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アユ

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アユ
産卵さんらんのメス
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか
DATA DEFICIENT
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
: キュウリウオ Osmeriformes
: キュウリウオ Osmeroidei
うえ : キュウリウオうえ Osmeroidea
: キュウリウオ Osmeridae
: アユ Plecoglossinae
ぞく : アユぞく Plecoglossus
たね : アユ P. altivelis
学名がくめい
Plecoglossus altivelis
(Temminck et Schlegel1846)
英名えいめい
Ayu
Ayu Fish
亜種あしゅ
  • P. a. altivelis
  • P. a. ryukyuensis リュウキュウアユ
  • P. a. chinensis

アユあゆ香魚こうぎょとしぎょぎんこうぎょがつぎょPlecoglossus altivelis)は、キュウリウオ分類ぶんるいされる、かわうみなどを回遊かいゆうするさかなである。「清流せいりゅう女王じょおう」ともばれている[1]。なお、漢字かんじの「あゆ」は、中国ちゅうごくではナマズし、アユという意味いみ日本にっぽんでの国訓こっくんである[2]

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

アユ Plecoglossidae とされたこともあったが、Nelson (2006) は、キュウリウオしたたんがたのアユ Plecoglossinae分類ぶんるい提唱ていしょうした[3]ミトコンドリア遺伝子いでんしたいする分子ぶんし系統けいとう解析かいせきでは、キュウリウオもっとはや分岐ぶんきしたたねであることがしめされている(下図したず[4]

キュウリウオ

ガラクシアス

ミナミキュウリウオ

キュウリウオ
アユ

アユ

キュウリウオ など

ワカサギシシャモ など

カラフトシシャモ など

シラウオアリアケシラウオ・ヒメシラウオ など

名称めいしょう[編集へんしゅう]

神功じんぐう皇后こうごうしん征討せいとうまえうらないをおこない、アユがれ、勝利しょうり確信かくしんしたという故事こじえがいたもの。月岡つきおか芳年よしとしふで日本書紀にほんしょきでは「ほそうろこぎょ」としるされた[5]

漢字かんじ表記ひょうきとしては、香魚こうぎょ独特どくとく香気こうきをもつことに由来ゆらい)、としぎょいちねん一生いっしょうえることに由来ゆらい)、ぎんこうぎょおよいでいるとくち銀色ぎんいろひかることに由来ゆらい)、けいいわし渓流けいりゅうのイワシの意味いみ)、ほそうろこぎょうろこちいさい)、国栖くずぎょ奈良ならけん土着どちゃく人々ひとびと国栖くず吉野川よしのがわのアユを朝廷ちょうてい献上けんじょうしたことに由来ゆらい)、鰷魚(江戸えど時代じだい書物しょもつの「ハエ」の誤記ごき)など様々さまざま漢字かんじ表記ひょうきがある[6]。また、アイ、アア、シロイオ、チョウセンバヤ(久留米くるめ)、アイナゴ(幼魚ようぎょ南紀なんき)、ハイカラ(幼魚ようぎょ)、氷魚ひうお幼魚ようぎょ)など地方ちほうめい成長せいちょう段階だんかいによるとうによって様々さまざま別名べつめい地方ちほうめいがある。

アユの語源ごげんは、あき産卵さんらんかわくだることから「アユル」(ちるの)に由来ゆらいするとのせつ神前しんぜんそなえる食物しょくもつであるというところから「きょう(あえ)」に由来ゆらいするとのせつなど諸説しょせつある[7]

現在げんざいの「あゆ」のてられている由来ゆらい諸説しょせつあり、神功じんぐう皇后こうごう肥前ひぜんこく松浦まつうらぐん玉島川たましまがわでアユをってたたかいの勝敗しょうはいうらなったとするせつ[7] [8]、アユが一定いってい縄張なわばりを独占どくせんする(める)ところからつけられたであるというものなど諸説しょせつある。アユという意味いみでの漢字かんじあゆ奈良なら時代じだいごろから使つかわれていたが、当時とうじあゆナマズしており、記紀ききふくめほとんどがアユをとしぎょ表記ひょうきしている。

中国ちゅうごく漢字かんじの「あゆ」は古代こだい日本にっぽん同様どうようナマズをしており[7]中国ちゅうごくでアユは、「香魚こうぎょ(シャンユー、xiāngyú)」が標準ひょうじゅんめいとされている。地方ちほうめいでは、山東さんとうしょうで「秋生あきおぎょ」、「うみ胎魚」、福建ふっけんしょう南部なんぶでは「けい」、台湾たいわんでは「𫙮[ちゅう 1]さかな」、「くにせいぎょ」ともばれる。

俳句はいく季語きごとして「あゆ」「鵜飼うかい」はともになつをあらわすが、はるには「若鮎わかあゆ」、あきは「あゆ」、ふゆ季語きごは「氷魚ひうお(ひお、ひうお)」と、四季しき折々おりおり季語きご使用しようされている。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

形態けいたい[編集へんしゅう]

