余市川よいちがわ

余市川よいちがわ
田川たがわ橋きょうより上流じょうりゅう方かた
水系すいけい	二に級きゅう水系すいけい 余市川よいちがわ
種別しゅべつ	二に級きゅう河川かせん
延長えんちょう	50.2 km
平均へいきん流量りゅうりょう	14.88 m³/s （然別しかりべつ 2008年ねん）
流域りゅういき面積めんせき	455.1 km²
水源すいげん	朝里岳あさりだけ（赤井川あかいかわ村むら）
水源すいげんの標高ひょうこう	770 m
河口かこう・合流ごうりゅう先さき	余市湾よいちわん（余市よいち町まち）
流域りゅういき	余市よいち郡ぐん余市よいち町まち・仁木につき町まち・赤井川あかいかわ村むら

河口かこう付近ふきん（大川橋おかわはし）

余市よいち橋きょう（国道こくどう229号ごう）

余市川よいちがわ（よいちがわ）は、北海道ほっかいどう余市よいち郡ぐんを流ながれる二に級きゅう河川かせん。二に級きゅう水系すいけいとしては後志しりべ総合そうごう振興しんこう局きょく最大さいだい（全体ぜんたいでは尻別川しりべつかわに次つぐ規模きぼ）であり、アユの北限ほくげんとして知しられる。

名称めいしょうの由来ゆらい

アイヌ語ごのイ・オチ（それ・ある）から。この場合ばあいの「それ」とは蛇へびのことで、蛇へびを忌いみ嫌きらうアイヌが憚はばかって「それ」と呼よんだことによる。

地理ちり

余市川よいちがわ中上なかがみ流域りゅういきは二に重じゅうのカルデラ構造こうぞうの中なかに位置いちする。赤井川あかいかわ村むらの中心ちゅうしん部ぶにあたる赤井川あかいがわカルデラを囲かこうように流ながれ、またその外側そとがわの余市川よいちがわカルデラに囲かこわれるように流ながれている。形成けいせい時期じきは余市川よいちがわカルデラの方ほうが古ふるい。そして赤井川あかいがわカルデラ形成けいせい後ご羊蹄山ようていざん噴火ふんかの際さいの地震じしんによって山やまが崩くずれ、カルデラ湖みずうみから流出りゅうしゅつした水みずが周囲しゅういを浸食しんしょくし、出来上できあがった流りゅう路ろが赤井川あかいがわないし余市川よいちがわである。下した流域りゅういきでは多おおくの支流しりゅうが余市よいち平野へいやを巡めぐらせ、扇状地せんじょうちを形成けいせいしている。

流ながれ路ろ

余市川よいちがわは、札幌さっぽろ市し南みなみ区く・小樽おたる市し・赤井川あかいかわ村むらの3自治体じちたいの境界きょうかいに位置いちする、朝里岳あさりだけ（標高ひょうこう約やく1280m）の西側にしがわ斜面しゃめんの標高ひょうこう約やく770m付近ふきんに源みなもとを発はっして西にし流りゅうする。 この源流げんりゅう部ぶには、盤ばんノ沢さわ滝たきなどの名所めいしょもある。なお、付近ふきんにはキロロリゾートも建設けんせつされており、その先さきはこの川かわの流りゅう路ろに沿そうように国道こくどう393号ごう（赤井川あかいがわ国道こくどう）が建設けんせつされている。そして、落合おちあい付近ふきんで小樽川おたるがわ、明治めいじ付近ふきんで白井川しらいかわといった支流しりゅうが合流ごうりゅうしてくる。

中ちゅう流域りゅういきに入はいると田畑たはたや果樹かじゅ園えんが広ひろがるようになる。都と付近ふきんで赤井川あかいかわ村むら中心ちゅうしん部ぶから流ながれてきた赤井川あかいがわを合あわせ、流量りゅうりょうが増加ぞうかした余市川よいちがわは仁木につき町まちへ入はいる。この中なか流域りゅういきには、この川かわに沿そうように北海道ほっかいどう道どう1022号ごう仁木につき赤井川あかいかわ線せんが建設けんせつされている。この中なか流域りゅういきでは、余市川よいちがわはゆるやかに蛇行だこうしており、多おおくの砂州さすが形成けいせいされていることから様々さまざまな魚さかなの棲息せいそく地ちや産卵さんらん場じょうになっており、釣つり人じんで賑にぎわうポイントである。なお、大江橋おおえばし付近ふきんより先さきには国道こくどう5号ごう（羊蹄ぎしぎし国道こくどう）が、やはり川かわに沿そうように建設けんせつされている。そして、余市よいち平野へいやに出でると仁木にき・余市よいち市街地しがいちの西側にしがわを流ながれる。

