(Translated by https://www.hiragana.jp/)
交響曲第15番 (ショスタコーヴィチ) - Wikipedia コンテンツにスキップ

交響こうきょうきょくだい15ばん (ショスタコーヴィチ)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

交響こうきょうきょくだい15ばん イ長調いちょうちょう 作品さくひん141は、ドミートリイ・ショスタコーヴィチ作曲さっきょくした最後さいご交響曲こうきょうきょくである。

概要がいよう

[編集へんしゅう]

作曲さっきょく時期じき1971ねん交響こうきょうきょくだい13ばん交響こうきょうきょくだい14ばんのような声楽せいがくりの交響こうきょうきょくや、ロシア革命かくめいえがいた標題ひょうだいてき作品さくひんである交響こうきょうきょくだい11ばん交響こうきょうきょくだい12ばんなどとはことなり、交響こうきょうきょくだい10ばん以来いらい伝統でんとうてきな4楽章がくしょう交響こうきょうきょくである。

しかし、合奏がっそうよりもソロなどが目立めだ室内楽しつないがくてきオーケストレーションや、かく楽章がくしょうにちりばめられたさまざまな作曲さっきょく作品さくひんからの引用いんようさらにショスタコーヴィチりゅうじゅうおと技法ぎほうなど、ベテランならではの技巧ぎこうひか作品さくひんである。  

初演しょえん

[編集へんしゅう]

1972ねん1がつ8にちマクシム・ショスタコーヴィチ指揮しきモスクワ放送ほうそう交響こうきょう楽団がくだん

構成こうせい

[編集へんしゅう]

4つの楽章がくしょうから構成こうせいされる。だい2・だい3楽章がくしょうなく演奏えんそうされる。

だい1楽章がくしょう

[編集へんしゅう]

Allegretto イ長調いちょうちょう

ソナタ形式けいしき説明せつめいされることがあるが、実際じっさい自由じゆう形式けいしきかれている。ロッシーニ『ウィリアム・テル』序曲じょきょく引用いんようされるが、このことについて作曲さっきょくしゃ自身じしんは、深夜しんやのおもちゃさんをイメージしたとべた。なお、息子むすこのマクシムによれば、このきょくはドミートリイが子供こどもころ最初さいしょきになったきょくであるという。さらに、ウィリアム・テルのロシア表記ひょうき最初さいしょの3文字もじレーニンイニシャルともに"ВИЛ"であることから、レーニンがソビエト連邦れんぽう指導しどうしゃであった作曲さっきょくしゃ幼年ようねんから青春せいしゅん時代じだいをこの楽章がくしょうあらわしているとするせつもある。また、このきょくの3れんおん、4れんおん、5れんおん同時どうじかなでられる「リズムクラスター」の複雑ふくざつ箇所かしょ交響こうきょうきょくだい2ばんストラヴィンスキーの「はる祭典さいてん」との関連かんれんせい指摘してきされている。

だい2楽章がくしょう

[編集へんしゅう]

Adagio - Largo 短調たんちょう

さん形式けいしき金管きんかんコラールではじまり、チェロじゅうおとれつふうなモノローグがそれにつづく。142小節しょうせつからはラルゴにはいり、葬送そうそう行進曲こうしんきょくふう哀悼あいとう調しらべとなる。チェレスタおとがたは、チェロ提示ていじしたじゅうおとれつふうモノローグのはんくだりがたであり、交響こうきょうきょくだい1ばん冒頭ぼうとうからられているとみられる。

だい3楽章がくしょう

[編集へんしゅう]

Allegretto ト短調とたんちょう

不気味ぶきみさのただよスケルツォ冒頭ぼうとうクラリネットかなでるだい1主題しゅだいじゅうおとれつとなっている。作曲さっきょくしゃさい晩年ばんねんもちいた独自どくじおとれつてき書法しょほうである。トリオ主題しゅだいヴァイオリン独奏どくそうによってあらわれされ、このあたりは協奏曲きょうそうきょくのようなおもむきがある。再現さいげんみじかく、すぐにコーダはいるが、コーダはおわり楽章がくしょうのそれと同様どうようつるのピアニッシモにのって打楽器だがっき静謐せいひつおときざむ。

だい4楽章がくしょう

[編集へんしゅう]

Adagio - Allegretto 短調たんちょうイ長調いちょうちょう

アダージョではワーグナーの『ニーベルングのゆびたまき』より「運命うんめい動機どうき」が引用いんようされる。17小節しょうせつからアレグレットにはいるが、ここでも「運命うんめい動機どうき」はかえ登場とうじょうする。アレグレット冒頭ぼうとうあらわれる主題しゅだいについて、作曲さっきょくしゃグリンカ歌曲かきょく疑惑ぎわく』の引用いんようだとべている。また、ここでは『トリスタンとイゾルデ』の断片だんぺん引用いんようされる。105小節しょうせつからは長大ちょうだいパッサカリアとなるが、主題しゅだい交響こうきょうきょくだい7ばん『レニングラード』だい1楽章がくしょう戦争せんそう主題しゅだい」である。だい6変奏へんそうでは主題しゅだい構成こうせいおんおとれつされている。チェレスタのパッセージだい1楽章がくしょう断片だんぺん再現さいげんにより静謐せいひつなコーダがはじまる。38小節しょうせつにわたってつるが「ミ(E)」と「ラ(A)」のおとをピアニッシモでかなで、打楽器だがっき交響こうきょうきょくだい4ばんだい2楽章がくしょうコーダやだいチェロ協奏曲きょうそうきょくおわり楽章がくしょう打楽器だがっきパートを引用いんようする。自作じさくからの引用いんようではここがもっと目立めだ箇所かしょである。また、ハイドン最後さいご交響こうきょうきょくである『ロンドン』冒頭ぼうとう引用いんようされている。

編成へんせい

[編集へんしゅう]
ピッコロ1、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2
ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ1、
ティンパニシンバルトライアングルだい太鼓たいこ小太鼓こだいこシロフォンタムタムグロッケンシュピールチェレスタトムトム(ソプラノ)、カスタネットウッド・ブロックむちヴァイブラフォン
だい1ヴァイオリンだい2ヴァイオリン、ヴィオラチェロコントラバス