成魚せいぎょ全長ぜんちょうは30センチメートルにたっするが、地域ちいき個体こたいがあり、10センチメートルほどでせい成熟せいじゅくするものもいる。わかさかな全身ぜんしんはい緑色みどりいろ背鰭せびれくろむねびれの後方こうほうおおきな黄色おうしょく楕円だえんがたむらひとつある。あきせい成熟せいじゅくすると橙色だいだいいろくろ婚姻こんいんしょく発現はつげんする。体型たいけいあぶらひれつなどの特徴とくちょうがサケ類似るいじする。くちおおきくしたまでけるが、くちびるやわらかい。まるく、くし(くし)のような構造こうぞうくしじょう)である。

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

北海道ほっかいどう朝鮮半島ちょうせんはんとうからベトナム北部ほくぶまでひがしアジア一帯いったい分布ぶんぷする。いしについた藻類そうるいべるという習性しゅうせいから、そのような環境かんきょうのある河川かせん生息せいそくし、長大ちょうだいしも流域りゅういきをもつ大陸たいりくだい河川かせんよりも、日本にっぽんかわ適応てきおうしたさかなである[9]天塩川てしおがわ日本にっぽん分布ぶんぷ北限ほくげん遺伝いでんてき日本にっぽんさん海産かいさんアユは南北なんぼく2つのぐんけられる[10]中国ちゅうごくでは、河川かせん環境かんきょう悪化あっかでそのかず減少げんしょうしているが、2004ねん長江ながえしも流域りゅういきでも稚魚ちぎょ発見はっけんされた報告ほうこくがあるなど、現在げんざいかもみどりこうはじめ、遼東りゃおとん半島はんとう以南いなん一帯いったい生息せいそくしている。また、中国ちゅうごくでは浙江せっこうしょうなどで放流ほうりゅう養殖ようしょく実験じっけんおこなわれている。台湾たいわんでも中部ちゅうぶ西岸せいがんでは濁水だくすいけい以北いほく東岸とうがんではさん桟渓以北いほく)で生息せいそくしていたが、現在げんざい絶滅ぜつめつ危惧きぐされている。

亜種あしゅ[編集へんしゅう]

しき亜種あしゅ[編集へんしゅう]

Plecoglossus altivelis altivelis (Temminck et Schlegel, 1846)。

「アユ」を亜種あしゅ P. a. altivelis とすることもある。

オオアユ[編集へんしゅう]

琵琶湖びわこのコアユにたいし、両側りょうがわ回遊かいゆうする通常つうじょう個体こたいぐんオオアユぶ。

コアユ[編集へんしゅう]

琵琶湖びわこさんコアユ

30センチメートルほどに成長せいちょうする両側りょうがわ回遊かいゆうがた海産かいさんけいアユにたいして、陸封りくふうかたである琵琶湖びわこさんアユは10センチメートルほどにしか成長せいちょうせずコアユともばれる。明治めいじ時代じだい後期こうきまでオオアユとコアユはべつたねとらえられていたが、動物どうぶつ学者がくしゃ石川いしかわ千代松ちよまつによる1908ねん以降いこういけちゅう飼育しいく試験しけんおよび1913ねん以降いこう多摩川たまがわそう谷川たにがわへの放流ほうりゅう実験じっけんによって、琵琶湖びわこさんアユが河川かせんではおおきくそだち、同種どうしゅであることが実証じっしょうされた[11]アイソザイム分析ぶんせき結果けっか海産かいさんアユからの個体こたいぐんとしての別離べつりは10まんねんまえ推定すいていされている[12]

コアユは生態せいたいてきにも特殊とくしゅで、稚魚ちぎょうみにはくだらず、琵琶湖びわこうみわりとして利用りようしている。琵琶湖びわこ流入りゅうにゅう河川かせん遡上そじょうし、地域ちいきのアユのようにおおきく成長せいちょうするもの(オオアユ)と、みずうみないにとどまりおおきく成長せいちょうしないもの(コアユ)が存在そんざいする。河川かせん遡上そじょうしないコアユは、えさとしてミジンコるいおも捕食ほしょくする。おな琵琶湖びわこ生息せいそくするビワマスでは海水かいすいたいせい発達はったつせずくだうみ死滅しめつすることが報告ほうこくされている[13]が、コアユにおいても海水かいすいたいせいうしなわれている可能かのうせい示唆しさされている[14]。また、海産かいさんアユとの交雑こうざつ個体こたいくだうみ死滅しめつしていることが示唆しさされている[14]

産卵さんらんすう海産かいさんアユよりおおく、地域ちいきのアユとくら縄張なわば意識いしきつよいとされている。そのため友釣ともづには好都合こうつごうで、全国ぜんこく各地かくち河川かせん放流ほうりゅうされてきたが、琵琶湖びわこさん種苗しゅびょうアユあるいは交配こうはい稚魚ちぎょうみくだっても翌年よくねん遡上そじょうしないこと[14]つよ示唆しさされており、天然てんねん海産かいさんアユとの交配こうはいにより海水かいすいたいせいうしなわれ死滅しめつすることによる資源しげん減少げんしょう懸念けねんされている[15]

国内こくない外来がいらいぎょとして[編集へんしゅう]

