(Translated by https://www.hiragana.jp/)
モーショボー - Wikipedia コンテンツにスキップ

モーショボー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

モー・ショボー[1]モンゴル: ᠮᠠᠭ᠋ᠤ ᠰᠢᠪᠠᠭ᠋ᠤ maγがんまu sibaγがんまuハルハ・モンゴル: Муу шувууブリヤート: Муу шубуун[2])またはムー・シュウウ英語えいご: muu shuwuu[3])は、モンゴルブリヤートじんつたわる魔物まもの。その名前なまえはハルハ(ハルハ・モンゴル)で[3]しきとり[4][5]」を意味いみする。

概要がいよう[編集へんしゅう]

二木ふたき (2002) によると、恋愛れんあいらずにおさなくしてんでしまった少女しょうじょたましいがモー・ショボーになるといわれている。モー・ショボーはうつくしい少女しょうじょ姿すがたになって自分じぶんちかくをとおおとこ旅人たびびと誘惑ゆうわくする。旅人たびびと油断ゆだんしてちかづいた途端とたんに、そのするどくちばし旅人たびびと頭蓋骨ずがいこつり、脳髄のうずいすするとされる[6][ちゅう 1][ちゅう 2]

ロシアの民族みんぞく学者がくしゃM・N・ハンガロフロシアばん(1858年生ねんせい-1918ねんぼつ)の報告ほうこくには、二木ふたき (2002)同様どうよう内容ないようがより詳細しょうさい記載きさいされている[7][ちゅう 3]

Pócs & Klaniczay (2006)キリスト教きりすときょうけい悪魔あくまがく大衆たいしゅう神話しんわがくChristian Demonology and Popular Mythology)』では、以下いかとおべられている[3]

よこしまれい悪霊あくりょう形態けいたいがく」〔The Morphology of Evil and Demonic Spirits〕

 よこしまれい起源きげんとしてありたのは、よりたか世界せかい〔upper world〕からることだった。または方法ほうほうで、つまり人間にんげんたましい変身へんしんすることで、よこしまれい人間にんげん世界せかい出現しゅつげんできるのだった。モンゴルけいおよび内陸ないりくアジアけい人々ひとびとにおけるたましい概念がいねんによれば、一人ひとり人間にんげんというものはふたつかみっつのたましいっていて、たましいのうちひとつはれい変身へんしんすることができる。〔中略ちゅうりゃく

 ムー・シュウー〔muu shuwuu〕はハルハであり、「害鳥がいちょう」〔harmful bird どくとりどくのあるとり〕を意味いみする。ムー・シュウーというれいは、家族かぞく一族いちぞく、さらによりひろ共同きょうどうたいにとっても有害ゆうがいである。こういったよこしまれいはとりわけ、孤独こどく狩人かりゅうどたちや旅人たびびとたちにとって危険きけんである。ムー・シュウーが発生はっせいするのは特別とくべつ場合ばあいであり、つまり人間にんげんたましい悪霊あくりょうへとわることである。暴力ぼうりょくてきは、女性じょせいたましいをムー・シュウーへとえることがありた。また、そのようなれい創造そうぞうされることもあった。とりわけ、んだ乙女おとめ〔young girl わか少女しょうじょ幼女ようじょ童女どうじょ〕の父親ちちおやが、むすめなか燧石ひうちいし〔flint フリント火打ひういし〕をかくすと、むすめたましいはムー・シュウーへてんじることになる。

