画けいかくの政治せいじ-形成けいせい期き明治めいじ国家こっかの実像じつぞう　御厨みくりや貴たか　山川やまかわ出版しゅっぱん社しゃ　1984年ねん
• お雇やとい外国がいこく人じん15　建築けんちく・土木どぼく　村松むらまつ貞次郎ていじろう　鹿島かしま出版しゅっぱん会かい　1976年ねん
• 明治めいじ工業こうぎょう史し・建築けんちく篇へん　日本にっぽん工こう学会がっかい編集へんしゅう　
• 明治めいじの建築けんちく　建築けんちく百ひゃく年ねんのあゆみ　桐きり敷じき真ま次郎じろう　日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ　1968年ねん
• 日本にっぽんの近代きんだい建築けんちくその成立せいりつ過程かてい（上うえ）　稲垣いながき栄三えいざ　鹿島かしま出版しゅっぱん会かい　1979年ねん　

関連かんれん項目こうもく

• お雇やとい外国がいこく人じん