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ばと

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハト
カンムリバト
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : とりつな Aves
: ハト Columbiformes
: ハト Columbidae
  • 多数たすう

ばと(はと)は、ハトハトぞくする鳥類ちょうるい総称そうしょうである。からだくらべてあたまちいさく、胸骨きょうこつむねすじ発達はったつしてずんぐりとした体型たいけい特徴とくちょうである。

ハトには世界せかいではやく42ぞく290たねあり、そのうち日本にっぽん在来ざいらいしゅは、カラスバトぞくカラスバト、アカガシラカラスバト、ヨナクニカラスバト、リュウキュウカラスバト、オガサワラカラスバト)、キジバトぞくキジバト、リュウキュウキジバト、シラコバト)、ベニバトぞく(ベニバト)、キンバトぞく(リュウキュウキンバト)、アオバトぞくアオバト、リュウキュウズアカアオバト、チュウダイズアカアオバト)の5ぞく13しゅげられる(9しゅとするせつもある)。

このうち、リュウキュウカラスバトとオガサワラカラスバトの2しゅ絶滅ぜつめつしたとかんがえられていたが、近年きんねんDNA調査ちょうさにより亜種あしゅがいくつかの諸島しょとう生存せいぞんしていることが確認かくにんされた。

なお、カワラバト(ドバト)は、1500ねんほどまえ日本にっぽん渡来とらいした外来がいらいしゅであるとともに、5000ねん以上いじょうまえより世界せかい各地かくち家禽かきんされひろまった飼養しよう品種ひんしゅであるため、学術がくじゅつてきには日本にっぽん固有こゆう在来ざいらいしゅではない[ちゅう 1]。このため、現在げんざいでも野鳥やちょうとみなされないことがある。また、ジュズカケバトについては、広義こうぎにはシラコバトのうち飼養しよう品種ひんしゅとなったものとされるため、上記じょうきリストからははぶかれている。ジュズカケバトの白色はくしょく変種へんしゅであるぎんばと観賞かんしょうようわれたりマジック小道具こどうぐとして使つかわれたりする小型こがたのハト)も同様どうようである。

生物せいぶつとして

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しょくせい雑食ざっしょくせいである(ミミズ[よう出典しゅってん]べる)[よう検証けんしょう]一般いっぱんてき熱帯ねったいたねでは一腹いっぷくいちたまご温帯おんたいたねでは一腹いっぷくたまごみ、14~21にちだきたまごのち孵化ふかする。ばとひな孵化ふかから巣立すだちするまでの期間きかんは25~40にちだが、ばとミルク(ピジョンミルク)とばれる親鳥おやどりのソノウから分泌ぶんぴつされるこう蛋白たんぱくなミルクでそだてられる。ひな親鳥おやどりくちくちばしれてミルクを摂取せっしゅする。ピジョンミルクには炭水化物たんすいかぶつほとんふくまれておらず、主成分しゅせいぶんおも蛋白質たんぱくしつである。栄養えいようたかく、ヒトのアスリートプロテインちか成分せいぶん組成そせいである。ただし、ピジョンミルクにはひな成長せいちょうにつれて、はん消化しょうか状態じょうたいやわらかいえさ徐々じょじょざることがわかっている。からちたばとのひなを人工じんこう飼育しいくするには、植物しょくぶつせいのプロテインやえさ釣具つりぐっているふなこいようえさ安価あんか簡便かんべんである)をぬるまかゆじょうき、のひらににぎりこんでゆびのすきからあたえるのが簡単かんたん飼育しいくほうである。

