(Translated by https://www.hiragana.jp/)
後獣下綱 - Wikipedia コンテンツにスキップ

こうしし下綱しもつな

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
こうしし下綱しもつな
タスマニアデビル
タスマニアデビル Sarcophilus harrisii
地質ちしつ時代じだい
はく亜紀あき前期ぜんき - かんしん現代げんだい
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 哺乳ほにゅうつな Mammalia
つな : ししつな Theria
下綱しもつな : こうしし下綱しもつな Metatheria
学名がくめい
Metatheria
Huxley1880
上目うわめ
本文ほんぶん参照さんしょう

こうしし下綱しもつな(こうじゅうかこう、Metatheria)は、哺乳類ほにゅうるい分類ぶんるいぐんタクソン)のひとつで下綱しもつな階級かいきゅうにあるもの。カンガルーなどのゆうぶくろるいふくまれる。

進化しんか

[編集へんしゅう]

こうしし下綱しもつなおよ姉妹しまいぐんであるしんじゅう下綱しもつなゆう胎盤たいばんるい)は、いわゆるししつなとしてまとめられている。このグループは臼歯きゅうし形態けいたい後述こうじゅつ)から「きたくさびるい」ともばれる[1]。このししつなは、かつて「ひろしじゅう」とばれた岐獣るいとしている[1]。かれらは中生代ちゅうせいだいジュラ紀じゅらきすえ - はく亜紀あき前期ぜんき北半球きたはんきゅうあらわれ、繁栄はんえいする恐竜きょうりゅう足元あしもと進化しんかかさねていた。

こう獣類じゅうるいのグループのなか最初さいしょあらわれたのは、シノデルフィス[2]およデルタテリディウムなどであるが、これらはアジアさんであった。おそらくは初期しょき獣類じゅうるいはアジアにあらわれ、はく亜紀あき後期こうきにかけてきたアメリカ大陸あめりかたいりくなどに分布ぶんぷをひろげたと推測すいそくされる[2]現生げんなまゆうぶくろるい上目うわめ)はきたアメリカに到達とうたつしたグループが起源きげんであるとされる。きたアメリカにあらわれたぞくとしては、現生げんなまオポッサムアルファドンなどがげられる[3]。そしてはく亜紀あきまつ一時いちじてき地続じつづきとなったみなみアメリカ大陸あめりかたいりくへと分布ぶんぷひろげている。このときともみなみアメリカにわたった哺乳類ほにゅうるいとしては、祖先そせんてき形態けいたいったゆう蹄類である、「顆節」とばれる一群いちぐんである[4]。これらはのちうま蹄中ばれる、みなみアメリカ特有とくゆうゆう蹄類のとなったと推測すいそくされる[5]

はく亜紀あきさい末期まっきK-T境界きょうかい大量たいりょう絶滅ぜつめつにおいて哺乳類ほにゅうるい多数たすう絶滅ぜつめつしているが、こう獣類じゅうるい例外れいがいではなく、おおくのグループが絶滅ぜつめつしている。新生代しんせいだいまでびたゆうぶくろるいは、各地かくち獣類じゅうるい競合きょうごうすることになる。ドイツメッセル採掘さいくつじょうからは多数たすう哺乳類ほにゅうるい化石かせきつかっているが、ゆうぶくろるいペラデクテスなどわずか2しゅのみであった[6]当時とうじ生物せいぶつしょうなかで、ゆうぶくろるい少数しょうすうであったことがうかがわれる。北半球きたはんきゅうゆうぶくろるい次第しだい生態せいたいけい片隅かたすみいやられ、絶滅ぜつめつしていく。

みなみアメリカに到達とうたつしていたグループは、うま蹄中元々もともとみなみアメリカにいたとされるふし上目うわめアルマジロアリクイなど)[4]とともに、とは隔離かくりされたしま大陸たいりくなか独特どくとく哺乳類ほにゅうるいしょう構成こうせいすることになる。あかつきしん初期しょきには5つの存在そんざいしており、マユレステスのような捕食ほしょくしゃあらわれている[4]ややしん前期ぜんき、はるか東方とうほうアフリカ大陸たいりくから渡来とらいしたと推定すいていされるテンジクネズミモルモットなど、ネズミおよこうはな下目しためしん世界せかいザル、サル)があらわれ、みなみアメリカ在来ざいらい哺乳類ほにゅうるいたちは次第しだい圧迫あっぱくけることになる[4]。しかし、ゆうぶくろるいボルヒエナティラコスミルスなど大型おおがた捕食ほしょくしゃ輩出はいしゅつするなど、その地位ちい維持いじしていた。とくにティラコスミルスは、どう時代じだいあらわれたマカイロドゥスなどのサーベルタイガー酷似こくじした、サーベルじょう犬歯けんしった頂点ちょうてん捕食ほしょくしゃであった。

