この項目 こうもく では、魚 さかな のアユについて説明 せつめい しています。その他 た の用法 ようほう については「あゆ 」をご覧 らん ください。
アユ (鮎 あゆ 、香魚 こうぎょ 、年 とし 魚 ぎょ 、銀 ぎん 口 こう 魚 ぎょ 、記 き 月 がつ 魚 ぎょ Plecoglossus altivelis )は、キュウリウオ目 め に分類 ぶんるい される、川 かわ や海 うみ などを回遊 かいゆう する魚 さかな である。「清流 せいりゅう の女王 じょおう 」とも呼 よ ばれている[1] 。なお、漢字 かんじ の「鮎 あゆ 」は、中国 ちゅうごく ではナマズ を指 さ し、アユという意味 いみ は日本 にっぽん での国訓 こっくん である[2] 。
アユ科 か Plecoglossidae とされたこともあったが、Nelson (2006) は、キュウリウオ科 か の下 した に単 たん 型 がた のアユ亜 あ 科 か Plecoglossinae を置 お く分類 ぶんるい を提唱 ていしょう した[3] 。ミトコンドリア遺伝子 いでんし に対 たい する分子 ぶんし 系統 けいとう 解析 かいせき では、キュウリウオ科 か で最 もっと も早 はや く分岐 ぶんき した種 たね であることが示 しめ されている(下図 したず )[4] 。
神功 じんぐう 皇后 こうごう が新 しん 羅 ら 征討 せいとう の前 まえ に釣 つ り占 うらな いを行 おこな い、アユが釣 つ れ、勝利 しょうり を確信 かくしん したという故事 こじ を描 えが いたもの。月岡 つきおか 芳年 よしとし 筆 ふで 。日本書紀 にほんしょき では「細 ほそ 鱗 うろこ 魚 ぎょ 」と記 しる された[5]
漢字 かんじ 表記 ひょうき としては、香魚 こうぎょ (独特 どくとく の香気 こうき をもつことに由来 ゆらい )、年 とし 魚 ぎょ (一 いち 年 ねん で一生 いっしょう を終 お えることに由来 ゆらい )、銀 ぎん 口 こう 魚 ぎょ (泳 およ いでいると口 くち が銀色 ぎんいろ に光 ひか ることに由来 ゆらい )、渓 けい 鰮 いわし (渓流 けいりゅう のイワシの意味 いみ )、細 ほそ 鱗 うろこ 魚 ぎょ (鱗 うろこ が小 ちい さい)、国栖 くず 魚 ぎょ (奈良 なら 県 けん の土着 どちゃく の人々 ひとびと ・国栖 くず が吉野川 よしのがわ のアユを朝廷 ちょうてい に献上 けんじょう したことに由来 ゆらい )、鰷魚(江戸 えど 時代 じだい の書物 しょもつ の「ハエ 」の誤記 ごき )など様々 さまざま な漢字 かんじ 表記 ひょうき がある。また、アイ、アア、シロイオ、チョウセンバヤ(久留米 くるめ 市 し )、アイナゴ(幼魚 ようぎょ ・南紀 なんき )、ハイカラ(幼魚 ようぎょ )、氷魚 ひうお (幼魚 ようぎょ )など地方 ちほう 名 めい 、成長 せいちょう 段階 だんかい による呼 よ び分 わ け等 とう によって様々 さまざま な別名 べつめい や地方 ちほう 名 めい がある。
アユの語源 ごげん は、秋 あき の産卵 さんらん 期 き に川 かわ を下 くだ ることから「アユル」(落 お ちるの意 い )に由来 ゆらい するとの説 せつ や神前 しんぜん に供 そな える食物 しょくもつ であるというところから「饗 きょう (あえ)」に由来 ゆらい するとの説 せつ など諸説 しょせつ ある。
現在 げんざい の「鮎 あゆ 」の字 じ が当 あ てられている由来 ゆらい は諸説 しょせつ あり、神功 じんぐう 皇后 こうごう が肥前 ひぜん 国 こく 松浦 まつうら 郡 ぐん の玉島川 たましまがわ でアユを釣 つ って戦 たたか いの勝敗 しょうはい を占 うらな ったとする説 せつ [8] 、アユが一定 いってい の縄張 なわば りを独占 どくせん する(占 し める)ところからつけられた字 じ であるというものなど諸説 しょせつ ある。アユという意味 いみ での漢字 かんじ の鮎 あゆ は奈良 なら 時代 じだい ごろから使 つか われていたが、当時 とうじ の鮎 あゆ はナマズ を指 さ しており、記紀 きき を含 ふく めほとんどがアユを年 とし 魚 ぎょ と表記 ひょうき している。
中国 ちゅうごく で漢字 かんじ の「鮎 あゆ 」は古代 こだい 日本 にっぽん と同様 どうよう ナマズを指 さ しており、中国 ちゅうごく 語 ご でアユは、「香魚 こうぎょ (シャンユー、xiāngyú )」が標準 ひょうじゅん 名 めい とされている。地方 ちほう 名 めい では、山東 さんとう 省 しょう で「秋生 あきお 魚 ぎょ 」、「海 うみ 胎魚 」、福建 ふっけん 省 しょう 南部 なんぶ では「溪 けい 鰛 」、台湾 たいわん では「𫙮[注 ちゅう 1] 魚 さかな 」、「國 くに 姓 せい 魚 ぎょ 」とも呼 よ ばれる。
俳句 はいく の季語 きご として「鮎 あゆ 」「鵜飼 うかい 」はともに夏 なつ をあらわすが、春 はる には「若鮎 わかあゆ 」、秋 あき は「落 お ち鮎 あゆ 」、冬 ふゆ の季語 きご は「氷魚 ひうお (ひお、ひうお)」と、四季 しき 折々 おりおり の季語 きご に使用 しよう されている。
