ヴァイオリンソナタ

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ヴァイオリンソナタ（英えい: violin sonata）は、通常つうじょうヴァイオリンを独奏どくそう楽器がっきとする小しょう編成へんせいの楽曲がっきょくのことを指さす。バロック期きに2つのヴァイオリンと通つう奏そう低音ていおんの伴奏ばんそうを持もつトリオ・ソナタとして形式けいしきが確立かくりつされ、その後ごソロ・ヴァイオリンのためのソナタが主流しゅりゅうとなり、古典こてん派は期きにはピアノとの二重奏にじゅうそうの演奏えんそう形態けいたいによるソナタに発展はってんした。ヴァイオリンのみによるソナタは「無む伴奏ばんそうヴァイオリンソナタ」と呼よばれる（ピアノのみのソナタは無む伴奏ばんそうとは呼よばれない）。ソナタの形態けいたいとしては「ピアノソナタ」に次ついで一般いっぱん的てきな形態けいたいである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

バロックの時代じだいのヴァイオリンソナタはコレッリが確立かくりつしたトリオ・ソナタが主流しゅりゅうであったが、コレッリの作品さくひん５『ヴァイオリン・ソナタ集しゅう』がヨーロッパのベストセラーとなったことにより、独奏どくそうヴァイオリンによるソナタが主流しゅりゅうとなっていった。独奏どくそうヴァイオリンにはしだいに高度こうどな演奏えんそう技巧ぎこうが用もちいられるようになった。バロック後期こうきにはこのコレッリ形式けいしきのヴァイオリンソナタが全盛ぜんせいを極きわめ、ヴィヴァルディ、タルティーニ、ジェミニアーニといったヴァイオリンのヴィルトゥオーソ達たちによって非常ひじょうに多数たすう作曲さっきょくされた。それに対たいして18世紀せいき後半こうはんになると、貴族きぞくや富裕ふゆう市民しみんの子女しじょがチェンバロやオルガン、クラヴィコードの演奏えんそうを習ならう習慣しゅうかんが広ひろがり、通つう奏そう低音ていおんとして扱あつかわれてきた鍵盤けんばん楽器がっきが主体しゅたいとなるヴァイオリン助奏じょそうつきの鍵盤けんばん楽器がっきのためのソナタが作曲さっきょくされはじめる。モーツアルトのヴァイオリン・ソナタと呼よばれる作品さくひんはすべてこのような鍵盤けんばん楽器がっきのためのソナタである^[1]。古典こてん派はの時代じだいになると鍵盤けんばん楽器がっきがピアノへと発展はってんしたこともあってヴァイオリン助奏じょそうつきのピアノソナタも作曲さっきょくされるようになった。しかしこの時代じだいにもヴァイオリンが華麗かれいに活躍かつやくするヴァイオリン独奏どくそうソナタは作曲さっきょくされ続つづけた。ロマン派はの時代じだいになるとヴァイオリンとピアノを対等たいとうに扱あつかった曲きょくが主流しゅりゅうになり、ヴァイオリンとピアノの対比たいひと調和ちょうわの妙みょうが聴きかせどころとなるようになった。

代表だいひょう的てきな作品さくひん[編集へんしゅう]

バロック[編集へんしゅう]

コレッリ - 12曲きょく：『ヴァイオリン・ソナタ集しゅう作品さくひん5』（終曲しゅうきょくの「ラ・フォリア」が有名ゆうめい）
ヴィヴァルディ - 『12のヴァイオリンソナタ作品さくひん2 』、『6つのソナタ作品さくひん5 』、「マンチェスター・ソナタ」など、約やく50曲きょく。
シュメルツァー - 多数たすう
ジェミニアーニ - 多数たすう
ヴェラチーニ - 多数たすう
ビーバー - 多数たすう：「ロザリオのソナタ」など
ロカテッリ - 多数たすう
ルクレール - 多数たすう
タルティーニ - 多数たすう：悪魔あくまのトリル、捨すてられたディドなど
ヘンデル - 6曲きょく（真しん作さくと確認かくにんされているのは2曲きょく）
J.S.バッハ - 11曲きょく（他たに偽作ぎさくとされているものがある）
- 無む伴奏ばんそうヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV.1001 - 1006
- ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ BWV.1014 - 1019
  この時代じだいに一般いっぱん的てきであったヴァイオリンと通つう奏そう低音ていおんのためのソナタではなく、オブリガート・チェンバロつきのヴァイオリンソナタ（チェンバロのパートが右手みぎての分ぶんも完全かんぜんに書かかれている）の形かたちを取とっている。

古典こてん派は[編集へんしゅう]

モーツァルト - 45曲きょく
初期しょきの作品さくひんであるK.10〜K.15は「クラヴィーア（チェンバロ）と任意にんいでヴァイオリンまたはフルートかチェロのために」と指定していされる。ヴァイオリンがピアノと対等たいとうになるのは概おおむねK.296以降いこうの10数すう曲きょくである。第だい24番ばんK.296、第だい28番ばんK.304(300c)、第だい34番ばんK.378(317d)、第だい40番ばんK.454、第だい42番ばんK.526などが比較的ひかくてきよく演奏えんそうされる。
ベートーヴェン - 10曲きょく：第だい5番ばん Op.24「春はる」、第だい9番ばん Op.47「クロイツェル」が有名ゆうめい。
ニコロ・パガニーニ - ヴァイオリンとギターのためのソナタ集しゅうなど。