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マシテンタン

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マシテンタン
IUPAC命名めいめいほうによる物質ぶっしつめい
臨床りんしょうデータ
販売はんばいめい Opsumit
胎児たいじ危険きけん分類ぶんるい
  • US: X
法的ほうてき規制きせい
投与とうよ経路けいろ Oral
薬物やくぶつ動態どうたいデータ
代謝たいしゃHydrolysis, oxidation (CYP3A4)
排泄はいせつ2/3 urine, 1/3 faeces
識別しきべつ
CAS番号ばんごう
441798-33-0
ATCコード C02KX04 (WHO)
PubChem CID: 16004692
ChemSpider 13134960
KEGG D10135
ChEBI CHEBI:76607
別名べつめい ACT-064992
化学かがくてきデータ
化学かがくしきC19H20Br2N6O4S
分子ぶんしりょう588.273 g/mol
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マシテンタン(Macitentan)はエンドセリン受容じゅようたい拮抗きっこうやく英語えいごばん(ERA)のひとつであり、はいだか血圧けつあつ(PAH)の治療ちりょう使用しようされる[1]。デュアルエンドセリン受容じゅようたい拮抗きっこうやくであり、2種類しゅるいエンドセリン(ET)受容じゅようたいETA英語えいごばんおよびETB英語えいごばん)に結合けつごうする[1]が、ETBへの結合けつごうりょくくらべてETAへの結合けつごうりょくは50ばいつよ[2]米国べいこくでは2013ねん10がつ承認しょうにんされた[3]商品しょうひんめいオプスミット日本にっぽんでは2015ねん2がつ薬事やくじ食品しょくひん衛生えいせい審議しんぎかい審議しんぎ承認しょうにん了承りょうしょう[4]、2015ねん3がつ厚生こうせい労働省ろうどうしょう承認しょうにんされた[5]開発かいはつコードACT-064992。

作用さようじょ

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エンドセリンおよびエンドセリン受容じゅようたい

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エンドセリン(ET)は内皮ないひ細胞さいぼうによって分泌ぶんぴつされる非常ひじょう強力きょうりょく血管けっかん収縮しゅうしゅく物質ぶっしつである[6]はいにおいては、分泌ぶんぴつされるのはおもにET-1である。ET-1を分泌ぶんぴつする経路けいろには、構成こうせいてき経路けいろおよび構成こうせいてき経路けいろの2つがある。分泌ぶんぴつされると、ET-1ははい動脈どうみゃく平滑へいかつすじ細胞さいぼう線維せんい細胞さいぼうじょう発現はつげんしているET受容じゅようたい結合けつごうする。ET受容じゅようたいG蛋白質たんぱくしつ共役きょうやく受容じゅようたいであり、活性かっせいされることによりGαあるふぁq経路けいろ細胞さいぼうないカルシウム濃度のうど上昇じょうしょうさせる。細胞さいぼうないカルシウム濃度のうど増加ぞうかはい動脈どうみゃく平滑へいかつすじ収縮しゅうしゅく惹起じゃっきし、細胞さいぼう増殖ぞうしょくもとづく血管けっかんのリモデリング[7]発生はっせいする。血管けっかん収縮しゅうしゅく持続じぞく線維せんいは、PAHの要因よういんである[1]

マシテンタンのはたら

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マシテンタンはET受容じゅようたい結合けつごうし、ET-1依存いぞんせい細胞さいぼうないカルシウム増加ぞうか阻害そがいする。はい動脈どうみゃく平滑へいかつすじ細胞さいぼうではETA受容じゅようたいほうがETB受容じゅようたいよりはるかにおおく、PAHの病態びょうたいにおいてはETA受容じゅようたいほう重要じゅうようであるとかんがえられる[6]

実験じっけんてき薬物やくぶつ動態どうたい

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マシテンタンの作用さようおそ[6]はい動脈どうみゃく平滑へいかつすじ細胞さいぼうにマシテンタンを120分間ふんかん接触せっしょくさせると、10分間ふんかん接触せっしょくさせた場合ばあいの6.3ばい効果こうか発揮はっきする。またマシテンタンの受容じゅようたい占有せんゆうりつ半減はんげんやく17ふんで、ボセンタンやく70びょうアンブリセンタンやく40びょうよりもながい。半減はんげんながいということは、マシテンタンが競合きょうごうてきにET受容じゅようたい阻害そがいすることを意味いみする[6]かたやボセンタンやアンブリセンタンは競合きょうごうてき拮抗きっこうやくである。

