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交響曲こうきょうきょく

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交響曲こうきょうきょく(こうきょうきょく、えい: Symphonyどく: Sinfonie / Symphonie)は[注釈ちゅうしゃく 1]管弦楽かんげんがくによって演奏えんそうされる楽章がくしょう構成こうせいだい規模きぼ楽曲がっきょくである。シンフォニーシンフォニア: Sinfonia)ともばれる。「管弦楽かんげんがくのためのソナタ」でもある。

原則げんそくとして4つ程度ていど楽章がくしょうによって構成こうせいされ、そのうちのすくなくとも1つの楽章がくしょうソナタ形式けいしきであることが定義ていぎであるが、とくきん現代げんだいにおいては例外れいがいおおい。

歴史れきし[編集へんしゅう]

17世紀せいきイタリアオペラ序曲じょきょくシンフォニアばれていたが、G.B.サンマルティーニがこの序曲じょきょくのみを独立どくりつさせ、演奏えんそうかいよう演奏えんそうしたのが起源きげんとされる。また、バロック時代じだい合奏がっそう協奏曲きょうそうきょくとくにコンチェルト・シンフォニア、サンフォニー・コンセルタンテ)も交響こうきょうきょく成立せいりつ発展はってん影響えいきょうあたえたともかんがえられる。とくスカルラッティによるイタリアしき序曲じょきょくは「きゅうなるきゅう」の3からなり、この3部分ぶぶんのち楽章がくしょうとして独立どくりつすることとなる。これはヴィヴァルディペルゴレージがれ発展はってんし、ガルッピらによってソナタ形式けいしき楽章がくしょう楽曲がっきょく形式けいしきとして発展はってんしていった。さらに、マンハイムらくシュターミッツカンナビヒによってさまざまな管弦楽かんげんがく手法しゅほう研究けんきゅうされ、メヌエット楽章がくしょうくわえられるなどし、古典こてん音楽おんがくへとつながった。

古典こてんにより交響こうきょうきょく形式けいしき一応いちおう完成かんせいた。ハイドンモーツァルト交響曲こうきょうきょく形式けいしき

標準ひょうじゅんてきなものであった。

ベートーヴェンは、だい3楽章がくしょう使つかわれていたメヌエットをスケルツォえ、古典こてん交響こうきょうきょく形式けいしき完成かんせいさせた。交響こうきょうきょくだい5ばん短調たんちょう運命うんめい)ではピッコロコントラファゴットトロンボーン導入どうにゅうにより音響おんきょう増大ぞうだいはかるとともに、だい3楽章がくしょうだい4楽章がくしょうつづけて演奏えんそうすることを指示しじした。交響こうきょうきょくだい6ばん長調ちょうちょう田園でんえんにおいては楽章がくしょうかずを5つにし、だい3からだい5楽章がくしょうまでをつなげて演奏えんそうかく楽章がくしょうには場面ばめん内容ないようあらわす「標題ひょうだい」がけられた。これについてベートーヴェンは、たんなる風景ふうけい描写びょうしゃしたものではなく人間にんげん内面ないめん表現ひょうげんしたものだとっており、次第しだいロマンてき傾向けいこうつよめていったことがわかる。交響こうきょうきょくだい9ばんではおわり楽章がくしょう独唱どくしょう合唱がっしょう、そして複数ふくすう打楽器だがっきあらたにれ、さらに緩徐かんじょ楽章がくしょうとスケルツォの順番じゅんばんぎゃくにするなどの斬新ざんしん手法しゅほうで、古典こてんにおける交響こうきょうきょく頂点ちょうてんたっした。

