リャマ

リャマ
リャマ Lama glama
分類ぶんるい
ドメイン : 真ま核かく生物せいぶつ Eukaryota 界さかい : 動物界どうぶつかい Animalia 門もん : 脊索せきさく動物どうぶつ門もん Chordata 亜あ門もん : 脊椎動物せきついどうぶつ亜あ門もん Vertebrata 綱つな : 哺乳ほにゅう綱つな Mammalia 目め : 鯨くじら偶蹄ぐうてい目め Artiodactyla 亜あ目め : 核かく脚あし亜あ目め Tylopoda 科か : ラクダ科か Camelidae 属ぞく : ラマ属ぞく Lama 種たね : リャマ L. glama
学名がくめい
Lama glama Linnaeus, 1758
英名えいめい
Llama

リャマ、ラマ、ジャマ（羊ひつじ駝、駱馬、西にし: Llama、学名がくめい: Lama glama）は、鯨くじら偶蹄ぐうてい目めラクダ科かの動物どうぶつである。別名べつめいアメリカラクダ。

形態けいたい

体高たいこう約やく1.2m、体重たいじゅう70-140kg。姿すがたはラクダと似にているが、背中せなかにコブはなく、むしろ凹へこんで見みえる平たいらな背せで、全身ぜんしんが毛けで覆おおわれている。白しろい毛けのものと茶色ちゃいろの毛けのもの、白しろと茶色ちゃいろがまだらになったものがいる。足あしから頭あたままでの体長たいちょうは1m程度ていど。頭あたまから尻しりまでの長ながさは2m程度ていど。まつげが長ながく目めがパッチリしている。

生態せいたい

南みなみアメリカのアンデス地方ちほうに多おおく住すむ。性格せいかくはおとなしく、人ひとに慣なれやすい。

ボリビアやペルーの山岳さんがく地方ちほうでは古ふるくから家畜かちくとして多おおく飼かわれており、荷物にもつの運搬うんぱん用ように用もちいられたり、毛もうや皮かわを衣類いるいに用もちいたりしている。肉にくを食たべることもあるが、儀式ぎしきなどの特別とくべつな時とき以外いがいはあまり食たべられてはいない。

日本にっぽんでも、動物どうぶつ園えんなどで飼育しいくされている事例じれいがある（那須なすどうぶつ王国おうこく、上野動物園うえのどうぶつえん、マザー牧場ぼくじょう、長崎ながさきバイオパークなど）。

寒冷かんれいで小雨こさめなアンデスでは木材もくざいがあまり無ないため、リャマの糞くそが貴重きちょうな燃料ねんりょうとして使つかわれている。近年きんねん、都市とし部ぶにおいては用もちいられることが少すくなくなったが、田舎いなかでは現在げんざいもリャマの糞くそで煮炊にたきをしている人々ひとびとがいる。

非常ひじょうに近きん縁えんの動物どうぶつとして、アルパカ・ビクーニャ・グアナコがいる。このうち、グアナコを家畜かちく化かしたのがリャマだと考かんがえられている。これらの動物どうぶつよりもリャマの方ほうが圧倒的あっとうてきに飼育しいく数すうが多おおい。

リャメラダ

リャメラダ（オルロのカーニバル）

アルティプラーノ（アンデスの高地こうち平原へいげん）ではリャマを放牧ほうぼくしている姿すがたをよく見みかける。リャマを飼かう人ひとは「リャメラダ」(llamerada)と呼よばれる。手てに20-30cm程度ていどのひもを持もち、クルクルと回まわしてリャマを追おい立たてる。

このリャマ追おいの姿すがたはオルロなどで行おこなわれるカルナバル（カーニバル）の踊おどりの一ひとつにもなっている。踊おどりでは赤あかを主体しゅたいとしたきれいな衣装いしょうを着きて、キリスト教きりすときょうの神父しんぷがかぶる帽子ぼうしに似にた型かたの帽子ぼうしをかぶる。背中せなかにはアグァヨ（アンデスの伝統でんとう的てきな風呂敷ふろしき）で小ちいさな荷物にもつをくるんだものを背負せおう。軽快けいかいなブラスバンドの曲きょくに合あわせて軽かろやかなステップでひもを回まわしながら自分じぶんも回まわるように踊おどる。

リャメラダは、先住民せんじゅうみんであるアイマラ族ぞくの言葉ことばでは「カルワニ」と呼よばれている。

生贄いけにえとしての利用りよう

1400年代ねんだいにペルーの海岸かいがん線せん付近ふきんで繁栄はんえいし、後のちにインカ帝国ていこくにより滅ほろぼされたチムー王国おうこく（チムー文化ぶんか）の遺跡いせきからは、一いち度どに殺害さつがいされた人間にんげんの子供こどもとリャマの骨ほねが大量たいりょうに出土しゅつどしており、大だい規模きぼな生贄いけにえの儀式ぎしきが行おこなわれていたことが確認かくにんされている。

インカ帝国ていこくにおいては、重要じゅうような儀式ぎしきの際さいに生贄いけにえとして捧ささげられたといわれる。特とくに、真まっ白しろな毛けのリャマと濃こいこげ茶ちゃ（黒くろに近ちかい）のリャマは生いけ贄にえ用ようとして珍重ちんちょうされていたらしい。

リャマの胎児たいじをミイラにしたものがラパス市しなどのアンデス地方ちほうの町まちで売うられている。これは、家いえを新築しんちくする際さいに家いえの下したに埋うめて家内かない安全あんぜんを願ねがうために用もちいられている。ミイラの代かわりに、リャマの形かたちをした土偶どぐうを埋うめることも多おおい。これらはいずれもインカ時代じだいの生贄いけにえの風習ふうしゅうの名残なごりであると思おもわれる。

護衛ごえいリャマ

リャマの使役しえきの一ひとつに護衛ごえいリャマというものがある。外敵がいてきを警戒けいかいして撃退げきたいする性質せいしつを利用りようし、リャマを牧羊ぼくよう犬けんの代かわりとして羊ひつじなどの家畜かちくの群むれを守まもらせるものである。去勢きょせいされた雄ゆう、または出産しゅっさん経験けいけんのない雌めすを他た種しゅの家畜かちくの群むれに1頭とうだけ入いれることで、そのリャマは同種どうしゅのリャマの群むれを守まもるかのように振ふる舞まうことが多おおいとされる。犬いぬと違ちがって羊ひつじと同おなじものを食たべるため群むれと一緒いっしょに放牧ほうぼくさせているだけでよく、性質せいしつによるものなので犬いぬのように訓練くんれんする必要ひつようがないという点てんにおいては牧羊ぼくよう犬けんより優すぐれている。

ギャラリー

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  ボリビア・ラパス郊外こうがいで撮影さつえい
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  正面しょうめんから
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  道みちばたで売うられているリャマの胎児たいじのミイラ（魔女まじょ市場いちば - ボリビア ラパス市し）
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  伝統でんとう的てきな衣装いしょうを着きたケチュア族ぞくの少女しょうじょとリャマ（ペルー クスコ）
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  ヨーロッパにおける最初さいしょのリャマのイメージ（1553年ねん）
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  リャマの頭蓋骨ずがいこつ
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  モチェ文化ぶんかのリャマ像ぞう（西暦せいれき100-300年ねん）
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  リャマ用ようの鈴すず（リトルワールド - 愛知あいち県けん犬山いぬやま市し）

関連かんれん項目こうもく

• ラクダ科か
• アルパカ