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アフリカじゅう上目うわめ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
アフリカじゅう上目うわめ
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
つな : 哺乳ほにゅうつな Mammalia
つな : ししつな Theria
下綱しもつな : しんじゅう下綱しもつな Eutheria
上目うわめ : アフリカじゅう上目うわめ Afrotheria
学名がくめい
Afrotheria Stanhope et al., 1998
下位かいクレード

アフリカじゅう上目うわめ(アフリカじゅうじょうもく、Afrotheria)は、哺乳類ほにゅうるいクレード上目うわめ)で、キンモグラハネジネズミテンレックツチブタハイラックスゾウマナティーひとしふくまれる。

ほとんどのグループのあいだでは形態けいたいてき類似るいじせいがほとんどられず、関連かんれんせいあきらかになったのは近年きんねん分子ぶんし系統けいとうがく研究けんきゅうおこなわれるようになってからである。ここにぞくする動物どうぶつのほとんどがアフリカにのみ生息せいそくし、これははく亜紀あきからテティスうみ縮小しゅくしょうするやく2000まんねんまえまでのあいだ、アフリカが大陸たいりくつながっていなかったことを反映はんえいしている[1]

新生代しんせいだい初期しょき中期ちゅうきにかけてはアフリカはほぼつねうみかこまれていたため、ローラシア起源きげんしょくむしるい盲腸もうちょうるいかじるいうさぎがた食肉しょくにくや、その大型おおがた草食そうしょく動物どうぶつ侵入しんにゅうすることはなかった。収斂しゅうれん進化しんか結果けっか、アフリカでは、それらの動物どうぶつめるニッチがアフリカじゅう上目うわめ動物どうぶつめられた。ハネジネズミ、キンモグラ、テンレックなどの小型こがたしょくむし動物どうぶつしょくむしるいのニッチをたし、ハイラックスはかじるいとウサギに相当そうとうし、ツチブタは中型ちゅうがたアリしょく動物どうぶつ大陸たいりくではアリクイ、アルマジロ、センザンコウ、ハリモグラ、フクロアリクイなど)、ちょうはなるいはカバやサイなどの大型おおがた草食そうしょく動物どうぶつ役割やくわりたした。海牛うみうしうみつうじて大陸たいりくひろがりはじめ、海洋かいよう哺乳類ほにゅうるいいちれいとなった。

アフリカじゅう上目うわめがまとめられたのは1990年代ねんだい後半こうはんになってからで、それまでは、きん蹄類はゆう動物どうぶつきんえんとされ、キンモグラ、テンレック、ハネジネズミはしょくむしるい、ツチブタはセンザンコウやふしるいともひんるいれられていた。

語源ごげん

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Afrotheria という学名がくめいは、アフリカを意味いみする Afro- と、ギリシアで「しし」を意味いみする -theria由来ゆらいしている。

系統けいとう関係かんけい

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1990年代ねんだいからはじまった遺伝子いでんし分析ぶんせきにより、しんじゅう下綱しもつななかあいだ上位じょうい系統けいとう関係かんけいしめす4つのたん系統けいとうぐんがあることが示唆しさされ、1998ねんには現在げんざいのアフリカじゅう上目うわめ枠組わくぐみが認識にんしきされた。DNAなしでは、とくにアフリカさんしょくむし動物どうぶつのまとまりを認識にんしきすることは不可能ふかのうだった。

アフリカの哺乳類ほにゅうるい一部いちぶかぎれば、きんえんなまとまりをつくることは1920年代ねんだいからかんがえられていたことで、1980-90年代ねんだい散発さんぱつてき論文ろんぶんていた。アフリカじゅう上目うわめ中核ちゅうかくきん蹄類ぞう海牛うみうし、ハイラックス)であるが、これらは比較ひかく解剖かいぼうがくてき長年ながねん研究けんきゅうされてきたものであった。あかつきしんからはオケペイアというアフリカじゅう上目うわめ動物どうぶつつかっており、完全かんぜん頭骨とうこつつかっているなかでは最古さいこのものだが、きん蹄類とアフリカさんしょくむし動物どうぶつ両方りょうほう共通きょうつう特徴とくちょうそなえており、アフリカじゅう上目うわめ祖先そせん特徴とくちょうかんがえるうえで重要じゅうようであるとかんがえられている。

1990年代ねんだい以降いこうは、分子ぶんし系統けいとうがくだけでなく、解剖かいぼう学的がくてきにも特徴とくちょうつかるようになり、例外れいがいもあるが、椎骨ついこつおおさ、胎盤たいばんまく形成けいせいかかとほね形状けいじょう特徴とくちょう比較的ひかくてきおそ永久歯えいきゅうし出現しゅつげんげられる。一部いちぶ動物どうぶつでははな非常ひじょうながく、よくうごく。アフリカさんしょくむし動物どうぶつ一部いちぶでは特徴とくちょうつかっている。

