リゼ県けん

Rize ili リゼ県けん
ポクト高原こうげん
リゼ県けんの位置いち リゼ県けんの位置いち
概要がいよう
地方ちほう:	黒海こっかい地方ちほう
県けん都と:	リゼ
県けん番号ばんごう:	53
面積めんせき:	3,920 (km2)
人口じんこう:	344,359 2020年ねん
人口じんこう密度みつど:	28 人にん/km2
自治体じちたい数すう:	12
Location ofリゼ県けんの位置いち リゼ県けんの自治体じちたい
市外しがい局番きょくばん:	0464
知事ちじ:	Kemal Çeber
公式こうしきサイト:	http://www.rize.gov.tr

リゼ県けん（リゼけん、トルコ語ご: Rize ili）は、トルコ、黒海こっかい地方ちほうの県けん。黒海こっかい海岸かいがんに位置いちしている。県けん都とはリゼ。北部ほくぶは黒海こっかいに面めんし、東ひがしから時計とけい回まわりにアルトヴィン、エルズルム、バイブルト、トラブゾンに接せっしている。

もともとこの名称めいしょうはギリシャ語ごのρろーιいおたζぜーたαあるふぁ(riza)から来きており、その意味いみは山やまの傾斜けいしゃという意味いみである。

自治体じちたい

リゼ県けんには12の自治体じちたいがある。

• リゼ（Rize）
• アルデシェン（Ardeşen）
• チャムルヘムシン（Çamlıhemşin）
• チャイェリ（Çayeli）
• デレパザル（Derepazarı）
• フンドゥクル（Fındıklı）
• ギュネイス（Güneysu）
• ヘムシン（Hemşin）
• イキズデレ（İkizdere）
• イイデレ（İyidere）
• カルカンデレ（Kalkandere）
• パザール（Pazar）

地理ちり

リゼは黒海こっかい地方ちほうに沿そって延のびる山脈さんみゃくの北部ほくぶに位置いちしている。海うみに近ちかく、夏なつは涼すずしく（7月がつの平均へいきん気温きおん=22℃）、冬ふゆは温あたたかい（1月がつの平均へいきん気温きおん=7℃）。年ねんを通とおして降水こうすい量りょうは多おおく、雨量うりょうの多おおいこの地域ちいきはトルコ最大さいだいの茶ちゃの生産せいさん地ちとなっている。また、最近さいきんはキウイフルーツも栽培さいばいされている。

この県けんは一般いっぱん的てきに田舎いなかの風景ふうけいであり、山地さんちや谷間たにま、高地こうちの牧まき地ちなどが観光かんこう客きゃくをひきつけている。Çamlıhemşin村むらは特とくに休暇きゅうかの長旅ながたびに有名ゆうめいである。山やまの人里ひとざとはなれた地域ちいきには道みちがなく、ケーブルカーが人ひとや物品ぶっぴんの輸送ゆそうに使つかわれている。

新設しんせつされた黒海こっかい海岸かいがん道路どうろはリゼへのアクセスを容易よういにし、2000年代ねんだい早期そうきには県けん外がいから田舎町いなかまちへの観光かんこう客きゃくが増加ぞうかしている。この観光かんこう客きゃくは田舎いなかの伝統でんとう的てきな生活せいかつと手ての付つけられていない自然しぜんが関心かんしんを呼よんでいる。一方いっぽう、この道路どうろは海岸かいがん線せんの野生やせい動物どうぶつを危機きき的てきな状況じょうきょうに追おい込こんでいるとも言いわれる。現げん県知事けんちじはこの道路どうろの拡大かくだいに反対はんたいしており、養蜂ようほう、マスの養殖ようしょく、有機ゆうき栽培さいばいの茶ちゃの生産せいさんを推進すいしんしている。

原生げんせい植物しょくぶつにはセイヨウバクチノキがある。この植物しょくぶつは食用しょくようの小ちいさな黒くろいプラムの実みをつけ、これは食しょくすると口くちの中なかにステインが残のこり、黒くろくなる。ビルベリーも積極せっきょく的てきに栽培さいばいされている。また、茶ちゃはこの地ちの原生げんせいではないが、この地ちでは非常ひじょうに良よく育そだつ。

