おそれかく

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おそれかく Dinocerata
ウインタテリウムの想像図
ウインタテリウム想像そうぞう
地質ちしつ時代じだい
あかつきしん後期こうき(5500まんねんまえ) - はじめしん中期ちゅうき(4000まんねんまえ
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 哺乳ほにゅうつな Mammalia
つな : ししつな Theria
下綱しもつな : しんじゅう下綱しもつな Eutheria
階級かいきゅうなし : ゆう胎盤たいばんるい Placentalia
: おそれかく Dinocerata
Marsh, 1872[1]

おそれかく(きょうかくもく、Dinocerata)は哺乳類ほにゅうるい絶滅ぜつめつしたひとつ。あかつきしん後期こうきからはじめしん中期ちゅうきにかけて、きたアメリカおよびアジア分布ぶんぷしていた。ウインタテリウムもっともよくられている。別名べつめいおそれかくじゅう[2]

概要がいよう[編集へんしゅう]

ウインタテリウム(Uintatherium anceps)の骨格こっかく標本ひょうほん国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん展示てんじ

"Dinocerata"は「おそろしいかく」を意味いみする。これはかれらが(後期こうき代表だいひょうてきなものでは)頭部とうぶいちぞろいのかくそなえていることからけられた名称めいしょうである。これらのかくはおそらくキリンのそれと同様どうよう皮膚ひふおおわれていた。うえ犬歯けんし発達はったつしておおきなきばになっている(性的せいてき二形ふたなりであるとのせつとなえられている)。それにたいしてうえきりうしなわれており、ものべるために器用きよう上唇うわくちびる(ないしはみじか)をゆうしていたとかんがえられている。からだつきはがっしりとしており、四肢しし比較的ひかくてきみじかくて力強ちからづよかった。

おそれかくは、恐竜きょうりゅう絶滅ぜつめつ以降いこうあらわれた哺乳類ほにゅうるいなかでは、大型おおがたじゅう輩出はいしゅつした最初さいしょひとつにかぞえられている。初期しょきこわかくぶたほどの体格たいかくぎなかったが、最大さいだいのもの(ウインタテリウムなど)では体長たいちょう4m以上いじょう推定すいてい体重たいじゅう4.5トンにもたっした。

おそれかく化石かせき発見はっけんされているのは、基本きほんてききたアメリカアジアの、あかつきしん後期こうきおよびはじめしん地層ちそうである。かれらの生態せいたい今日きょうサイており、しゅとして植物しょくぶつべていたとかんがえられている。

このししたちが比較的ひかくてきはやく(はじめしん中期ちゅうき)に絶滅ぜつめつしてしまった理由りゆうは、よくかっていない。彼等かれら捕食ほしょくするような動物どうぶつ出現しゅつげんも、かれらと食物しょくもつめぐって競合きょうごうするような動物どうぶつられていないのである。ただ、ひろしひもといったようなおそれかく同様どうよう大型おおがたしゅした初期しょき植物しょくぶつしょくせい哺乳類ほにゅうるい時期じきかさねるように衰退すいたいし、絶滅ぜつめつしている。このため彼等かれら生存せいぞんおびやかすような環境かんきょう変化へんかなどがきた可能かのうせいはある。こうした初期しょき植物しょくぶつしょくせい哺乳類ほにゅうるい衰退すいたい絶滅ぜつめつわり、蹄類偶蹄ぐうているいといった現生げんなまつながる哺乳類ほにゅうるいたち繁栄はんえいしていくことになった。

系統けいとう分類ぶんるい[編集へんしゅう]

おそれかくと、哺乳類ほにゅうるいべつとの関係かんけいきわめて明確めいかくである。かつてはゆう蹄類れられたが、このグループはおそらく系統けいとう、すなわち類縁るいえん関係かんけいのない複数ふくすう分類ぶんるいぐん表面ひょうめんてき特徴とくちょうだけでひとつにまとめたものである。ある仮説かせつおそれかくじゅうおよび蹄目ふたつともみなみアメリカ特有とくゆう哺乳類ほにゅうるいうま蹄中ぞくする)にきんえんだとしている。はく亜紀あき生息せいそくしていた哺乳類ほにゅうるい一群いちぐん、ゼレステス(Zhelestidae)との関係かんけい指摘してきされている。いずれにせよこわかく特殊とくしゅしたしょうグループで、系統けいとうじゅ比較的ひかくてきみじかがわえだぎない。

初期しょきこわかく代表だいひょうゴビアテリウムプロディノケラスProdinoceras)で、これらはまだ比較的ひかくてき小型こがたでありこわかく特徴付とくちょうづけるかくもまだ目立めだたない。後期こうきこわかくぞくとしては、ウインタテリウムエオバシレウスEobasileus)が有名ゆうめい

目撃もくげきだん[編集へんしゅう]

1917ねん、パートリッヂわんちかくの山中さんちゅうにて、探検たんけんのヂョーヂ・ヂュバイが全長ぜんちょう50フィートの北極圏ほっきょくけんこわかくじゅう目撃もくげき報告ほうこくしている[3]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Malcolm C. McKenna & Susan K. Bell, Classification of Mammals: Above the Species Level, New York: Columbia University Press, 1997, p. 358.
  2. ^ ウォレース 1913, p. 540.
  3. ^ 加藤かとうぐりいずみ 1917, p. 838.

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • T. S. Kemp (2005). The Origin & Evolution of Mammals. Oxford: Oxford University Press. ISBN 0198507615 
  • ウォレース『生物せいぶつ世界せかいちゅう瀬古せこ六郎ろくろう, 吉村よしむら大次郎だいじろうだい日本にっぽん文明ぶんめい協会きょうかい事務所じむしょ、1913ねん、540ぺーじdoi:10.11501/949644OCLC 673425648全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:43017673https://dl.ndl.go.jp/pid/949644/1/2912022ねん12月21にち閲覧えつらん 
  • 加藤かとうぐりいずみ世界せかい奇聞きぶん全集ぜんしゅう法曹ほうそうかく書院しょいん、1917ねん、835-840ぺーじdoi:10.11501/957380NCID BA38272277OCLC 673671688全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:43025346https://dl.ndl.go.jp/pid/957380/1/4422022ねん12月21にち閲覧えつらん