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アカボウクジラ

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アカボウクジラ
アカボウクジラ
地質ちしつ時代じだい
中新ちゅうしん - かんしん現代げんだい
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 哺乳ほにゅうつな Mammalia
つな : ししつな Theria
: くじら偶蹄ぐうてい Cetartiodactyla
: ハクジラ Odontoceti
: アカボウクジラ Ziphiidae
学名がくめい
Ziphiidae
Gray1850
, ぞく

アカボウクジラ赤坊あかんぼうくじら、Ziphiidae)は、クジラハクジラぞくするひとつ。アカボウクジラぞくするのは比較的ひかくてき小型こがたクジラおおく、現生げんなまぐんやく20のたねからる。

大型おおがた哺乳類ほにゅうるいとしてはもっと不明ふめいてんおお種類しゅるいひとつである。一部いちぶたねはここ20ねんほどのあいだ発見はっけんされたばかりであり、まだ発見はっけんされていないたね存在そんざいしているだろうとかんがえられている。

分類ぶんるい

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アカボウクジラは6ぞく構成こうせいされ、それらは伝統でんとうてきには3けられる。

形態けいたい

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食餌しょくじあつ利用りようした吸引きゅういん方式ほうしき (suction feeding mechanism) でおこなう。これは獲物えものつかまえるのではなく、口腔こうくうない海水かいすいごと獲物えものしょく方法ほうほうである。ハクジラるい気道きどう食道しょくどう完全かんぜん分離ぶんりしているためはい利用りようした吸引きゅういん不可能ふかのうであるが[1]、そのかわりしたおよしたこつ発達はったつしており、これを利用りようするとされる。くちけると同時どうじおおきなした急速きゅうそくめることで口腔こうくうない圧力あつりょく低下ていかさせ、海水かいすい一緒いっしょえさとなる獲物えもの方法ほうほうである。比較的ひかくてきながいためマッコウクジラなどよりは吸引きゅういんりょくおとるが、マイルカなどよりは強力きょうりょくであるという。アカボウクジラのどには顕著けんちょなハのがたみぞがあるが、これは吸引きゅういんさいのどふくらませ、口腔こうくうない容積ようせき拡大かくだい貢献こうけんするとされる[2]

アカボウクジラのクジラは体長たいちょう3.6m - やく13mであり、体重たいじゅうは1t - 15tである。識別しきべつ体長たいちょうからだしょく頭部とうぶ形状けいじょう口吻こうふんながさなどの微妙びみょうちがいをもちいておこない、野生やせいでのたね同定どうていはかなり困難こんなんである。また、オウギハクジラぞくなどではゆうのみしもあご一対いっついつものもおり、たね特定とくていするさいがかりになる[3]

生息せいそくいき生態せいたい

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世界中せかいじゅうのほとんどの海域かいいき棲息せいそくしているが、浅瀬あさせはあまりこのまず、大陸棚たいりくだなよりもふか海域かいいきこのむ。海底かいてい山脈さんみゃく渓谷けいこく斜面しゃめん、あるいはアゾレス諸島しょとうカナリア諸島かなりあしょとうなどのだい洋上ようじょう島々しまじまちかくなどをとくこのむ。

わかっているかぎりにおいては、海底かいていあるいは海底かいていちかくでえさ捕獲ほかくする。おもイカ魚類ぎょるい甲殻こうかくるいなどをべる。

非常ひじょうすぐれた潜水せんすい能力のうりょくゆうし、20ふんから30ふん程度ていど潜水せんすいおこなうことがおおい。80ふんものなが潜水せんすい記録きろくもあり、くぐふかさもほぼ間違まちがいなく1,000mをえているものとかんがえられている。

家族かぞくによる小規模しょうきぼぐんして行動こうどうすることがおおい。

アカボウクジラ海洋かいようせいであることと、長時間ちょうじかん潜水せんすいおこなうことから、観察かんさつすることが困難こんなんであり、おおくのたねについて不明ふめいてんおおい。一部いちぶには、正式せいしき記録きろく名前なまえもまだなかったり、死骸しがい確認かくにんされているものの、生体せいたい観察かんさつれいはない、といったたねもある。やく20しゅのうち、3しゅないし4しゅは、かつては捕鯨ほげい対象たいしょうであったため、比較的ひかくてきられている。ほんこう人間にんげんとのかかわ参照さんしょうされたい。