ロマン時代じだいには、交響曲こうきょうきょく人間にんげん内面ないめん表現ひょうげんする手段しゅだんとなる。ドイツけい作曲さっきょくであるシューベルトシューマンメンデルスゾーン交響こうきょうきょくは、ベートーヴェンの影響えいきょうおおきく形式けいしきじょうおおきな発展はってんられなかった。一方いっぽうベルリオーズは「幻想げんそう交響曲こうきょうきょく」において巨大きょだいなオーケストラを想定そうていしたり、固定こてい楽想がくそう(イデー・フィクス)を導入どうにゅうするなど、ロマンにおける交響こうきょうきょくだい規模きぼ発端ほったんをつくった。これにたいブラームスは、厳格げんかくなソナタ形式けいしき弦楽器げんがっき中心ちゅうしんにしたオーケストラのひびきを重視じゅうしした「しん古典こてん主義しゅぎてき態度たいどったが、かれ作曲さっきょくした交響こうきょうきょくでは4きょくとも三拍子さんびょうしのスケルツォがかれておらず、だい4ばん最終さいしゅう楽章がくしょうではベートーヴェンよりもふるバロックパッサカリア(シャコンヌ)をもちいるなどしている。またロマン時代じだいにおいては、緩徐かんじょ楽章がくしょう近親きんしん調ちょうだけでなく、よりとお関係かんけい調ちょうとなったり、ベートーヴェンのだい7ばんこころみられたようにスケルツォ楽章がくしょう近親きんしん調ちょうや、よりとお関係かんけい調ちょうとなるれいおおくなった。これは交響曲こうきょうきょくのみならず、独奏どくそうソナタや室内楽しつないがくきょくについても同様どうようである。さらにセザール・フランク循環じゅんかん形式けいしきによる堅固けんご構成こうせい交響曲こうきょうきょくいちきょくのこしている。

ベルリオーズ交響こうきょうきょく『イタリアのハロルド』のように実質じっしつてきにはなか協奏曲きょうそうきょくという作品さくひんもある。ラロの『スペイン交響曲こうきょうきょく』などは「交響曲こうきょうきょく」と名付なづけられているものの、実際じっさいにはヴァイオリン協奏曲きょうそうきょくであり、交響曲こうきょうきょくとはなされていない。

ブルックナーにおいては、ソナタ形式けいしき拡大かくだいされ、従来じゅうらいの2つの主題しゅだいくわえてだい3主題しゅだいをもつようになった〔ブルックナー形式けいしき〕。管弦楽かんげんがく手法しゅほうとしては、尊敬そんけいするワーグナー影響えいきょうから金管楽器きんかんがっき華麗かれいひびくような巨大きょだいなオーケストラを使用しようするとともに、オルガンの奏法そうほう応用おうようした大胆だいたんなユニゾンや和声わせいてき展開てんかいもちいた。ウィーンの大学だいがくかれ講義こうぎけていたマーラーにおいてはたんなる主題しゅだいから『主題しゅだいぐん』に発展はってんし、管弦楽かんげんがく規模きぼ拡大かくだい(4かん編成へんせいから5かん編成へんせいまで)、自作じさく歌曲かきょくしゅうからの引用いんよう独唱どくしょう合唱がっしょうとう声楽せいがくふくめたことが特徴とくちょうてきである。また、最終さいしゅう楽章がくしょう主調しゅちょうではないことがあり、最終さいしゅうてきには主調しゅちょうにたどりいてわるもの(だい1ばんだい6ばんだい10ばん)もあるが、平行へいこう調ちょうわるもの(だい2ばん大地だいちうた)、半音はんおんうえ調ちょうわるもの(だい5ばん)、半音はんおん調しらべわるもの(だい9ばん)などもあり、調しらべあつかいについても極限きょくげんにまで拡大かくだい、または解体かいたいされている。交響こうきょうきょくだい8ばんは、初演しょえん独唱どくしょうしゃ7にん少年しょうねん合唱がっしょう、さらに2つの混声こんせい合唱がっしょうだんともなった1せんにんあまりによって演奏えんそうされたことから、『せんにん交響曲こうきょうきょく』の異名いみょう巨大きょだい作品さくひんである。リヒャルト・シュトラウス初期しょきに2きょく絶対ぜったい音楽おんがくとしての交響曲こうきょうきょくいているが、あまり注目ちゅうもくされず、そのかれた『家庭かてい交響曲こうきょうきょく』や『アルプス交響曲こうきょうきょく』は初期しょき交響こうきょうぐん拡大かくだいさせた標題ひょうだい音楽おんがくという意味いみきわめてたか評価ひょうかされている。