アフリカじゅう上目うわめふし上目うわめローラシアじゅう上目うわめおもかじ上目うわめの4つのたん系統けいとうぐんあいだ正確せいかく関係かんけいについては、まだ論争ろんそうがある。ローラシアじゅう上目うわめおもかじ上目うわめ比較的ひかくてきちか関係かんけいで、北方ほっぽう獣類じゅうるいというクレードにまとめられることでは一致いっちするものの、これとアフリカじゅう上目うわめふし上目うわめとの関係かんけいはいまだにはっきりしない。アフリカじゅう上目うわめ系統けいとうとの進化しんかじょう分離ぶんりは1おく500まんねんまえアフリカ大陸たいりくみなみアメリカ大陸あめりかたいりくから分割ぶんかつされたときしょうじたというせつもある。また、大陸たいりく分断ぶんだん移住いじゅうつづきこの3上目うわめ分岐ぶんきが9000まんねんまえしょうじたというせつもある[2]。また、ふし上目うわめがまずかれてしま大陸たいりくとなったみなみアメリカで進化しんかしたという仮説かせつもあるが、かぎとなるエウロタマンドゥア(Eurotamandua:はじめしんのヨーロッパに生息せいそくしたふし上目うわめアリクイるい化石かせきしゅ)はふし上目うわめではない(センザンコウるいちかい)という共通きょうつう理解りかい出来できつつある。近年きんねんのゲノム研究けんきゅうでは、アフリカじゅう上目うわめふし上目うわめからなるクレードが最初さいしょ分岐ぶんきするという解析かいせき結果けっかもある。

これらの詳細しょうさい北方ほっぽう獣類じゅうるいこうくわしい。

現状げんじょう

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アフリカじゅう上目うわめは、おおくのたねたか絶滅ぜつめつリスクにさらされている。 IUCNによれば、アフリカじゅう上目うわめには、アフリカおよマダガスカル生息せいそくした哺乳類ほにゅうるいの3ぶんの1ちかくが分類ぶんるいされると見積みつもられるが、現在げんざい化石かせきしゅふくめて1200しゅられるもののうち75しゅしか生存せいぞんしていない。

インドゾウとマナティー3しゅはアフリカ以外いがい進化しんかしたが、やはり絶滅ぜつめつ危機ききにある。ちょうはなるいはオーストラリアと南極なんきょくのぞくすべての大陸たいりく生息せいそくしていたが、だいよんにほぼ絶滅ぜつめつした。ハイラックスは、鮮新わりころにはユーラシアのだい部分ぶぶん生息せいそくしていた。じゅうあしたばばしら絶滅ぜつめつしたものの、かつてはひろ分布ぶんぷしていた(ただし、たばばしら近年きんねんになって蹄目の一員いちいんである可能かのうせい検討けんとうされており、じゅうあし所属しょぞくたしかなものではない)。

分類ぶんるい

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アフリカじゅう上目うわめしんじゅう下綱しもつなふくまれ、現存げんそんする6つの哺乳類ほにゅうるいふくむ。いくつかの学名がくめい優先ゆうせんけんのために変更へんこうされる可能かのうせいがある。

系統けいとう

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[3]

アフリカじゅう上目うわめ
アフリカしょくむしるい
ツチブタ

ツチブタ Orycteropodidae

Afroinsectivora
ハネジネズミ

ハネジネズミ

アフリカトガリネズミ

キンモグラ Chrysochloridae

テンレック Tenrecidae

きん蹄類
イワダヌキ

ハイラックス Procaviidae

テティス獣類じゅうるい
ちょうはな

ゾウ

海牛うみうし

ジュゴン

マナティー

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 長谷川はせがわ政美まさみ分子ぶんし情報じょうほうにもとづいた獣類じゅうるい系統けいとう進化しんか」『哺乳類ほにゅうるい科学かがく』、哺乳類ほにゅうるい科学かがく60かん記念きねん特集とくしゅう1 哺乳類ほにゅうるい高次こうじ分類ぶんるいぐん拡散かくさん分子ぶんし系統けいとうがく生物せいぶつがく最近さいきん進展しんてんだい60かんだい2ごう日本にっぽん哺乳類ほにゅうるい学会がっかい、269-278ぺーじ、2020ねんISSN 0385-437XNAID 130007884430https://doi.org/10.11238/mammalianscience.60.2692022ねん9がつ10日とおか閲覧えつらん 
  2. ^ 長谷川はせがわ政美まさみ、「系統けいとうじゅをさかのぼってえてくる進化しんか歴史れきし」p85、2014ねん10がつ25にち、ベレ出版しゅっぱんISBN 978-4-86064-410-9
  3. ^ Tabuce, R.; Asher, R. J.; Lehmann, T. (2008). “Afrotherian mammals: a review of current data”. Mammalia 72: 2–14. doi:10.1515/MAMM.2008.004. オリジナルの24 February 2021時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210224122358/http://phylodiversity.net/azanne/csfar/images/d/d9/Afrotherian_mammals.pdf 2022ねん8がつ25にち閲覧えつらん. 

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Kriegs, Jan Ole, Gennady Churakov, Martin Kiefmann, Ursula Jordan, Juergen Brosius, Juergen Schmitz (2006). “Retroposed Elements as Archives for the Evolutionary History of Placental Mammals”. PLoS Biol 4 (4): e91. doi:10.1371/journal.pbio.0040091.  (pdf version)
  • William J. Murphy, Eduardo Eizirik, Mark S. Springer et al. (14 December 2001). “Resolution of the Early Placental Mammal Radiation Using Bayesian Phylogenetics”. Science 294 (5550): 2348–2351. doi:10.1126/science.1067179. PMID 11743200. 
  • Seiffert, Erik (2007). “A new estimate of afrotherian phylogeny based on simultaneous analysis of genomic, morphological, and fossil evidence”. BMC Evolutionary Biology 7: 13. doi:10.1186/1471-2148-7-224.  (pdf version)

外部がいぶリンク

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