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仮処分かりしょぶん

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仮処分かりしょぶん(かりしょぶん)とは、債権さいけんしゃからの申立もうしたてにより、民事みんじ保全ほぜんほうもとづいて裁判所さいばんしょ決定けっていする暫定ざんていてき処置しょちである。金銭きんせん債権さいけん以外いがい権利けんり保全ほぜんするてんかり差押さしおさえことなる。目的もくてき態様たいようおうじて「係争けいそうぶつかんする仮処分かりしょぶん」と「かり地位ちいさだめる仮処分かりしょぶん」の種類しゅるいがある。

いずれも、手続てつづきながれとしては、仮処分かりしょぶんみとめるかどうか裁判所さいばんしょ判断はんだんする仮処分かりしょぶん命令めいれい段階だんかいと、仮処分かりしょぶん命令めいれいしたがってその執行しっこうをする段階だんかいかれる。以下いか民事みんじ保全ほぜんほうは、じょうめいのみしるす。

または、1948ねん戦犯せんぱん公職こうしょく追放ついほうかんする暫定ざんていてき処分しょぶんのことも仮処分かりしょぶんといい、平野ひらの事件じけんなどで行政ぎょうせい執行しっこうにおける仮処分かりしょぶんかた是非ぜひあらそわれ、GHQが政治せいじ介入かいにゅうした。

ほんぺーじでは以降いこうおも一般いっぱん民事みんじ保全ほぜんもとづく仮処分かりしょぶんについて説明せつめいする。

概要がいよう

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裁判所さいばんしょ仮処分かりしょぶん命令めいれいすためには、債権さいけんしゃが、保全ほぜん権利けんり存在そんざい保全ほぜん必要ひつようせいうとあきらしなければならない(13じょう)。また、仮処分かりしょぶんかり救済きゅうさいであって、後日ごじつ訴訟そしょうで、保全ほぜん権利けんり存在そんざいしないことがあきらかになることもありるので、通常つうじょう債権さいけんしゃ債務さいむしゃ損害そんがい填補てんぽするため、一定いってい担保たんぽてることがもとめられる(14じょう)。

仮処分かりしょぶん命令めいれい不服ふふくのある債務さいむしゃ保全ほぜん異議いぎ申立もうしたてをすることができる(26じょう)。

仮処分かりしょぶん申立もうしたてには、時効じこう中断ちゅうだんこうがある(民法みんぽう147じょう2ごう)が、権利けんりしゃ請求せいきゅうによりまたは法律ほうりつ規定きていしたがわないことによりされたときは、時効じこう中断ちゅうだんこうしょうじない(民法みんぽう154じょう)。

係争けいそうぶつかんする仮処分かりしょぶん

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23じょう1こう規定きてい金銭きんせん債権さいけん以外いがい権利けんり執行しっこう保全ほぜんするために、現状げんじょう維持いじめいずる仮処分かりしょぶん。2つに分類ぶんるいできる。

処分しょぶん禁止きんし仮処分かりしょぶん
自分じぶん所有しょゆうする不動産ふどうさん登記とうき他人たにん名義めいぎになっているため、抹消まっしょう登記とうきもとめる訴訟そしょう提起ていきする場合ばあいに、相手方あいてがた債務さいむしゃ)が訴訟そしょう係属けいぞくちゅう第三者だいさんしゃ登記とうき移転いてんしてしまわないようにするなど、登記とうき請求せいきゅうけん保全ほぜんするために不動産ふどうさん処分しょぶん禁止きんしするための仮処分かりしょぶん。この仮処分かりしょぶん命令めいれいがされると、登記とうき簿処分しょぶん禁止きんし登記とうきがされる(53じょう1こう)。もし処分しょぶん禁止きんし登記とうきのち債務さいむしゃから第三者だいさんしゃ登記とうき移転いてんされても、債権さいけんしゃ後日ごじつ本案ほんあん訴訟そしょう勝訴しょうそした場合ばあいは、第三者だいさんしゃへの移転いてん登記とうき抹消まっしょうすることができる(58じょう2こう不動産ふどうさん登記とうきほう111じょう)。
占有せんゆう移転いてん禁止きんし仮処分かりしょぶん
相手方あいてがた債務さいむしゃ)にたい不動産ふどうさん明渡あけわたしをもとめる訴訟そしょう提起ていきする場合ばあいに、債務さいむしゃ訴訟そしょう係属けいぞくちゅう第三者だいさんしゃまわせるなど占有せんゆううつしてしまい、明渡あけわたしの強制きょうせい執行しっこうができなくなるおそれがあるとき、占有せんゆう移転いてん禁止きんしあきらわたり請求せいきゅうけん保全ほぜん)するための仮処分かりしょぶん。この仮処分かりしょぶん命令めいれいもとづいて、執行官しっこうかんが、その不動産ふどうさん保管ほかんちゅうであることをしめ公示こうじしょ掲示けいじする(民事みんじ保全ほぜん規則きそく44じょう1こう)。もし仮処分かりしょぶん違反いはんして占有せんゆう第三者だいさんしゃ移転いてんされても、債権さいけんしゃ後日ごじつ債務さいむしゃたいする本案ほんあん訴訟そしょう勝訴しょうそした場合ばあいは、第三者だいさんしゃたいしてあらためて訴訟そしょう提起ていきしなくても、原則げんそくとして第三者だいさんしゃたいして明渡あけわたしの強制きょうせい執行しっこうをすることができる(62じょう)。

かり地位ちいさだめる仮処分かりしょぶん

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23じょう2こう規定きてい係争けいそうちゅうしょうじている損害そんがいから債権さいけんしゃ保護ほごするためになされる仮処分かりしょぶん仮処分かりしょぶんもちいられたれいとして以下いかがある。

  • 2004ねんの7がつにUFJ信託しんたく住友すみとも信託しんたく経営けいえい統合とうごうをめぐって、独占どくせん交渉こうしょうさだめた当初とうしょ合意ごういはんして、UFJが東京三菱銀行とうきょうみつびしぎんこう経営けいえい統合とうごう交渉こうしょうおこなったため、住友すみとも信託しんたくがUFJにたいしてそのような交渉こうしょうめをもとめる仮処分かりしょぶんもうてた。
  • 2004ねん8がつに、オリックス近鉄きんてつ球団きゅうだん合併がっぺいをはじめとする一連いちれん紛争ふんそうなかで、プロ野球やきゅう選手せんしゅかいがプロ野球やきゅう機構きこう相手方あいてがたとして団体だんたい交渉こうしょうもとめる仮処分かりしょぶんもうてた。

かり登記とうき仮処分かりしょぶん

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不動産ふどうさん登記とうき共同きょうどう申請しんせい原則げんそくであるが、裁判所さいばんしょによる「かり登記とうきめいじる処分しょぶん」がなされたときは、登記とうき権利けんりしゃ単独たんどく申請しんせいにより登記とうきをすることができる(不動産ふどうさん登記とうきほう107じょう、108じょう)。この裁判所さいばんしょ処分しょぶんかり登記とうき仮処分かりしょぶんという。

 不動産ふどうさん競売きょうばい事件じけんによる売却ばいきゃく結果けっかしょうずる法定ほうてい地上ちじょうけん付着ふちゃくする土地とちたいしてなされるかり登記とうき仮処分かりしょぶん

関連かんれん項目こうもく

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