国民こくみんらく民族みんぞくらく分類ぶんるいされる作曲さっきょく後期こうきロマン時代じだいかさなるが(ひろ意味いみでのロマンでもある)、交響こうきょうきょくかれらにとっても重要じゅうよう表現ひょうげん手段しゅだんであり、ドヴォルザークチャイコフスキーボロディンリムスキー=コルサコフグラズノフスクリャービンシベリウスニールセンエルガーヴォーン・ウィリアムスバックスハチャトゥリアンシマノフスキトゥビンらがそれぞれ3きょくから9きょく交響こうきょうきょく未完みかんのものをふくむ、ただしトゥビンは11きょく。)をのこしている。あまり注目ちゅうもくされないが、ミャスコフスキーは27きょく交響曲こうきょうきょくのこしており、ブライアンはその交響こうきょうきょくだい1ばん「ゴシック」で8かん編成へんせいによる当時とうじ史上しじょう最大さいだい交響曲こうきょうきょくのこしている。

現代げんだいにおいても交響こうきょうきょくというジャンルはのこっているが、内容ないようてきおおきな変貌へんぼうげたものもふくまれている。しんウィーンらくにおいてはシェーンベルク室内しつない交響曲こうきょうきょくのような形式けいしき変容へんようや、ヴェーベルン交響曲こうきょうきょく作品さくひん21のように完全かんぜんおとれつ技法ぎほうれられたのもある。ソナタ形式けいしき伝統でんとうつらなる交響曲こうきょうきょく作家さっかとしては、プロコフィエフショスタコーヴィチが、いまのところ最後さいご双璧そうへきである。以降いこうも(古典こてんてき意味いみでの)交響曲こうきょうきょくしゅたる表現ひょうげん手段しゅだんとする作曲さっきょくはいるが、現代げんだい音楽おんがく中心ちゅうしんてき存在そんざいとはなっていない。

アイヴズの6つの交響こうきょうきょく最後さいごユニヴァース交響曲こうきょうきょく未完みかん)、コープランドの4つの交響曲こうきょうきょくメシアンの『トゥランガリーラ交響曲こうきょうきょく』、グレツキ交響こうきょうきょくだい3ばんかなしみのうた交響曲こうきょうきょくなどのきょく有名ゆうめいであるが、形式けいしき内容ないようはロマン交響こうきょうきょくからはおおきなへだたりがある。韓国かんこく最初さいしょだい作曲さっきょくであるユン・イサン交響こうきょうきょくは5きょくあるが、本人ほんにん最後さいご題名だいめいけに大変たいへんなやみ、くるまぎれになかばでっちげで「交響曲こうきょうきょく」としたもので、内容ないよう意識いしきしたものではないとの見解けんかいを1990ねん当時とうじしめしていた。

それでも現在げんざい交響曲こうきょうきょく作曲さっきょくされ、フィンランド作曲さっきょく指揮しきしゃレイフ・セーゲルスタム史上しじょう最多さいたの200きょく交響曲こうきょうきょく量産りょうさんしている。

日本にっぽんにおける交響こうきょうきょく受容じゅようは、山田やまだ耕筰こうさく交響こうきょうきょくかちどきと平和へいわ」を作曲さっきょくしたのがはじめで、その諸井もろい三郎さぶろう橋本はしもと國彦くにひこつづき、金井かない喜久子きくこによる日本にっぽん女流じょりゅう作曲さっきょくとしてはじめての交響こうきょうきょくだい1ばんだい1楽章がくしょうだい3楽章がくしょうは1940ねん初演しょえんだい4楽章がくしょう未完みかん)の作曲さっきょくて、伊福部いふくべあきら矢代やしろ秋雄あきお別宮べつみや貞雄さだお松村まつむら禎三ていぞうだん伊玖磨いくままゆずみ敏郎としお柴田しばたみなみつよしはやしひかりよしまつたかし池辺いけべ晋一郎しんいちろうなどが交響曲こうきょうきょく作曲さっきょくしている。2013ねんにはむら河内かわうちまもるのアイデアをもと実際じっさいには新垣あらかきたかしによって作曲さっきょくされた交響こうきょうきょくだい1ばん『HIROSHIMA』がCD売上うりあげにおいてオリコン週間しゅうかん総合そうごうチャートで2となり、交響こうきょうきょくとしては異例いれいのヒットを記録きろくした[1]。テクノロジーが進歩しんぽした21世紀せいきいては、コンピュータで交響曲こうきょうきょく作曲さっきょく演奏えんそうし、双方向そうほうこうメディアで発表はっぴょうするものもいる。