 両義りょうぎてき邪悪じゃあくれいたちは、仏教ぶっきょうてき転向てんこう〔conversion 改宗かいしゅう〕をともないながらモンゴルてき信仰しんこう体系たいけいなか出現しゅつげんしていた。推定すいていされるところではそのれいたちの一部いちぶは、本来ほんらいのモンゴルてきアニミズムけい宗教しゅうきょうなか似通にかよったあらわれ〔phenomea 現象げんしょう事件じけん驚異きょうい〕をせていたが、あたらしいものによって変化へんかさせられ、あたらしい名前なまえあたらしい特徴とくちょうをもていった。[3]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 二木ふたき紹介しょうかい最初さいしょ出版しゅっぱんねんについて、二木ふたき (2002)増補ぞうほ改訂かいていばんであり、よりふるはん初版しょはんかは不明ふめい)として1982ねんはん国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん書誌しょしID:000001579244)が存在そんざいする。
  2. ^ 二木ふたき (2002) では参考さんこう文献ぶんけんあきら執筆しっぴつしゃごとにけられておらず、巻末かんまつ pp.294-295 にまとめて記載きさいされている。そのうちいちさつ「ウノ・ハルヴァちょ田中たなか克彦かつひこやく『シャマニズム―アルタイけいしょ民族みんぞく世界せかいかん』(三省堂さんせいどう)」にモー・ショボーにかんする記述きじゅつがある可能かのうせいはある。
  3. ^ 二木ふたき (2002)記述きじゅつのうち「あいらずにんだ」の部分ぶぶんはハンガロフの報告ほうこく見当みあたらない。ロシア宗教しゅうきょう百科ひゃっか事典じてん世界せかいしょ民族みんぞく神話しんわ (ru:Мифы народов мира[8]』(1980ねん刊行かんこう)の「ブリヤート神話しんわ」の記事きじでは、ハンガロフの報告ほうこく参照さんしょうしたうえで、「あいらなかった乙女おとめ」という表現ひょうげんくわえられている[9]ため、二木ふたき (2002)記述きじゅつは『世界せかいしょ民族みんぞく神話しんわ』を参照さんしょうした可能かのうせいがある。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 二木ふたき 2002, p. 153 の表記ひょうき
  2. ^ ВЕСТНИК 2009, p. 270.
  3. ^ a b c d Pócs & Klaniczay 2006, p. 257.
  4. ^ 二木ふたき 2002, p. 153 の語釈ごしゃく
  5. ^ Ханга́лов 2004, vol.3, p.25. 脚注きゃくちゅう1 "Му - худая; шубун - птица."
  6. ^ 二木ふたき 2002, pp. 153–154.
  7. ^ Ханга́лов 2004, vol.1, pp.271-272; vol.2, pp.164-165; vol.3, pp.25-26. それぞれ Агапитов & Ханга́лов 1883, Ханга́лов 1896, Ханга́лов 1903さいろくである。
  8. ^ 世界せかいしょ民族みんぞく神話しんわ」の表記ひょうき以下いか文献ぶんけんにみられる(三浦みうら清美きよみ中世ちゅうせいロシアの異教いきょう信仰しんこうロードとロジャニツァ:日本語にほんご増補ぞうほ改訂かいていばん前編ぜんぺん 資料しりょう」『電気通信大学でんきつうしんだいがく紀要きようだい17かんだい1-2ごう電気通信大学でんきつうしんだいがく、2005ねん1がつ、73-96ぺーじCRID 1050282677899799168ISSN 0915-0935NAID 110001059346  p.77 より)
  9. ^ Мифы 1980 "му-шубун — девиц, не знавших любви."

参照さんしょう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • ВЕСТНИК БУРЯТСКОГО ГОСУДАРСТВЕННОГО УНИВЕРСИТЕТА”. ブリヤート国立こくりつ大学だいがく (2009ねん10がつ). 2018ねん10がつ20日はつか閲覧えつらん。 “Муу шубуун превращаются в разных птиц и принимают вид женщин, «только красивые губы, длинные как клюв птицы, не меняются. …Она старается обратиться в ту девушку или женщину, которую любит этот человек. Если му-шубуну удается обмануть человека, она бьет его по голове своим клювом и убивает, распарывает его брюхо и съедает его печень, почки и головной мозг» [6, с.25]. В приведенной легенде муу шубуун предстает в своей традиционной ипостаси – в виде красивой девушки, несущей смерть любому, кто не сможет обмануть ее.”