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伴奏ばんそうヴァイオリンのためのソナタとパルティータ

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全曲ぜんきょく試聴しちょう
ソナタ1-3ばん、パルティータ1-3ばん
Bach: Sonatas & Partitas for Solo Violin (Recorded 2020)(プレイリスト)
ジェイムズ・エーネスのヴァイオリン演奏えんそうThe Orchard Enterprises提供ていきょうのYouTubeアートトラック

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲さっきょくした伴奏ばんそうヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(むばんそうヴァイオリンのためのソナタとパルティータ、原題げんだい:イタリア: Sei Solo a Violino senza Basso accompagnatoBWV1001-1006は、3きょくずつのソナタBWV番号ばんごう奇数きすう)とパルティータ(BWV番号ばんごう偶数ぐうすう合計ごうけい6きょくからなり、ヴァイオリン独奏どくそう楽曲がっきょくとして、今日きょうでは古今ここん名作めいさくひとつにかぞえられる。

自筆じひつ譜表ふひょう:Sei Solo a Violino senza Basso accompagnato(イタリア

作曲さっきょく背景はいけい

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ソナタだい1ばん アダージョ(自筆じひつ

作曲さっきょく時期じき1720ねん。バッハが35さいころ、ケーテン宮廷きゅうてい楽長がくちょうとして音楽おんがくきの君主くんしゅレオポルトこうつかえ、おおくの世俗せぞくきょく協奏曲きょうそうきょく室内楽しつないがくきょく)をいていたころ楽曲がっきょくである。

バッハ自身じしん自筆じひつによる原版げんばんベルリンのプロイセン文化財ぶんかざい国立こくりつ図書館としょかん音楽おんがく部門ぶもん所蔵しょぞうされている。そのタイトル・ページには「伴奏ばんそうヴァイオリンのための6きょく独奏どくそうきょくだい1かん、ヨハン・ゼバスティアン・バッハさく、1720ねん」とイタリアしるされている。「だい1かん」とあるが、「だい2かん」というのは「伴奏ばんそうチェロ組曲くみきょく」のことである。
バッハならではの達筆たっぴつしるされた原版げんばんには誤記ごき訂正ていせいはほとんどなく、清書せいしょであったことがわかるが、草稿そうこうのこされていない。

3きょくフーガ有名ゆうめいシャコンヌをはじめとして、全体ぜんたいじゅうおと奏法そうほうおおく、演奏えんそう容易よういではない。ヴァイオリンによる対位法たいいほうてき表現ひょうげんはバッハ一人ひとり発明はつめいではなく、そのまえにはイタリアフランチェスコ・ジェミニアーニ、ドイツのハインリヒ・イグナツ・フォン・ビーバーヨハン・パウル・フォン・ヴェストホフ英語えいごばんヨハン・ヤーコプ・ヴァルター英語えいごばんジャン・バティスト・ヴォリュミエヨハン・ゲオルク・ピゼンデルといった作曲さっきょくこころみている。このバッハの「伴奏ばんそうヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」はとくにヨハン・ゲオルク・ピゼンデルの影響えいきょう指摘してきされる。バッハはビゼンデルとも交流こうりゅうがあったことから、ヴァイオリン奏者そうしゃとしても名高なだかかったピゼンデルのためにいたのではないか、とも推定すいていされている。

かくきょくについて

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3きょくの「ソナタ」は、なるきゅうなるきゅうの4楽章がくしょうの、典型てんけいてき教会きょうかいソナタ形式けいしきをとっている。ソナタのだい2楽章がくしょうにはどれも長大ちょうだいフーガいている。

一方いっぽう「パルティータ」は、だい1ばんだい2ばんアルマンドクーラントサラバンドジーグという組曲くみきょく典型てんけいてきな4楽章がくしょう形式けいしきをとり、だい3ばん前奏ぜんそうきょくルールガヴォットメヌエットブーレ、ジーグと、フランスふう管弦楽かんげんがく組曲くみきょくおもわせる舞曲ぶきょく配置はいちしている。なお、だい1ばんはジーグのかわりにブーレがおかれ、だい2ばんは4きょく舞曲ぶきょくのあとに、有名ゆうめいシャコンヌかれている。また、きょくによってはきょく後半こうはんを「ドゥーブル」として、一種いっしゅ変奏曲へんそうきょくにしている。

ソナタだい1ばんト短調とたんちょう BWV1001

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ぜん6きょく導入どうにゅうにふさわしい厳粛げんしゅく雰囲気ふんいきっている。なおバッハは、このきょくだい2楽章がくしょうを、リュートのためにも編曲へんきょくしている(フーガ ト短調とたんちょう BWV1000)。

