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総統そうとう官邸かんてい

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総統そうとう官邸かんてい
首相しゅしょう官邸かんてい
Reichskanzlei
260px
総統そうとう官邸かんてい
地図
概要がいよう
住所じゅうしょ ヴィルヘルムがい77番地ばんち
自治体じちたい ベルリン-ミッテ
くに ナチス・ドイツの旗 ドイツこく
座標ざひょう 北緯ほくい5230ふん42びょう 東経とうけい1322ふん55びょう / 北緯ほくい52.51167 東経とうけい13.38194 / 52.51167; 13.38194
完成かんせい 1939ねん
改築かいちく 1939ねん
倒壊とうかい 1945ねん
設計せっけい建設けんせつ
建築けんちく Carl Friedrich Richter
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総統そうとう官邸かんてい(そうとうかんてい)、または首相しゅしょう官邸かんてい(しゅしょうかんてい)(どく: Reichskanzleiえい: Reich Chancellery)は、ベルリン中央ちゅうおう省庁しょうちょうならヴィルヘルムがいドイツばんもうけられていた、ドイツ帝国ていこく以降いこうドイツこく首相しゅしょう官邸かんていとして使用しようした建物たてものナチス・ドイツ総統そうとうアドルフ・ヒトラー官邸かんていとして使用しようしたため、以降いこうは「総統そうとう官邸かんてい」と邦訳ほうやくされる。

現在げんざい総統そうとう官邸かんていといわれるものは、ヴィルヘルムがい77番地ばんちにあった首相しゅしょう官邸かんてい本館ほんかん、78番地ばんちにあった官邸かんてい拡張かくちょう部分ぶぶん、ヴィルヘルムがい直角ちょっかくまじわるフォスがいびていた総統そうとう官邸かんてい新館しんかんドイツばん(フォスがい1-19番地ばんち)のみっつの建物たてもの総称そうしょうである。

ヴィルヘルムがい沿いには外務省がいむしょう法務省ほうむしょう財務省ざいむしょう国民こくみん啓蒙けいもう宣伝せんでんしょう航空こうくうしょう現在げんざい連邦れんぽう政府せいふ財務省ざいむしょうとう、ドイツこく政府せいふ中央ちゅうおう官庁かんちょうがあった。さらにみなみプリンツ・アルブレヒトどおり(現在げんざいのニーダーキルヒナーどおり)ドイツばんには、ゲシュタポ本部ほんぶもある。

歴史れきし

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首相しゅしょう官邸かんてい

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18世紀せいきから19世紀せいきにかけて、ヴィルヘルムがい沿いには貴族きぞく軍人ぐんじん宮殿きゅうでんのような邸宅ていたくならんだが、これらは19世紀せいきにはプロイセン王国おうこく政府せいふドイツ帝国ていこく政府せいふ中央ちゅうおう官庁かんちょう大臣だいじん官邸かんていとしてげられ、一帯いったい官庁かんちょうがいとなった。ヴィルヘルムがい77番地ばんち建物たてものは、1739ねんてられたロココ様式ようしき邸宅ていたくで、シューレンブルク宮殿きゅうでん(Palais Schulenburg)とも、アントニ・ヘンリク・ラジヴィウこう購入こうにゅうしてんだことからラジヴィウ宮殿きゅうでん(Palais Radziwill)ともばれた。首相しゅしょう官邸かんてい起源きげんは、1878ねん初代しょだい統一とういつドイツの首相しゅしょうビスマルクがヴィルヘルムがい77番地ばんち建物たてものをドイツこく首相しゅしょう宮殿きゅうでん(Reichskanzlerpalais)として使用しようしたことにさかのぼる。ビスマルクはのち名称めいしょうを Reichskanzlerpalais から Reichskanzlei(首相しゅしょう官邸かんてい、または宰相さいしょう官邸かんてい)へと変更へんこうしている。

ヴァイマル共和きょうわせいにも首相しゅしょう官邸かんていとしてもちいられた。また大統領だいとうりょうはヴィルヘルムがい73番地ばんちドイツこく大統領だいとうりょう宮殿きゅうでんドイツばん居住きょじゅうした。1930ねんには首相しゅしょう官邸かんてい南隣みなみどなりりのヴィルヘルムがい78番地ばんちにまで増築ぞうちくされた。