飼育しいく

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ハトはおおよそ10000ねんから6000ねんほどまえしん石器せっき時代じだい飼育しいく動物どうぶつされたとかんがえられている。ハトは人里ひとざとちか土地とち営巣えいそうする動物どうぶつであり、洞窟どうくつがけ、そしてどろいしつくられた初期しょき人間にんげん住居じゅうきょつくっていた。中東ちゅうとうにおいて当時とうじ栽培さいばいはじまったコムギオオムギなどもハトの食料しょくりょうとして好適こうてきであった。こうしてハトと人間にんげん距離きょりちぢまったのち、ハトの飼育しいくはじまった。当初とうしょ神経質しんけいしつ成鳥せいちょうくらべてひとれやすくいやすいハトのひな成長せいちょうさせる目的もくてき飼育しいくはじまり、やがて家禽かきんしていったとかんがえられている[1]

紀元前きげんぜん2900ねんころシュメールシュルッパクにてこっただい洪水こうずいはシュメルの洪水こうずい神話しんわとして後世こうせいのこされ、『ギルガメシュ叙事詩じょじし』や旧約きゅうやく聖書せいしょノアの方舟はこぶねはなし原型げんけいとなった。『ギルガメシュ叙事詩じょじし』においてすで陸地りくちさがすためにハトをはなしたはなし記載きさいされており、このころにはハトが飼育しいくされていた証拠しょうこともかんがえられている。イラクのアルパチャにおいて紀元前きげんぜん4500ねんころのハトのテラコッタぞう出土しゅつどしており、ハトが宗教しゅうきょうじょう重要じゅうようされていたことを物語ものがたっている。古代こだいエジプトにおいてもハトは飼育しいくされていた。やがてハトの飼育しいく地中海ちちゅうかい世界せかいへとひろがり、古代こだいギリシャかく都市としエトルリアじんにもひろまった。マ帝国まていこくにおいてはハトは宗教しゅうきょうじょう重要じゅうよう意味いみ一方いっぽう肥育ひいくされて食用しょくようとしてもさかんにもちいられた[2]

ひととの関係かんけい

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カワラバト(ドバト)

伝書鳩でんしょばと

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ハトはまた、通信つうしんよう伝書鳩でんしょばととしても古代こだいからさかんに使用しようされた。カワラバトから長年ながねんにわたって改良かいりょうされた伝書鳩でんしょばとは、戦中せんちゅう軍事ぐんじよう戦前せんぜん戦後せんごには報道ほうどうよう通信つうしんようおおいに活用かつようされた。太陽たいようコンパスと体内たいない時計とけい地磁気ちじきなどにより方角ほうがく能力のうりょくすぐれているとされ、帰巣きそう本能ほんのうがあるため、遠隔えんかくまでれてったハトに手紙てがみなどをたせてはなつことによって、情報じょうほうをいちはやつたえようとしたのである。戦時せんじにはふるくからぐん導入どうにゅうし、軍用ぐんようばと本格ほんかくてき研究けんきゅうされ、だい世界せかい大戦たいせんにおいてはおも伝令でんれいようほか小型こがたカメラを装着そうちゃくさせたてき偵察ていさつようのスパイばととして活躍かつやくした。薬品やくひん血清けっせいひとし医薬品いやくひん動物どうぶつおもうし)の精子せいし輸送ゆそうにも使つかわれ僻地へきち医療いりょう重要じゅうよう役目やくめたした。

しかしその電話でんわなどの通信つうしん技術ぎじゅつ進歩しんぽによりその役目やくめえたかにえた。現在げんざいでは、あしたまきにICチップを内蔵ないぞうした自動じどういれしゃシステムが普及ふきゅうしたため、かつてばとっていた団塊だんかい世代せだいがリタイア再開さいかいし、ばとレースをたのしむことがしょうブームになっている。また、情報じょうほうIT関連かんれんあたらしいこころみとして、レースばとにマイクロSDメモリーカード合計ごうけい2TB程度ていどとうちょう小型こがたメモリーチップはこばせたり(200km程度ていど短距離たんきょり所要しょよう時間じかんやく2あいだ)、GPSユニットやCCDカメラとうけ、より詳細しょうさい生態せいたい飛行ひこうコースを追跡ついせきする実験じっけんおこなわれている[3]

