仮想かそう粒子りゅうし

仮想かそう粒子りゅうし（かそうりゅうし、virtual particle）とは、粒子りゅうし（素粒子そりゅうし）間あいだの反応はんのうの際さいの中なか間あいだ過程かていにおいて現あらわれ（＝生成せいせいし消滅しょうめつし）、その実在じつざいを考慮こうりょしなくてはならない（= virtual）粒子りゅうしを指さす。 場ばの量子りょうし論ろんに従したがい反応はんのうに関かんする量りょうを計算けいさんする際さいには、この実在じつざいを考慮こうりょすることによって、初はじめて正ただしい答こたえが得えられる。

実じつ粒子りゅうしと仮想かそう粒子りゅうし

実在じつざい粒子りゅうしを、実じつ粒子りゅうしと仮想かそう粒子りゅうしに二分にぶんして考かんがえることができる。

実じつ粒子りゅうし

実験じっけんで観測かんそくされる粒子りゅうしは、エネルギー E, 運動うんどう量りょう p, 質量しつりょう m のあいだに特殊とくしゅ相対性理論そうたいせいりろんから従したがう

$m^{2}=E^{2}-p^{2}$

という関係かんけいを満みたしている場合ばあいである。これを強調きょうちょうしたい場合ばあいに実じつ粒子りゅうしと呼よぶことがある。

仮想かそう粒子りゅうし

実験じっけんでは直接ちょくせつ観測かんそくされない（従したがって上記じょうき関係かんけいを満みたさない）粒子りゅうしは、反応はんのうの中なか間あいだ過程かてい内ないに限定げんていされ生成せいせい消滅しょうめつする。これを特とくに実じつ粒子りゅうしと区別くべつしたい場合ばあいに、仮想かそう粒子りゅうしと呼よぶ。

いくつかの例れい

• 仮想かそう光子こうし：電荷でんかを持もつものに対たいするクーロン力りょくは仮想かそう光子こうしの交換こうかんにより引ひき起おこされる。対称たいしょうな三さん次元じげん空間くうかんにおいて、逆ぎゃく二乗にじょう則そくに従したがう力ちからは交換こうかんによる結果けっかである。
• 中間子ちゅうかんし：仮想かそう中間子ちゅうかんしであるパイ中間子ちゅうかんしやロー中間子ちゅうかんしの強つよい力ちからにより中性子ちゅうせいし、陽子ようしを核かく子この中なかへ閉とじ込こめている。
• 仮想かそうグルーオン：クォーク三さん体たい間あいだの強つよい力ちからは仮想かそうグルーオンの相互そうご作用さようの結果けっかである。また、力ちからの余剰よじょう分ぶんがクォーク三さん体たいの外そとへ出でており、中間子ちゅうかんしの強つよい力ちからとなる。
• Wボソン：弱よわい力ちからはWボソンの相互そうご作用さようの結果けっかである。