総統そうとう官邸かんてい

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1934ねん8がつヒンデンブルク大統領だいとうりょう死去しきょすると、首相しゅしょうしょく政府せいふ首班しゅはん)と大統領だいとうりょうしょく統合とうごうしたうえで、大統領だいとうりょう権能けんのうは「指導しどうしゃおよ首相しゅしょうFührer und Reichskanzler)であるアドルフ・ヒトラー個人こじん」に移譲いじょうされた。これ以降いこう、ヒトラーの地位ちい日本にっぽんでは一般いっぱんに「総統そうとう」とばれるようになり、ナチズムにおける「Reichskanzlei」 の訳語やくごとして「総統そうとう官邸かんてい」ももちいられるようになった。ドイツこく大統領だいとうりょう宮殿きゅうでん存続そんぞくし、オットー・マイスナーをトップとする大統領だいとうりょう官房かんぼうドイツばんつづかれたものの、ヒトラーはあまり利用りようしなかった。

1935ねん、ヒトラーは官邸かんてい改造かいぞうかい居住きょじゅうよう私室ししつもうけ、外務省がいむしょう隣接りんせつする庭園ていえん国賓こくひんとうせっぐうのために200めい収容しゅうよう可能かのうなレセプション・ホールを新築しんちくさせ、同時どうじ地下ちか地下ちかごうもうけさせた。当時とうじはドイツでは防空ぼうくうほうなる法律ほうりつがあり、新築しんちくさい防空壕ぼうくうごう設置せっちすることは特別とくべつなことではなかった。また、1930ねん増築ぞうちく部分ぶぶんである78番地ばんち建物たてものかれらなかった。「まるで百貨店ひゃっかてん、あるいは消防署しょうぼうしょのような無味むみ乾燥かんそうファサードである」と酷評こくひょうしていた。

1938ねんには官邸かんていまえ総統そうとう姿すがたたいとあつまる市民しみんこたえるためにおりの建築けんちく アルベルト・シュペーア軍需ぐんじゅ大臣だいじん)にめいじて総統そうとうバルコニー (Führerbalkon) をつくらせた。

しん官邸かんてい

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しん総統そうとう官邸かんてい空中くうちゅう俯瞰ふかん
2.しん総統そうとう官邸かんてい 3.大統領だいとうりょう 6.庭園ていえんがわ玄関げんかん 7.総統そうとう地下ちかごうへの入口いりくち 9.車両しゃりょう出入口でいりぐち 10.総統そうとう地下ちかごう 12.温室おんしつ 13.「栄誉えいよ中庭なかにわ」 15.きゅう首相しゅしょう官邸かんてい 16.食堂しょくどう 18.1930ねん増築ぞうちくされたきゅう首相しゅしょう官邸かんてい

1939ねんにはシュペーアが設計せっけいした新館しんかん完成かんせいした。これは78番地ばんち既存きそん総統そうとう官邸かんてい連続れんぞくしてヴィルヘルムがい直角ちょっかくまじわるフォスがい沿いにヘルマン・ゲーリングまちげんゲルトルート・コルマーまち)まで西にし方向ほうこうに400m以上いじょうびる細長ほそながしん古典こてん様式ようしき建物たてものである。この建物たてものきゅう官邸かんてい区別くべつしてしん総統そうとう官邸かんてい (Neue Reichskanzlei) とばれる。

しん官邸かんていもうけられたおもなものは総統そうとう執務しつむしつひろさ400平米へいべい)、閣僚かくりょう会議かいぎしつ食堂しょくどうナチスとう官房かんぼうちょう(Chef der Parteikanzlei)マルティン・ボルマン総統そうとう官邸かんてい官房かんぼうちょう(Chef der Reichskanzlei)ハンス・ハインリヒ・ラマース大統領だいとうりょう官房かんぼうちょうChef der Präsidialkanzlei)オットー・マイスナーの執務しつむしつとうである。地下ちかには車庫しゃこ防空ぼうくうしつもうけられた。ヒトラーは1939ねん1がつ12にち新年しんねん祝賀しゅくがしきをここでおこない、各国かっこく大使たいし外交がいこうかん政府せいふ高官こうかんとう要人ようじんにお披露目ひろめをした。

