出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コンピューティングにおいて、ベル文字(ベルもじ、BEL: bell character)またはベルコード(bell code)とは、制御文字の一種である。
本来の目的は、データの送信先にいるオペレータに何らかの通知(「今からメッセージを送る」など)するために、相手側のストックティッカーやテレタイプ端末のベル(電鈴)を鳴らすことである。ストックティッカーはベル文字をティッカーテープに記録する[1]が、プリンタはベル文字を受信してもそれを印字しなかった。
下位互換性を維持するために、テレタイプ端末にとって代わったビデオ表示端末 (VDT) は、同じ機能を実行するために、スピーカーやブザーを備えた。パーソナルコンピュータ(PC)もそれに倣った。端末エミュレータでは、デスクトップ環境の警告と統合したり(例えばmacOSのターミナルはシステム警告音を出す)、音を出さずにウィンドウを点滅させたりする。
ベル文字は、ASCIIとUnicodeでは十進数で7、十六進数で0x07に割り当てられている。キャレット記法では ^G
と表され、Unicodeでは制御文字の図形表現として ␇ (U+2407)が定義されている。
1972年に作られたC言語では、ベル文字は文字定数 \a
で表される。'a'は"alert"や"audible"の頭文字である。'b'は既にバックスペースに使われていた。
Unix系オペレーティングシステムやDOS、Windowsでは、コマンドライン・インタプリタで以下のコマンドを実行することにより、ベルを鳴らす(またはそれに相当する動作)ことができる。
echo ^G
^Gは、キーボードの⎈ CtrlとGを同時に押すことにより発生する。
Linuxでは、以下のコマンドでも同じことができる。
echo -e "\a"
BashではANSI-C quotingが使用できる[2]。
echo $'\a'