下しも流域りゅういきは勾配こうばいが緩ゆるやかになり、砂州さすも見みられなくなる。後志しりべ種川たねかわを合あわせると余市よいち町まちに入はいり、大川おおかわ橋きょうを越こえると間まもなく余市湾よいちわん（日本海にほんかい）へと流入りゅうにゅうする。幹みき川かわ流りゅう路ろ延長えんちょう50.2kmのうち、河口かこうから常盤橋ときわばしまでの42.0kmが二に級きゅう河川かせんに指定していされている。

治水ちすい

江戸えど時代じだい、余市川よいちがわは河口かこう付近ふきんで激はげしく蛇行だこうしていた。現在げんざいは余市川よいちがわとは独立どくりつした二に級きゅう水系すいけいとなっている登川のぼりかわも現在げんざいの国道こくどう5号ごうに並行へいこうするような流りゅう路ろで西にしへと流ながれて余市川よいちがわに合流ごうりゅうしていた。また河口かこうの幅はばも狭せまく、春先はるさきの雪解ゆきどけ時期じきには溢水いっすいしやすい状況じょうきょうだった。なお当時とうじの登川のぼりかわの流りゅう路ろは「旧きゅう登川のぼりかわ」（準用じゅんよう河川かせん指定してい）として残のこっており、現在げんざいも水みずが流ながれている。

第だい2次じ世界せかい大戦たいせん前まえにおいては、1932年ねん（昭和しょうわ7年ねん）9月がつの洪水こうずいを契機けいきに、1936年ねん（昭和しょうわ11年ねん）から1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）まで河川かせん改修かいしゅうが行おこなわれていた。第だい2次じ世界せかい大戦たいせん後ごも、やはり台風たいふう等とうによる洪水こうずいを契機けいきに1956年ねん（昭和しょうわ31年ねん）より河川かせん改修かいしゅうに着手ちゃくしゅしたものの、結局けっきょくその後ごも台風たいふうや低てい気圧きあつによる豪雨ごううで数すう度ど記録きろく的てきな被害ひがいを受うけてきた。特とくに1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）8月がつには台風たいふう9号ごうが流域りゅういきを襲撃しゅうげきし、10か所しょ以上いじょうの橋はしが流失りゅうしつ、3町村ちょうそんで浸水しんすい家屋かおく3,046戸こ、流域りゅういきの果樹かじゅ園えんや水田すいでんにも大おおきな被害ひがいをもたらすなど、未曾有みぞうの被災ひさい状じょう況きょうであった。1987年ねん（昭和しょうわ62年ねん）以降いこうは、堤防ていぼう新設しんせつや河かわ道どう掘削くっさくなどを含ふくむ河川かせん改修かいしゅうが行おこなわれている。

環境かんきょう

ヤナギ類るいを中心ちゅうしんに、上うえ流域りゅういきではミヤマハンノキ・ミズナラ・エゾイタヤ等ひとし、中ちゅう流域りゅういきではケヤマハンノキ等ひとしの河畔かはん林りんが広ひろがっている。1993年ねん（平成へいせい5年ねん）度どには建設省けんせつしょう（当時とうじ）の「桜さくらづつみモデル事業じぎょう」（堤防ていぼう強化きょうかとともにサクラの高木たかぎを植樹しょくじゅすることで、河川かせん緑化りょくかを推進すいしんする事業じぎょう）に下流かりゅう部ぶの余市川よいちがわ桜さくらづつみが認定にんていされ、平成へいせい14年ねんまでの10年間ねんかん河川敷かせんしきでサクラの植樹しょくじゅが行おこなわれている。