成魚 せいぎょ の全長 ぜんちょう は30センチメートルに達 たっ するが、地域 ちいき 差 さ や個体 こたい 差 さ があり、10センチメートルほどで性 せい 成熟 せいじゅく するものもいる。若 わか 魚 さかな は全身 ぜんしん が灰 はい 緑色 みどりいろ で背鰭 せびれ が黒 くろ 、胸 むね びれの後方 こうほう に大 おお きな黄色 おうしょく の楕円 だえん 形 がた 斑 むら が一 ひと つある。秋 あき に性 せい 成熟 せいじゅく すると橙色 だいだいいろ と黒 くろ の婚姻 こんいん 色 しょく が発現 はつげん する。体型 たいけい や脂 あぶら 鰭 ひれ を持 も つなどの特徴 とくちょう がサケ科 か に類似 るいじ する。口 くち は大 おお きく目 め の下 した まで裂 さ けるが、唇 くちびる は柔 やわ らかい。歯 は は丸 まる く、櫛 くし (くし)のような構造 こうぞう (櫛 くし 状 じょう 歯 は )である。
北海道 ほっかいどう ・朝鮮半島 ちょうせんはんとう からベトナム 北部 ほくぶ まで東 ひがし アジア一帯 いったい に分布 ぶんぷ する。石 いし についた藻類 そうるい を食 た べるという習性 しゅうせい から、そのような環境 かんきょう のある河川 かせん に生息 せいそく し、長大 ちょうだい な下 しも 流域 りゅういき をもつ大陸 たいりく の大 だい 河川 かせん よりも、日本 にっぽん の川 かわ に適応 てきおう した魚 さかな である。天塩川 てしおがわ が日本 にっぽん の分布 ぶんぷ 北限 ほくげん 。遺伝 いでん 的 てき に日本 にっぽん 産 さん 海産 かいさん アユは南北 なんぼく 2つの群 ぐん に分 わ けられる。中国 ちゅうごく では、河川 かせん 環境 かんきょう の悪化 あっか でその数 かず は減少 げんしょう しているが、2004年 ねん に長江 ながえ 下 しも 流域 りゅういき でも稚魚 ちぎょ が発見 はっけん された報告 ほうこく があるなど、現在 げんざい も鴨 かも 緑 みどり 江 こう はじめ、遼東 りゃおとん 半島 はんとう 以南 いなん の一帯 いったい に生息 せいそく している。また、中国 ちゅうごく では浙江 せっこう 省 しょう などで放流 ほうりゅう や養殖 ようしょく 実験 じっけん が行 おこな われている。台湾 たいわん でも中部 ちゅうぶ (西岸 せいがん では濁水 だくすい 渓 けい 以北 いほく 、東岸 とうがん では三 さん 桟渓以北 いほく )で生息 せいそく していたが、現在 げんざい は絶滅 ぜつめつ が危惧 きぐ されている。
Plecoglossus altivelis altivelis (Temminck et Schlegel, 1846 )。
「アユ」を亜種 あしゅ P. a. altivelis とすることもある。
琵琶湖 びわこ のコアユに対 たい し、両側 りょうがわ 回遊 かいゆう する通常 つうじょう の個体 こたい 群 ぐん をオオアユ と呼 よ ぶ。
琵琶湖 びわこ 産 さん コアユ30センチメートルほどに成長 せいちょう する両側 りょうがわ 回遊 かいゆう 型 がた の海産 かいさん 系 けい アユに対 たい して、陸封 りくふう 型 かた である琵琶湖 びわこ 産 さん アユは10センチメートルほどにしか成長 せいちょう せずコアユ とも呼 よ ばれる。明治 めいじ 時代 じだい 後期 こうき までオオアユとコアユは別 べつ 種 たね と捉 とら えられていたが、動物 どうぶつ 学者 がくしゃ の石川 いしかわ 千代松 ちよまつ による1908年 ねん 以降 いこう の池 いけ 中 ちゅう 飼育 しいく 試験 しけん および1913年 ねん 以降 いこう の多摩川 たまがわ ・宗 そう 谷川 たにがわ への放流 ほうりゅう 実験 じっけん によって、琵琶湖 びわこ 産 さん アユが河川 かせん では大 おお きく育 そだ ち、同種 どうしゅ であることが実証 じっしょう された。アイソザイム 分析 ぶんせき の結果 けっか 、海産 かいさん アユからの個体 こたい 群 ぐん としての別離 べつり は10万 まん 年 ねん 前 まえ と推定 すいてい されている。
コアユは生態 せいたい 的 てき にも特殊 とくしゅ で、仔 こ 稚魚 ちぎょ 期 き に海 うみ には下 くだ らず、琵琶湖 びわこ を海 うみ の代 か わりとして利用 りよう している。琵琶湖 びわこ の流入 りゅうにゅう 河川 かせん へ遡上 そじょう し、他 た 地域 ちいき のアユのように大 おお きく成長 せいちょう するもの(オオアユ)と、湖 みずうみ 内 ない にとどまり大 おお きく成長 せいちょう しないもの(コアユ)が存在 そんざい する。河川 かせん に遡上 そじょう しないコアユは、餌 えさ としてミジンコ 類 るい を主 おも に捕食 ほしょく する。同 おな じ琵琶湖 びわこ に生息 せいそく するビワマス では海水 かいすい 耐 たい 性 せい が発達 はったつ せず降 くだ 海 うみ 後 ご に死滅 しめつ することが報告 ほうこく されている[13] が、コアユにおいても海水 かいすい 耐 たい 性 せい が失 うしな われている可能 かのう 性 せい が示唆 しさ されている[14] 。また、海産 かいさん アユとの交雑 こうざつ 個体 こたい も降 くだ 海 うみ 後 ご に死滅 しめつ していることが示唆 しさ されている[14] 。
産卵 さんらん 数 すう は 海産 かいさん アユより多 おお く、他 た 地域 ちいき のアユと比 くら べ縄張 なわば り意識 いしき が強 つよ いとされている。そのため友釣 ともづ り には好都合 こうつごう で、全国 ぜんこく 各地 かくち の河川 かせん に放流 ほうりゅう されてきたが、琵琶湖 びわこ 産 さん 種苗 しゅびょう の仔 こ アユあるいは交配 こうはい 稚魚 ちぎょ は海 うみ に下 くだ っても翌年 よくねん 遡上 そじょう しないこと[14] が強 つよ く示唆 しさ されており、天然 てんねん 海産 かいさん アユとの交配 こうはい により子 こ の海水 かいすい 耐 たい 性 せい が失 うしな われ死滅 しめつ することによる資源 しげん 減少 げんしょう が懸念 けねん されている[15] 。