交響こうきょうきょく番号ばんごう[編集へんしゅう]

ベートーヴェン以前いぜん交響こうきょうきょくかぎらず、絶対ぜったい音楽おんがくをジャンルべつ区分くぶんし、作曲さっきょくあるいは出版しゅっぱんじゅんとお番号ばんごう付与ふよするという発想はっそう習慣しゅうかんがなかった。ベートーヴェン以降いこう作曲さっきょく複数ふくすう交響曲こうきょうきょく作曲さっきょくした場合ばあい作曲さっきょくしゃ出版しゅっぱんしゃによって「交響こうきょうきょくだいばん」というようにとお番号ばんごうけられはじめた。ただし作曲さっきょくしゃ習作しゅうさくにはあえてとお番号ばんごうあたえなかったり、あるいは作曲さっきょくじゅん出版しゅっぱんすることをせず、作曲さっきょくじゅんことなったとお番号ばんごうあたえられた場合ばあい後世こうせい研究けんきゅうしゃ付与ふよする場合ばあいがある。

具体ぐたいてきには、かつてはドヴォルザークの「しん世界せかいより」は出版しゅっぱんじゅんだい5ばんとされていたが、のちの研究けんきゅうにより作曲さっきょくじゅんとお番号ばんごうあたえられ、だい9ばん変更へんこうされている。シューベルトの場合ばあい元来がんらいは「完成かんせい」やホ長調ちょうちょうのオーケストレイション完成かんせい稿こう(D 729)がられるようになる以前いぜんさい発見はっけんされた「ザ・グレイト」がだい7ばんとされてはいたが、その検証けんしょうにより、D 729にだい7ばん、「完成かんせい」にだい8ばん付与ふよされ、「ザ・グレイト」にだい9ばん付与ふよされた。このとお番号ばんごう一旦いったんしたしまれたものの、さらにその、D 729がとお番号ばんごうからはずされることとなったため、7ばん完成かんせい」、8ばん「ザ・グレイト」とがるようになった。ただし、ながらくしたしまれた都合つごうじょう、7(8)ばん完成かんせい」、8(9)ばん「ザ・グレイト」と併記へいきされることもおおい。

またブルックナーのようにだい1ばん作曲さっきょくされるまえ作曲さっきょくされた交響こうきょうきょくには番号ばんごうあたえられず(習作しゅうさく慣例かんれい)、だい1ばんのあとに作曲さっきょくされた交響こうきょうきょく作曲さっきょくしゃ自身じしんだい0ばんという番号ばんごうあたえた場合ばあい現状げんじょうでは番号ばんごうえ、だい1ばんからの順送じゅんおくとお番号ばんごうといった変更へんこうはなされていない。また、メンデルスゾーン交響曲こうきょうきょくように作曲さっきょくじゅん変更へんこうされず、定着ていちゃくした出版しゅっぱんじゅんとお番号ばんごうもちいられている場合ばあいもある。

マーラーだい9番目ばんめ交響こうきょうきょくのナンバリングにきらいをち、9番目ばんめ交響曲こうきょうきょくたん交響こうきょうきょく大地だいちうた』としたものの、そのつぎ作曲さっきょくした交響曲こうきょうきょくだい10ばんとはせず、だい9ばんとしたケースがある。

ベルリオーズは『幻想げんそう交響曲こうきょうきょく』(op.14a)、『イタリアのハロルド』(op.16)、『劇的げきてき交響曲こうきょうきょくロメオとジュリエット』(op.17)、『葬送そうそう勝利しょうりだい交響曲こうきょうきょく』(op.15)と4きょく標題ひょうだい音楽おんがくてき交響曲こうきょうきょく発表はっぴょうし、また、この系列けいれつとしてリストの『ファウスト交響曲こうきょうきょく』と『ダンテ交響曲こうきょうきょく』や、チャイコフスキーの『マンフレッド交響曲こうきょうきょく』、リヒャルト・シュトラウスの『家庭かてい交響曲こうきょうきょく』(op.53)と『アルプス交響曲こうきょうきょく』(op.64)、シベリウスの『クレルヴォ交響曲こうきょうきょく[注釈ちゅうしゃく 2]などは標題ひょうだい交響曲こうきょうきょくともばれる交響こうきょう交響こうきょうきょくなかあいだてき存在そんざいであり、作曲さっきょくしゃ出版しゅっぱんしゃ番号ばんごうあたえないことがおおい。