  1. Adagio 4じゅうおんからはじまり、全曲ぜんきょくつうじてじゅうおと多用たようする。プレリュードふうきょくである。
  2. Fuga. Allegro 4げんしかないヴァイオリンで複数ふくすうごえのフーガをなめらかにくのは技巧ぎこう必要ひつようである。途中とちゅうたん旋律せんりつあらわれるが、ヴァイオリンの残響ざんきょう利用りようして旋律せんりつささえる和音わおん表現ひょうげんされている。
  3. Siciliana へん長調ちょうちょう そのとおシチリアーナ形式けいしき舞曲ぶきょく。ゆったりとした子守こもりうた
  4. Presto 上昇じょうしょうおんがた下降かこうおんがた多用たようする。のちブラームスがピアノによる編曲へんきょくきょくのこしている。

パルティータだい1ばん短調たんちょう BWV1002

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4つのすべての舞曲ぶきょく後半こうはんにそれぞれ、ドゥーブル(変奏へんそう)がかれている。

  1. Allemanda - Double:じゅうおとをふんだんに使つかった、荘重そうちょうだいいち楽章がくしょう
  2. Corrente - Double. Presto:じゅうおとてこないもののうつりつるおおく、結果けっかじゅうおと奏法そうほうおなじだけのボウイングもとめられる。
  3. Sarabande - Double
  4. Tempo di Borea - Double:だいいち楽章がくしょう同様どうよう効果こうかてきじゅうおと奏法そうほうおおい。

ソナタだい2ばん短調たんちょう BWV1003

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クラヴィーアのための編曲へんきょく(BWV964)もあるが、本当ほんとうにバッハ自身じしんによる編曲へんきょくかどうかは不明ふめいである。だい2楽章がくしょうの「フーガ」は287小節しょうせつにもおよ長大ちょうだいなものである。また、だい3楽章がくしょうの「アンダンテ」では、1ほんのヴァイオリンで旋律せんりつつうそう低音ていおんこえく。

  1. Grave
  2. Fuga
  3. Andante
  4. Allegro

パルティータだい2ばん短調たんちょう BWV1004

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257小節しょうせつおよ長大ちょうだいな「シャコンヌ」を終曲しゅうきょくにもつこのパルティータだい2ばんはこのきょくしゅう頂点ちょうてんひとつを形成けいせいするもので、もっと著名ちょめい作品さくひんである。ぜん5きょく

  1. Allemanda
  2. Corrente
  3. Sarabanda
  4. Giga
  5. Ciaccona
    シャコンヌの名称めいしょうどおり変奏曲へんそうきょく形式けいしきつが、ニ長調ちょうちょうなかあいだゆうするさん形式けいしきともれる。音楽おんがくてき構成こうせいとしては、冒頭ぼうとうの8小節しょうせつあらわれる低音ていおんしたぎょうテトラコードをシャコンヌ主題しゅだいとし、種々しゅじゅ変形へんけいけながらこの主題しゅだいが32かいあらわれ、そのたびに上声じょうせい連続れんぞくてき変奏へんそうする壮大そうだい作品さくひんとなっている。

エディソン・デニソフ全曲ぜんきょく管弦楽かんげんがく伴奏ばんそうほどこし、ヴァイオリン協奏曲きょうそうきょく編曲へんきょくしている。シャコンヌについては、ヨハネス・ブラームスによる左手ひだりて練習れんしゅうのためのピアノばんフェルッチョ・ブゾーニによる両手りょうてのためのピアノばんレオポルド・ストコフスキー斎藤さいとう秀雄ひでおによる管弦楽かんげんがくばんなど様々さまざま編曲へんきょくされている。

ソナタだい3ばん長調ちょうちょう BWV1005

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ソナタぜん3きょくちゅう唯一ゆいいつ長調ちょうちょうである。だい2楽章がくしょうのフーガは354小節しょうせつからなる長大ちょうだいなものである。「たりたまえ、創造そうぞうおもなる聖霊せいれい(Komm, Gott Schöpfer, heiliger Geist)」が主題しゅだいとなっている。

  1. Adagio
  2. Fuga (Alla breve)
  3. Largo
  4. Allegro assai

パルティータだい3ばん長調ちょうちょう BWV1006

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あかるく、華麗かれいきょくふうっている。バッハ自身じしんによる、リュートのため(ハープというせつもある)の編曲へんきょく作品さくひんのこしている(BWV1006a)。「Preludio」、「Gavotte en Rondeau」、「Gigue」はラフマニノフによってピアノよう編曲へんきょくされている。

  1. Preludio
  2. Loure
  3. Gavotte en Rondeau
  4. Menuet I
  5. Menuet II
  6. Bourrée
  7. Gigue

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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