国内 こくない 外来 がいらい 魚 ぎょ として[ 編集 へんしゅう ]
アユは河川 かせん 漁業 ぎょぎょう ・遊漁 ゆうぎょ にとって重要 じゅうよう な魚 さかな 種 しゅ として日本 にっぽん 各地 かくち で種苗 しゅびょう 放流 ほうりゅう が行 おこな われていて、琵琶湖 びわこ では各地 かくち に出荷 しゅっか する種苗 しゅびょう としてアユが採 と 捕 ど されている。海産 かいさん アユが海 うみ の環境 かんきょう によって資源 しげん 量 りょう が大 おお きく変動 へんどう するのに対 たい し、琵琶湖 びわこ のアユは豊富 ほうふ であるだけでなく、低 てい 水温 すいおん でも活性 かっせい を保 たも つ、成長 せいちょう が早 はや い、なわばり意識 いしき が強 つよ く友釣 ともづ り に反応 はんのう しやすいなどの特徴 とくちょう があり種苗 しゅびょう は重用 じゅうよう され、とくに1990年代 ねんだい ごろは重量 じゅうりょう ベースで90パーセントを占 し めるなど、日本 にっぽん のアユ種苗 しゅびょう を寡占 かせん していた。
遺伝 いでん 学 がく が発達 はったつ し、同種 どうしゅ であっても異 こと なる系統 けいとう のグループ間 あいだ での交雑 こうざつ の問題 もんだい 点 てん が認識 にんしき されるようになったが、1970年代 ねんだい 以降 いこう の複数 ふくすう の研究 けんきゅう によって、川 かわ に放流 ほうりゅう された湖 みずうみ 産 さん 系 けい アユは海 うみ に流下 りゅうか したあと遡上 そじょう する能力 のうりょく を持 も たないことと、そのために河川 かせん での繁殖 はんしょく に寄与 きよ してこなかったことが示唆 しさ された。産卵 さんらん 期 き にも違 ちが いがあることから河川 かせん での交雑 こうざつ の可能 かのう 性 せい は小 ちい さいが、完全 かんぜん には否定 ひてい されない。飼育 しいく 下 か では、水温 すいおん や日照 ひでり 時間 じかん によって産卵 さんらん 期 き を調整 ちょうせい できるため人為 じんい 的 てき な交配 こうはい が可能 かのう で、とくに陸封 りくふう 集団 しゅうだん では天然 てんねん にも起 お きうる。野村 のむら ダム湖 みずうみ と八田原 はったばら ダム湖 みずうみ の陸封 りくふう 集団 しゅうだん に浸透 しんとう 交雑 こうざつ (英語 えいご 版 ばん ) 集団 しゅうだん が報告 ほうこく されていて、天然 てんねん 集団 しゅうだん に遺伝 いでん 的 てき 撹乱 かくらん をもたらすことが危惧 きぐ されている。
P. altivelis ryukyuensis Nishida, 1988 [18] 。アイソザイム 分析 ぶんせき の結果 けっか 、日本 にっぽん 本土 ほんど 産 さん の海産 かいさん アユからの別離 べつり は100万 まん 年 ねん 前 まえ と推定 すいてい されている。
絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ IA類 るい (CR) (環境省 かんきょうしょう レッドリスト )
絶滅 ぜつめつ 危惧 きぐ 種 しゅ [19] 。
中国 ちゅうごく 産 さん 亜種 あしゅ [ 編集 へんしゅう ]
中国 ちゅうごく 産 さん 亜種 あしゅ (Plecoglossus altivelis chinensis )はXiujuan, et al. (2005) により、新 しん 亜種 あしゅ として記載 きさい された。朝鮮半島 ちょうせんはんとう から中華人民共和国 ちゅうかじんみんきょうわこく – ベトナム 国境 こっきょう 地帯 ちたい にかけての海岸 かいがん に断続 だんぞく 的 てき に生息 せいそく する。
朝鮮半島 ちょうせんはんとう 産 さん 個体 こたい 群 ぐん [ 編集 へんしゅう ]
朝鮮半島 ちょうせんはんとう 産 さん は予備 よび 的 てき な研究 けんきゅう により日本 にっぽん 産 さん と遺伝 いでん 的 てき に有意 ゆうい の差 さ があるとの報告 ほうこく がされている。
川 かわ を上 のぼ るアユ。多摩川 たまがわ 調布 ちょうふ 堰 せき にて
アユの成魚 せいぎょ は川 かわ で生活 せいかつ し、川 かわ で産卵 さんらん するが、生活 せいかつ 史 し の3分 ぶん の1程度 ていど を占 し める仔 こ 稚魚 ちぎょ 期 き には海 うみ で生活 せいかつ する。このような回遊 かいゆう は「両側 りょうがわ 回遊 かいゆう 」と呼 よ ばれる。ただし、河口 かこう 域 いき の環境 かんきょう によっては、河口 かこう 域 いき にも仔 こ 稚魚 ちぎょ の成育 せいいく 場 じょう が形成 けいせい される場合 ばあい もある。