リゼの一部いちぶにかかる東ひがし黒海こっかい山脈さんみゃくは古生代こせいだいに形成けいせいされ、渓谷けいこくは白はく亜紀あきからの浸食しんしょくによって形成けいせいされたと考かんがえられる。

歴史れきし

古代こだい

この県けんに関かんしての古代こだいの情報じょうほうは少すくない。密度みつどの高たかい森もりに覆おおわれ、発掘はっくつや発見はっけんが進すすんでいない。 最初さいしょ期きの記録きろくとしてはクルク人じん、クルハ人じんというアジアの民族みんぞくが住すんでおり、これらの後のちにこの地域ちいきを支配しはいしたウラルトゥ王おうサルドゥリ2世せいが建たてた碑いしぶみにその名前なまえが見みられる。

この後のち、コーカサスからサカのスキタイ人ひとに追おい落おとされて逃にげてきたキンメリアの氏族しぞくが移住いじゅうし、Çoruh川かわ付近ふきんに住すみ着ついた。キンメリア人じんはアナトリアに広ひろまり、いまでもリゼの村むらの幾いくつかの場所ばしょは彼かれらにちなんでKemerと呼よばれている。この後のち、サカの民族みんぞくが東部とうぶヨーロッパに広ひろまり、紀元前きげんぜん680年ねんには最後さいごに残のこっていたグルジアのキンメリアを壊滅かいめつさせた。しかし、そのサカもメディア王国おうこくの攻撃こうげきを受うけ、サカ王おうマドヴァは626年ねんに殺害さつがいされた。この後のち、この地域ちいきはトルコ人じんとグルジア人じんに占領せんりょうされた。

中世ちゅうせい

プリニウスによると、紀元前きげんぜん670年ねんから古代こだいギリシャは黒海こっかい沿岸えんがんにコミュニティーを確立かくりつし交易こうえきを行おこなっており、これらの一ひとつにリゼが見みられる。ペルシャ軍ぐんがアレクサンドロス3世せい（大王だいおう）に敗やぶれるまでこの地ちはペルシャ帝国ていこくから攻撃こうげきされ、被害ひがいを受うけることが多おおかった。アレキサンダー大王だいおうの死しとともにアナトリアにはビテュニア、カッパドキアのような多おおくの王国おうこくが生うまれ、黒海こっかいの東ひがし端はしであるこの地ちの近郊きんこうにはポントスができ、リゼもファルナケス1世せいの手てによってポントスに併合へいごうされた。

10年ねんから395年ねんからはロろーマ帝国まていこくに支配しはいされた。さらに、ビザンチン帝国ていこく(東ひがしロろーマ帝国まていこく)が続つづき、プリニウスやアッリアノスはこの地域ちいきのラズ人じんについて記録きろくしている。

しかしながら、リゼは遅おそくとも626年ねんには東ひがしのペルシャからHemşin近郊きんこうにスキタイ人じんが移住いじゅうしはじめている。ペルシャがグルジア王国おうこくを破やぶり、さらにマラズギルトの戦たたかいでビザンチン帝国ていこくを破やぶった11世紀せいきには多おおくのトゥルクがこの地ちに住すみ始はじめ、Çoruh川がわの地域ちいきはアナトリアのトルコ人じんの王国おうこくに組くみ入いれられた。

キプチャク系けいトゥルクも含ふくむ多おおくのトルコ人じんがこの地ちの沿岸えんがん部ぶに植民しょくみんしたが、1098年ねんにビザンチン帝国ていこくに再度さいど飲のみ込こまれる。この後のち1024年ねんにはコンスタンティノープル包囲ほういが行おこなわれた。この後のちさらにこの地ちはビザンチン帝国ていこくの亡命ぼうめい政権せいけんであるトレビゾンド帝国ていこくの一部いちぶになった。