文化ぶんか比喩ひゆ

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ハトは、そのれを性質せいしつから、オリーブとも平和へいわ象徴しょうちょうとされている。日本にっぽんでは、穏健おんけん平和へいわ主義しゅぎしゃを「ハト」、強硬きょうこうおな鳥類ちょうるいでも猛禽もうきんるいたかにたとえて「タカ」という比喩ひゆ表現ひょうげん使つかわれる。

ノアとハトのモザイク

これは旧約きゅうやく聖書せいしょだい洪水こうずいノアのはこぶね伝説でんせつにも由来ゆらいしている。ノアは47にちカラスはなったが、まだみずかわまえであったからすぐにもどってきた。ハトをはなったところ、オリーブをくわえてもどってきた。これによりノアみずはじめたことをったという。「平和へいわ祭典さいてん」ともしょうされる近代きんだい五輪ごりん開会かいかいしきでは、かつては実際じっさいばとばされていたが、外来がいらい生物せいぶつへの危機ききかんたかまりやばと生息せいそくできる環境かんきょうではない場所ばしょでの開催かいさい式典しきてんにちちゅうではなく夜中よなかおこなわれるようになったことなどから、ばとふんしたひとのダンサーなどによるパフォーマンスやばとした風船ふうせん、モニター映像えいぞうによるものとうわった。

また、ギリシア神話しんわにおいてハトは、あいよし女神めがみアプロディーテーせいとりとされていたほかイアーソーンはじめとする英雄えいゆうたち(アルゴナウタイ)がアルゴーせんが、たがいにはなれたりぶつかりったりをかえふたつの巨岩きょがんシュムプレーガデスのあいだとおけるさいためしにハトをとおけさせて安全あんぜん確認かくにんするエピソードや、狩人かりゅうどオーリーオーンプレイアデスきょしんアトラースななにんむすめたち)をまわしたさい、それを不憫ふびん(ふびん)におもった主神しゅしんゼウス彼女かのじょたちをハトにえ、さらにほしへとえたエピソードとう存在そんざいする。新約しんやく聖書せいしょでは、荒野あらの苦行くぎょうえたイエス・キリストサタン誘惑ゆうわく退しりぞけたのち聖霊せいれいしろいハトの姿すがたとなってくだったことは、つとに有名ゆうめいである。

一方いっぽうオーストリア動物どうぶつ行動こうどうがく権威けんいコンラート・ローレンツはその著書ちょしょソロモンのゆびたまき』のなかで、平和へいわ象徴しょうちょうとされるハトのべついちめん紹介しょうかいしている。2のハトをひとつのとりかごれて外出がいしゅつしたところ、かごなかでハトが喧嘩けんかこし、たがいにぬまでけっしてたたかいをめようとはしなかった、というもので、こうした「ハトの喧嘩けんか」はたたかかたらず致命ちめいあたえられるほどの武器ぶきわせていない動物どうぶつほど、いざあらそいをはじめたさいにはたたかいにれた肉食にくしょく動物どうぶつ以上いじょう凄惨せいさんころいに発展はってんする、という事例じれい典型てんけいれいとしていにされる。

くに地域ちいきごとの状況じょうきょう

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日本にっぽん

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だいいち世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつさせたヴェルサイユ条約じょうやく締結ていけつ記念きねんして日本にっぽん発行はっこうされた3ぜに切手きって大正たいしょう8ねん (1919ねん))

日本にっぽんではばと八幡やはたしんかみ使とされてきた。八幡やはたしん軍神ぐんしんなので平和へいわとはむすびつかず、武士ぶし家紋かもんともなった[4]だい世界せかい大戦たいせんのち西洋せいようでのばとのイメージがはいってきて、タバコピースのデザインのような平和へいわのシンボルうイメージが定着ていちゃくした。

じゅうぜに紙幣しへいAごうけん昭和しょうわ22ねん (1947ねん))

