ヨアキム

聖せいヨアキム
神かみの祖父母そふぼイオアキム（ヨアキム）及およびアンナと、アンナに抱いだかれる生神うるかみ女おんな（聖母せいぼマリア）が描えがかれたイコン。右側みぎがわ男性だんせいがヨアキム。
神かみの祖父そふ(正教会せいきょうかい)
崇敬すうけいする教派きょうは	カトリック教会きょうかい、正教会せいきょうかい、聖せい公会こうかい
記念きねん日び	7月がつ26日にち(カトリック)

ヨアキム（Joachim）は、古ふるい伝承でんしょうによれば聖母せいぼマリアの父ちち、妻つまはアンナ。ユダ族ぞくの出身しゅっしんで、ダビデ王おうの家系かけいに属ぞくする。聖人せいじん崇敬すうけいを行おこなう全すべての教派きょうはで聖人せいじんとされる。ヨアキムはヘブライ語ご男性だんせい名めいエホヤキム（「ヤハウェは起おき上あがらせてくださる」という意味いみ）がギリシア語ご化かしたもの。正教会せいきょうかい・カトリック教会きょうかい・聖せい公会こうかいで聖人せいじん。

尚なお、ルカによる福音ふくいん書しょ3章しょうに依拠いきょして、ヨアキムではなく、エリをマリアの父ちちと見み做す説せつも存在そんざいする。こちらはプロテスタントの一部いちぶ等とうで支持しじされている。

新約しんやく聖書せいしょ外典げてん『原はらヤコブ福音ふくいん書しょ』によれば、ヨアキムとアンナは信心しんじん深ふかい夫婦ふうふであったが、二人ふたりには老齢ろうれいになる迄まで子供こどもが出来できなかった。二人ふたりは毎年まいとしエルサレム神殿しんでんへの参拝さんぱいを欠かかさなかったが、ある年とし、彼かれらの子供こどもの無ないことを讒言ざんげんされた祭司さいしが、子孫しそんを残のこす神かみへの義務ぎむを怠おこたっているとし、別伝べつでんでは子供こどもが無ないことを神かみの怒いかりの顕あらわれであるとして、ヨアキムの捧ささげ物ぶつを拒否きょひした。ヨアキムとアンナは深ふかく悲かなしみ、ヨアキムは荒野あらので40日にちの断食だんじきをして痛やめ悔し、子供こどもを授さずかることを祈いのると共ともに、授さずかった子供こどもは必かならず神かみに捧ささげることを誓ちかった。すると天使てんしがヨアキムの下したに現あらわれて、彼かれの祈いのりが聴きき届とどけられたことを告つげ、結果けっか、アンナは老齢ろうれいであったにもかかわらず懐妊かいにんし、女児じょじが生うまれた。これがマリアである。マリアが三さん歳さいになると、二人ふたりは誓ちかい通どおりマリアを神殿しんでんへ入はいらせ神かみに仕つかえさせた。

この伝承でんしょうは東方とうほう教会きょうかいでは早はやくから受うけ入いれられ、マリアの誕生たんじょうと神殿しんでんへの奉献ほうけんはそれぞれ祭典さいてんとされた。正教会せいきょうかいでは、それぞれ生神うるかみ女おんな誕生たんじょう祭さい・生神うるかみ女おんな進しん堂どう祭さいとしてキリスト教きりすときょうの十じゅう二に大祭たいさいの内うちの一ひとつである。西方せいほうでは当初とうしょ、上記じょうきの伝承でんしょうは受うけ入いれられなかったが、その後ご西方せいほうでもこれらの伝承でんしょうに基もとづく祭まつりが行おこなわれるようになった。また、『黄金おうごん伝説でんせつ』にも、ヨアキムについての伝承でんしょうが記録きろくされており、後のちにトリエント公こう会議かいぎにおいて、聖書せいしょ外典げてんに取材しゅざいした伝承でんしょうの描写びょうしゃが制限せいげんされるまでは、中世ちゅうせいを通つうじて西にしヨーロッパでも好このんで描えがかれた。

正教会せいきょうかいでの称号しょうごうは「神かみの祖父そふ」。公おおやけ祈祷きとうとりわけ聖体せいたい礼儀れいぎの終結しゅうけつにおいて必かならず記憶きおくされる聖人せいじんの一人ひとりであり、妻つまアンナと共ともに「神かみの祖父母そふぼヨアキムとアンナ」として記憶きおくされている。またカトリックにおいても、聖人せいじんの連れん祷いのりの場ばでは必かならず言及げんきゅうされる。

変化へんか形がた

ヨアヒム（ドイツ語ご、オランダ語ご）、ホアキン（スペイン語ご）、ジョアシャン（フランス語ふらんすご）、ジョアッキーノ（イタリア語ご）、ヨアキム（北欧ほくおう諸国しょこく、南部なんぶドイツ語ご）、キム（インターネット以降いこう）等とうが有ある。