アユは河川かせん漁業ぎょぎょう遊漁ゆうぎょにとって重要じゅうようさかなしゅとして日本にっぽん各地かくち種苗しゅびょう放流ほうりゅうおこなわれていて、琵琶湖びわこでは各地かくち出荷しゅっかする種苗しゅびょうとしてアユがされている[11]海産かいさんアユがうみ環境かんきょうによって資源しげんりょうおおきく変動へんどうするのにたいし、琵琶湖びわこのアユは豊富ほうふであるだけでなく、てい水温すいおんでも活性かっせいたもつ、成長せいちょうはやい、なわばり意識いしきつよ友釣ともづ反応はんのうしやすいなどの特徴とくちょうがあり種苗しゅびょう重用じゅうようされ[16]、とくに1990年代ねんだいごろは重量じゅうりょうベースで90パーセントをめるなど、日本にっぽんのアユ種苗しゅびょう寡占かせんしていた[11]

遺伝いでんがく発達はったつし、同種どうしゅであってもことなる系統けいとうのグループあいだでの交雑こうざつ問題もんだいてん認識にんしきされるようになったが、1970年代ねんだい以降いこう複数ふくすう研究けんきゅうによって、かわ放流ほうりゅうされたみずうみさんけいアユはうみ流下りゅうかしたあと遡上そじょうする能力のうりょくたないことと、そのために河川かせんでの繁殖はんしょく寄与きよしてこなかったことが示唆しさされた[16]産卵さんらんにもちがいがあることから河川かせんでの交雑こうざつ可能かのうせいちいさいが、完全かんぜんには否定ひていされない。飼育しいくでは、水温すいおん日照ひでり時間じかんによって産卵さんらん調整ちょうせいできるため人為じんいてき交配こうはい可能かのうで、とくに陸封りくふう集団しゅうだんでは天然てんねんにもきうる[16]野村のむらダムみずうみ八田原はったばらダムみずうみ陸封りくふう集団しゅうだん浸透しんとう交雑こうざつ英語えいごばん集団しゅうだん報告ほうこくされていて、天然てんねん集団しゅうだん遺伝いでんてき撹乱かくらんをもたらすことが危惧きぐされている[17]

リュウキュウアユ[編集へんしゅう]

P. altivelis ryukyuensis Nishida, 1988[18]アイソザイム分析ぶんせき結果けっか日本にっぽん本土ほんどさん海産かいさんアユからの別離べつりは100まんねんまえ推定すいていされている[12]

絶滅ぜつめつ危惧きぐIAるい (CR)環境省かんきょうしょうレッドリスト

絶滅ぜつめつ危惧きぐしゅ[19]

中国ちゅうごくさん亜種あしゅ[編集へんしゅう]

中国ちゅうごくさん亜種あしゅPlecoglossus altivelis chinensis)はXiujuan, et al. (2005) により、しん亜種あしゅとして記載きさいされた。朝鮮半島ちょうせんはんとうから中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくベトナム国境こっきょう地帯ちたいにかけての海岸かいがん断続だんぞくてき生息せいそくする[20]

朝鮮半島ちょうせんはんとうさん個体こたいぐん[編集へんしゅう]

朝鮮半島ちょうせんはんとうさん予備よびてき研究けんきゅうにより日本にっぽんさん遺伝いでんてき有意ゆういがあるとの報告ほうこくがされている[21]

生活せいかつ[編集へんしゅう]

かわのぼるアユ。多摩川たまがわ調布ちょうふせきにて

アユの成魚せいぎょかわ生活せいかつし、かわ産卵さんらんするが、生活せいかつの3ぶんの1程度ていどめる稚魚ちぎょにはうみ生活せいかつする。このような回遊かいゆうは「両側りょうがわ回遊かいゆう」とばれる。ただし、河口かこういき環境かんきょうによっては、河口かこういきにも稚魚ちぎょ成育せいいくじょう形成けいせいされる場合ばあいもある。

産卵さんらん[編集へんしゅう]

おやのアユは遡上そじょうした河川かせん流下りゅうか河川かせんしも流域りゅういき産卵さんらんおこなう。最高さいこう水温すいおん摂氏せっし20下回したまわころはじまり、最高さいこう水温すいおん摂氏せっし16下回したまわころ終了しゅうりょうする。つぶみち 1ミリメートル程度ていどの沈性粘着ねんちゃくたまご夜間やかん産卵さんらんする[22]産卵さんらんてきした河床かしょうは、つぶちいさな砂利じゃりしつどろ堆積たいせきのないみずどおしの砂利じゃりうご場所ばしょ必要ひつようである。つまり、砂利じゃりしつであってもヒゲナガカワトビケラ幼虫ようちゅう俗称ぞくしょう:クロカワムシ)などにより河床かしょうかためられた場所ばしょでは産卵さんらんできない。産卵さんらん様式ようしきは、1たい1ではなくかならず2個体こたい以上いじょうのオスとの産卵さんらんせいおこなわれる[23]。また、資源しげん保護ほご目的もくてきとして「付着ふちゃく藻類そうるいのぞく」「河床かしょうこしみずどおしをくする」などの河床かしょう産卵さんらんてきする環境かんきょう整備せいびする活動かつどう各地かくちおこなわれている[24]