そのではヴォーン・ウィリアムズは『うみ交響曲こうきょうきょく』(だい1ばん)、『ロンドン交響曲こうきょうきょく』(だい2ばん)、『田園でんえん交響曲こうきょうきょく』(だい3ばん)、『南極なんきょく交響曲こうきょうきょく』(だい7ばん)の4きょく表題ひょうだい交響こうきょうきょくにナンバリングをしたものの番号ばんごう括弧かっこれて、ナンバリングでばれることをのぞまなかったケースがある。

なお、ドイツやオーストリアでは、モーツァルト番号ばんごう議論ぎろんのあるシューベルトの交響曲こうきょうきょく番号ばんごうしで調しらべせい、およびケッヘル番号ばんごうドイッチュ番号ばんごうなどの作品さくひん番号ばんごうだけでぶこともある。

交響こうきょうきょく副題ふくだい[編集へんしゅう]

ハイドンやモーツァルトにおいては、交響曲こうきょうきょく音楽おんがく以外いがいのものとむすびついた副題ふくだいあらかじあたえられることは、一部いちぶ特殊とくしゅ製作せいさく事情じじょうをもつ作品さくひんのぞき、ほぼなかった。これは交響曲こうきょうきょく絶対ぜったい音楽おんがくとして成立せいりつしていたことをしめす。

ハイドンにおいては、だい45ばん告別こくべつだい94ばん驚愕きょうがくだい101ばん時計とけいだい104ばん『ロンドン』などの名前なまえつものがあるが、これはきょく特徴とくちょう初演しょえんされた場所ばしょ愛称あいしょうとしてしたものであり、副題ふくだい内容ないよう音楽おんがくとして表現ひょうげんしたものでないため、絶対ぜったい音楽おんがくえる。モーツァルトのだい31ばん『パリ』だい35ばん『ハフナー』だい41ばん『ジュピター』なども同様どうようである(だい35ばんはハフナーのために作曲さっきょくされた)。ただし、ハイドンのだい6ばんあさだい7ばんひるだい8ばんばんは、当時とうじつかえていたエステルハージ侯爵こうしゃくからだいあたえられて作曲さっきょくしたものであるとされ、標題ひょうだい音楽おんがくてき側面そくめんつといえよう。また、だい8ばんばん』のだい4楽章がくしょうにはハイドンによって『あらし』という副題ふくだいがつけられている。

ベートーヴェンは、だい3ばん英雄えいゆう』・だい6ばん田園でんえんにおいてみずか副題ふくだいあたえるというやりかた開始かいしした。だい3ばんは、最初さいしょ『ボナパルト』とだいされて作曲さっきょくされたことからも、ナポレオン・ボナパルト念頭ねんとうにおいた標題ひょうだい音楽おんがくであるとうこともできる。なお、だい5ばん運命うんめいだい9ばん合唱がっしょう合唱がっしょうき)』後世こうせいひとあたえた愛称あいしょうであり、標題ひょうだいではない。ただし、だい9ばんシラーによる「歓喜かんきうた」をふくみ、その言語げんごにより意図いとしていることは明確めいかくであり、絶対ぜったい音楽おんがくではない。

以降いこうのロマン交響こうきょうきょくは、絶対ぜったい音楽おんがく標題ひょうだい音楽おんがく狭間はざまうごきつつ、発展はってんげることになった。

ベルリオーズは『幻想げんそう交響曲こうきょうきょく』において、1人ひとり女性じょせい幻影げんえいにつきまわれるという筋立すじだてのもと、女性じょせい幻影げんえい旋律せんりつにし、固定こてい観念かんねん(イデー・フィクス)としてもちいた。5つの楽章がくしょうは「ゆめ情熱じょうねつ」、「舞踏ぶとうかい」、「風景ふうけい」、「断頭だんとうだいへの行進こうしん」、「悪魔あくま祝日しゅくじつよるゆめ」という副題ふくだいつ。このきょくは、交響こうきょう発展はってん先駆さきがけともなった。

