(Translated by https://www.hiragana.jp/)
大臼歯 - Wikipedia コンテンツにスキップ

だい臼歯きゅうし

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
あか部分ぶぶんがヒトのだい臼歯きゅうし

だい臼歯きゅうし(だいきゅうし、Molar)は、れつじょう位置いちによりかたち機能きのうことなる異形いぎょうせいである哺乳類ほにゅうるいしゅひとつ。しょう臼歯きゅうし後方こうほうつづである[1]。咬合めん結節けっせつじょう隆起りゅうきである咬頭(cusp)が3つ以上いじょうしょう臼歯きゅうしよりもおおく、歯根しこん複数ふくすうゆうする[1][2]

概要がいよう

[編集へんしゅう]

ヒトの場合ばあい本来ほんらいしょう臼歯きゅうし後方こうほうの3ほんで、まえからだい一大いちだい臼歯きゅうしだいだい臼歯きゅうしだいさんだい臼歯きゅうしといい上下じょうげ左右さゆうけい12ほんとなる[1]。このうちだいさんだい臼歯きゅうし知歯ちし智歯ちし親知おやしらず)ともいうが、現代げんだいじんでは最初さいしょから存在そんざいしないひとおおく、存在そんざいしても、現代げんだいじんあごでは、萌出もえで(ほうしゅつ、す)するスペースがないために、水平すいへい埋伏まいふくになるなど、正常せいじょう萌出もえでおこなわないこともめずらしくない。この場合ばあい放置ほうちすると智歯ちし周囲しゅういえん発生はっせいしたり、だいだい臼歯きゅうしにまで悪影響あくえいきょうるため、抜歯ばっしひとしおこなう。また、だいだい臼歯きゅうし正常せいじょう萌出もえでおこなわないひとえている[3]

また、ぎゃく過剰かじょうとして、だいよんだい臼歯きゅうしだいさんだい臼歯きゅうし後方こうほう萌出もえですることもまれにある。

動物どうぶつだい臼歯きゅうし

[編集へんしゅう]

動物どうぶつだい臼歯きゅうしは、たねによりことなることがおおい。

さん咬頭臼歯きゅうし

[編集へんしゅう]
モグラわかカモノハシ(カモノハシは成獣せいじゅうになるとたない)にみられる。上顎じょうがくだい臼歯きゅうしみっつの咬頭がある山脈さんみゃくのようにえ、しもあごだい臼歯きゅうしは咬頭がふたつで、みっの咬頭は、側面そくめん存在そんざいする。

長方形ちょうほうけい

[編集へんしゅう]
この種類しゅるい臼歯きゅうし人間にんげんふくおおくのたねられる。4~5の咬頭が長方形ちょうほうけいなか配置はいちされている。

臼状きゅうじょう(ブノドント、おかじょうどんおかがたとも)

[編集へんしゅう]
咬頭がするどくなく、完全かんぜんおかじょうとなっている。

ちょうかんむり

[編集へんしゅう]
gumlineや歯髄しずいうえおおくの象牙ぞうげしつエナメルしつ存在そんざいする。このたねだい臼歯きゅうしは、磨耗まもう程度ていどおおきい、ウマのような哺乳ほにゅう動物どうぶつつかる。

Zalambdodont(ザランブドドント)

[編集へんしゅう]
ふたつのたかしせんが、Λらむだがたまじわる。

Dilambdodont

[編集へんしゅう]
Zalambdodontのようであるが、Λらむだふたつある。


横堤よこづつみ (ロフォドント : Lophodont)

[編集へんしゅう]
ゾウの比較ひかく
インドゾウ横堤よこづつみ(ひだり)
アフリカゾウ横堤よこづつみ(みぎ)
マストドンのジゴドント(みぎ)
横堤よこづつみには、ロフ(りょう)とばれるかたくて細長ほそながいエナメルしつ隆起りゅうきがあり、れつ沿って、またはれつ垂直すいちょく配向はいこうしている。横堤よこづつみは、もの徹底的てっていてきにすりつぶす草食そうしょく動物どうぶつによくられる。れいとしては、バクマナティー、およびおおくのげっるいげられる。[4]
語源ごげんは、loph (りょう) をつ odont (ギリシャ意味いみ[5]) からなる。そのため「りょうえん[6] 、「りょうじょう[7]、「うねじょう[8] などと表記ひょうきされることもある。
ロフォドントのは、かんむりの咬合めんにあるエナメルしつ隆起りゅうきまたはたにのパターンのちがいによって簡単かんたん識別しきべつできる。ほとんどの草食そうしょく動物どうぶつ存在そんざいするこれらのロフ(りょう)のパターンは、デバネズミのように単純たんじゅんなリングじょうえんである場合ばあいもあれば、ウマのような蹄目動物どうぶつのように一連いちれん隆起りゅうき交差こうさ隆起りゅうき複雑ふくざつ配置はいちである場合ばあいもある[9]
特殊とくしゅなパターンをしめす。

ブノロフォドント (Bunolophodont)

[編集へんしゅう]
おかじょう(Bunodont)に、れつよこ方向ほうこううねができたもの。バクられる[10]