そして中新ちゅうしんすえ - 鮮新いたってパナマ地峡ちきょう形成けいせいされると、きたアメリカ大陸あめりかたいりくから多数たすう獣類じゅうるい南下なんかしてくることになる。ゆうぶくろるいふくふるくからのみなみアメリカの哺乳類ほにゅうるいは、きたからの獣類じゅうるいとの生存せいぞん競争きょうそうやぶれ、多数たすう絶滅ぜつめつしている。現在げんざい新大陸しんたいりくのこっているゆうぶくろるいは、オポッサムおよチロエオポッサムのみである。しかしこれらは獣類じゅうるい競合きょうごうしつつも、きたアメリカ大陸あめりかたいりくまで分布ぶんぷいき拡大かくだいしている。

一方いっぽうみなみアメリカから南極大陸なんきょくたいりく経由けいゆオーストラリア大陸たいりくへとわたったグループも存在そんざいする[3]あかつきしん後期こうき - ややしん初期しょきみなみアメリカに生息せいそくしたポリドロプスぞく Polydolops南極なんきょくからも発見はっけんされたのである[7]。この時代じだいは、りょう大陸たいりくあいだではある程度ていど生物せいぶつ交流こうりゅうたもたれていたと推定すいていされている。まだ温暖おんだんであった南極なんきょくたっしたかれらは、そこを経由けいゆしてオーストラリアへとわたったとされる。オーストラリアに到達とうたつしたグループはオーストラリアゆうぶくろ大目おおめとしてくくられるが、みなみアメリカに現在げんざい分布ぶんぷするチロエオポッサムもこのなかふくまれる。このには、きたくさびるい酷似こくじした臼歯きゅうしっていた(ただし、起源きげんことなる)みなみくさびるい子孫しそん[8]であるカモノハシたんあなるい)が生息せいそくしていた。当時とうじたんあなるい様々さまざまニッチ適応てきおうし、様々さまざまたね存在そんざいしていた[9]。しかし、あらたにあらわれたゆうぶくろるいとの競争きょうそうやぶれ、はん水生すいせいのもののみがびることができた[9]。その末裔まつえいが、カモノハシおよハリモグラである。また、この獣類じゅうるい進出しんしゅつたしているが、このグループもこう獣類じゅうるいやぶれ、子孫しそんのこしていない。以降いこううみ大陸たいりくから隔絶かくぜつされているオーストラリア(オースタラリアおよニュージーランド)には、やく5まんねんまえヒト到達とうたつするまでは、東南とうなんアジアからと推測すいそくされるネズミコウモリしか獣類じゅうるいあらわれなかった。そのためゆうぶくろるい多様たようなニッチに適応てきおうし、多種たしゅ多様たようたねしている。

形態けいたい

[編集へんしゅう]

しんじゅう下綱しもつなとのれつ骨格こっかくにおける相違そういてん以下いかべる。

基本きほんてきれつは5.1.3.4/4.1.3.4とけい50ほんであり、しんじゅう下綱しもつなよりもおおい。獣類じゅうるいしょう臼歯きゅうしが4ほんだい臼歯きゅうしが3ほんであるのにたいし、こう獣類じゅうるいしょう臼歯きゅうしが3ほんだい臼歯きゅうしが4ほんとなっている[10]獣類じゅうるいではだい臼歯きゅうし退化たいか消失しょうしつしてかずらすことおおいが、こう獣類じゅうるいではそういったれいはほとんど[11]。また、獣類じゅうるいではだい2 - だい4しょう臼歯きゅうし乳歯にゅうしから永久歯えいきゅうしわるが、こう獣類じゅうるいわるのはだい3しょう臼歯きゅうしのみである[11]だい臼歯きゅうし切断せつだん破砕はさい機能きのうそなえた「トリボスフェニックがた臼歯きゅうし(トリボス=みく、スフェン=く)[12]」とばれる形態けいたいであり、獣類じゅうるい共通きょうつうする特徴とくちょうであるが、その細部さいぶことなる。
のうはこ
獣類じゅうるいくらべてややちいさい。これは、頭部とうぶ骨格こっかくはや段階だんかいほねするためであるとされる[13]
骨盤こつばん
恥骨ちこつ前部ぜんぶぜん恥骨ちこつふくろこつ)を[2][14]。このほねは、初期しょきぐんのぞいた獣類じゅうるいではうしなわれている。

分類ぶんるい

[編集へんしゅう]