親 おや のアユは遡上 そじょう した河川 かせん を流下 りゅうか し河川 かせん の下 しも 流域 りゅういき に降 お り産卵 さんらん を行 おこな う。最高 さいこう 水温 すいおん が摂氏 せっし 20度 ど を下回 したまわ る頃 ころ に始 はじ まり、最高 さいこう 水温 すいおん が摂氏 せっし 16度 ど を下回 したまわ る頃 ころ に終了 しゅうりょう する。粒 つぶ 径 みち 1ミリメートル程度 ていど の沈性粘着 ねんちゃく 卵 たまご を夜間 やかん に産卵 さんらん する[22] 。産卵 さんらん に適 てき した河床 かしょう は、粒 つぶ の小 ちい さな砂利 じゃり 質 しつ で泥 どろ の堆積 たいせき のない水 みず 通 どお しの良 よ く砂利 じゃり が動 うご く場所 ばしょ が必要 ひつよう である。つまり、砂利 じゃり 質 しつ であってもヒゲナガカワトビケラ の幼虫 ようちゅう (俗称 ぞくしょう :クロカワムシ)などにより河床 かしょう が固 かた められた場所 ばしょ では産卵 さんらん できない。産卵 さんらん 様式 ようしき は、1対 たい 1ではなく必 かなら ず2個体 こたい 以上 いじょう のオスとの産卵 さんらん 放 ひ 精 せい が行 おこな われる[23] 。また、資源 しげん 保護 ほご を目的 もくてき として「付着 ふちゃく 藻類 そうるい を取 と り除 のぞ く」「河床 かしょう を掘 ほ り起 お こし水 みず 通 どお しを良 よ くする」などの河床 かしょう を産卵 さんらん に適 てき する環境 かんきょう に整備 せいび する活動 かつどう が各地 かくち で行 おこな われている[24] 。
流速 りゅうそく 40 - 100センチメートル毎秒 まいびょう
水深 すいしん 10 - 60センチメートル
卵 たまご は河床 かしょう 表面 ひょうめん から 5 - 10センチメートル に埋没 まいぼつ
水温 すいおん 摂氏 せっし 15度 ど から摂氏 せっし 20度 ど で2週間 しゅうかん ほどすると孵化 ふか する。孵化 ふか した仔 こ 魚 ぎょ はシロウオ のように透明 とうめい で、心臓 しんぞう やうきぶくろなどが透 す けて見 み える。孵化 ふか 後 ご の仔 こ 魚 ぎょ は全長 ぜんちょう 約 やく 6ミリメートルで卵黄 らんおう 嚢を持 も つ。
仔 こ 魚 ぎょ は数日 すうじつ のうちに海 うみ あるいは河口 かこう 域 いき に流下 りゅうか し春 はる の遡上 そじょう に備 そな える。海水 かいすい 耐 たい 性 せい を備 そな えているが、海水 かいすい の塩分 えんぶん 濃度 のうど の低 ひく い場所 ばしょ を選 えら ぶため、河口 かこう から4kmを越 こ えない範囲 はんい を回遊 かいゆう する[25] 。餌 えさ はカイアシ類 るい などのプランクトン を捕食 ほしょく して成長 せいちょう する。稚魚 ちぎょ 期 き に必要 ひつよう な海底 かいてい の形質 けいしつ は砂利 じゃり や砂 すな で、海底 かいてい が泥 どろ の場所 ばしょ では生育 せいいく しない。全長 ぜんちょう 約 やく 10 ミリメートル程度 ていど から砂浜 すなはま 海岸 かいがん や河口 かこう 域 いき の浅所 あさどころ に集 あつ まるが、この頃 ころ から既 すで にスイカ やキュウリ に似 に た香 かお りがある。この独特 どくとく の香 かお りは、アユの体内 たいない の不 ふ 飽和 ほうわ 脂肪酸 しぼうさん が酵素 こうそ によって分解 ぶんかい されたときの匂 にお いであり、アユ体内 たいない の脂肪酸 しぼうさん は餌 えさ 飼料 しりょう の影響 えいきょう を受 う けることから、育 そだ ち方 かた によって香 かお りが異 こと なることになる。香 かお り成分 せいぶん は主 おも に2,6-ノナジエナールであり、2-ノネナール ・3,6-ノナジエン-1-オールも関与 かんよ している[26] 。稚魚 ちぎょ 期 き には、プランクトンや小型 こがた 水生 すいせい 昆虫 こんちゅう 、落下 らっか 昆虫 こんちゅう を捕食 ほしょく する。
遡上 そじょう ・成魚 せいぎょ [ 編集 へんしゅう ]
鮎 あゆ の食 は み跡 あと
体長 たいちょう 59-63ミリメートルになると鱗 うろこ が全身 ぜんしん に形成 けいせい され稚魚 ちぎょ は翌年 よくねん 4月 がつ -5月 がつ 頃 ごろ に5-10センチメートル程度 ていど になり、川 かわ を遡上 そじょう するが、この頃 ころ から体 からだ に色 いろ がつき、さらに歯 は の形 かたち が岩 いわ の上 うえ の藻類 そうるい を食 た べるのに適 てき した櫛 くし (くし)のような形 かたち に変化 へんか する。川 かわ の上流 じょうりゅう から中 ちゅう 流域 りゅういき にたどり着 つ いた幼魚 ようぎょ は水生 すいせい 昆虫 こんちゅう なども食 た べるが、石 いし に付着 ふちゃく する藍 あい 藻 も 類 るい および珪藻 けいそう 類 るい (バイオフィルム )を主食 しゅしょく とするようになる。アユが岩石 がんせき 表面 ひょうめん の藻類 そうるい をこそげ取 と ると岩 いわ の上 うえ に紡錘形 ぼうすいけい の独特 どくとく の食 た べ痕 こん が残 のこ り、これを特 とく に「はみあと(食 は み跡 あと )」という。アユを川辺 かわべ から観察 かんさつ すると、藻類 そうるい を食 た べるためにしばしば岩石 がんせき に頭 あたま をこすりつけるような動作 どうさ を行 おこな うので他 た の魚 さかな と区別 くべつ できる。
