(Translated by https://www.hiragana.jp/)
仙厓義梵 - Wikipedia コンテンツにスキップ

せん厓義梵

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
せん厓義梵
1750ねん - 1837ねん
「猫の恋図」
ねここい
生地きじ 美濃みのこく
ぼつ 筑前ちくぜんこく
宗派しゅうは 臨済宗りんざいしゅう
寺院じいん せいぶくてら
そらしるしえんむなしつきせんぜんとし
テンプレートを表示ひょうじ

せん(せんがい ぎぼん、寛延かんえい3ねん1750ねん4がつ - 天保てんぽう8ねん10月7にち1837ねん11月4にち))は江戸えど時代じだい臨済宗りんざいしゅう古月ふるつき禅僧ぜんそう画家がか禅味ぜんみあふれる絵画かいがられる。

概略がいりゃく

[編集へんしゅう]

寛延かんえい3ねん(1750ねん農民のうみんふじ甚八じんぱちとして美濃みのこく武儀むぎぐんまれた。11さいころ清泰寺せいたいじにおいて臨済宗りんざいしゅう古月ふるつきほうそらしるしえんむなし(1704-1784)について得度とくどし、臨済宗りんざいしゅうそうとなった[1]。19さいとき武蔵むさしこく久良ひさよし岐郡永田ながた神奈川かながわ)の東輝とうきあんじゅうするつきせんぜん彗(1702-1781)のもとで修行しゅぎょうをはじめ、その印可いんかけ、つきせん示寂じじゃくした天明てんめい1ねん(1781ねん)32さいのときどうてら行脚あんぎゃたびる。[2]39さいより博多はかたせいぶくてらばんたに紹適の法嗣ほうしとなる。住持じゅうじを23ねんつとめ、一応いちおう引退いんたいとなる。88さい遷化せんげするまでに、おおくの洒脱しゃだつ飄逸ひょういつ絵画かいがぜん)をのこ[3]

本格ほんかくてきえがはじめたのは40だい後半こうはんになってからとられている[4]せん厓の生前せいぜんから人気にんきがあり、一筆ひとふでをねだるきゃくえなかった。83さいときにわに「絶筆ぜっぴついしぶみ」を断筆だんぴつ宣言せんげんをしたが結局けっきょくやめられず、没年ぼつねんまで作品さくひんのこっている[5][6]

昭和しょうわ初期しょきに「せん厓ブーム」ともいえるほどせん厓の研究けんきゅうねつたかまった時期じきがあり、おおくの作品さくひん各地かくちから発見はっけんされ、逸話いつわ論説ろんせつ乱立らんりつした[6]せん厓ののコレクターとして出光いでみつ佐三さぞうられ、そのコレクションは東京とうきょう出光いでみつ美術館びじゅつかん収蔵しゅうぞうされている。

2022ねん5がつ21にちえいあお文庫ぶんこせん厓ワールド ―またわらって!せん厓さんのZen Zenぜんてんなど各地かくち展覧てんらんかい開催かいさいされている[7]

ちちまご

[編集へんしゅう]

あるとし正月しょうがつ黒田くろだはん役人やくにんせいぶくてら年始ねんしまいり、せん厓義梵に「なにかめでたい言葉ことばいてしい」と依頼いらいした。せん厓義梵は「よしよし」と、すぐにふでをとり、「ちちまご」といた。役人やくにんかおをしかめて、「めでたいことをとおねがいしたのに、これはひどい。縁起えんぎでもない」といかした。するとせん厓はつぎようった。「そうだろうか、まずじいさんがぬ。つぎ親父おやじぬ。つぎんで、そのまごぬ。順序じゅんじょただしくんでけば、家中いえじゅう若死わかじにするものがないということだ。だから、こんなめでたいことはない」[8][9]

エピソード

[編集へんしゅう]

せん厓はその奔放ほんぽうかたをもってられており、狂歌きょうかおおんだ。有名ゆうめいなものとしては、美濃みのこくにおいて新任しんにん家老がろう悪政あくせいおこなったことにたいして「よかろうとおも家老がろうわるかろう もとの家老がろうがやはりよかろう」という狂歌きょうかんだ。のち美濃みのこく追放ついほうされたさいには美濃みのこくみの掛詞かけことばとし「からかさひろげてみればあめした たとえるともみのたのまじ」とうたった。

また、依頼いらいものこうたないことについても、「うらめしや わがかくれ雪隠せっちんひとごとにかみおいてゆく」とだれもがてはかみいていくことを自分じぶんいえ便所べんじょなぞらえた狂歌きょうかのこしている。

辞世じせい言葉ことばは「にとうない」だったという逸話いつわがある[10]。ただし、同様どうよう逸話いつわ一休宗純いっきゅうそうじゅんにもある。

代表だいひょうさく

[編集へんしゅう]
○△□出光いでみつ美術館びじゅつかんぞう

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ 衛藤えとう吉則よしのり石上いしがみさとし村中むらなか哲夫てつお西日本にしにほん人物じんぶつ [8] せん厓』財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽん野鳥やちょうかい、2006ねん8がつ21にち、16ぺーじ 
  2. ^ ぜん しんをかたちに」京都きょうと国立こくりつ博物館はくぶつかんとう編集へんしゅう 日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ発行はっこう しろかくれせん厓とぜん 福島ふくしまひさしいさおちょ 327p
  3. ^ 中山なかやま喜一郎きいちろう福岡ふくおか美術館びじゅつかんせん厓 : その生涯しょうがい芸術げいじゅつ福岡ふくおか美術館びじゅつかん協会きょうかい、1992ねん1がつ16にち、85,89ぺーじ 
  4. ^ 中山なかやま, 2003 & だい2しょう.
  5. ^ 中山なかやま喜一郎きいちろう福岡ふくおか美術館びじゅつかんせん厓 : その生涯しょうがい芸術げいじゅつ福岡ふくおか美術館びじゅつかん協会きょうかい、1992ねん1がつ16にち、86ぺーじ 
  6. ^ a b 中山なかやま 2003.
  7. ^ ARTAGEND-せん厓ワールド―またわらって!せん厓さんのZen Zenぜんえいあお文庫ぶんこ
  8. ^ これはおやまごなどのせつもある。また一休いっきゅうがらみでもある。『ぜんほん そら境地きょうちあそさとりの世界せかい学習がくしゅう研究けんきゅうしゃ発行はっこう 1992ねん 27p
  9. ^ 臨黄ネット・法話ほうわぜん こころてら住職じゅうしょく つじりょうあきら
  10. ^ むかいたに匡史ただし名僧めいそうたちはみずからのをどうれたのか』2016ねん青春せいしゅん新書しんしょインテリジェンス、p.15。

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • 森本もりもと哲郎てつろう 『この言葉ことば!』、PHP新書しんしょ、2000ねんISBN 978-4-569-60961-4、pp.72-74。
  • ほり和久かずひさにとうない せん和尚おしょうでん』、新潮しんちょう文庫ぶんこ、1996ねん4がつISBN 978-4101454214
  • 水上みずかみつとむ いずみ武夫たけお水墨すいぼく巨匠きょしょう だいななかん しろかくれせん厓』、講談社こうだんしゃ、1995ねん3がつ ISBN 4-06-253927-6
  • 出光いでみつ美術館びじゅつかんぞうひん図録ずろく せん厓』、平凡社へいぼんしゃ、1988ねん8がつ ISBN 4-582-21825-3
  • 中山なかやま喜一郎きいちろうせん厓の○△□:無法むほうぜんたのしむほうつる書房しょぼう、2003ねんISBN 4902116014 

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]