(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ホルトン・アープ - Wikipedia コンテンツにスキップ

ホルトン・アープ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
Halton Arp
ホルトン・アープ
生誕せいたん (1927-03-21) 1927年ねん3月21日にち
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく ニューヨーク
死没しぼつ (2013-12-28) 2013年ねん12月28日にち（86歳さい没ぼつ）
ドイツの旗 ドイツ ミュンヘン
国籍こくせき アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
研究けんきゅう分野ぶんや 天文学てんもんがく
研究けんきゅう機関きかん パロマー天文台てんもんだい
マックス・プランク研究所けんきゅうじょ
ウィルソン山やま天文台てんもんだい
カーネギー研究所けんきゅうじょ
出身しゅっしん校こう ハーバード大学だいがく
カリフォルニア工科こうか大学だいがく
博士はかせ課程かてい
指導しどう教員きょういん		 ウォルター・バーデ
主おもな業績ぎょうせき 固有こゆう赤あか方偏かたへん移うつり
アープ・アトラス
公式こうしきサイト
www.haltonarp.com
プロジェクト:人物じんぶつ伝でん
テンプレートを表示ひょうじ

ホルトン・クリスティアン・アープ（Halton Christian Arp、1927年ねん3月21日にち - 2013年ねん12月28日にち）は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの天文学てんもんがく者しゃ。

ニューヨークに生うまれた。ハーバード大学だいがくを卒業そつぎょうした後のちカリフォルニア工科こうか大学だいがくで博士はかせ号ごうを得えた。1953年ねんにワシントン・カーネギー協会きょうかいの研究けんきゅう員いんになり、1955年ねんにインディアナ大学だいがくブルーミントン校こうの研究けんきゅう助手じょしゅとなり、1957年ねんからパロマー天文台てんもんだいに29年間ねんかん勤つとめた。1983年ねんからドイツのマックス・プランク研究所けんきゅうじょに加くわわった。

アープ・アトラス

[編集へんしゅう]

アープは、変かわった銀河ぎんがのカタログとしてアープ・アトラスを1966年ねんに出版しゅっぱんした[1]。後のちに彼かれはこのカタログをクエーサー論争ろんそうの証拠しょうことして用もちいた。アープのカタログは他たの天文学てんもんがく者しゃにも研究けんきゅうされ、相互そうご作用さよう銀河ぎんがと銀河ぎんがの合体がったいの様子ようすを集あつめた素晴すばらしいものとみなされている。その中なかにはArp 220のように赤あか方偏かたへん移うつりの基準きじゅんとして使つかわれるものもある。

クエーサーと赤あか方偏かたへん移うつり

[編集へんしゅう]

アープの仮説かせつ

[編集へんしゅう]

1966年ねん、338の典型てんけい的てきではない銀河ぎんがを集あつめたアープ・アトラスを出版しゅっぱんした。彼かれはこのカタログを使つかって銀河ぎんがの形成けいせいを解明かいめいすることを目標もくひょうとしていた。1番ばんから101番ばんまでのグループはどちらかと言いえば平凡へいぼんな銀河ぎんがであったが、小ちいさな天体てんたいを伴ともなっていた。1967年ねんにアープはこれらのいくつかはクエーサーとしてリストアップされていることに気きづいた。いくつかの写真しゃしんではクエーサーは銀河ぎんがの手前てまえにあり、他方たほうでは2つの天体てんたいに「橋はし」がかかっていた。このことはそれらが非常ひじょうに近ちかい場所ばしょにあることを暗示あんじしていた。もしそうであるならハッブルの法則ほうそくに従したがえば似にかよった赤あか方偏かたへん移うつりを示しめすはずであったが、銀河ぎんがの赤あか方偏かたへん移うつりはクエーサーのものよりも小ちいさなものであった。アープは赤あか方偏かたへん移うつりは宇宙うちゅうの膨張ぼうちょうによるものではなく、非ひ宇宙うちゅう論ろん的てきなもの、もしくは固有こゆうの赤あか方偏かたへん移うつりをもつからだと論ろんじた。また、アープはクエーサーが宇宙うちゅうに均一きんいつに存在そんざいしているわけではなく、銀河ぎんが近傍きんぼうにおいてより多おおく分布ぶんぷしていることに気付きづいた。これらの論拠ろんきょから、アープはクエーサーは、活動かつどう銀河ぎんが核かくから放出ほうしゅつされた天体てんたいであり、親おや銀河ぎんがと同どう程度ていどの距離きょりに存在そんざいするという仮説かせつを立たてた。この仮説かせつはM87やケンタウルス座ざAのような強つよい電波でんぱを放出ほうしゅつしている銀河ぎんがによって補強ほきょうされるとしている[2]。

