妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ

妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ（にんしんちゅうぜつ、英えい: abortion）とは、妊娠にんしんの持続じぞく中断ちゅうだんや子宮しきゅう内容ないようの排出はいしゅつを意味いみする。自然しぜん妊娠にんしん中絶ちゅうぜつと人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつとに分わけられるが、基本きほん的てきには後者こうしゃを指さす場合ばあいが多おおい。

一般いっぱんに中絶ちゅうぜつ時期じきからは妊娠にんしん22週しゅう未満みまんの場合ばあいを流産りゅうざん（自然しぜん妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ）、娩出後こうも生存せいぞん可能かのうな22週しゅうから37週しゅう未満みまんの場合ばあいをかつては早産そうざんと呼よばれていた。流産りゅうざんの場合ばあいには子宮しきゅう内ないの胎児たいじは生命せいめい保持ほじ不可能ふかのうな状態じょうたいでの娩出であり、日本にっぽんの母体ぼたい保護ほご法ほうにおける人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつはこの期間きかん内ないに行おこなわれ、人工じんこう流産りゅうざん・人工じんこう中絶ちゅうぜつとも呼よばれる。胎児たいじが母体ぼたい外がいで生命せいめいを保たもて続つづけすることのできない時期じきは、厚生こうせい事務次官じむじかん通知つうちで定さだめることとされていて、1991年ねんより満まん24週しゅうから満まん22週しゅう未満みまん（21週しゅう6日にち目めまで可か）に短縮たんしゅくされた。また1996年ねんの改正かいせいによって，優生ゆうせい学がく的てき理由りゆうによる人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつを認みとめる規定きていは削除さくじょされた。

妊娠にんしん中絶ちゅうぜつの時期じきにより、妊娠にんしん12週しゅう（3ヶ月かげつ）以後いごから6か月げつまでの死児しじの出産しゅっさんを「死産しざん」と表記ひょうきする。避妊ひにんミスをした際さいに性交せいこう後ご72時間じかん以内いないの緊急きんきゅう避妊ひにん薬やく（アフターピル）服用ふくようも中絶ちゅうぜつと呼よぶ場合ばあいもあるが、実際じっさいには妊娠にんしん後ごも中絶ちゅうぜつ出来できる「中絶ちゅうぜつ薬やく」とは別べつである。

医学いがく上じょう、自然しぜん妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ（一般いっぱん的てきな意味いみでの流産りゅうざん）の場合ばあいも含ふくまれる。各かく項目こうもくの記述きじゅつを参照さんしょう。

区分くぶん・定義ていぎ

要因よういんによる区別くべつ

• 自然しぜん流産りゅうざん、自然しぜん死産しざん：（自然しぜん妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ: spontaneous abortion ）
• 人工じんこう流産りゅうざん、人工じんこう死産しざん：（人工じんこう妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ: induced abortion ）

日本にっぽん産科さんか婦人ふじん科か学会がっかいによる定義ていぎ

• 流産りゅうざん：妊娠にんしん22週しゅう未満みまんの妊娠にんしんの中絶ちゅうぜつによって胎児たいじが死亡しぼうした場合ばあいのこと。胎児たいじが母体ぼたい外がいで生存せいぞんできない時期じきにおける妊娠にんしんの中絶ちゅうぜつを意味いみする。
• 死産しざん：妊娠にんしん22週しゅう以降いこうの妊娠にんしんの中絶ちゅうぜつによって胎児たいじが死亡しぼうした場合ばあいのこと。

妊娠にんしん中絶ちゅうぜつに利用りようされることのある薬くすり

かつては妊娠にんしん中絶ちゅうぜつを目的もくてきとして、パセリなどに含有がんゆうされるアピオールを用もちいたこともあり、妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ目的もくてきではなくアピオールを含ふくんだ食物しょくもつを誤あやま食しょくしたことが原因げんいんで流産りゅうざんに至いたる場合ばあいがあることも知しられている。医薬品いやくひんとしては、他たにプロスタグランディン類るいのミソプロストールやジノプロストンが利用りようされることもある。また、脳下垂体のうかすいたい後葉こうようから分泌ぶんぴつされるホルモンの1種しゅであるオキシトシンを使用しようする場合ばあいもある。この他ほかに、合成ごうせいホルモン剤ざいでステロイド骨格こっかくを持もったミフェプリストンが用もちいられることもある。

外部がいぶリンク

• 中絶ちゅうぜつ - MSDマニュアル
• 『妊娠にんしん中絶ちゅうぜつ』 - コトバンク