シューマン、メンデルスゾーンの交響曲こうきょうきょく副題ふくだいつものがあるが、形式けいしきてきには絶対ぜったい音楽おんがく範疇はんちゅうにとどまっている。

ブルックナーはかたくななまでに絶対ぜったい音楽おんがく形式けいしきまもった。マーラーは1ばんと3ばん作曲さっきょく途中とちゅう標題ひょうだいけたが、最終さいしゅうてきには標題ひょうだい削除さくじょしている。2ばん復活ふっかつ」、7ばんよるうた」、8ばんせんにん交響曲こうきょうきょく」は他人たにんによってつけられた通称つうしょうであり、6ばん悲劇ひげきてき」もマーラー自身じしんによってけられたものかはさだかではない。マーラー本人ほんにん明確めいかくだいのこしたものは歌曲かきょくしゅう交響曲こうきょうきょくとのなかあいだてき存在そんざいである「大地だいちうた」のみである。ただし、マーラーの交響こうきょうきょくには声楽せいがくふくむものもおおく、意味いみのある歌詞かしふくむようになった以上いじょう、それらは絶対ぜったい音楽おんがくではありない。また、最終さいしゅうてき標題ひょうだい削除さくじょした交響こうきょうきょくについても、作曲さっきょく過程かてい標題ひょうだい意識いしきしたものがほとんどであり、いずれの交響曲こうきょうきょくだいなりしょうなり標題ひょうだいせいつ。

リストの『ファウスト交響曲こうきょうきょく』と『ダンテ交響曲こうきょうきょく』、シベリウスの『クッレルヴォ交響曲こうきょうきょく』、マーラーの交響こうきょうきょく大地だいちうた』、チャイコフスキーの『マンフレッド交響曲こうきょうきょく』など、番号ばんごう作品さくひん系列けいれつがい標題ひょうだい作品さくひんもある。

エドゥアール・ラロの『スペイン交響曲こうきょうきょく』(ヴァイオリン協奏曲きょうそうきょくだい2ばん)、ヴァンサン・ダンディの『フランスの山人さんじんうたによる交響曲こうきょうきょく』、伊福部いふくべあきらの『ピアノと管絃楽かんげんがくのための協奏きょうそうふう交響曲こうきょうきょく』など、実質じっしつ独奏どくそう楽器がっき管弦楽かんげんがくのための協奏曲きょうそうきょくであるが規模きぼおおきな作品さくひんを、あえて交響曲こうきょうきょくれいもある。

おも作曲さっきょく作品さくひん[編集へんしゅう]

古典こてんまで[編集へんしゅう]

生年せいねんじゅんならべてある)

