ベッセルの不等式ふとうしき

数学すうがくの、特とくに函数かんすう解析かいせき学がくの分野ぶんやにおけるベッセルの不等式ふとうしき（ベッセルのふとうしき、英えい: Bessel's inequality）は、正規せいき直交ちょっこう列れつについてのヒルベルト空間くうかんのある元もと $x$ の係数けいすうに関かんする不等式ふとうしきである・

$H$ をヒルベルト空間くうかんとし、$e_{1},e_{2},...$ を $H$ 内うちの正規せいき直交ちょっこう列れつとする。このとき、$H$ 内うちの任意にんいの $x$ に対たいし

$\sum _{k=1}^{\infty }\left\vert \left\langle x,e_{k}\right\rangle \right\vert ^{2}\leq \left\Vert x\right\Vert ^{2}$

が成立せいりつする。ここで 〈•,•〉 はヒルベルト空間くうかん $H$ の内積ないせきを表あらわす。

$e_{k}$ 方向ほうこうのベクトル $x$ の無限むげん和わ

$x'=\sum _{k=1}^{\infty }\left\langle x,e_{k}\right\rangle e_{k},$

を定義ていぎすると、ベッセルの不等式ふとうしきよりこの級数きゅうすうは収束しゅうそくする。基底きてい $e_{1},e_{2},...$ によって表現ひょうげんされる $x'\in H$ が存在そんざいするものと考かんがえることが出来できる。

完全かんぜん正規せいき直交ちょっこう列れつ（すなわち、基底きていであるような正規せいき直交ちょっこう列れつ）に対たいしては、不等号ふとうごうが等号とうごうに置おき換かえられたパーセヴァルの等式とうしきが成なり立たつ（したがって $x'$ は $x$ となる）。

ベッセルの不等式ふとうしきは、任意にんいの自然しぜん数すう n に対たいして成なり立たつ次つぎの関係かんけい式しきより従したがう：

$0\leq \left\|x-\sum _{k=1}^{n}\langle x,e_{k}\rangle e_{k}\right\|^{2}=\|x\|^{2}-2\sum _{k=1}^{n}|\langle x,e_{k}\rangle |^{2}+\sum _{k=1}^{n}|\langle x,e_{k}\rangle |^{2}=\|x\|^{2}-\sum _{k=1}^{n}|\langle x,e_{k}\rangle |^{2}.$

関連かんれん項目こうもく

• コーシー＝シュワルツの不等式ふとうしき

外部がいぶリンク

• Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), “Bessel inequality”, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4, https://www.encyclopediaofmath.org/index.php?title=Bessel_inequality 
• Bessel's Inequality the article on Bessel's Inequality on MathWorld.