多 おお くの若 わか 魚 さかな は群 む れをつくるが、特 とく に体 からだ が大 おお きくなった何 なん 割 わり かの若 わか 魚 さかな はえさの藻類 そうるい が多 おお い場所 ばしょ を独占 どくせん して縄張 なわば り を作 つく るようになる。一般 いっぱん には、縄張 なわば りを持 も つようになったアユは黄色 おうしょく みを帯 お びることで知 し られている。特 とく にヒレの縁 えん や胸 むね にできる黄色 おうしょく 斑 まだら は縄張 なわば りをもつアユのシンボルとされている。アユの視覚 しかく は黄色 おうしょく を強 つよ く認識 にんしき し、それによって各 かく 個体 こたい の争 あらそ いを回避 かいひ していると考 かんが えられている[注 ちゅう 2] 。縄張 なわば りは1尾 び のアユにつき約 やく 1m四方 しほう ほどで、この縄張 なわば り内 ない に入 はい った他 ほか の個体 こたい には体当 たいあ たりなどの激 はげ しい攻撃 こうげき を加 くわ える。この性質 せいしつ を利用 りよう してアユを掛 か けるのが「友釣 ともづ り 」で、釣 つ り人 じん たちが10m近 ちか い釣竿 つりざお を静 しず かに構 かま えてアユを釣 つ る姿 すがた は日本 にっぽん の夏 なつ の風物詩 ふうぶつし になっている[28] 。
夏 なつ 頃 ころ 、若 わか 魚 さかな では灰 はい 緑色 みどりいろ だった体 からだ 色 しょく が、秋 あき に性 せい 成熟 せいじゅく すると「さびあゆ」と呼 よ ばれる橙 だいだい と黒 くろ の独特 どくとく の婚姻 こんいん 色 しょく へ変化 へんか する。成魚 せいぎょ は産卵 さんらん のため下 した 流域 りゅういき への降 くだ 河 かわ を開始 かいし するが、この行動 こうどう を示 しめ すものを指 さ して「落 お ちあゆ」という呼称 こしょう もある。産卵 さんらん を終 お えたアユは1年間 ねんかん の短 みじか い一生 いっしょう を終 お えるが、広島 ひろしま 県 けん 太田 おおた 川 がわ 、静岡 しずおか 県 けん 柿田 かきた 川 がわ などの一部 いちぶ の河川 かせん やダムの上流 じょうりゅう 部 ぶ では生 い き延 の びて越冬 えっとう する個体 こたい もいる[29] 。太田 おおた 川 がわ での調査 ちょうさ 結果 けっか からは、越年 えつねん アユは全 すべ て雌 めす である。また、再 さい 成熟 せいじゅく しての産卵 さんらん は行 おこな われないと考 かんが えられている[30] 。
アユの観賞 かんしょう 魚 ぎょ 用 よう としての飼育 しいく 自体 じたい は稀 まれ である [要 よう 出典 しゅってん ] が、コアユ(陸封 りくふう 型 がた )であれば可能 かのう である。また、遡上 そじょう 型 がた のアユも稚 やや アユの時期 じき より育 そだ てれば可能 かのう である。高 こう 水温 すいおん に弱 よわ いため夏場 なつば の温度 おんど 管理 かんり が重要 じゅうよう である。食 しょく 性 せい は主 おも に植物 しょくぶつ 性 せい であるが、コアユの場合 ばあい は動物 どうぶつ 性 せい がより強 つよ いので、稀 まれ に動物 どうぶつ プランクトン も食 た べる。また、観賞 かんしょう 魚 ぎょ として水槽 すいそう 内 ない で飼育 しいく した場合 ばあい は成熟 せいじゅく までに至 いた らないケースが多 おお いため、1年 ねん から3年 ねん は生 い きる。
日本 にっぽん では代表 だいひょう 的 てき な川 かわ 釣 づ り の対象 たいしょう 魚 ぎょ であり、重要 じゅうよう な食用 しょくよう 魚 ぎょ でもある。地方 ちほう 公共 こうきょう 団体 だんたい を象徴 しょうちょう する魚 さかな として指定 してい する自治体 じちたい も多 おお い。稚魚 ちぎょ 期 き を降 くだ 海 うみ し過 す ごすアユ (Plecoglossus altivelis altivelis ) は、琵琶湖 びわこ 産 さん コアユと区別 くべつ するため、海産 かいさん アユとも呼 よ ばれる。
群馬 ぐんま 県 けん ・岐阜 ぎふ 県 けん ・奈良 なら 県 けん では県 けん 魚 ぎょ に指定 してい されている。
江戸 えど 時代 じだい から評判 ひょうばん の高 たか い多摩川 たまがわ の鮎 あゆ は幕府 ばくふ に「御用 ごよう 鮎 あゆ 」として上納 じょうのう されていた。
特 とく に天然 てんねん アユを中心 ちゅうしん に、出 で まわる時期 じき が限 かぎ られていることから、初夏 しょか の代表 だいひょう 的 てき な味覚 みかく とされている。
日本 にっぽん 各地 かくち のアユの胃 い の内容 ないよう 物 ぶつ に関 かん する調査 ちょうさ の結果 けっか 、濁 にご りが多 おお い川 かわ のアユは胃 い に泥 どろ を多 おお く持 も ち、食味 しょくみ にも泥臭 どろくさ さが出 で る。この場合 ばあい 、はらわたを除去 じょきょ することで泥臭 どろくさ さを避 さ けることもできる。一方 いっぽう 、泥 どろ が少 すく ない川 かわ では胃 い にも泥 どろ が含 ふく まれず、食味 しょくみ も大幅 おおはば に改善 かいぜん する。同 おな じ川 がわ でも、遡上 そじょう 量 りょう が多 おお く川底 かわぞこ がアユによって「掃除 そうじ 」されたような年 とし には風味 ふうみ も良 よ くなる。
日本 にっぽん では一般 いっぱん に、魚 さかな は刺身 さしみ で食 しょく するのが最良 さいりょう とされている(割 わり 主 ぬし 烹従 )が、アユについては例外 れいがい 的 てき に塩焼 しおや き が最良 さいりょう とされている。一般 いっぱん に初夏 しょか のものはアユの独特 どくとく の香気 こうき を味 あじ わい、晩夏 ばんか のものは腹 はら 子 こ を味 あじ わうとされている。