  • 流速りゅうそく 40 - 100センチメートル毎秒まいびょう
  • 水深すいしん 10 - 60センチメートル
  • たまご河床かしょう表面ひょうめんから 5 - 10センチメートル に埋没まいぼつ

孵化ふか[編集へんしゅう]

水温すいおん摂氏せっし15から摂氏せっし20で2週間しゅうかんほどすると孵化ふかする。孵化ふかしたぎょシロウオのように透明とうめいで、心臓しんぞうやうきぶくろなどがけてえる。孵化ふかぎょ全長ぜんちょうやく6ミリメートルで卵黄らんおう嚢をつ。

稚魚ちぎょ[編集へんしゅう]

ぎょ数日すうじつのうちにうみあるいは河口かこういき流下りゅうかはる遡上そじょうそなえる。海水かいすいたいせいそなえているが、海水かいすい塩分えんぶん濃度のうどひく場所ばしょえらぶため、河口かこうから4kmをえない範囲はんい回遊かいゆうする[25]えさカイアシるいなどのプランクトン捕食ほしょくして成長せいちょうする。稚魚ちぎょ必要ひつよう海底かいてい形質けいしつ砂利じゃりすなで、海底かいていどろ場所ばしょでは生育せいいくしない。全長ぜんちょうやく10 ミリメートル程度ていどから砂浜すなはま海岸かいがん河口かこういき浅所あさどころあつまるが、このころからすでスイカキュウリかおりがある。この独特どくとくかおりは、アユの体内たいない飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん酵素こうそによって分解ぶんかいされたときのにおいであり、アユ体内たいない脂肪酸しぼうさんえさ飼料しりょう影響えいきょうけることから、そだかたによってかおりがことなることになる。かお成分せいぶんおもに2,6-ノナジエナールであり、2-ノネナール・3,6-ノナジエン-1-オールも関与かんよしている[26]稚魚ちぎょには、プランクトンや小型こがた水生すいせい昆虫こんちゅう落下らっか昆虫こんちゅう捕食ほしょくする。

遡上そじょう成魚せいぎょ[編集へんしゅう]

あゆあと

体長たいちょう59-63ミリメートルになるとうろこ全身ぜんしん形成けいせいされ稚魚ちぎょ翌年よくねん4がつ-5がつごろに5-10センチメートル程度ていどになり、かわ遡上そじょうするが、このころからからだいろがつき、さらにかたちいわうえ藻類そうるいべるのにてきしたくし(くし)のようなかたち変化へんかする。かわ上流じょうりゅうからちゅう流域りゅういきにたどりいた幼魚ようぎょ水生すいせい昆虫こんちゅうなどもべるが、いし付着ふちゃくするあいるいおよび珪藻けいそうるいバイオフィルム)を主食しゅしょくとするようになる。アユが岩石がんせき表面ひょうめん藻類そうるいをこそげるといわうえ紡錘形ぼうすいけい独特どくとくこんのこり、これをとくに「はみあと(あと)」という。アユを川辺かわべから観察かんさつすると、藻類そうるいべるためにしばしば岩石がんせきあたまをこすりつけるような動作どうさおこなうのでさかな区別くべつできる。

おおくのわかさかなれをつくるが、とくからだおおきくなったなんわりかのわかさかなはえさの藻類そうるいおお場所ばしょ独占どくせんして縄張なわばつくるようになる。一般いっぱんには、縄張なわばりをつようになったアユは黄色おうしょくみをびることでられている。とくにヒレのえんむねにできる黄色おうしょくまだら縄張なわばりをもつアユのシンボルとされている。アユの視覚しかく黄色おうしょくつよ認識にんしきし、それによってかく個体こたいあらそいを回避かいひしているとかんがえられている[27][ちゅう 2]縄張なわばりは1のアユにつきやく1m四方しほうほどで、この縄張なわばないはいったほか個体こたいには体当たいあたりなどのはげしい攻撃こうげきくわえる。この性質せいしつ利用りようしてアユをけるのが「友釣ともづ」で、じんたちが10mちか釣竿つりざおしずかにかまえてアユを姿すがた日本にっぽんなつ風物詩ふうぶつしになっている[28]

なつころわかさかなでははい緑色みどりいろだったからだしょくが、あきせい成熟せいじゅくすると「さびあゆ」とばれるだいだいくろ独特どくとく婚姻こんいんしょく変化へんかする。成魚せいぎょ産卵さんらんのためした流域りゅういきへのくだかわ開始かいしするが、この行動こうどうしめすものをして「ちあゆ」という呼称こしょうもある。産卵さんらんえたアユは1年間ねんかんみじか一生いっしょうえるが、広島ひろしまけん太田おおたがわ静岡しずおかけん柿田かきたがわなどの一部いちぶ河川かせんやダムの上流じょうりゅうではびて越冬えっとうする個体こたいもいる[29]太田おおたがわでの調査ちょうさ結果けっかからは、越年えつねんアユはすべめすである。また、さい成熟せいじゅくしての産卵さんらんおこなわれないとかんがえられている[30]

飼育しいく[編集へんしゅう]