終焉しゅうえん

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崩壊ほうかいした総統そうとう官邸かんていくるま後部こうぶ座席ざせき中央ちゅうおう人物じんぶつポツダム会談かいだんのためにベルリンをおとずれたトルーマン。1945ねん7がつ15にち

だい世界せかい大戦たいせんはじまると、ヒトラーは前線ぜんせんちか総統そうとう大本営だいほんえい居住きょじゅうすることがおおくなり、官邸かんてい使用しようされる頻度ひんど減少げんしょうした。連合れんごうぐんによるベルリン空襲くうしゅうはじまると、総統そうとう官邸かんてい被害ひがいけている。

1945ねん1がつ15にち以降いこうはヒトラーは首相しゅしょう官邸かんてい旧館きゅうかん居住きょじゅうし、ソ連それんぐんのベルリン攻撃こうげきはじまると中庭なかにわられた総統そうとう地下ちかごうもるようになった。1945ねん4がつ30にち、ヒトラーは総統そうとう地下ちかごう自殺じさつした。5月1にちには後継こうけい首相しゅしょう指名しめいされたヨーゼフ・ゲッベルス自殺じさつし、この建物たてもの使用しようした最後さいご首相しゅしょうとなった。かれらの遺体いたい官邸かんてい中庭なかにわ焼却しょうきゃくされている。5月2にちにはソ連それんぐん占領せんりょうされ、総統そうとう官邸かんていとしての役目やくめえた。

戦後せんご

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トレプトウ公園こうえんソビエト連邦れんぽう戦没せんぼつしゃ顕彰けんしょう(Sowjetisches Ehrenmal)
総統そうとう官邸かんていあか大理石だいりせき流用りゅうようされている

しん総統そうとう官邸かんていベルリン空襲くうしゅうでの被害ひがい軽微けいびだったものの、ベルリン市街しがいせん破壊はかいされ廃墟はいきょとなった。ざいどくソ連それんぐん政府せいふは、総統そうとう官邸かんていはナチス体制たいせいふかむすびつく建物たてものであり、以後いご右翼うよくによる巡礼じゅんれいとならないよう解体かいたい撤去てっきょするよう指令しれいした。1949ねんからきゅう総統そうとう官邸かんてい解体かいたいされ、しん総統そうとう官邸かんてい解体かいたい1953ねんまでつづけられた。

建物たてもの使用しようされていた大理石だいりせき一部いちぶは、ベルリン南東なんとうトレプトウ公園こうえん(en:Treptower Park)ないソビエト連邦れんぽう戦没せんぼつしゃ顕彰けんしょうドイツばん一部いちぶ使つかわれた。地下鉄ちかてつモーレンがいえきドイツばん壁面へきめんあか石材せきざい総統そうとう官邸かんていから転用てんようされたといういいつたえもあるが、地下鉄ちかてつえき部材ぶざいひがしベルリン復興ふっこうテューリンゲンしゅうやまから直接ちょくせつはこばれたもので、しん総統そうとう官邸かんていとは関係かんけいがない[1]

撤去てっきょされた総統そうとう官邸かんてい跡地あとちとなり、ベルリンのかべ建設けんせつひがしベルリンがわもうけられた無人むじん地帯ちたい一部いちぶとなった。1980年代ねんだいには、当時とうじオットー・グローテヴォールまち改名かいめいされていたヴィルヘルムがい沿いの西側にしがわ高層こうそう住宅じゅうたくならべられ、官庁かんちょうがい総統そうとう官邸かんていのあった場所ばしょとは想像そうぞうできない姿すがたになった。官庁かんちょうがい裏手うらてにあった庭園ていえん跡地あとち一部いちぶには2005ねん虐殺ぎゃくさつされたヨーロッパのユダヤじんのための記念きねん公開こうかいされた。近年きんねん[いつ?]地下ちか防空ぼうくうしつ一部いちぶ発見はっけんされ話題わだいんだ。

記録きろく

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1939ねん3がつにはチェコスロバキア大統領だいとうりょうエミール・ハーハ官邸かんていびつけ、モラビアボヘミア割譲かつじょう要求ようきゅうした。1942ねん6がつ9にちには暗殺あんさつされた保護ほごりょうチェコスロバキアふく総督そうとくラインハルト・ハイドリヒ葬儀そうぎが「モザイクの広間ひろま」でおこなわれるなどの、歴史れきし舞台ぶたいともなった。