薬物やくぶつ動態どうたい

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マシテンタンは1にち1かい10mg服用ふくようする[1]。ヒトでのちゅう半減はんげんやく16あいだで、服用ふくようはじめて3にち平衡へいこうたっする[8]吸収きゅうしゅうちゅう濃度のうどはゆっくりと上昇じょうしょうする[9]。マシテンタンの活性かっせい代謝たいしゃぶつACT-132577は、投与とうよ30あいだ最高さいこうちゅう濃度のうど到達とうたつし、半減はんげんやく48あいだである[9]。ACT-132577のET受容じゅようたい親和しんわせいはマシテンタンよりもひく[2]が、ちゅう濃度のうどはマシテンタンよりもたか[9]りょう化合かごうぶつとも腎臓じんぞうおよび肝臓かんぞうから排泄はいせつされる[8]

シクロスポリン併用へいようすると、マシテンタンと活性かっせい代謝たいしゃぶつ濃度のうど若干じゃっかん上昇じょうしょうする。ケトコナゾール併用へいようすると薬物やくぶつちゅう濃度のうど曲線きょくせん面積めんせきAUえーゆーC)がやく2ばい増加ぞうかする。一方いっぽうリファンピシン併用へいようするとAUCが79%減少げんしょうする。これはマシテンタンがおもかん酵素こうそCYP3A4代謝たいしゃされることをしめしている[10]

マシテンタンの活性かっせい代謝たいしゃぶつ
ACT-132577の構造こうぞうしき

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d Hong, I.S., Coe, H.V., & Catanzaro, L.M. (2014). Macitentan for the treatment of pulmonary arterial hypertension. The Annals of Pharmacotherapy, 48, 1-10.
  2. ^ a b Iglarz, M., Qiu, C., Fischli, W., Morrison, K., Binkert, C., Clozel, M., Hess, P., Capeleto, B., Buchmann, S., Boss, C., Bolli, M.H., Weller, T., Treiber, A., & Gatfield, J. (2008). Pharmacology of macitentan, an orally active tissue-targeting dual endothelin receptor antagonist. Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 327(3), 736-745.
  3. ^ Actelion receives us fda approval of Opsumit (macitentan) for the treatment of pulmonary arterial hypertension Archived 2013ねん10がつ23にち, at the Wayback Machine.. Actelion. Retrieved 22 October 2013.
  4. ^ くすりしょくしんだいいち部会ぶかい 新薬しんやくとう6製品せいひん審議しんぎ承認しょうにん了承りょうしょうは5製品せいひん イグザレルトの適応てきおう追加ついか継続けいぞく審議しんぎ”. ミクス (2015ねん2がつ23にち). 2015ねん2がつ23にち閲覧えつらん
  5. ^ はい動脈どうみゃくせいだか血圧けつあつしょう治療ちりょうざい「オプスミットじょう10mg」の製造せいぞう販売はんばい承認しょうにん取得しゅとくのおらせ”. 日本にっぽん新薬しんやく (2015ねん3がつ26にち). 2015ねん5がつ3にち閲覧えつらん
  6. ^ a b c d Gatfield, J., Grandjean, C. M., Sasse, T., Clozel, M., & Nayler, O. (2012). Slow receptor dissociation kinetics differentiate macitentan from other endothelin receptor antagonists in pulmonary arterial smooth muscle cells. PLoS ONE, 7(10), e47662.
  7. ^ 組織そしき平衡へいこう状態じょうたい病理びょうりがくてき慢性まんせいてきへんうつすること
  8. ^ a b Bruderer, S., Hopfgartner, G., Seiberling, M., Wank, J., Sidharta, P.N., Treiber, A., & Dingemanse, J. (2012). Absorption, distribution, metabolism, and excretion of macitentan, a dual endothelin receptor antagonist, in humans. Xenobiotica, 42(9), 901-910.
  9. ^ a b c Sidharta, P.N., van Giersbergen, P.L., Halabi, A., & Dingemanse, J. (2011). Macitentan: entry-into-humans study with a new endothelin receptor antagonist. Eur J Clin Pharmacol, 67, 977–984.
  10. ^ Bruderer, S.; Äänismaa, P. I.; Homery, M. C.; Häusler, S.; Landskroner, K.; Sidharta, P. N.; Treiber, A.; Dingemanse, J. (2011). “Effect of Cyclosporine and Rifampin on the Pharmacokinetics of Macitentan, a Tissue-Targeting Dual Endothelin Receptor Antagonist”. The AAPS Journal 14 (1): 68–78. doi:10.1208/s12248-011-9316-3. PMC 3282010. PMID 22189899. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3282010/. 

外部がいぶリンク

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