りょう (バイロフォドント: Bilopholodont)

[編集へんしゅう]
横堤よこづつみのうち、2つのロフをち、じょうよこ方向ほうこうの(おおくの場合ばあいリングじょうの)隆起りゅうき形成けいせいするもの。このパターンは霊長れいちょうるいによくられる[9][11]

トリロフォドント (trilophodont) / テトラロフォドント (tetralophodont)

[編集へんしゅう]
横堤よこづつみのうち、3つのロフをつものをトリロフォドントといい、4つのロフをつものをテトラロフォドントという。
ゾウ先祖せんぞによくられ、ゴンフォテリウムは、トリロフォドントをつグループとテトラロフォドントをつグループにけられる[12]

ロクソドント (Loxodont)

[編集へんしゅう]
ゾウやカピバラなどの一部いちぶかじるいは、極端きょくたん形態けいたい横堤よこづつみっており、そのような臼歯きゅうしはロクソドントとばれる。アフリカゾウ学名がくめい(ぞくめい)がロクソドンタ( Loxodonta )とばれるのは臼歯きゅうし形状けいじょう由来ゆらいする[4]

ジゴドント (Zygodont)

[編集へんしゅう]
偶数ぐうすう隆起りゅうきをもち、かくたいごとに結合けつごうしている形状けいじょう臼歯きゅうし[13]

つきじょう(セレノドント)

[編集へんしゅう]
三日月みかづきがたたかしせんつ。たかしせんひとつのこともあれば複数ふくすうこともある。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c 解剖かいぼうがく1・総論そうろん 北海道大学ほっかいどうだいがく 2024ねん8がつ18にち閲覧えつらん
  2. ^ 種類しゅるいしゅ がくけん書院しょいん 2024ねん8がつ18にち閲覧えつらん
  3. ^ 大森おおもりさとしさかえ大学生だいがくせいにおけるだいだい臼歯きゅうし萌出もえで状態じょうたい口腔こうくうない因子いんしとの関係かんけい」『口腔こうくう衛生えいせい学会がっかい雑誌ざっしだい65かんだい1ごう日本にっぽん口腔こうくう衛生えいせい学会がっかい、2015ねん1がつ30にち、17ぺーじdoi:10.5834/jdh.65.1_17 
  4. ^ a b Phil Myers et al. (2013ねん). “The Diversity of Cheek Teeth”. Animal Diversity Web, University of Michigan. 2024ねん4がつ16にち閲覧えつらん
  5. ^ or·tho·don·tist”. Kids. Wordsmith. 2024ねん4がつ16にち閲覧えつらん
  6. ^ トリボスフェニックがた臼歯きゅうし形成けいせい”. まめ辞典じてん歯科しか人類じんるいがくのススメ―. 2024ねん4がつ16にち閲覧えつらん
  7. ^ 化石かせきちょうはなるい(ゾウ)の微細びさい構造こうぞう機能きのう形態けいたいがくてき意義いぎ”. Grants-in-Aid for Scientific Research(KAKEN). 2024ねん4がつ16にち閲覧えつらん
  8. ^ 富田とみた幸光ゆきみつだい15しょう ゾウのなかまとそのきんえんゆう蹄類」『新版しんぱん 絶滅ぜつめつ哺乳類ほにゅうるい図鑑ずかん伊藤いとうへいゆう岡本おかもと泰子やすこ丸善まるぜん出版しゅっぱん株式会社かぶしきがいしゃ、2010ねん、215ぺーじISBN 978-4-621-08290-4  "Lawlor, T.E." (1979). “"The Mammalian Skeleton"”. Mad River Press.. ISBN 978-0-916422-16-5 
  9. ^ a b Lawlor, T.E. (1979). “The Mammalian Skeleton”. Handbook to the Orders and Families of Living Mammals.. Mad River Press.. ISBN 978-0-916422-16-5. https://web.archive.org/web/20100701051943/http://www.eebweb.arizona.edu/Courses/Ecol485_585/Readings/Lawlor/The_Mammalian_Skeleton_T.E.Lawlor.pdf 2024ねん4がつ16にち閲覧えつらん 
  10. ^ bunolophodont”. 2024ねん4がつ20日はつか閲覧えつらん
  11. ^ 岩本いわもと光雄みつお霊長れいちょうるいにおける系統けいとう分化ぶんか分類ぶんるいをめぐって(II 総説そうせつ)」『霊長れいちょうるい研究所けんきゅうじょ年報ねんぽうだい10かん京都大学霊長類研究所きょうとだいがくれいちょうるいけんきゅうしょ、1981ねん1がつ、33-39ぺーじCRID 1050845760675204224hdl:2433/162942ISSN 0286-45682024ねん5がつ13にち閲覧えつらん 
  12. ^ Shoshani, J.; Tassy, P. (2005). “Advances in proboscidean taxonomy & classification, anatomy & physiology, and ecology & behavior”. Quaternary International 126-128: 5–20. doi:10.1016/j.quaint.2004.04.011. 
  13. ^ zygodont”. Wordnik. 2024ねん4がつ17にち閲覧えつらん

ヒトのだい臼歯きゅうし

[編集へんしゅう]