しかし、ビザンチンに戻もどった時代じだいもこの地域ちいきはトルコ人じんの移住いじゅう地ちであり続つづけ、植民しょくみん者しゃの共同きょうどう体たいも続つづいた。

トルコ時代じだい

この地域ちいきがセルジューク朝あさの庇護ひごの下したにある時代じだい、アナトリアの多おおくのトゥルク系けいの氏族しぞくがこの地ちに移住いじゅうしたが、その忠誠ちゅうせいは低ひくく、この地ちでは多おおくの反逆はんぎゃくと暴動ぼうどうが起おこっている。これらはトレビゾンド帝国ていこくがオスマン帝国ていこくに朝貢ちょうこうし、1461年ねんに滅ほろぼされるまで続つづき、1470年ねん、リゼはロろーマ帝国まていこくから連綿れんめんと続つづく帝国ていこくの最後さいごの県けんとして陥落かんらくした。

第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんではカフカース戦線せんせんの戦場せんじょうとなり、1916年ねんから1918年ねんにかけてはロシア帝国ていこくに占領せんりょうされた。これは1918年ねんのブレスト＝リトフスク条約じょうやくで返還へんかんされた。

1924年ねんからはリゼはトルコ共和きょうわ国こくの県けんになった。現在げんざいはこの地域ちいきからは徐々じょじょにローマ、ギリシャ風ふうの地名ちめいの名残なごりが消きえていっている（Pilihozが現在げんざいはDumankaya, Mapavriが現在げんざいはÇayeliにそれぞれ変かわった）。しかしながらポントス時代じだいからの古ふるい地名ちめいは今いまも変かわらず使つかわれている。県けん名めいもその一ひとつである。

1940年代ねんだいに入はいり茶ちゃの生産せいさんが始はじまるまではこの地域ちいきは鉄てつのカーテンの向むこうにソビエトが見みえるだけの辺境へんきょうの貧窮ひんきゅう地域ちいきであり、多おおくの世代せだいがイスタンブールや外国がいこくに出稼でかせぎをしていた。

リゼの町まちは迫せまった山地さんちと海岸かいがんの間あいだの狭せまい平地ひらちの町まちである。この地域ちいきは町まちによって、人々ひとびとの生活せいかつ習慣しゅうかんが様々さまざまであり、辺鄙へんぴな村むらでは雨あめの激はげしい高たかい山やまの傾斜地けいしゃちに木造もくぞう建築けんちくが立たち並ならんでいる。リゼ茶ちゃの生産せいさん地ちとしても知しられるようになった。

文化ぶんか

料理りょうり

この地域ちいきの伝統でんとう的てきな料理りょうり法ほうはとてもコクがあり、アンチョビがスープ、サラダ、ピラフ、デザートなど多おおくの料理りょうりに使つかわれている。郷土きょうど料理りょうりにはhamsi buğulama（イワシの重かさね蒸むし煮に）、hamsi stew（煮込にこみシチュー）、kamsi köfte（イワシのつみれ）などが揚あげられる。Lahana çorbası (キャベツスープ), muhlama (チーズ、とうもろこし粉こ、バターから作つくられる)や、pides (様々さまざまな味あじのピタパン)も郷土きょうど料理りょうりとして挙あげられる。

フォークダンス

ケメンチェの伴奏ばんそうでホロンと呼よばれるダンスが披露ひろうされている。また、ツルムやカバルによる伴奏ばんそうも多おおい。このダンスの際さいは伝統でんとうの衣装いしょうを着きている。男性だんせいはシャツ、ベスト、ジャケット、ジプカ（膝ひざ丈たけのフェルトのズボン）、黒くろい靴くつを履はいて踊おどる。ジャケットには銀ぎんの刺繍ししゅうがあり、これはhemayilsと呼よばれる宗教しゅうきょう的てきなお守もりで人々ひとびとを邪悪じゃあくから守まもるとされている。女性じょせいの踊おどり子こはカラフルな衣装いしょうと自身じしんが様々さまざまなモチーフを描えがいたスカーフを身みにまとって踊おどる。

工芸こうげい品ひん

リゼは様々さまざまの伝統でんとう的てきな工芸こうげい品ひんと記念きねん品ひんを製作せいさくしている。 枝えだ編あみ細工ざいくのかご、銅どう細工ざいく、ソックス、肩掛かたかけ鞄かばん、ツゲでできたスプーンなどが有名ゆうめいである。

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