アユの観賞かんしょうぎょようとしての飼育しいく自体じたいまれである[よう出典しゅってん]が、コアユ(陸封りくふうがた)であれば可能かのうである。また、遡上そじょうがたのアユもややアユの時期じきよりそだてれば可能かのうである。こう水温すいおんよわいため夏場なつば温度おんど管理かんり重要じゅうようである。しょくせいおも植物しょくぶつせいであるが、コアユの場合ばあい動物どうぶつせいがよりつよいので、まれ動物どうぶつプランクトンべる。また、観賞かんしょうぎょとして水槽すいそうない飼育しいくした場合ばあい成熟せいじゅくまでにいたらないケースがおおいため、1ねんから3ねんきる。

日本にっぽんにおけるアユ[編集へんしゅう]

さまざまなあゆ料理りょうり
し(#生食なましょく参照さんしょう

日本にっぽんでは代表だいひょうてきかわ対象たいしょうぎょであり、重要じゅうよう食用しょくようぎょでもある。地方ちほう公共こうきょう団体だんたい象徴しょうちょうするさかなとして指定していする自治体じちたいおおい。稚魚ちぎょくだうみごすアユ (Plecoglossus altivelis altivelis) は、琵琶湖びわこさんコアユと区別くべつするため、海産かいさんアユともばれる。

群馬ぐんまけん岐阜ぎふけん奈良ならけんではけんぎょ指定していされている。

江戸えど時代じだいから評判ひょうばんたか多摩川たまがわあゆ幕府ばくふに「御用ごようあゆ」として上納じょうのうされていた[31]

食材しょくざい[編集へんしゅう]

とく天然てんねんアユを中心ちゅうしんに、まわる時期じきかぎられていることから、初夏しょか代表だいひょうてき味覚みかくとされている[32][33]

日本にっぽん各地かくちのアユの内容ないようぶつかんする調査ちょうさ結果けっかにごりがおおかわのアユはどろおおち、食味しょくみにも泥臭どろくささがる。この場合ばあい、はらわたを除去じょきょすることで泥臭どろくささをけることもできる。一方いっぽうどろすくないかわではにもどろふくまれず、食味しょくみ大幅おおはば改善かいぜんする。おながわでも、遡上そじょうりょうおお川底かわぞこがアユによって「掃除そうじ」されたようなとしには風味ふうみくなる[34]

日本にっぽんでは一般いっぱんに、さかな刺身さしみしょくするのが最良さいりょうとされている(わりぬし烹従)が、アユについては例外れいがいてき塩焼しおや最良さいりょうとされている。一般いっぱん初夏しょかのものはアユの独特どくとく香気こうきあじわい、晩夏ばんかのものははらあじわうとされている[32]

ものもの[編集へんしゅう]

アユは、初夏しょかからなつぶし代表だいひょうする食材しょくざいとしてられ、清涼せいりょうかんをもたらす食材しょくざいである。とく初夏しょかわかアユが美味びみとされ、わかアユの塩焼しおやきやてんぷら珍重ちんちょうされる[35]あゆたでべるのが一般いっぱんてき[32]だが、ほかにもたで味噌みそえる場合ばあいもある[33]塩焼しおやきにしたのちのこったほねはさらにあぶり、熱燗あつかん日本酒にほんしゅそそほねしゅとすることができる。

生食なましょく[編集へんしゅう]

刺身さしみあらなどの生食なましょくおこなわれることがある。アユは横川よこかわ吸虫という寄生虫きせいちゅうなかあいだ宿主しゅくしゅであり、食品しょくひん安全あんぜん委員いいんかいはこの観点かんてんから生食なましょくすすめられないとしている[36]

刺身さしみにするには、しゅんのアユを冷水れいすいめ、あらいやしにする。とくしはほねやわらかいアユの特徴とくちょうてき調理ちょうり方法ほうほうで、ウロコや内臓ないぞう除去じょきょしたのち、ほねかわごとうす輪切わぎりにしたもので、清涼せいりょうかんのある見栄みばえや独特どくとくごたえをたのしむ。たでなどでしょくすることでもアユの香気こうきあじわうことができる[33][32]

しおめしわせて発酵はっこうさせるなれずしの「あゆ寿司ずし」や、「姿すがた寿司ずし」、「寿司ずし」、「かき寿司ずし」、「ささ寿司ずし」などをつく地方ちほうがある。JR京都きょうとえき名物めいぶつ駅弁えきべんともなっている。

アユのちょう塩辛しおからにした「うるか」は、珍味ちんみとしてよろこばれる[37]。うるかをつくるには、はらすなはいっていない(空腹くうふくになっている)夜間やかんあされのあゆしとされる。[よう出典しゅってん]

煮物にもの[編集へんしゅう]

琵琶湖びわこ周辺しゅうへんなどでは稚魚ちぎょ氷魚ひうお佃煮つくだにや、成魚せいぎょ甘露煮かんろにしょうあゆ甘露煮かんろに)も名物めいぶつとして製造せいぞう販売はんばいされている。

雑炊ぞうすい[編集へんしゅう]

