隣人りんじん愛あい

隣人りんじん愛あい（りんじんあい、Nächstenliebe ）とは、他たの人々ひとびとを助たすける行為こういを指さしている。ここでの「愛あい」は、共ともにいる人々ひとびとの幸しあわせに向むけた、あらゆる自主じしゅ的てきで非ひ利己りこ的てきな気持きもち・意志いしからの行動こうどうが含ふくまれ、同情どうじょうを示しめすことに限かぎらない。「隣人りんじん」は、ある差さし迫せまった事態じたいに遭あっている各人かくじんである。

この用語ようごは、ユダヤ教きょうのトーラーにある戒律かいりつ（レビ記き19章しょう18節せつ・統一とういつ訳やく）に由来ゆらいしている。

あなたは人々ひとびとという子こらに仕返しかえしをし、恨うらみを懐なついてはならない。あなたの隣人りんじんを自分じぶん自身じしんのように愛あいしなさい。わたしは主あるじである。

またナザレのイエスによるトーラー解釈かいしゃくを通つうじて、隣人りんじん愛あいはキリスト教きりすときょうの中心ちゅうしん概念がいねん（最もっとも大切たいせつな戒いましめの後段こうだん）となり、これは古代こだいの倫理りんりにおいて正義まさよしに並ならぶ基本きほん的てき価値かちとなった。

隣人りんじん愛あいは今日きょう、社会しゃかい的てき地位ちいや利得りとくを顧かえりみず他者たしゃに無私むしで関かかわること（利他りた主義しゅぎ）と、ほぼ同おなじである。これは「共とも苦くに伴ともなうもの」ではなく、「他人たにんに価値かちがあると思おもい、それに努つとめること、親切心しんせつしんによって決きまる他者たしゃとの関係かんけい」のことである。隣人りんじん愛あいに当あてはまる社会しゃかい的てきな決きまりや規範きはんは、たいていの宗教しゅうきょうや哲学てつがくにおいて、倫理りんり的てきな基本きほん動機どうきいわゆる黄金おうごん律りつとして定さだめられており、また人ひとの行動こうどうとしてあちこちに見みられるものである。