上方かみがた

上方かみがた（かみがた、かみかた）は、主おもに江戸えど時代じだいに京都きょうとや大坂おおさかを始はじめとする五ご畿内きないを呼よんだ名称めいしょうである。京都きょうとのみを指さす場合ばあいや、畿内きないを始はじめとする近畿きんき地方ちほう一帯いったいを指さす場合ばあいもあった。

概説がいせつ

当時とうじ天皇てんのうが住すんでいた京都きょうとを「上うえ」とする考かんがえ方かたから生しょうじた語かたりで、政治せいじの中心ちゅうしんである江戸えどに対たいして古ふるくからの経済けいざい・文化ぶんかの中心地ちゅうしんちを指さす語かたりとして用もちいられた。「上方かみがた」の語かたりの初出しょしゅつは、鎌倉かまくら末期まっきごろ成立せいりつの狂言きょうげん「腹はら不ふ立だて（はらたてず）」とされる。

江戸えど幕府ばくふは五ご畿内きない（和泉いずみ国こく・摂津せっつ国こく・河内かわうち国こく・大和やまと国こく・山城やましろ国こく）とその隣接りんせつする三さん州しゅう（播磨はりま国こく・丹波たんば国こく・近江おうみ国こく）を上方かみがた筋すじ（かみがたすじ）と定義ていぎした。明治めいじ時代じだいには五ご畿内きないのみを「上方かみがた」、五ご畿内きない三さん州しゅうを「上方かみがた筋すじ」とされることもあった。

上方かみがたにおける文化ぶんかは上方かみがた文化ぶんかと呼よばれ、代表だいひょう的てきなものに上方かみがた舞まい、上方かみがた歌か、上方かみがた落語らくご、上方かみがた漫才まんざい、上方かみがた歌舞伎かぶき、上方かみがた三味線しゃみせん、上方かみがた浮世絵うきよえ、上方かみがた言葉ことば、人形浄瑠璃にんぎょうじょうるり文楽ぶんらくなどがある。また、上方かみがたの商人しょうにんとして伊勢いせ商人しょうにんと近江おうみ商人しょうにんの存在そんざいが大おおきかった。

上方かみがたは近世きんせい初期しょきまで日本にっぽんの経済けいざい・文化ぶんかの中心ちゅうしん地ちであり、江戸えど時代じだい初期しょきにおける元禄げんろく文化ぶんかも上方かみがたを中心ちゅうしんに花開はなひらいた。江戸えどの発展はってんとともに関東かんとうへも先進せんしん的てきな上方かみがた文化ぶんかが東漸とうぜんし、18世紀せいきの明和めいわ期き頃ごろから徐々じょじょに江戸えど特有とくゆうの庶民しょみん文化ぶんかが開花かいか、江戸えど時代じだい後期こうき（化か政せい期き）に至いたるとようやく江戸えどが上方かみがたと並ならぶ文化ぶんかの発信はっしん地ちとなった。

脚注きゃくちゅう

出典しゅってん

• 福井ふくい栄一えいいち『上方かみがた学がく ～ 知しってはりますか、上方かみがたの歴史れきしとパワー』2003年ねん、ＰＨＰ研究所ぴーえいちぴーけんきゅうしょ、ISBN 978-4569578842

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