ヴァードー

ヴァードー （ Vardø^{[ヘルプ/ファイル]}, フィンランド語ご：Vuoreija, Vuorea, サーミ語ご：Várggát）は、ノルウェー王国おうこくトロムス・オ・フィンマルク県けんの町まち。面積めんせき600平方へいほうキロメートル、人口じんこう1,959人にん（2021年ねん^[1]）。ノルウェーの最もっとも北東ほくとうの地点ちてんにある。

地名ちめいの由来ゆらい[編集へんしゅう]

ノース語ごのVargøyに由来ゆらいする。vargrはオオカミ、øyは島しまを表あらわす。vargrはのちにケアンを意味いみするvarðaと替かわった。

紋章もんしょう[編集へんしゅう]

1895年ねんから使用しようされている。漁船ぎょせんとタラ、朝日あさひを表あらわす。ラテン語らてんごでモットーVARDØENSIS INSIGNIA URBIS. CEDANT TENEBRÆ SOLI.（ヴァードーの紋章もんしょう。暗闇くらやみは太陽たいようへの道筋みちすじを常つねに与あたえる）が書かかれている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

石器せっき時代じだいやサーミ鉄器てっき時代じだいの遺跡いせきが島しまに残のこっており、定住ていじゅう者しゃが居いたと考かんがえられている。

1307年ねん、教会きょうかいと最初さいしょの要塞ようさいが同どう時期じきに建たてられた。中世ちゅうせいにはノルウェー王国おうこく最さい東ひがしの要塞ようさいとして重要じゅうよう視しされた。南東なんとう部ぶのØstervågen地区ちくでは、800年ねん以上いじょう前まえから住民じゅうみんが居いたと記録きろくされている。フィンマルクで唯一ゆいいつ要塞ようさいや役所やくしょが有ある重要じゅうような土地とちだったが、漁獲ぎょかく高だかの減少げんしょうに伴ともなって衰退すいたいした。

16世紀せいき中期ちゅうき、人口じんこうは約やく400～500人にんだった。

17世紀せいき、ヴァードーは魔女まじょ狩かりの中心ちゅうしん地ちだった。90人にん以上いじょうのノルウェー人じんやサーミ人じんが処刑しょけいされた。

1789年ねん、ヴァードーは町まちの地位ちいを得えた。人口じんこうは約やく100人にんまで減少げんしょうした。

1850年ねん以降いこう、ロシアの白しろ海うみ地方ちほうとのポモー交易こうえきによって町まちは再ふたたび発展はってんした。1850年ねんには人口じんこうは400人にんまで回復かいふくした。

1910年ねん、人口じんこうが3000人にんを突破とっぱした。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんでは、ノルウェーはドイツ国防こくぼう軍ぐんに占領せんりょうされた。ヴァードーはロシアを中心ちゅうしんとする連合れんごう軍ぐんに激はげしく爆撃ばくげきされた。中心ちゅうしん部ぶの殆ほとんどは破壊はかいされ、住人じゅうにんは避難ひなんした。

戦後せんご、中心ちゅうしん部ぶは完全かんぜんに復興ふっこうされた。古ふるい伝統でんとう的てきな建物たてものはØstervågen地区ちく等とう周辺しゅうへん部ぶに残のこっている。

地理ちりと気候きこう[編集へんしゅう]

ヴァードーはノルウェーで最もっとも東ひがしにある町まちで、実際じっさいにサンクトペテルブルク、キエフ、イスタンブールよりも東ひがしに位置いちしている。フィンマルク県けんの東ひがし端はしは、たとえ日にち中ちゅうの時間じかんが1時間じかん以上いじょう多おおくても、県内けんないの他所よそと同おなじ標準時ひょうじゅんじである。

ヴァードー港こうはバレンツ海うみに面めんし、暖流だんりゅうの北大西洋きたたいせいよう海流かいりゅうの影響えいきょうで一いち年ねんを通とおして不凍港ふとうこうである。ヴァードーはいつも、寒帯かんたいにあるノルウェー唯一ゆいいつの本土ほんどの町まちと称しょうされる。しかし厳密げんみつに言いえばヴァードーのある島しまはヴァランゲル半島はんとう（英語えいご版ばん）の北東ほくとう岸がんより2キロの位置いちにある。ヴァードーの7月がつの平均へいきん気温きおんは9.1℃しかないが、冬ふゆは高緯度こういどの割わりに温暖おんだんで、1月がつの平均へいきん気温きおんは－5.1℃である。

島しまは海底かいていトンネルを経由けいゆして本土ほんどとつながっている（ノルウェー初はつの海底かいていトンネル）。ヴァードー空港くうこうはトンネル入いり口くちの反対はんたい側がわにある、本土ほんどの自治体じちたいSvartnesである。ヴァードーは、ノルウェー沿岸えんがん部ぶの町まちをまわるフェリーの寄港きこう地ちの一ひとつである。町まちはクレタ島とうシティアから続つづいたE75の最終さいしゅう地点ちてんである。

経済けいざいと観光かんこう[編集へんしゅう]

漁業ぎょぎょうと水産すいさん品ひん加工かこうがヴァードーの主しゅたる収入しゅうにゅう源げんであるが、観光かんこうも重要じゅうような経済けいざい要素ようそとなりつつある。

ヴァードーの観光かんこうの目玉めだまは、13世紀せいき後半こうはんにできたというVardøhus城塞じょうさいで、現在げんざいのものは1734年ねんに作つくられたものである。町まちには2つの博物館はくぶつかんがあり、1つは白しろ海うみ沿岸えんがん貿易ぼうえきなどの地域ちいき史しと、野鳥やちょう、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中なかのドイツ軍ぐん防御ぼうぎょ物ぶつの名残なごりなどを展示てんじする。ヴァードーの雪合戦ゆきがっせん大会たいかいはユニークな催もよおしとして知しられる。

Vardøhus城塞じょうさいには2本ほんのナナカマドの木きが立たち、入念にゅうねんに育そだてられ冬ふゆも暖あたたかくしていた（普通ふつう、北極ほっきょくの樹木じゅもく生育せいいく境界きょうかい線せんより北きたにあるヴァードーの冷涼れいりょうな気候きこうでは樹木じゅもくが育そだつことはない）。1960年ねんに最初さいしょに7本ほんの木きが植林しょくりんされた。そのうち1本ほんは成長せいちょうし、花はなを2度ど咲さかせた。その木きも寒さむい気候きこうのため2002年ねんに倒たおれてしまったが、新あらたに2本ほんの若木わかぎが同おなじ場所ばしょに植うえられた。

グローバスIIレーダー[編集へんしゅう]

1998年ねんより、町まちにはグローバスIIという名なのレーダーが配備はいびされている。公式こうしき目的もくてきはスペースデブリ追跡ついせきとなっている。しかし、設置せっち場所ばしょがロシア国境こっきょうに非常ひじょうに近ちかいことから、グローバスIIシステムとアメリカの迎撃げいげきミサイルシステムとの関連かんれんが揶揄やゆされ、外交がいこう上じょうの議論ぎろんを巻まき起おこした。