渓流けいりゅうにおいてはオショロコマ・ハナカジカが生息せいそくし、また中ちゅう流域りゅういきは河床かしょうがウグイの産卵さんらん場じょうとなっている。その他たフクドジョウやワカサギも見みられ、これらは流ながれの緩ゆるやかな下しも流域りゅういきにも生息せいそくする。河口かこう付近ふきんではニシン・マサバ・ビリンゴ・マハゼなど、汽水域すいいき特有とくゆうの種たねが生息せいそくする。特とくに有名ゆうめいなのがアユである。余市川よいちがわはアユ生息せいそく地ちの北限ほくげんで、アユ釣づり大会たいかいも定番ていばんのイベントである。「さけ・ます増殖ぞうしょく河川かせん」にも位置付いちづけられており、アユの他ほかサケやマス等ひとしの放流ほうりゅうが行おこなわれている。

水質すいしつも良好りょうこうである。ちなみに余市川よいちがわではかつて田川たがわ橋きょう付近ふきんで天然てんねんの製氷せいひょうが行おこなわれていた。機械きかい製氷せいひょうが主流しゅりゅうの時世じせいにおいても、昭和しょうわ30年代ねんだい頃ごろまで続つづけられたという。

支流しりゅう

一いち次じ支流しりゅうのみ、下流かりゅうより掲載けいさい

• 旧きゅう登川のぼりかわ　準用じゅんよう河川かせん
• 黒川くろかわ　準用じゅんよう河川かせん
• 余市よいち中なかの川かわ　二に級きゅう河川かせん
• 後志しりべ種川たねかわ　二に級きゅう河川かせん
• 砥とぎノ川かわ
• 大だい黒川くろかわ
• 然別川しかりべつがわ
• 宮みやの川がわ
• ドロ川がわ
• 古いにしえ別べつ川かわ
• ピッパ川がわ
• 稲穂いなほ川がわ
• 馬うま群別川くんべつがわ
• 漁りょう別べつ川かわ
• 銀山ぎんざん種川たねかわ
• マカナイ川ないがわ
• 銀山ぎんざん墓地ぼち川かわ
• 鳥居川とりいがわ
• 下した尾根内おねない川がわ
• 中ちゅう尾根内おねない川がわ
• 上うえ尾根内おねない川がわ
• 土木どぼく川かわ
• 曲川まがりかわ
• 赤井川あかいがわ　二に級きゅう河川かせん
• 白井川しらいかわ　二に級きゅう河川かせん
• ポン賀老がろの沢川さわがわ
• 賀老がろの沢川さわがわ
• 湯ゆの沢川さわがわ
• 小樽川おたるがわ　二に級きゅう河川かせん
• 落合おちあい滝たきの沢川ざわがわ
• アメマス沢川あめますさわがわ
• 朝里あさり沢川そうごう
• 右股みぎまたの沢川さわかわ

主おもな橋はし

• 大川おおかわ橋きょう - 北海道ほっかいどう道どう228号ごう豊丘とよおか余市よいち停車場ていしゃじょう線せん
• 余市よいち橋きょう - 国道こくどう229号ごう（雷電らいでん国道こくどう）
• 田川たがわ橋きょう - 北海道ほっかいどう道どう755号ごう然別しかりべつ余市よいち線せん
• 鮎見橋あゆみばし
• 仁木にき大橋おおはし
• 砥との川かわ橋きょう
• 月見つきみ橋きょう
• 函館本線はこだてほんせん橋梁きょうりょう
• 然別しかりべつ橋きょう
• 七なな曲きょく橋きょう
• 大江橋おおえばし - 国道こくどう5号ごう（羊蹄ぎしぎし国道こくどう）
• 漁りょう別べつ橋きょう
• 長沢ながさわ橋きょう
• 香こう栄橋さかえばし
• 大正たいしょう橋きょう - 北海道ほっかいどう道どう1022号ごう仁木につき赤井川あかいかわ線せん
• 金橋かなはし - 国道こくどう393号ごう（赤井川あかいがわ国道こくどう）
• 第だい二に月見つきみ橋きょう - 国道こくどう393号ごう（赤井川あかいがわ国道こくどう）
• 落合おちあい橋きょう - 国道こくどう393号ごう（赤井川あかいがわ国道こくどう）
• 常盤橋ときわばし
• 喜多きた野の橋きょう

関連かんれん項目こうもく

• 落合おちあいダム（小樽川おたるがわ・赤井川あかいかわ村むら）
• 常盤ひたちダム（小樽川おたるがわ・赤井川あかいかわ村むら）

参考さんこう資料しりょう

• 余市川よいちがわ水系すいけい河川かせん整備せいび基本きほん方針ほうしん（北海道ほっかいどう）