岐阜ぎふけん郷土きょうど料理りょうりで、あゆ使用しようしたあゆ雑炊ぞうすいがあり、5月から10がつしょくされる。

シラス[編集へんしゅう]

シラスりょうにおいては、うみごしているアユぎょ稚魚ちぎょこんされることがある。しかし、この場合ばあい独特どくとくかおりが製品せいひんにつくのでむしろきらわれる。[よう出典しゅってん]また、アユの稚魚ちぎょでると黄色おうしょくになる。

アユぶし[編集へんしゅう]

乾燥かんそうさせたあゆぶし和食わしょく出汁だしとしても珍重ちんちょうされる。また、あゆ干物ひものからとった「水出みずいでじる」は、きわめて上品じょうひん

漁法ぎょほう[編集へんしゅう]

やな設置せっちされた河川かせん

アユのわかさかなもう投網なげあみ産卵さんらんかわくだ成魚せいぎょやな(やな)などで漁獲ぎょかくされる。岐阜ぎふけん長良川ながらがわなどでは、ウミウ利用りようした鵜飼うかられる。

友釣ともづ[編集へんしゅう]

アユにターゲットをしぼった漁法ぎょほうとして、アユが縄張なわば性質せいしつ利用りようした友釣ともづがある。

毛鉤けばり[編集へんしゅう]

ぎょから稚魚ちぎょ主要しゅようえさ水生すいせい昆虫こんちゅう水面すいめん落下らっか昆虫こんちゅうであるため、毛鉤けばりサビキ仕掛しかけでれることもある。ただし、水産すいさん資源しげん保護ほご観点かんてんから11月-5月は禁漁きんぎょである。また、解禁かいきんされたのち漁業ぎょぎょうけん設定せっていされた河川かせんでは、入漁にゅうぎょりょう支払しはら必要ひつようがある。

養殖ようしょく[編集へんしゅう]

アユは高級こうきゅう食材しょくざいとされており、内水うすいめん養殖ようしょくされるさかなしゅとしてはウナギ生産せいさんだかほこる。養殖ようしょくは、食用しょくようとするための成魚せいぎょ養殖ようしょくと、遊漁ゆうぎょ目的もくてき放流ほうりゅうよう種苗しゅびょう稚魚ちぎょ養殖ようしょくとが日本にっぽん各地かくちおこなわれ、稚魚ちぎょ養殖ようしょく天然てんねん河川かせん放流ほうりゅうした個体こたいを『はん天然てんねん』とぶこともある[38]一部いちぶでは完全かんぜん養殖ようしょくおこなわれる。このさいには、しゅとして、天然てんねん稚魚ちぎょを3がつから4がつ捕獲ほかく淡水たんすい育成いくせいする方法ほうほう採用さいようされる。実際じっさい、「河口かこう付近ふきんかわした河川かせんさんややアユ」「河口かこう付近ふきん海洋かいよう回遊かいゆうちゅうした海産かいさんややアユ」「みずうみみずうみそそ河口かこうしたみずうみさんややアユ(コアユ)」が種苗しゅびょうとして供給きょうきゅうされている。完全かんぜん養殖ようしょく場合ばあい一時いちじ海水かいすいちゅう飼育しいくすることもあり、えさシオミズツボワムシなどのワムシるいアルテミア幼生ようせいミジンコなどが使用しようされる。

稚魚ちぎょえさ
植物しょくぶつプランクトン ワムシるい 甲殻こうかくるい幼生ようせい カイアシるい ミジンコるい

アユ養殖ようしょく歴史れきし[編集へんしゅう]

アユの養殖ようしょくはじまりは諸説しょせつある。養殖ようしょく実験じっけんは、石川いしかわ千代松ちよまつ[39]らにより1904ねんより琵琶湖びわこおこなわれたのが最初さいしょとされている[40]。1923ねんには琵琶湖びわこさん稚魚ちぎょ京都きょうと清滝川きよたきがわ放流ほうりゅうされた[41]。1960年代ねんだいになると遊漁ゆうぎょ種苗しゅびょう育成いくせいさかんにおこなわれるようになる。当初とうしょ琵琶湖びわこさんアユが養殖ようしょく種苗しゅびょうとして利用りようされていたが、海産かいさん稚魚ちぎょ利用りよう1929ねん中野なかの宗治むねはる研究けんきゅうにより開始かいしされた。なお、養殖ようしょくアユの生産せいさんりょうは、最盛さいせいの1988ねんには1まん3600トンあまりあったが、2001ねんに8100トン、2005ねんには5800トン程度ていどまで減少げんしょうした[42]

21世紀せいき初頭しょとうには流水りゅうすいでの養殖ようしょくおこな脂肪しぼうぶん減少げんしょうさせることや、配合はいごう飼料しりょうあい緑茶りょくちゃ抽出ちゅうしゅつぶつ[43]添加てんかすることで動物どうぶつしつ飼料しりょう由来ゆらいかおりを抑制よくせいするなど、養殖ようしょく方法ほうほうにも工夫くふうくわえられ養殖ようしょくものの食味しょくみ天然てんねんぶつちかづける努力どりょくもなされている。さらに、でんあきら飼育しいくにより性的せいてき成熟せいじゅくおくらせ、「越年えつねんアユ」として販売はんばいされる場合ばあいもある。