  • 1658ねん トレッリ(イタリア) - 4こえのシンフォニアで交響こうきょうきょく原型げんけいしめ
  • 1678ねん ヴィヴァルディ(イタリア) - 23きょくのシンフォニア
  • 1701ねん サンマルティーニ(イタリア) - 70きょく以上いじょう交響こうきょうきょく交響こうきょうきょく始祖しそといわれる。
  • 1710ねん ボイス(イギリス) - 8きょくのシンフォニア
  • 1714ねん C.P.E.バッハ(ドイツ) - 20きょくのシンフォニア
  • 1715ねん ヴァーゲンザイル(オーストリア) - ?
  • 1717ねん モン(オーストリア) - 16きょく交響こうきょうきょくはじめてだい3楽章がくしょうにメヌエットを導入どうにゅう
  • 1717ねん J.シュターミツ(チェコ) - 50きょく以上いじょう交響こうきょうきょくだい3楽章がくしょうつねにメヌエットを配置はいち
  • 1718ねん ブリック - ?
  • 1725ねん アーベル(ドイツ) - ?
  • 1732ねん ヨーゼフ・ハイドン(オーストリア) - 104きょく番号ばんごう交響こうきょうきょく(6あさ」、7ひる」、8よる」、9132122哲学てつがくしゃ」、23242526「ラメンタチオーネ」、30「アレルヤ」、31「ホルン信号しんごう」、383943「マーキュリー」、44かなしみ」、45告別こくべつ」、4648「マリア・テレジア」、49受難じゅなん」、5053帝国ていこく」、55校長こうちょう先生せんせい」、59火事かじ」、60「うかつしゃ」、63「ラ・ロクサーヌ」、64うつろい」、」、6769「ラウドン」、707273かり」、7682くま」、83「めんどり」、85王妃おうひ」、8889909192「オックスフォード」、9394驚愕きょうがく」、9596979899100軍隊ぐんたい」、101時計とけい」、102103太鼓たいこ連打れんだ」、104「ロンドン」)+交響こうきょうきょくAB
  • 1734ねん ゴセック(フランス) - ?
  • 1735ねん J.C.バッハ(ドイツ) - ?
  • 1737ねん ミヒャエル・ハイドン(オーストリア) - 40きょく以上いじょう交響曲こうきょうきょく
  • 1739ねん ヴァンハル(チェコ) - ?
  • 1739ねん ディッタースドルフ(オーストリア) - 100きょく以上いじょう交響曲こうきょうきょく
  • 1741ねん ルケージ(イタリア) -
  • 1743ねん ボッケリーニ(イタリア) - 27きょく(?)の交響曲こうきょうきょく
  • 1750ねん ロセッティ(チェコ) -
  • 1752ねん クレメンティ(イタリア) -
  • 1756ねん モーツァルト(オーストリア) - 38きょく番号ばんごうき(2、3ばんと37ばんのほとんどは他人たにんさく交響こうきょうきょく124567891016202526272829303132333435「ハフナー」、36「リンツ」、3738「プラハ」、394041「ジュピター」)+14きょく(?)の番号ばんごう
  • 1757ねん プライエル(オーストリア) - 41きょく交響こうきょうきょく
  • 1763ねん メユール(フランス) - 4きょく以上いじょう交響こうきょうきょく
  • 1770ねん ベートーヴェン(ドイツ) - 9きょく交響こうきょうきょく123「英雄えいゆう45「運命うんめい6「田園でんえん789「合唱がっしょうき」)+ウェリントンの勝利しょうり+スケッチのみの10

ロマン - 近代きんだい[編集へんしゅう]

20世紀せいき以降いこうまれた作曲さっきょく[編集へんしゅう]

さまざまな交響曲こうきょうきょく[編集へんしゅう]

ここでは、交響こうきょうきょくというかんするさまざまなジャンルについてれる。

合唱がっしょう交響曲こうきょうきょく
エクトール・ベルリオーズの『ロミオとジュリエット』、ベートーヴェンの交響こうきょうきょくだい9ばんながれをむ、管弦楽かんげんがく合唱がっしょうときには独唱どくしょうともなだい規模きぼ交響こうきょうきょく
シンフォニエッタ
イタリアで「ちいさな交響曲こうきょうきょく」をす。した室内しつない交響曲こうきょうきょくとはちがい、通常つうじょう管弦楽かんげんがく編成へんせい演奏えんそうされるものがおおい。「しょう交響曲こうきょうきょく」ともやくされるが、グノーしょう交響曲こうきょうきょくのように、原題げんだいPetite Symphonieとなっているものもある。
室内しつない交響曲こうきょうきょく
室内楽しつないがく室内しつない管弦楽かんげんがくのための交響こうきょうきょくシェーンベルクの2きょくられている。ショスタコーヴィチの「室内しつない交響曲こうきょうきょく」は他者たしゃによる弦楽げんがくよん重奏じゅうそうきょく編曲へんきょくである。
協奏きょうそう交響曲こうきょうきょく
18世紀せいきおおかれたジャンル。カンビーニシュターミッツらにすうおおくの作品さくひんがある。ハイドンモーツァルトのものがよくられている。
オルガン交響曲こうきょうきょく
シャルル=マリー・ヴィドールフランス作曲さっきょくによるオルガン独奏どくそうきょくにSymphonie pour orgue(オルガンのための交響曲こうきょうきょく)と名付なづけられたものがある。これらは通常つうじょう交響曲こうきょうきょくとはべつのものであり、「オルガン交響曲こうきょうきょく」または「サンフォニー」とんで区別くべつする。なお、ヴィドールのサンフォニーだい5ばんだい5楽章がくしょう「トッカータ」はとく有名ゆうめいで、演奏えんそう機会きかいおおい。後世こうせいのイギリスの作曲さっきょくソラブジには3つのオルガン交響曲こうきょうきょくがあるが、演奏えんそう時間じかん桁違けたちがいにながく、2あいだから6あいだ40ふんもかかる。
ピアノ交響曲こうきょうきょく
ソラブジ長大ちょうだい演奏えんそう時間じかんようするすうきょくの「ピアノ交響曲こうきょうきょく」をつくったが、おなじく数時間すうじかんかかるピアノ・ソナタや6かん編成へんせいなどのオーケストラ伴奏ばんそうきのピアノ協奏曲きょうそうきょくなどの延長えんちょうじょう作品さくひん、またはそれらをはるかにえた作品さくひんとしてみることが出来できる。
また、ピアノ独奏どくそうきょくとして、アルカンの「短調たんちょうによる12の練習れんしゅうきょく op.39」のだい4きょくからだい7きょくまでが「交響曲こうきょうきょく」とだいされ、管弦楽かんげんがくもちいた交響曲こうきょうきょくてきひびきの再現さいげん追求ついきゅうされている。