焼 や き物 もの ・揚 あ げ物 もの [ 編集 へんしゅう ]
アユは、初夏 しょか から夏 なつ の季 き 節 ぶし を代表 だいひょう する食材 しょくざい として知 し られ、清涼 せいりょう 感 かん をもたらす食材 しょくざい である。特 とく に初夏 しょか の若 わか アユが美味 びみ とされ、若 わか アユの塩焼 しおや きや天 てん ぷら は珍重 ちんちょう される。鮎 あゆ は蓼 たで 酢 す で食 た べるのが一般 いっぱん 的 てき だが、ほかにも蓼 たで 味噌 みそ を添 そ える場合 ばあい もある。塩焼 しおや きにした後 のち に残 のこ った骨 ほね はさらに炙 あぶ り、熱燗 あつかん の日本酒 にほんしゅ を注 そそ ぐ骨 ほね 酒 しゅ とすることができる。
刺身 さしみ や洗 あら い などの生食 なましょく が行 おこな われることがある。アユは横川 よこかわ 吸虫 という寄生虫 きせいちゅう の中 なか 間 あいだ 宿主 しゅくしゅ であり、食品 しょくひん 安全 あんぜん 委員 いいん 会 かい はこの観点 かんてん から生食 なましょく は薦 すす められない としている[36] 。
刺身 さしみ にするには、旬 しゅん のアユを冷水 れいすい で身 み を締 し め、洗 あら いや背 せ 越 ご しにする。特 とく に背 せ 越 ご しは骨 ほね の柔 やわ らかいアユの特徴 とくちょう 的 てき な調理 ちょうり 方法 ほうほう で、ウロコや内臓 ないぞう を除去 じょきょ したのち、骨 ほね や皮 かわ ごと薄 うす く輪切 わぎ りにしたもので、清涼 せいりょう 感 かん のある見栄 みば えや独特 どくとく の歯 は ごたえを楽 たの しむ。酢 す や蓼 たで 酢 す などで食 しょく することでもアユの香気 こうき を味 あじ わうことができる。
酢 す や塩 しお に浸 つ け酢 す 飯 めし と合 あ わせて発酵 はっこう させるなれずし の「鮎 あゆ 寿司 ずし 」や、「姿 すがた 寿司 ずし 」、「押 お し寿司 ずし 」、「柿 かき の葉 は 寿司 ずし 」、「笹 ささ 寿司 ずし 」などを作 つく る地方 ちほう がある。JR 京都 きょうと 駅 えき の名物 めいぶつ 駅弁 えきべん ともなっている。
アユの腸 ちょう を塩辛 しおから にした「うるか 」は、珍味 ちんみ として喜 よろこ ばれる[37] 。うるかを作 つく るには、腹 はら に砂 すな が入 はい っていない(空腹 くうふく になっている)夜間 やかん ・朝 あさ 獲 え れの鮎 あゆ が好 よ しとされる。[要 よう 出典 しゅってん ]
琵琶湖 びわこ 周辺 しゅうへん などでは稚魚 ちぎょ の氷魚 ひうお の佃煮 つくだに や、成魚 せいぎょ の甘露煮 かんろに (小 しょう 鮎 あゆ の甘露煮 かんろに )も名物 めいぶつ として製造 せいぞう 販売 はんばい されている。
岐阜 ぎふ 県 けん の郷土 きょうど 料理 りょうり で、鮎 あゆ を使用 しよう した鮎 あゆ 雑炊 ぞうすい があり、5月から10月 がつ に食 しょく される。
シラス 漁 りょう においては、海 うみ で過 す ごしているアユ仔 こ 魚 ぎょ ・稚魚 ちぎょ が混 こん 獲 え されることがある。しかし、この場合 ばあい は独特 どくとく の香 かお りが製品 せいひん につくのでむしろ嫌 きら われる。 [要 よう 出典 しゅってん ] また、アユの仔 こ 稚魚 ちぎょ は茹 ゆ でると黄色 おうしょく になる。
乾燥 かんそう させた鮎 あゆ 節 ぶし は和食 わしょく の出汁 だし としても珍重 ちんちょう される。また、鮎 あゆ の干物 ひもの からとった「水出 みずいで 汁 じる 」は、極 きわ めて上品 じょうひん 。
簗 やな が設置 せっち された河川 かせん
アユの若 わか 魚 さかな は刺 さ し網 もう 、投網 なげあみ 、産卵 さんらん 期 き に川 かわ を下 くだ る成魚 せいぎょ は簗 やな (やな) などで漁獲 ぎょかく される。岐阜 ぎふ 県 けん の長良川 ながらがわ などでは、ウミウ を利用 りよう した鵜飼 うか い も知 し られる。
アユにターゲットを絞 しぼ った漁法 ぎょほう として、アユが縄張 なわば り を持 も つ性質 せいしつ を利用 りよう した友釣 ともづ り がある。
仔 こ 魚 ぎょ 期 き から稚魚 ちぎょ 期 き の主要 しゅよう な餌 えさ は水生 すいせい 昆虫 こんちゅう や水面 すいめん 落下 らっか 昆虫 こんちゅう であるため、毛鉤 けばり やサビキ 仕掛 しか けで釣 つ れることもある。ただし、水産 すいさん 資源 しげん 保護 ほご の観点 かんてん から11月-5月は禁漁 きんぎょ である。また、解禁 かいきん された後 のち も漁業 ぎょぎょう 権 けん が設定 せってい された河川 かせん では、入漁 にゅうぎょ 料 りょう を支払 しはら う必要 ひつよう がある。