クエーサーの研究けんきゅうからビッグバン理論りろんは誤あやまっていて、銀河ぎんがの赤あか方偏かたへん移うつりは赤あか方偏かたへん移うつりの量子りょうし化か論ろんで説明せつめいできるとしている[3]。

批評ひひょう

[編集へんしゅう]

アープがビッグバン理論りろんを批判ひはんしはじめたのは1960年代ねんだいである。しかしながら、その後ご天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうその他たの観測かんそく機器ききは大おおいに発展はってんを遂とげた。ハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうが打うち上あげられ、ケック天文台てんもんだいのように有効ゆうこう口径こうけいが10mもある天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうが運用うんようされるようになった。CCD撮像さつぞう素子そしも今いまでは広ひろく使つかわれている。これらの新あたらしい望遠鏡ぼうえんきょうと機器ききはクエーサー研究けんきゅうによく利用りようされている。クエーサーは今いまでは大おおきな赤あか方偏かたへん移うつりを持もつ非常ひじょうに遠とおい銀河ぎんがであると広ひろく認識にんしきされている。さらに、多数たすうの画像がぞう調査ちょうさ、とりわけハッブル・ディープ・フィールドは多数たすうの大おおきな赤あか方偏かたへん移うつりを持もつクエーサーではない天体てんたいを発見はっけんしている[4]。また、赤あか方偏かたへん移うつりの効果こうかが正ただしいとすると、大おおきな赤あか方偏かたへん移うつりを持もつ銀河ぎんがのスペクトルは近傍きんぼうの銀河ぎんがと合致がっちする。星ほしの生成せいせいが活発かっぱつな銀河ぎんがのみならず活発かっぱつでない銀河ぎんがであっても同様どうようである[5][6][7]。桁違けたちがいの膨大ぼうだいな研究けんきゅうデータは直接的ちょくせつてきにアープの仮説かせつを検証けんしょうしていくことになる。最近さいきんの研究けんきゅうでは

"…スローン・デジタル・スカイサーベイと2dF銀河ぎんが赤あか方偏かたへん移うつりサーベイからもたらされるデータによって、クエーサーは周期しゅうき的てきな非ひ宇宙うちゅう論ろん的てき赤あか方偏かたへん移うつりを持もって活動かつどう銀河ぎんがから放出ほうしゅつされたという仮説かせつを検証けんしょうすることができるだろう。2つの異ことなった固有こゆう赤あか方偏かたへん移うつりモデルについては、周期しゅうき的てきなlog(1+z)で予測よそくされる周波数しゅうはすうも、その他たの周波数しゅうはすうも証拠しょうこを見みつけることはできなかった[8]。"と述のべている。

それでもなおアープは精力せいりょく的てきにビッグバン理論りろんを批判ひはんする論文ろんぶんを提出ていしゅつしている[9][10]。しばしば ジェフリー・バービッジとマーガレット・バービッジと共同きょうどうでビッグバン理論りろんに反論はんろんする著作ちょさくを行おこなっている[11]。