類似るいじ形式けいしき楽曲がっきょく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 交響楽こうきょうがく(こうきょうがく)ともいうが、どちらもドイツ留学りゅうがく経験けいけんのあるもり鷗外による訳語やくごである。
  2. ^ ただし、作曲さっきょくしゃ自身じしんはこのきょく交響曲こうきょうきょくとは銘打めいうっていない。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ さん浮上ふじょうし、最高さいこう大幅おおはば更新こうしんむら河内かわちもり異例いれいのロングセールス”. ORICON BiZ. オリコン・リサーチ (2013ねん4がつ8にち). 2013ねん5がつ6にち閲覧えつらん
  2. ^ a b 最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅうまき1 交響こうきょうきょく管弦楽かんげんがくきょく協奏曲きょうそうきょく」(音楽之友社おんがくのともしゃ参照さんしょう
  3. ^ 4と5は「最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅう3 交響曲こうきょうきょくⅢ」(音楽之友社おんがくのともしゃ参照さんしょう]
  4. ^ 最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅう3 交響曲こうきょうきょくⅢ」(音楽之友社おんがくのともしゃ参照さんしょう
  5. ^ 2, 5, 8は「最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅう3 交響曲こうきょうきょくⅢ」(音楽之友社おんがくのともしゃ参照さんしょう
  6. ^ 2と6は「最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅう3 交響曲こうきょうきょくⅢ」(音楽之友社おんがくのともしゃ参照さんしょう
  7. ^ ともに『最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅうまき1 交響こうきょうきょく管弦楽かんげんがくきょく協奏曲きょうそうきょく』(音楽之友社おんがくのともしゃ)参照さんしょう
  8. ^ 6は、「最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅうまき1 交響こうきょうきょく管弦楽かんげんがくきょく協奏曲きょうそうきょく」(音楽之友社おんがくのともしゃ参照さんしょう
  9. ^ 2は、最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅう3 交響曲こうきょうきょくⅢ」(音楽之友社おんがくのともしゃ参照さんしょう
  10. ^ 最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅう3 交響曲こうきょうきょくⅢ」(音楽之友社おんがくのともしゃ参照さんしょう
  11. ^ 3は、「最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅう3 交響曲こうきょうきょくⅢ」(音楽之友社おんがくのともしゃ参照さんしょう
  12. ^ 最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅう3 交響曲こうきょうきょくⅢ」(音楽之友社おんがくのともしゃ)参照さんしょう
  13. ^ 1と3は、「最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅう3 交響曲こうきょうきょくⅢ」(音楽之友社おんがくのともしゃ)参照さんしょう
  14. ^ 1は、「最新さいしん名曲めいきょく解説かいせつ全集ぜんしゅう3 交響曲こうきょうきょくⅢ」(音楽之友社おんがくのともしゃ)参照さんしょう

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • ウルリヒ・ミヒェルスへん図解ずかい音楽おんがく事典じてんすみくら一朗いちろう日本語にほんごばん監修かんしゅう白水しろみずしゃ、1989ねんISBN 4-560-03686-1

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]