五十肩ごじゅうかた

五十肩ごじゅうかた
右肩みぎかたの肩かた甲かぶと骨こつと上腕じょうわん骨こつをつなぐ肩かた関節かんせつ部ぶの解剖かいぼう図ず。図ず中央ちゅうおうの関節かんせつ包つつみが硬化こうかし関節かんせつが動うごかなくなる
概要がいよう
診療しんりょう科か	リウマチ学がく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう

五十肩ごじゅうかた（ごじゅうかた、英えい: frozen shoulder）は、肩かたの痛いたみと運動うんどう制限せいげんをきたす疾患しっかん。莢さいかち膜まく炎ほのお、膠着こうちゃく性せい関節かんせつ炎えん（英えい: adhesive capsulitis）ともいう。四よん十じゅう肩かたともいわれる。正式せいしきには肩かた関節かんせつ周囲しゅうい炎えん（英えい: shoulder periarthritis）という疾患しっかん群ぐんのことで、肩かた関節かんせつの周囲しゅういに起おこる炎症えんしょうのこと。従来じゅうらいは腱けん板ばん損傷そんしょうや石灰せっかい沈着ちんちゃく性せい腱けん板いた炎えんなども含ふくめて五十肩ごじゅうかたと呼よんでいたが、近年きんねんでは原因げんいんが明あきらかな疾患しっかんは五十肩ごじゅうかたに含ふくめない。すなわち、「肩かたに疼痛とうつう（痛いたみ）と運動うんどう障害しょうがいがある」「患者かんじゃの年齢ねんれいが40才さい以上いじょうである」「明あきらかな原因げんいんが無ない」という3条件じょうけんを満みたすものを五十肩ごじゅうかたと呼よぶ。

症状しょうじょう

最初さいしょ、肩かた関節かんせつ付近ふきんに鈍痛どんつうが起おこり、腕うでの可動かどう範囲はんいの制限せいげんが起おこる。次第しだいに痛いたみは鋭するどいものになり、急きゅうに腕うでを動うごかす場合ばあいなどに激痛げきつうが走はしるようになる。痛いたみのために、腕うでを直角ちょっかく以上いじょうに上あげられなくなったり、後うしろへはほとんど動うごかせないなどの運動うんどう障害しょうがいが起おこる。生活せいかつにも支障ししょうをきたすようになり、重症じゅうしょう化かすると、洗髪せんぱつ、髪かみをとかす、歯磨はみがき、炊事すいじ、洗濯せんたく物ぶつを干ほす、電車でんしゃのつり革かわにつかまる、洋服ようふくを着きる、寝返ねがえりを打うつ、排便はいべん後ごの尻しりの始末しまつなどが不自由ふじゆうとなり、日常にちじょう生活せいかつに大おおきな困難こんなんをもたらす場合ばあいがある。軽症けいしょうで済すむか重症じゅうしょう化かするかの仕組しくみもはっきりしていない。

痛いたみは片方かたがたの肩かただけの場合ばあいと、一方いっぽうの肩かたが発症はっしょうして、しばらく経たつともう片方かたがたの肩かたにも発症はっしょうしてしまう場合ばあいとがあるが、片方かたがたの肩かたが発症はっしょうしてしまうと、もう一方いっぽうも発症はっしょうする確かく率りつが高たかいようで、これを防止ぼうしすることは難むずかしい。また痛いたみのピーク時じには肩かたの痛いたみに加くわえて、腕うで全体ぜんたいにだるさや痺しびれがあることも。常つねに腕うでをさすっていないと我慢がまんできない、と訴うったえる患者かんじゃもいる。

初期しょきの症状しょうじょうが始はじまってからピークを迎むかえるまで数ヶ月すうかげつを要ようし、ピークは数すう週間しゅうかん続つづき次第しだいに和やわらいでくる。痛いたみのレベルにもよるが、鋭するどい痛いたみが感かんじられなくなるまでに半年はんとし前後ぜんこう、さらにボールなど物ものを投なげられるようになるまでには1年ねん前後ぜんこうかかる。腕うでの可動かどう範囲はんいを発症はっしょう前まえの状態じょうたいまでに戻もどせるかどうかは、痛いたみが緩和かんわした後のちのリハビリ次第しだいだが、多おおくの場合ばあい、発症はっしょう前まえの状態じょうたいには戻もどりにくい。

治療ちりょう

炎症えんしょう期き（初期しょきの疼痛とうつうが強つよい時期じき）は肩かたを無理むりに動うごかすことを避さけ、肩かたの保温ほおんを図はかる。拘かかわ縮ちぢみ期き（拘かかわ縮ちぢみが完成かんせいする時期じき）には温熱おんねつ療法りょうほうを行おこなう。また、症状しょうじょうに合あわせてストレッチやコッドマン体操たいそう（アイロン体操たいそう）を行おこなう。拘かかわ縮ちぢみが和やわらいできたら肩かたの運動うんどうを徐々じょじょに増ふやす。

五十肩ごじゅうかたは、腰痛ようつう、外傷がいしょう性せい頸部症候群しょうこうぐんなどとともに健康けんこう保険ほけんで鍼治療ちりょうが受うけられる6つの疾患しっかんの一ひとつである。

薬理やくり的てきな治療ちりょうとしては、関節かんせつへのヒアルロン酸さんもしくはキシロカインの注射ちゅうしゃが行おこなわれる。この際さい、ジアゼパムをあわせて服用ふくようすると、短期間たんきかん（炎症えんしょう期きからおよそ2週間しゅうかんから1ヶ月かげつ）で日常にちじょう生活せいかつに支障ししょうが無なくなる程ほど症状しょうじょうは緩和かんわされる。ジアゼパムによって症状しょうじょうが回復かいふくする傾向けいこうが見みられるのは、関節かんせつだけの障害しょうがいだけでなく周辺しゅうへん筋すじ・腱けんの炎症えんしょうが関連かんれんしていると考かんがえられる。ステロイドの関節かんせつへの注射ちゅうしゃは最大さいだい2ヶ月かげつが限度げんどとされる（それ以上いじょう投与とうよすると腱けんの劣化れっかが起おきるため）。ジアゼパムの抗こう不安ふあん作用さように対たいする耐たい性せいは誘導ゆうどうされないため、こちらも向こう精神せいしん薬やく的てき側面そくめんから長期ちょうきの服用ふくようは依存いぞん症しょうをもたらす恐おそれがある。しかし、激痛げきつうを緩和かんわし肩かたの可動かどう範囲はんいを発症はっしょう前まえにほぼ戻もどすのに必要ひつような期間きかんと、薬剤やくざいの投与とうよ可能かのう限度げんどは一致いっちするため、重大じゅうだいな問題もんだいは無ない。ひどい場合ばあいは対応たいおうできる診療しんりょう科かは整形せいけい外科げかに通院つういんする必要ひつようがある。

外部がいぶリンク

• 凍結とうけつ肩かたの解説かいせつ動画どうが(英語えいご)