受賞じゅしょう歴れき

[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ H. Arp (1966). “Atlas of Peculiar Galaxies”. Astrophysical Journal Supplement 14: 1–20. Bibcode: 1966ApJS...14....1A. doi:10.1086/190147. 
  2. ^ H. Arp (1967). “Peculiar Galaxies and Radio Sources”. Astrophysical Journal 148: 321–366. Bibcode: 1967ApJ...148..321A. doi:10.1086/149159. 
  3. ^ Arp, Halton, "Additional members of the Local Group of galaxies and quantized redshifts within the two nearest groups" (1987) Journal of Astrophysics and Astronomy (ISSN 0250-6335), vol. 8, Sept. 1987, p. 241-255.
  4. ^ S. P. Driver, A. Fernandez-Soto, W. J. Couch, S. C. Odewahn, R. A. Windhorst, S. Phillips, K. Lanzetta, A. Yahil (1998). “Morphological Number Counts and Redshift Distributions to I<26 from the Hubble Deep Field: Implications for the Evolution of Ellipticals, Spirals, and Irregulars”. Astrophysical Journal 496 (2): L93–L96. arXiv:astro-ph/9802092. Bibcode: 1998ApJ...496L..93D. doi:10.1086/311257. 
  5. ^ W. J. Couch, R. S. Ellis, J. Godwin, D. Carter; Ellis; Godwin; Carter (1983). “Spectral energy distributions for galaxies in high redshift clusters. I - Methods and application to three clusters with Z = 0.22-0.31”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 205: 1287–1312. Bibcode: 1983MNRAS.205.1287C. 
  6. ^ Postman, L. M. Lubin, J. B. Oke (1998). “A Study of Nine High-Redshift Clusters of Galaxies. II. Photometry, Spectra, and Ages of Clusters 0023+0423 and 1604+4304”. Astronomical Journal 116 (2): 560–583. arXiv:astro-ph/9805155. Bibcode: 1998AJ....116..560P. doi:10.1086/300463. 
  7. ^ R. S. Priddey, R. G. McMahon (2001). “The far-infrared-submillimetre spectral energy distribution of high-redshift quasars”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 324 (1): L17–L22. arXiv:astro-ph/0102116. Bibcode: 2001MNRAS.324L..17P. doi:10.1046/j.1365-8711.2001.04548.x. 
  8. ^ Tang, Su Min; Zhang, Shuang Nan, "Critical Examinations of QSO Redshift Periodicities and Associations with Galaxies in Sloan Digital Sky Survey Data", in The Astrophysical Journal, Volume 633, Issue 1, pp. 41-51 (2005) arXiv e-print
  9. ^ H.C. Arp official website:articles
  10. ^ Fulton, C.C.; H.C. Arp (2012年ねん7月がつ18日にち). “The 2dF Redshift Survey. I. Physical Association and Periodicity in Quasar Families”. ApJ 754 (2): 134. doi:10.1088/0004-637X/754/2/134. http://iopscience.iop.org/0004-637X/754/2/134/. 
  11. ^ “Smithsonian/NASA ADS Custom Query Form”. Results for "Arp, H". 2006年ねん9月がつ3日にち閲覧えつらん。
  12. ^ Helen B. Warner Prize for Astronomy Archived 2007年ねん4月がつ4日にち, at the Wayback Machine.
  13. ^ About the AAAS: History & Archives
  14. ^ Juan Miguel Campanario and Brian Martin, "Challenging dominant physics paradigms" (2004) Journal of Scientific Exploration, vol. 18, no. 3, Fall 2004, pp. 421-438.

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • Halton Arp (1989). Quasars, Redshifts and Controversies. Cambridge University Press. ISBN 0-521-36314-4. https://books.google.co.jp/books?id=_JYWqe2qMZ0C&redir_esc=y&hl=ja 
  • Halton Arp, Seeing Red, Aperion (August, 1998) ISBN 0-9683689-0-5
  • Halton Arp, Catalogue of Discordant Redshift Associations, Aperion (September 1, 2003) ISBN 0-9683689-9-9
  • G. Burbidge, E.M. Burbidge, H.C. Arp, W.M. Napier: Ultraluminous X-ray Sources, High Redshift QSOs and Active Galaxies. Preprint
  • J. Kanipe, D. Webb The Arp Atlas of Peculiar Galaxies, A Chronicle and Observer's Guide, Willmann-Bell Inc. (2006) ISBN 978-0-943396-76-7

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]
「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=ホルトン・アープ&oldid=99481845」から取得しゅとく