三さん教きょう

孔子こうしが老子ろうしに仏陀ぶっだを手渡てわたす画が

三さん教きょう（さんきょう、さんごう）とは、中国ちゅうごくで最もっとも信仰しんこう者しゃ数すうの多おおい仏教ぶっきょう・道教どうきょう・儒教じゅきょうを一括いっかつする言葉ことば。ただし、儒教じゅきょうは事実じじつ上じょうの宗教しゅうきょうでは無ないことから、この概念がいねんについては異論いろんがある。

概要がいよう

廃はい仏ぼとけ事件じけんのあった北きた周あまねの時期じきより、使つかわれ始はじめる。

廃はい仏ぼとけを断行だんこうした武たけ帝みかどは、その廃はい仏ふつ断行だんこう前まえから、三さん教きょう談論だんろんを数すう次じにわたって開催かいさいして、その優劣ゆうれつを、儒者じゅしゃ・僧侶そうりょ・道士どうしに討議とうぎさせていた。

この三さん教きょう談論だんろんの慣習かんしゅうは、隋ずい唐とうにまで受うけ継つがれ、形式けいしき化かしたものではあったが、宮中きゅうちゅうで行おこなわれる風かぜが受うけ継つがれた。

また、北きた周あまねの廃はい仏ぼとけに関与かんよした衛まもる元もと嵩かさには、『斉ひとし三さん教きょう論ろん』7巻かんの著作ちょさくがあったことが、『旧きゅう唐とう書しょ』「経籍けいせき志こころざし」と『新しん唐とう書しょ』「芸文げいぶん志こころざし」の子こ部ぶ・道家どうか類るいに著録ちょろくされている。但ただし、既すでに散佚さんいつしており、その逸文いつぶんも見みられないことから、その内容ないようを知しることは出来できない。

ベトナムでは、上記じょうきの3つの宗教しゅうきょうが共存きょうぞんし、相互そうご作用さようし、ベトナムの文化ぶんか価値かちになった。ベトナムにおける三さん教きょうの文化ぶんか加算かさん性せい（cultural additivity）の現象げんしょうの研究けんきゅうは、文化ぶんか加算かさん性せいの概念がいねんに関かんする世界せかい初はつの研究けんきゅうであり、ベトナムの主おもな人文じんぶん社会しゃかい科学かがく研究けんきゅうの一ひとつである。

三さん教きょうからの文化ぶんか加算かさんした価値かちは認識にんしきと行動こうどうに影響えいきょうを与あたえる（例たとえば、ベトナムにおける嘘うそや暴力ぼうりょくについての認識にんしき、新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょう対策たいさくの反応はんのう、中国ちゅうごくにおける事業じぎょう運営うんえい）。紺野こんの 登のぼる（こんの のぼる）博士はかせの知識ちしき研究けんきゅうより、現代げんだい社会しゃかいの知的ちてき資本しほんにとって、文化ぶんか加算かさん性せいの概念がいねんは検討けんとうする必要ひつようがある。

日本にっぽんにおいては近世きんせいの一時期いちじき、道教どうきょうが入はいらず、神道しんとうを入いれて儒教じゅきょう、仏教ぶっきょう、神道しんとうを指さす言葉ことばとして「三さん教きょう」という言葉ことばが用もちいられていたことがある。

関連かんれん項目こうもく

• 習合しゅうごう
• 三さん教きょう指ゆび帰き
• 三さん教きょう珠たま英えい
• 三さん教きょう平ひら心しん論ろん

参考さんこう文献ぶんけん

• 常盤大ときわだい定じょう著ちょ『支ささえ那なに於おける佛教ぶっきょうと儒教じゅきょう道教どうきょう』（1930年ねん）
• 久保田くぼた量りょう遠とお『支ささえ那な儒道じゅどう仏ほとけ三さん教きょう史論しろん』（1931年ねん）

外部がいぶリンク

• 儒仏じゅぶつ道どう三さん教きょう交渉こうしょうの諸相しょそう