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広 こう 獣類 じゅうるい (こうじゅうるい、Ferae )または猛 もう 獣類 じゅうるい (もうじゅうるい)は、哺乳類 ほにゅうるい の高次 こうじ クレード の一群 いちぐん [1] [2] 。
肉 にく 獣類 じゅうるい (にくじゅうるい)と訳 やく されることもある[3] 。食肉 しょくにく 目 め 、鱗 うろこ 甲 かぶと 目 め 、肉 にく 歯 は 目 め (絶滅 ぜつめつ )などが属 ぞく す。
1758年 ねん にカール・フォン・リンネ によって『自然 しぜん の体系 たいけい 』第 だい 10版 はん で最初 さいしょ に提唱 ていしょう された。リンネの『自然 しぜん の体系 たいけい 』第 だい 10版 はん では、哺乳 ほにゅう 綱 つな の下位 かい 分類 ぶんるい として、霊長 れいちょう 類 るい (Primates)、鈍 どん 獣類 じゅうるい (Bruta)、吻獣類 るい (Bestiae)、ヤマネ類 るい (Glires)、畜獣類 るい (Pecora)、蹄獣類 るい (Belluae)、鯨 くじら 類 るい (Cete)とともに位置付 いちづ けられた。猛獣 もうじゅう 類 るい の下位 かい 分類 ぶんるい としては、海豹 かいひょう 属 ぞく (Phoca)、犬 いぬ 属 ぞく (Canis)、猫 ねこ 属 ぞく (Felis)、麝香猫 じゃこうねこ 属 ぞく (Viverra)、貂 てん 属 ぞく (Mustela)、熊 くま 属 ぞく (Ursus)を属 ぞく せしめた。現在 げんざい の食肉 しょくにく 目 め と相当 そうとう 程度 ていど 一致 いっち する。センザンコウは、リンネの時代 じだい には十分 じゅうぶん に知 し られておらず、分類 ぶんるい が与 あた えられなかった。
19世紀 せいき 以後 いご は食肉 しょくにく 目 め の分類 ぶんるい が定着 ていちゃく したが、猛獣 もうじゅう 類 るい は食肉 しょくにく 目 め の形式 けいしき 的 てき な上位 じょうい 分類 ぶんるい として使用 しよう され続 つづ けた。例 たと えば1945年 ねん のシンプソンの分類 ぶんるい [4] では、目 め の上位 じょうい クレードとして近 きん 蹄類 (Paenungulata)、原 はら 蹄類(Protungulata)などとともに食肉 しょくにく 目 め 1目 もく が属 ぞく する猛獣 もうじゅう 類 るい (上目 うわめ )が置 お かれている[5] 。
古 こ 生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 見地 けんち から食肉 しょくにく 目 め に加 くわ えて鱗 うろこ 甲 かぶと 目 め を猛獣 もうじゅう 類 るい に属 ぞく せしめる主張 しゅちょう はすでに20世紀 せいき 初 はつ に出 で ていたが [6] 、センザンコウは主 おも に食 しょく 性 せい に着目 ちゃくもく され、虫 むし を常食 じょうしょく するアルマジロ やツチブタ とともに貧 ひん 歯 ぱ 類 るい に長年 ながねん 分類 ぶんるい されてきた。しかし20世紀 せいき 末 まつ ごろに分子生物学 ぶんしせいぶつがく が発達 はったつ して急速 きゅうそく に生物 せいぶつ 分類 ぶんるい の再 さい 構が進 すす むと、遺伝子 いでんし 上 じょう の2目 もく の近 きん 縁 えん 性 せい が確認 かくにん されるとともに、化石 かせき 哺乳類 ほにゅうるい である肉 にく 歯 は 目 め との類似 るいじ 性 せい にも着目 ちゃくもく され、1997年 ねん にマッケナ/ベル分類 ぶんるい に採用 さいよう されたことにより、3目 もく の上位 じょうい クレード名称 めいしょう としての猛 もう 獣類 じゅうるい /広 こう 獣類 じゅうるい が定着 ていちゃく した。
1997年 ねん のマッケナとベルによる分類 ぶんるい では、広 こう 獣 しし 大目 おおめ [7] または猛獣 もうじゅう 大目 おおめ [2] として以下 いか の目 め が置 お かれていた[1] 。
キモレステス目 め を広 こう 獣類 じゅうるい の共通 きょうつう 祖先 そせん と考 かんが える説 せつ もある[8] が、キモレステス目 め は真 ま 獣類 じゅうるい の基盤 きばん 的 てき 位置 いち に属 ぞく すとする解析 かいせき 結果 けっか [9] もあり、定 さだ かではない。
化石 かせき 証拠 しょうこ のほとんどが始 はじめ 新 しん 世 よ で途絶 とだ えており、共通 きょうつう 祖先 そせん の形態 けいたい は明 あき らかとなっていない。20世紀 せいき 半 なか ばまでは発掘 はっくつ 環境 かんきょう の良好 りょうこう な北米 ほくべい での化石 かせき 証拠 しょうこ に頼 たよ っていたため、広 こう 獣類 じゅうるい は北米 ほくべい を発祥 はっしょう とし、新生代 しんせいだい 以後 いご に各地 かくち に放散 ほうさん したとする見解 けんかい が有力 ゆうりょく であった。しかし、20世紀 せいき 後半 こうはん にメッセル採掘 さいくつ 場 じょう の大 だい 発見 はっけん があり、始 はじめ 新 しん 世 よ 時点 じてん でヨーロッパにも北米 ほくべい と類似 るいじ の広 こう 獣類 じゅうるい が生息 せいそく していたことが明 あき らかとなったことから、ローラシアが分裂 ぶんれつ するジュラ紀 じゅらき -白 はく 亜紀 あき の時点 じてん である程度 ていど の広 こう 獣類 じゅうるい の分化 ぶんか が進 すす んでいた可能 かのう 性 せい もある。
広 こう 獣類 じゅうるい の内部 ないぶ 系統 けいとう [10] [11]
^ a b c Malcolm C. McKenna and Susan K. Bell, Classification of Mammals: Above the Species Level , Columbia University Press, 1997.
^ a b c エドウィン H. コルバート、マイケル モラレス、イーライ C. ミンコフ 「脊椎動物 せきついどうぶつ の分類 ぶんるい 体系 たいけい 」『コルバート 脊椎動物 せきついどうぶつ の進化 しんか 原著 げんちょ 第 だい 5版 はん 』田 た 隅 すみ 本 ほん 生 せい 訳 やく 、築地 つきじ 書 しょ 館 かん 、2004年 ねん 、505-518頁 ぺーじ 。
^ スティーヴ・パーカー編 へん 、日暮 ひぐらし 雅通 まさみち ・中川 なかがわ 泉 いずみ 訳 やく 「第 だい 7章 しょう 哺乳類 ほにゅうるい 」『生物 せいぶつ の進化 しんか 大 だい 事典 じてん 』養老 ようろう 孟司 たけし 総 そう 監修 かんしゅう ・犬塚 いぬづか 則 のり 久 ひさ 4-7章 しょう 監修 かんしゅう 、三省堂 さんせいどう 、2020年 ねん 、416-417頁 ぺーじ 。
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