上位じょうい分類ぶんるい

[編集へんしゅう]

下位かい分類ぶんるい

[編集へんしゅう]

こうしし下綱しもつなからデルタテリディウムなどいくつかの祖先そせんてきなグループをのぞいたものが、ゆうぶくろるいゆうぶくろ上目うわめ)である。ゆうぶくろるいは、伝統でんとうてき分類ぶんるいでは、フクロネズミの1のみだが、進化しんか考慮こうりょしたあたらしい分類ぶんるいでは後述こうじゅつとおり、現生げんなま2大目おおめ7もくとなる。アルファドンなど、中生代ちゅうせいだいはく亜紀あき北半球きたはんきゅう生息せいそくしたのちしし下綱しもつなのグループは、現生げんなまゆうぶくろるいとはことなる、より初期しょき分岐ぶんきした系統けいとうとする場合ばあいもある[3]現生げんなまぐんにおける分類ぶんるいぐん詳細しょうさいゆうぶくろるい項目こうもく参照さんしょうこと

†は絶滅ぜつめつぐん

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b 絶滅ぜつめつ哺乳類ほにゅうるい図鑑ずかん』 44ぺーじ
  2. ^ a b c 絶滅ぜつめつ哺乳類ほにゅうるい図鑑ずかん』 51ぺーじ
  3. ^ a b c d 哺乳類ほにゅうるい進化しんか』 127ぺーじ
  4. ^ a b c d 絶滅ぜつめつ哺乳類ほにゅうるい図鑑ずかん』 50ぺーじ
  5. ^ 絶滅ぜつめつ哺乳類ほにゅうるい図鑑ずかん』 227ぺーじ
  6. ^ 恐竜きょうりゅう絶滅ぜつめつ』 198ぺーじ
  7. ^ ゆうぶくろるいみち』 187ぺーじ
  8. ^ 絶滅ぜつめつ哺乳類ほにゅうるい図鑑ずかん』 34ぺーじ
  9. ^ a b 動物どうぶつ起源きげん進化しんか』 18ぺーじ
  10. ^ ゆうぶくろるいみち』 148ぺーじ
  11. ^ a b ゆうぶくろるいみち』 149ぺーじ
  12. ^ 哺乳類ほにゅうるい進化しんか』 51ぺーじ
  13. ^ 恐竜きょうりゅう絶滅ぜつめつ』 247 - 248ぺーじ
  14. ^ 哺乳類ほにゅうるい進化しんか』 50ぺーじ
  15. ^ a b 絶滅ぜつめつ哺乳類ほにゅうるい図鑑ずかん』 53ぺーじ
  16. ^ 日本にっぽん哺乳類ほにゅうるい学会がっかい しゅめい·標本ひょうほん検討けんとう委員いいんかい 目名めな問題もんだい検討けんとう作業さぎょう部会ぶかい、「哺乳類ほにゅうるい高次こうじ分類ぶんるいぐんおよび分類ぶんるい階級かいきゅう日本語にほんご名称めいしょう提案ていあんについて」 『哺乳類ほにゅうるい科学かがく』 2003ねん 43かん 2ごう p.127-134, doi:10.11238/mammalianscience.43.127, 日本にっぽん哺乳類ほにゅうるい学会がっかい

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • 富田とみた幸光ゆきみつ新版しんぱん 絶滅ぜつめつ哺乳類ほにゅうるい図鑑ずかん伊藤いとうへいゆう岡本おかもと泰子やすこ丸善まるぜん、2011ねん、34,44-45,49-61,227ぺーじISBN 978-4-621-08290-4 
  • 遠藤えんどう秀紀ひでき哺乳類ほにゅうるい進化しんか東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱんかい、2002ねん、126-137ぺーじISBN 978-4-13-060182-5 
  • 長谷川はせがわ政美まさみしん図説ずせつ 動物どうぶつ起源きげん進化しんか えられた系統けいとうじゅ八坂やさか書房しょぼう、2011ねん、18ぺーじISBN 978-4-89694-971-1 
  • 瀬戸口せとぐちれつゆうぶくろるいみち : アジア起源きげんかぶてんせん新樹あらきしゃ、2006ねん、139-164,177-204ぺーじISBN 4-7875-8549-5 
  • NHK「ポスト恐竜きょうりゅう」プロジェクト(高間たかま大介だいすけ植田うえだ和貴かずたかへん恐竜きょうりゅう絶滅ぜつめつ乳類にゅうるいたたかい』小林こばやしかいつぎ 監修かんしゅうダイヤモンド社だいやもんどしゃ、2010ねん、194-249ぺーじISBN 978-4-478-01386-1 

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]