飼育しいく方法ほうほう放流ほうりゅう[編集へんしゅう]

アユについての漁業ぎょぎょうけんのある河川かせんでは、毎年まいとし4-5がつごろ漁協ぎょきょうにより、10-15センチメートル程度ていどのサイズの稚魚ちぎょ放流ほうりゅうおこなわれる。

アユの養殖ようしょく飼育しいく適温てきおん摂氏せっし15-25であり、養殖ようしょくよういけ)は長方形ちょうほうけい円形えんけいなど様々さまざま形状けいじょうのものが利用りようされる。えさは、かつてはカイコさなぎ粉末ふんまつさかなえさ使用しようされたが、現在げんざいでは魚粉ぎょふんさかなすり主成分しゅせいぶんとした固形こけい配合はいごう飼料しりょうあたえられる。アユは短期間たんきかん成長せいちょうさせる必要ひつようがある。このため、つね飽食ほうしょくりょうちかりょう給餌きゅうじされる結果けっかのこったえさにより養殖ようしょく水質すいしつ悪化あっかし、感染かんせんしょう発生はっせいやすくなるという問題もんだいしょうじやすい。また密度みつど管理かんり重要じゅうようである。これは、感染かんせんしょう対策たいさくをとる必要ひつようがあるばかりでなく、生育せいいく密度みつどたかいと共食ともぐいが発生はっせいしやすいためでもある。

天然てんねんぶつ養殖ようしょくぶつちが[編集へんしゅう]

天然てんねんぶつ養殖ようしょくぶつちがいとしてはおも以下いかのようなものがある[38]

  • 特有とくゆうかお
    • 養殖ようしょくぎょにはない。
  • 脂肪しぼう
    • 天然てんねんアユと養殖ようしょくアユの比較ひかくでは、養殖ようしょくアユのほうが脂肪しぼうやく3ばいおおくもつ。とはいえ、さかなたい自体じたいおおきなものではないし、一般いっぱんにはそう頻繁ひんぱんしょくするさかなではないので、カロリー観点かんてんでは脂肪しぼうぶん無視むしできるレベルである。一方いっぽう脂肪しぼうおおいということはビタミンDビタミンEといったあぶら溶性ようせい栄養素えいようそをよりおおふくんでいることになる。栄養えいよう摂取せっしゅ観点かんてんからも内臓ないぞうごとしょくするとよりおおくの栄養えいよう摂取せっしゅすることができる[32]

ブランド[編集へんしゅう]

アユの感染かんせんしょう[編集へんしゅう]

養殖ようしょくにおいて感染かんせんしょう問題もんだいとなる。たとえば、グルゲアしょう発生はっせいした場合ばあい治療ちりょうほうがなく発病はつびょうぐんぜん個体こたい処分しょぶんおよび関連かんれん器材きざい消毒しょうどくしなければならない。

アユのおも病気びょうき症状しょうじょう一覧いちらん[45][46]
病名びょうめい 病原びょうげんたい 特徴とくちょうてき症状しょうじょう
からだひょうひれ えら(えら 内臓ないぞう筋肉きんにく
冷水れいすいびょう フラボバクテリウム・サイクロフィラム(Flavobacterium psychrophilum) からだひょうびらん潰瘍かいようしもあご出血しゅっけつ 貧血ひんけつ 内臓ないぞう貧血ひんけつ
ビブリオびょう Vibrio anguillarum からだひょうひれ基部きぶ肛門こうもん周辺しゅうへん出血しゅっけつからだ幹部かんぶ褪色たいしょくやスレ 内臓ないぞう筋肉きんにく出血しゅっけつ
細菌さいきんせいえらびょう フラボバクテリウム一種いっしゅ(Flavobacterium branchiophila) えらぶたひらいたまま えらうっけつ多量たりょう粘液ねんえき分泌ぶんぴつえらべん棍棒こんぼう
シュードモナスびょう細菌さいきんせい出血しゅっけつせい腹水ふくすいしょう Pseudomonas plecoglossicida しもあご発赤はっせき出血しゅっけつ肛門こうもん拡張かくちょう 軽度けいど貧血ひんけつ
きんせい肉芽にくがしゅしょう ミズカビるい一種いっしゅAphanomyces piscicida) 皮膚ひふ剥離はくり潰瘍かいよう肉芽にくがしゅ形成けいせい きん伸長しんちょうによる発赤はっせき
ボケびょう 不明ふめい えらぶたひらいたままになる えらべん腫脹しゅちょう棍棒こんぼうえら褪色たいしょく
ミズカビびょう ミズカビるいサプロレグニアぞくのカビなど カビの集落しゅうらく形成けいせい表皮ひょうひ組織そしき崩壊ほうかい
グルゲアしょう ほろ胞子ほうしちゅう一種いっしゅ(Glugea plecoglossi) 乳白色にゅうはくしょく球形きゅうけいのグルゲアシストがからだかく部位ぶい形成けいせい

放流ほうりゅうよう種苗しゅびょうかかわる問題もんだい[編集へんしゅう]