日本人にっぽんじん記録きろくでは、1941ねん訪独ほうどくした松岡まつおか洋右ようすけ外相がいしょうがバルコニーで姿すがた記録きろくとしてのこされている。しん官邸かんていのお披露目ひろめさいにはちゅうどく日本にっぽん大使たいし大島おおしまひろし招待しょうたいされた。1942ねん4がつ20日はつかには在留ざいりゅう日本人にっぽんじん総統そうとう官邸かんてい参観さんかん招待しょうたいされた。このときに「栄誉えいよ中庭なかにわ」をすす在留ざいりゅう邦人ほうじん写真しゃしん佐貫さぬきまたおとこ著書ちょしょ追憶ついおくのドイツ」にのこされている。

総統そうとう官邸かんてい警備けいび

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しん総統そうとう官邸かんてい完成かんせいともな衛兵えいへい配置はいち下記かきのように変更へんこうされた(一部いちぶ抜粋ばっすい)。

  1. だい1SS装甲そうこう師団しだん ライプシュタンダーテ・SS・アドルフ・ヒトラー衛兵えいへい部隊ぶたいおよ総統そうとう警護けいごたい
    • ヴィルヘルムがいめんしたしん総統そうとう官邸かんていしゅ玄関げんかん儀仗ぎじょうへい (Ehrenposten) 2めい
    • 車寄くるまよせのある「栄誉えいよ中庭なかにわ」のなか玄関げんかん儀仗ぎじょうへい2めい
    • 屋内おくない総統そうとう執務しつむしつまえ儀仗ぎじょうへい2めい
    • フォスがいめんしたみっつのしゅ玄関げんかんのうちにしゅ玄関げんかん西側にしがわ)に儀仗ぎじょうへい2めい
  2. 陸軍りくぐん衛兵えいへい連隊れんたいベルリン (Wachregiment Berlin)
    • 78番地ばんち官邸かんてい儀仗ぎじょうへい2めい
    • フォスがいにある大統領だいとうりょうへのしゅ玄関げんかん東側ひがしがわ)に儀仗ぎじょうへい2めい
    • フォスがいめんしてしゅ玄関げんかん中央ちゅうおう)に儀仗ぎじょうへい4めい
  3. ベルリン警察けいさつ
    • 77番地ばんち官邸かんてい総統そうとう居住きょじゅう)1めい
    • 78番地ばんち官邸かんていに2めい
    • ヴィルヘルムがいとフォスがいかくに1めい
  4. RSD (Reichssicherheitsdienst)
    • 77番地ばんち官邸かんてい総統そうとう居住きょじゅう)7めい
    • 階段かいだんに1めい
    • 玄関げんかんホールに1めい
    • エレベーターに1めい
  5. 突撃とつげきたい連隊れんたい「フェルトヘレンハレ」(SA-Standarte "Feldherrenhalle")
    • フォスがいに2めい

しん総統そうとう官邸かんてい画像がぞう

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その総統そうとう官邸かんてい

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ミュンヘンの総統そうとう官邸かんてい

ナチスとう発祥はっしょうであるミュンヘンにも総統そうとう官邸かんてい(de:Führerbau)はかれた。ケーニヒ広場ひろばめんしたナチスとう本部ほんぶである褐色かっしょくかんとなりかれ、地下ちかでつながっていた。現在げんざいミュンヘン音楽おんがく演劇えんげき大学だいがく校舎こうしゃとなっている。

また、ヒトラーの別荘べっそうベルクホーフ)のお膝元ひざもとであるベルヒテスガーデンには総統そうとう官邸かんていのベルヒテスガーデン事務所じむしょドイツばん英語えいごばんもうけられた。

文献ぶんけん

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在留ざいりゅう邦人ほうじん記憶きおく

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Mittig, Hans-Ernst (2005). “Marmor der Reichskanzlei [Marble of the Reich chancellery]”. In Bingen, Dieter; Hinz, Hans-Martin (ドイツ). Die Schleifung. Zerstörung und Wiederaufbau historischer Bauten in Deutschland und Polen [The Razing: Destruction and Reconstruction of Historical Buildings in Germany and Poland]. Wiesbaden: Harrasowitz. pp. 174–187. ISBN 3-447-05096-9. http://www.zeitgeschichte-online.de/sites/default/files/media/mittig.pdf 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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