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交響 こうきょう 曲 きょく 第 だい 44番 ばん ホ短調 たんちょう Hob. I:44 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン が作曲 さっきょく した交響曲 こうきょうきょく 。『悲 かな しみ 』(または『哀悼 あいとう 』、独 どく : Trauer )の愛称 あいしょう で知 し られ、いわゆるハイドンの「シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風 しっぷう 怒濤 どとう )期 き 」に書 か かれた短調 たんちょう の交響 こうきょう 曲 きょく の一 ひと つであり、全 ぜん 楽章 がくしょう が緊張 きんちょう 感 かん に溢 あふ れている。
自筆 じひつ 楽譜 がくふ は残 のこ っていないが、ブライトコプフ・ウント・ヘルテル 社 しゃ の1772年 ねん のカタログに見 み えており、1771年 ねん 頃 ころ に作曲 さっきょく されたと考 かんが えられている[ 1] [ 2] 。
また、本 ほん 作 さく に用 もち いられたホ短調 たんちょう という調 しらべ 性 せい は、当時 とうじ の交響 こうきょう 曲 きょく にはほとんど用 もち いられた例 れい がなく(いくつかの例 れい の一 ひと つとして、オランダのヨハネス・フェルフルスト (英語 えいご 版 ばん ) は1840年 ねん 前後 ぜんご にホ短調 たんちょう の交響曲 こうきょうきょく を作曲 さっきょく している)、その後 ご の使用 しよう 例 れい は1885年 ねん に作曲 さっきょく されたヨハネス・ブラームス の『交響 こうきょう 曲 きょく 第 だい 4番 ばん 』まで待 ま たなければならない。
『悲 かな しみ 』(または『哀悼 あいとう 』)という愛称 あいしょう は、ハイドンによるものでもなければ古 ふる い筆写 ひっしゃ 譜 ふ にも見 み えないが、1809年 ねん 9月にベルリン で挙行 きょこう されたハイドンの追悼 ついとう 記念 きねん 行事 ぎょうじ で本 ほん 作 さく の緩徐 かんじょ 楽章 がくしょう が演奏 えんそう され、おそらくその事 こと によってこの愛称 あいしょう で呼 よ ばれるようになったと考 かんが えられている[ 3] 。
一方 いっぽう 、古 ふる い筆写 ひっしゃ 譜 ふ には『カノーネ・シンフォニア』(canone sinf. )と名 な づけられているものがあり、これはメヌエットにカノン が使 つか われていることに基 もと づいている[ 3] 。
オーボエ 2、ホルン 2、第 だい 1ヴァイオリン 、第 だい 2ヴァイオリン、ヴィオラ 、低音 ていおん (チェロ 、ファゴット 、コントラバス )。
全 ぜん 4楽章 がくしょう 、演奏 えんそう 時間 じかん は約 やく 24分 ふん [ 4] 。
第 だい 1楽章 がくしょう アレグロ ・コン・ブリオ
ホ短調 たんちょう 、4分 ぶん の4拍子 ひょうし 、ソナタ形式 けいしき 。
ユニゾンの印象 いんしょう 的 てき な音 おと 型 がた によって開始 かいし される第 だい 1主題 しゅだい の5度 ど 音程 おんてい が全曲 ぜんきょく を支配 しはい している[ 2] 。再現 さいげん 部 ぶ の終 お わり近 ちか くには低音 ていおん 、第 だい 1ヴァイオリン、第 だい 2ヴァイオリンが1小節 しょうせつ ずつずれて主題 しゅだい を演奏 えんそう する美 うつく しい箇所 かしょ がある。
第 だい 2楽章 がくしょう メヌエット :アレグレット (オクターヴ のカノン) - トリオ
ホ短調 たんちょう - ホ長調 ちょうちょう 、4分 ぶん の3拍子 ひょうし 。
主 しゅ 旋律 せんりつ を低音 ていおん 楽器 がっき が1小節 しょうせつ (途中 とちゅう から2小節 しょうせつ )遅 おく れて8度 ど 下 か で繰 く り返 かえ す平行 へいこう カノン による厳粛 げんしゅく なメヌエット 。楽譜 がくふ に記 しる された "Canone in Diapason" とは「オクターヴ のカノン」を意味 いみ する。トリオはホ長調 ちょうちょう に転 てん ずる。
メヌエットが第 だい 2楽章 がくしょう に配置 はいち されるのはハイドンの他 ほか の交響 こうきょう 曲 きょく では初期 しょき のものに限 かぎ られており、異例 いれい である[ 2] 。この曲 きょく より新 あたら しい曲 きょく では交響 こうきょう 曲 きょく 第 だい 68番 ばん でメヌエットが第 だい 2楽章 がくしょう に置 お かれている。
モーツァルト は、このメヌエットに触発 しょくはつ されて『カッサシオン 第 だい 1番 ばん ト長調 とちょうちょう K. 63』のメヌエット(第 だい 4楽章 がくしょう )において、1小節 しょうせつ 遅 おく れによる2声 こえ のカノンを作曲 さっきょく している。その後 ご 、モーツァルトは対位法 たいいほう 的 てき な技法 ぎほう を醍醐味 だいごみ とした、メヌエットらしくないメヌエットを度々 たびたび 生 う み出 だ すこととなった。例 たと えば、『弦楽 げんがく 四 よん 重奏 じゅうそう 曲 きょく 第 だい 18番 ばん イ長調 いちょうちょう K. 464 』のメヌエット(第 だい 2楽章 がくしょう )は、対位法 たいいほう 的 てき な技法 ぎほう を駆使 くし した傑作 けっさく として高 たか い評価 ひょうか を得 え ている。
第 だい 3楽章 がくしょう アダージョ
ホ長調 ちょうちょう 、4分 ぶん の2拍子 ひょうし 、ソナタ形式 けいしき 。
美 うつく しい緩徐 かんじょ 楽章 がくしょう 。弦楽器 げんがっき のみではじまり、弱音 よわね 器 き を付 つ けたヴァイオリンが主題 しゅだい を演奏 えんそう する。リズムを変 か えて主題 しゅだい を繰 く り返 かえ した後 のち に管楽器 かんがっき が加 くわ わり、3連 れん 符 ふ の連続 れんぞく によって進行 しんこう する。
第 だい 4楽章 がくしょう フィナーレ:プレスト
ホ短調 たんちょう 、2分 ぶん の2拍子 ひょうし 、ソナタ形式 けいしき 。
第 だい 1楽章 がくしょう と同様 どうよう にユニゾンではじまった後 のち にポリフォニック に進行 しんこう する。展開 てんかい 部 ぶ のはじめには同 おな じ音 おん 型 がた でどんどん音 おと が高 たか くなっていく(ゼクエンツ )緊張 きんちょう 感 かん あふれる部分 ぶぶん がある。
^ 大宮 おおみや (1981) 表 ひょう p.5
^ a b c デッカ・レコード のホグウッドによるハイドン交響曲 こうきょうきょく 全集 ぜんしゅう 第 だい 6巻 かん 、ウェブスターによる解説 かいせつ 。1992年 ねん
^ a b 大宮 おおみや (1981) p.177
^ 音楽之友社 おんがくのともしゃ ミニスコアによる