前述ぜんじゅつように、当初とうしょ琵琶湖びわこさんアユが養殖ようしょく種苗しゅびょうとして利用りようされていたが、海産かいさん稚魚ちぎょ利用りようもされているが、外部がいぶからの新規しんき個体こたい導入どうにゅうされない環境かんきょうつぎだい飼育しいくされることがおお養殖ようしょくじょう環境かんきょう適応てきおうした個体こたいのみがのこることとなり、飼育しいくしやすい反面はんめん単一たんいつ形質けいしつをもつ遺伝いでんてき多様たようせいける集団しゅうだんとなる。その結果けっか環境かんきょうストレスにたいするたいせいれいしゅたる捕食ほしょくしゃカワウからの回避かいひ能力のうりょく)を低下ていかさせるとともに、つぎだい人工じんこう種苗しゅびょうおやぎょとなった自然しぜんかいでのさい生産せいさんのサイクルが良好りょうこう機能きのうしない原因げんいんとなっている可能かのうせい指摘してきされている。しかし、遺伝いでんてき多様たようせい維持いじするために、養殖ようしょくメスと野生やせいオスを交配こうはいさせ次世代じせだい種苗しゅびょうとすることで遺伝いでんてき多様たようせい維持いじをはかることが可能かのうである[23]

天然てんねんアユ復活ふっかつへの[編集へんしゅう]

流域りゅういき下水道げすいどう整備せいびによる水質すいしつ浄化じょうか、かつて生息せいそくしていた河川かせん清掃せいそう直線ちょくせんした河川かせん構造こうぞう改造かいぞう産卵さんらんゆか整備せいびなどをとおした天然てんねんアユ復活ふっかつこころみは日本にっぽん国内こくない各地かくち島根しまねけん[47]多摩川たまがわ[48][49])でおこなわれている。たとえば神戸こうべなだ都賀つががわは、かつてゴミとヘドロでくされた「どぶかわ」だった。「都賀つががわまもろうかい」が、1976ねんより、戦前せんぜんのようにさかなとりなどができるようにと活動かつどうつづけ、ゴミをげたり、くるま拡声かくせいかわよごさないようにとうったえてきた。陳情ちんじょうけた兵庫ひょうごけん魚道ぎょどう整備せいび産卵さんらんようすなき、かわ蛇行だこうさせてながれをゆるやかにした。その結果けっか毎年まいとし2000ひきほどが遡上そじょうし、産卵さんらんおこなわれるようになった[50][51]

文学ぶんがく[編集へんしゅう]

あゆさんなつ季語きごあゆ若鮎わかあゆ晩春ばんしゅん季語きご[52]

命名めいめい[編集へんしゅう]

和菓子わがし一種いっしゅに、あゆかたちって小麦粉こむぎこいてつくったかわ求肥ぎゅうひをはさんだものがあり、「あゆ」または「若鮎わかあゆ」とばれる。

参考さんこう画像がぞう[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 魚偏うおへんに桀。
  2. ^ ただし、これらは一般いっぱん流布るふしている学説がくせつであって、高橋たかはし & ひがし (2006) では、縄張なわばりをもたずれで生活せいかつしている天然てんねんアユにも黄色きいろくなるものがいるれいげて、最終さいしゅうてきにはよくわかっていないとしている。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

アスタリスク(*)をした文献ぶんけん孫引まごびきである。

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  • Shan, Xiujuan; Wu, Yunfei; Kang, Bin (2005-06). “Morphological comparison between Chinese Ayu and Japanese Ayu and establishment of Plecoglossus altivelis chinensis Wu & Shan subsp. nov”. Journal of Ocean University of China 4 (1): 61-66. doi:10.1007/s11802-005-0025-3. *
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  • 井口いぐち, 恵一けいいちろうたけとう, 弘彦ひろひこ「アユ個体こたいぐん構造こうぞう解析かいせきにおける進展しんてんとその今日きょうてき意義いぎ」『水産すいさん総合そうごう研究けんきゅうセンター研究けんきゅう報告ほうこく別冊べっさつだい5ごう水産すいさん総合そうごう研究けんきゅうセンター、2006ねん3がつ、187-195ぺーじNAID 220000102382 
  • 刺身さしみ百科ひゃっか柴田しばた書店しょてん、2007ねん8がつISBN 978-4-388-06020-7 
  • 谷口たにぐち, 順彦よしひこ池田いけだ, 『アユがく築地つきじしょかん、2009ねん10がつ20日はつかISBN 978-4-8067-1385-2 
  • 井村いむら, ひろしせん滋賀しがけんにおけるアユの種苗しゅびょう全国ぜんこく供給きょうきゅう養殖ようしょくぎょう地域ちいきてき展開てんかい」『地域ちいき漁業ぎょぎょう研究けんきゅう』、地域ちいき漁業ぎょぎょう学会がっかい、2013ねん8がつ1にち、25-45ぺーじdoi:10.34510/jrfs.53.3_25 
  • 戸倉とくら, つねしんじ (2020ねん5がつ18にち). “しお烤香ぎょあずか琵琶湖びわこ”. 自由時報じゆうじほう. 2020ねん12月3にち閲覧えつらん


関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]