交通こうつう事件じけん即決そっけつ裁判さいばん手続てつづき

交通こうつう事件じけん即決そっけつ裁判さいばん手続てつづき（こうつうじけんそっけつさいばんてつづき）は、交通こうつうに関かんする刑事けいじ事件じけんの迅速じんそく適正てきせいな処理しょりを図はかるために行おこなわれる即決そっけつ裁判さいばん手続てつづき。交通こうつう事件じけん即決そっけつ裁判さいばん手続てつづき法ほう（昭和しょうわ29年ねん法律ほうりつ113号ごう、以下いか「法ほう」という。）に規定きていされているが、現在げんざいは行おこなわれていない^[1]。

交通こうつう事件じけんの定義ていぎ[編集へんしゅう]

この手続てつづきで取とり扱あつかう交通こうつう事件じけんとは、道路どうろ交通こうつう法ほう（昭和しょうわ35年ねん法律ほうりつ第だい105号ごう）第だい8章しょうに規定きていされている罪つみに関かんする事件じけんである。

即決そっけつ裁判さいばんの請求せいきゅう[編集へんしゅう]

検察官けんさつかんが即決そっけつ裁判さいばんの請求せいきゅうをする際さいは、所管しょかんの簡易かんい裁判所さいばんしょに刑事けいじ訴訟そしょう法ほう（昭和しょうわ23年ねん法律ほうりつ第だい131号ごう）による公訴こうその提起ていきと同時どうじに書面しょめんで行おこなわなければならないが、検察官けんさつかんは被疑ひぎ者しゃに対たいし、あらかじめ即決そっけつ裁判さいばん手続てつづきを理解りかいさせるために必要ひつような事項じこうを説明せつめいし、刑事けいじ訴訟そしょう法ほうの規定きていに従したがい裁判さいばんを受うけることができる旨むねを告つげた上うえ、即決そっけつ裁判さいばん手続てつづきによることについて異議いぎがないかどうかを確たしかめなければならない。なお、検察官けんさつかんは、即決そっけつ裁判さいばんの請求せいきゅうと同時どうじに、即決そっけつ裁判さいばんをするために必要ひつようがあると思料しりょうする書類しょるい及および証拠しょうこ物ぶつを裁判所さいばんしょに差さし出だすこととなっている（法ほう第だい4条じょう、第だい5条じょう）。

即決そっけつ裁判さいばん[編集へんしゅう]

簡易かんい裁判所さいばんしょは、交通こうつうに関かんする刑事けいじ事件じけんについて検察官けんさつかんの請求せいきゅうにより、公判こうはん前まえ、即決そっけつ裁判さいばんで、50万まん円えん以下いかの罰金ばっきん又または科料かりょうを科かすることができる。この場合ばあいには、刑けいの執行しっこう猶予ゆうよをし、没収ぼっしゅうを科かし、その他た付随ふずいの処分しょぶんをすることができる。即決そっけつ裁判さいばんは、即決そっけつ裁判さいばん手続てつづきによることについて、被告人ひこくにんに異議いぎがあるときは、することができない（法ほう第だい3条じょう）。即決そっけつ裁判さいばん手続てつづきにおいては、被告人ひこくにんの憲法けんぽう上じょうの権利けんりを侵おかさない限かぎり、検察官けんさつかんが差さし出だした書類しょるい及および証拠しょうこ物ぶつ並ならびに期日きじつにおいて取調とりしらべをしたすべての資料しりょうに基もとづいて、裁判さいばんすることができる（法ほう第だい11条じょう）。即決そっけつ裁判さいばんの宣告せんこくをする場合ばあいには、罪つみとなるべき事実じじつ、適用てきようした法令ほうれい、科かすべき刑けい及および附随ふずいの処分しょぶん並ならびに宣告せんこくがあった日ひから14日にち以内いないに刑事けいじ訴訟そしょう法ほうの定さだめる通常つうじょうの規定きていによる審判しんぱん（正式せいしき裁判さいばん）の請求せいきゅうができる旨むねを告つげなければならず、即決そっけつ裁判さいばんの宣告せんこくをしたときは、その内容ないようが記録きろくされる（法ほう第だい12条じょう）。

正式せいしき裁判さいばんの請求せいきゅう[編集へんしゅう]

即決そっけつ裁判さいばんの宣告せんこくを受うけた者もの又または検察官けんさつかんは、その告知こくちを受うけた日ひから14日にち以内いないに正式せいしき裁判さいばんの請求せいきゅうをすることができる。この正式せいしき裁判さいばんの請求せいきゅうは、即決そっけつ裁判さいばんをした裁判所さいばんしょに、書面しょめんで行おこない、正式せいしき裁判さいばんの請求せいきゅうがあったときは、裁判所さいばんしょは、速すみやかにその旨むねを検察官けんさつかん又または略式りゃくしき命令めいれいを受うけた者ものに通知つうちすることとなっている（法ほう第だい13条じょう）。

即決そっけつ裁判さいばんの効力こうりょく[編集へんしゅう]

即決そっけつ裁判さいばんは、正式せいしき裁判さいばんの請求せいきゅうにより判決はんけつをしたときその効力こうりょくは失うしなわれる。また、即決そっけつ裁判さいばんは、正式せいしき裁判さいばんの請求せいきゅう期間きかんの経過けいか又またはその請求せいきゅうの取下とりさげにより、確定かくてい判決はんけつと同一どういつの効力こうりょくを生しょうずる。正式せいしき裁判さいばんの請求せいきゅうを棄却ききゃくする裁判さいばんが確定かくていしたときも、同様どうようである（法ほう第だい14条じょう）。