アユは高級 こうきゅう 食材 しょくざい とされており、内水 うすい 面 めん で養殖 ようしょく される魚 さかな 種 しゅ としてはウナギ に次 つ ぐ生産 せいさん 高 だか を誇 ほこ る。養殖 ようしょく は、食用 しょくよう とするための成魚 せいぎょ の養殖 ようしょく と、遊漁 ゆうぎょ 目的 もくてき の放流 ほうりゅう 用 よう 種苗 しゅびょう 稚魚 ちぎょ の養殖 ようしょく とが日本 にっぽん 各地 かくち で行 おこな われ、稚魚 ちぎょ 養殖 ようしょく し天然 てんねん 河川 かせん に放流 ほうりゅう した個体 こたい を『半 はん 天然 てんねん 』と呼 よ ぶこともある[38] 。一部 いちぶ では完全 かんぜん 養殖 ようしょく も行 おこな われる。この際 さい には、主 しゅ として、天然 てんねん の稚魚 ちぎょ を3月 がつ から4月 がつ に捕獲 ほかく し淡水 たんすい で育成 いくせい する方法 ほうほう が採用 さいよう される。実際 じっさい 、「河口 かこう 付近 ふきん の川 かわ で採 と 捕 ど した河川 かせん 産 さん 稚 やや アユ」「河口 かこう 付近 ふきん の海洋 かいよう 回遊 かいゆう 中 ちゅう に採 と 捕 ど した海産 かいさん 稚 やや アユ」「湖 みずうみ や湖 みずうみ に注 そそ ぐ河口 かこう で採 と 捕 ど した湖 みずうみ 産 さん 稚 やや アユ(コアユ)」が種苗 しゅびょう として供給 きょうきゅう されている。完全 かんぜん 養殖 ようしょく の場合 ばあい 、一時 いちじ 海水 かいすい 中 ちゅう で飼育 しいく することもあり、餌 えさ はシオミズツボワムシ などのワムシ 類 るい 、アルテミア 幼生 ようせい 、ミジンコ などが使用 しよう される。
アユ養殖 ようしょく の歴史 れきし [ 編集 へんしゅう ]
アユの養殖 ようしょく の始 はじ まりは諸説 しょせつ ある。養殖 ようしょく の実験 じっけん は、石川 いしかわ 千代松 ちよまつ [39] らにより1904年 ねん より琵琶湖 びわこ で行 おこな われたのが最初 さいしょ とされている[40] 。1923年 ねん には琵琶湖 びわこ 産 さん の稚魚 ちぎょ が京都 きょうと 市 し の清滝川 きよたきがわ に放流 ほうりゅう された[41] 。1960年代 ねんだい になると遊漁 ゆうぎょ 種苗 しゅびょう の育成 いくせい が盛 さか んに行 おこな われるようになる。当初 とうしょ は琵琶湖 びわこ 産 さん アユが養殖 ようしょく 種苗 しゅびょう として利用 りよう されていたが、海産 かいさん の稚魚 ちぎょ の利用 りよう も1929年 ねん に中野 なかの 宗治 むねはる の研究 けんきゅう により開始 かいし された。なお、養殖 ようしょく アユの生産 せいさん 量 りょう は、最盛 さいせい 期 き の1988年 ねん には1万 まん 3600トンあまりあったが、2001年 ねん に8100トン、2005年 ねん には5800トン程度 ていど まで減少 げんしょう した[42] 。
21世紀 せいき 初頭 しょとう には流水 りゅうすい 池 ち での養殖 ようしょく 池 ち を行 おこな い脂肪 しぼう 分 ぶん を減少 げんしょう させる事 こと や、配合 はいごう 飼料 しりょう に藍 あい 藻 も 、緑茶 りょくちゃ 抽出 ちゅうしゅつ 物 ぶつ [43] を添加 てんか することで動物 どうぶつ 質 しつ 飼料 しりょう 由来 ゆらい の香 かお りを抑制 よくせい するなど、養殖 ようしょく 方法 ほうほう にも工夫 くふう が加 くわ えられ養殖 ようしょく ものの食味 しょくみ を天然 てんねん 物 ぶつ に近 ちか づける努力 どりょく もなされている。さらに、電 でん 照 あきら 飼育 しいく により性的 せいてき 成熟 せいじゅく を遅 おく らせ、「越年 えつねん アユ」として販売 はんばい される場合 ばあい もある。
飼育 しいく 方法 ほうほう ・放流 ほうりゅう ・生 い け簀 す [ 編集 へんしゅう ]
アユについての漁業 ぎょぎょう 権 けん のある河川 かせん では、毎年 まいとし 4-5月 がつ 頃 ごろ 漁協 ぎょきょう により、10-15センチメートル程度 ていど のサイズの稚魚 ちぎょ の放流 ほうりゅう が行 おこな われる。
アユの養殖 ようしょく 時 じ の飼育 しいく 適温 てきおん は摂氏 せっし 15-25度 ど であり、養殖 ようしょく 用 よう の生 い け簀 す (池 いけ )は長方形 ちょうほうけい 、円形 えんけい など様々 さまざま な形状 けいじょう のものが利用 りよう される。餌 えさ は、かつてはカイコ の蛹 さなぎ 粉末 ふんまつ や魚 さかな の練 ね り餌 えさ が使用 しよう されたが、現在 げんざい では魚粉 ぎょふん や魚 さかな すり身 み を主成分 しゅせいぶん とした固形 こけい 配合 はいごう 飼料 しりょう が与 あた えられる。アユは短期間 たんきかん に成長 せいちょう させる必要 ひつよう がある。このため、常 つね に飽食 ほうしょく 量 りょう に近 ちか い量 りょう が給餌 きゅうじ される結果 けっか 、残 のこ った餌 えさ により養殖 ようしょく 池 ち の水質 すいしつ が悪化 あっか し、感染 かんせん 症 しょう が発生 はっせい し易 やす くなるという問題 もんだい が生 しょう じやすい。また密度 みつど 管理 かんり も重要 じゅうよう である。これは、感染 かんせん 症 しょう 対策 たいさく をとる必要 ひつよう があるばかりでなく、生育 せいいく 密度 みつど が高 たか いと共食 ともぐ いが発生 はっせい しやすいためでもある。
天然 てんねん 物 ぶつ と養殖 ようしょく 物 ぶつ の違 ちが い[ 編集 へんしゅう ]
天然 てんねん 物 ぶつ と養殖 ようしょく 物 ぶつ の違 ちが いとしては主 おも に以下 いか のようなものがある[38] 。
特有 とくゆう の香 かお り
脂肪 しぼう