人間にんげんとのかかわ

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アカボウクジラのクジラは海洋かいようせいであるため、捕鯨ほげい対象たいしょうであった一部いちぶたねのぞき、人間にんげんとのかかわりはすくない。ツチクジラアカボウクジラおも日本にっぽんによって捕鯨ほげい対象たいしょうとされ、ツチクジラの捕鯨ほげい捕獲ほかく頭数とうすう上限じょうげん自主じしゅてき設定せっていしたうえ現在げんざいでもおこなわれている。キタトックリクジラは19世紀せいきまつから20世紀せいき初頭しょとうにかけて、きた大西おおにしひろし北部ほくぶ海域かいいきにおいて、多数たすう捕獲ほかくされた。

近年きんねん座礁ざしょうして死亡しぼうした個体こたい調査ちょうさから、あらたな問題もんだい発生はっせいしていることがわかってきた。ひとつは脂肪しぼうなかふくまれる有毒ゆうどく化学かがく物質ぶっしつ濃度のうど増加ぞうか傾向けいこうである。猛禽もうきんるい鳥類ちょうるいおなじく、アカボウクジラのクジラたちは食物しょくもつ連鎖れんさ頂点ちょうてんにいるため、このような化学かがく物質ぶっしつ蓄積ちくせき懸念けねんされる。

ふた問題もんだいは、ビニールぶくろなどのプラスチック製品せいひんんでいるれいおおられることである。これらは消化しょうかされずに消化しょうかちゅうまるため、致命ちめいてきなこともある。また、20世紀せいきまつからタラ漁獲ぎょかくりょう減少げんしょうしたことによって、遠洋えんようにおける底引そこびあみりょうさかんになったため、底引そこびあみによるこんによる被害ひがい増加ぞうかしているという問題もんだいもある。えさとなる魚類ぎょるいなどの減少げんしょう懸念けねんする指摘してきもある。

ミナミツチクジラツチクジラキタトックリクジラおよびミナミトックリクジラの4しゅについては、IUCNレッドリストでは「ていリスク(保全ほぜん対策たいさく依存いぞん)」 (LRcd : Lower Risk - Conservation Dependent)に分類ぶんるいされている。そのたねについては、情報じょうほう不足ふそくしているため、分類ぶんるいされていない。

進化しんか

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アカボウクジラもっとふる化石かせきとしては、中期ちゅうき中新ちゅうしんArchaeoziphinsられている。ややしん末期まっき - 中新ちゅうしん前期ぜんきからもアカボウクジラ推定すいていされる化石かせき出土しゅつどしているが、異論いろんもありこのぞくするかはさだかでない。

ハクジラのなかではマッコウクジラなどとともに初期しょき分化ぶんかしたグループのひとつである。かつては両者りょうしゃきんえんで、アカボウクジラマッコウクジラうえふくめられたこともあったが、現在げんざいでは両者りょうしゃはそれほどきんえんではないとされる。ハクジラるい現生げんなまぐんない分岐ぶんき時期じきとしては、マッコウクジラもっとはやく、いで分岐ぶんきしたのがアカボウクジラであるとされる。[4]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ くじらるいがく』 124ぺーじ
  2. ^ くじらるいがく』 84, 123ぺーじ
  3. ^ くじらるいがく』 82ぺーじ
  4. ^ くじらるいがく』 46ぺーじ

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. J. E. Heyning and J. G. Mead, "Suction feeding in beaked whales: Morphological and experimental evidence," Contributions in Science, No. 464, p. 12 (1996). [1]
  • 村山むらやまつかさくじらるいがく東海大学とうかいだいがく出版しゅっぱんかい東海大学とうかいだいがく自然しぜん科学かがく叢書そうしょ〉、2008ねん、46, 82, 83, 123 - 124ぺーじぺーじISBN 978-4-486-01733-2