天然 てんねん アユと養殖 ようしょく アユの比較 ひかく では、養殖 ようしょく アユのほうが脂肪 しぼう を約 やく 3倍 ばい 多 おお くもつ。とはいえ、魚 さかな 体 たい 自体 じたい は大 おお きなものではないし、一般 いっぱん にはそう頻繁 ひんぱん に食 しょく する魚 さかな ではないので、カロリー の観点 かんてん では脂肪 しぼう 分 ぶん の差 さ は無視 むし できるレベルである。一方 いっぽう 、脂肪 しぼう が多 おお いということはビタミンD 、ビタミンE といった脂 あぶら 溶性 ようせい の栄養素 えいようそ をより多 おお く含 ふく んでいることになる。栄養 えいよう 摂取 せっしゅ の観点 かんてん からも内臓 ないぞう ごと食 しょく するとより多 おお くの栄養 えいよう を摂取 せっしゅ することができる。
アユの感染 かんせん 症 しょう [ 編集 へんしゅう ]
養殖 ようしょく において感染 かんせん 症 しょう が問題 もんだい となる。例 たと えば、グルゲア症 しょう が発生 はっせい した場合 ばあい 、治療 ちりょう 法 ほう がなく発病 はつびょう 群 ぐん の全 ぜん 個体 こたい を処分 しょぶん し池 ち および関連 かんれん 器材 きざい を消毒 しょうどく しなければならない。
放流 ほうりゅう 用 よう 種苗 しゅびょう に係 かか わる問題 もんだい [ 編集 へんしゅう ]
前述 ぜんじゅつ の様 よう に、当初 とうしょ は琵琶湖 びわこ 産 さん アユが養殖 ようしょく 種苗 しゅびょう として利用 りよう されていたが、海産 かいさん の稚魚 ちぎょ の利用 りよう もされているが、外部 がいぶ からの新規 しんき 個体 こたい が導入 どうにゅう されない環境 かんきょう で継 つぎ 代 だい 飼育 しいく されることが多 おお く養殖 ようしょく 場 じょう の環境 かんきょう に適応 てきおう した個体 こたい のみが残 のこ ることとなり、飼育 しいく しやすい反面 はんめん 、単一 たんいつ の形質 けいしつ をもつ遺伝 いでん 的 てき な多様 たよう 性 せい に欠 か ける集団 しゅうだん となる。その結果 けっか 、環境 かんきょう ストレスに対 たい する耐 たい 性 せい (例 れい :主 しゅ たる捕食 ほしょく 者 しゃ のカワウ からの回避 かいひ 能力 のうりょく )を低下 ていか させると共 とも に、継 つぎ 代 だい 人工 じんこう 種苗 しゅびょう が親 おや 魚 ぎょ となった自然 しぜん 界 かい での再 さい 生産 せいさん のサイクルが良好 りょうこう に機能 きのう しない原因 げんいん となっている可能 かのう 性 せい が指摘 してき されている。しかし、遺伝 いでん 的 てき 多様 たよう 性 せい を維持 いじ するために、養殖 ようしょく メスと野生 やせい オスを交配 こうはい させ次世代 じせだい の種苗 しゅびょう とすることで遺伝 いでん 的 てき 多様 たよう 性 せい の維持 いじ をはかることが可能 かのう である[23] 。
天然 てんねん アユ復活 ふっかつ への取 と り組 く み[ 編集 へんしゅう ]
流域 りゅういき 下水道 げすいどう の整備 せいび による水質 すいしつ 浄化 じょうか 、かつて生息 せいそく していた河川 かせん の清掃 せいそう 、直線 ちょくせん 化 か した河川 かせん 構造 こうぞう の改造 かいぞう 、産卵 さんらん 床 ゆか の整備 せいび などを通 とお した天然 てんねん アユ復活 ふっかつ の試 こころ みは日本 にっぽん 国内 こくない 各地 かくち (島根 しまね 県 けん [47] 、多摩川 たまがわ [48] [49] )で行 おこな われている。例 たと えば神戸 こうべ 市 し 灘 なだ 区 く 都賀 つが 川 がわ は、かつてゴミとヘドロで埋 う め尽 つ くされた「どぶ川 かわ 」だった。「都賀 つが 川 がわ を守 まも ろう会 かい 」が、1976年 ねん より、戦前 せんぜん のように魚 さかな とりなどができるようにと活動 かつどう を続 つづ け、ゴミを引 ひ き上 あ げたり、車 くるま に拡声 かくせい 器 き を積 つ み川 かわ を汚 よご さないようにと訴 うった えてきた。陳情 ちんじょう を受 う けた兵庫 ひょうご 県 けん も魚道 ぎょどう の整備 せいび 、産卵 さんらん 用 よう の砂 すな を敷 し き、川 かわ を蛇行 だこう させて流 なが れを緩 ゆる やかにした。その結果 けっか 、毎年 まいとし 2000匹 ひき ほどが遡上 そじょう し、産卵 さんらん も行 おこな われるようになった[50] [51] 。
鮎 あゆ は三 さん 夏 なつ の季語 きご 。鮎 あゆ の子 こ ・若鮎 わかあゆ は晩春 ばんしゅん の季語 きご [52] 。
和菓子 わがし の一種 いっしゅ に、鮎 あゆ を形 かたち 取 と って小麦粉 こむぎこ を焼 や いて作 つく った皮 かわ で求肥 ぎゅうひ をはさんだものがあり、「鮎 あゆ 」または「若鮎 わかあゆ 」と呼 よ ばれる。
アユを模 も した和菓子 わがし の「鮎 あゆ 」
飼育 しいく される稚魚 ちぎょ
釣 つ れた稚 やや 鮎 あゆ
販売 はんばい される養殖 ようしょく アユ
^ 魚偏 うおへん に桀。
^ ただし、これらは一般 いっぱん に流布 るふ している学説 がくせつ であって、高橋 たかはし & 東 ひがし (2006) では、縄張 なわば りをもたず群 む れで生活 せいかつ している天然 てんねん アユにも黄色 きいろ くなるものがいる例 れい を上 あ げて、最終 さいしゅう 的 てき にはよくわかっていないとしている。
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