日本にっぽん童謡どうよう代表だいひょうてきなもののひとつとして『ばと』がげられる。また、たき廉太郎れんたろうは『ばとぽっぽ』という童謡どうよう作曲さっきょくしている。

ばと三枝さんしれいあり(ばとおやおんかんみっえだまる故事こじより、礼儀れいぎおもんじることの重要じゅうようせい)」「ばと豆鉄砲まめでっぽう突然とつぜん出来事できごとに、あっけにとられた様子ようす)」「ばとにくまめつくらぬ(些細ささいなことにかかわって肝心かんじんなことがおろかになるおろかしさや弊害へいがい)」などことわざでもお馴染なじみである。

ハトの名前なまえ特急とっきゅう「はと」という列車れっしゃめいもちいられたことがあるほか日本にほんテレビジャンクションばと休日きゅうじつ』にも開局かいきょく以来いらいハトが登場とうじょうしている。また、神奈川かながわけん銘菓めいかひとつに「ばとサブレー」というハトのかたちした菓子かし存在そんざいしている。

平和堂へいわどうフレンドマートいろどりてん
郷土きょうど玩具おもちゃのあけびばとしゃ

企業きぎょうめいやシンボルマークでハトにちなんだものとしては、たとえばはとバスや、イトいとカ堂かどうのロゴマーク(真上まうえあお真下ましたあか中間ちゅうかんにシロバトの位置いち)、同社どうしゃ傘下さんかのスーパーマーケットであるヨークマートのマーク(ヨーカどうでのあお部分ぶぶんみどり)、全国ぜんこく宅地たくち建物たてもの取引とりひきぎょう協会きょうかい連合れんごうかいのシンボルマーク、全国ぜんこく引越ひっこし専門せんもん協同きょうどう組合くみあい連合れんごうかい存在そんざいする。滋賀しがけん中心ちゅうしん展開てんかいするスーパーチェーンの平和堂へいわどうのロゴマーク(あか背景はいけいまえにシロバトとのちにアオバトの位置いち)としてしたしまれていたこともある。後述こうじゅつ外国がいこくめいからられた企業きぎょうめいとして、ベビー用品ようひんメーカーのピジョン、ガス機器ききメーカーのパロマなどもげられる。

日本にっぽんでは1980年代ねんだいあたりから都市とし中心ちゅうしんにハトによるくそがい多発たはつし、問題もんだいしている。とりくそにはヒトに肺炎はいえんこすオウムびょうクラミジア原虫げんちゅう)やクリプトコッカスカビ一種いっしゅ)をふくんでいることがあり、[5][6]とく大群たいぐんをなすハトはそれを排出はいしゅつしやすい。公園こうえんなどでの餌付えづ行為こうい禁止きんしされている[7]。それでもばとへのえさやりをめないひともおり、東京とうきょう荒川あらかわ大田おおたのように罰則ばっそく条例じょうれい禁止きんしする地方自治体ちほうじちたいもある[8]。ハトののこしはネズミせる弊害へいがいもあるため禁止きんし条例じょうれいもとめるうごきは地域ちいきにもひろがっており、大阪おおさかにようにえさやり禁止きんしでなく事後じご清掃せいそう義務付ぎむづけを規定きていしたれいもある[9]

金沢かなざわえき石川いしかわけん金沢かなざわ)ではくそがい対策たいさくとして鷹匠たかじょう依頼いらいしてたかばとはらうパトロールが定期ていきてきおこなわれている[10]

イングランド

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イングランドでは、むね筋肉きんにく異常いじょう発達はったつさせたポーターという愛玩あいがんよう品種ひんしゅばとen:Fancy pigeonという観賞かんしょうようのハトの品種ひんしゅぐん存在そんざいする。

中国ちゅうごく

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中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく中国ちゅうごく)ではとりはなつと幸運こううんおとずれるという民間みんかん信仰しんこうがあり、祭事さいじ・いわいごとさいにはハトをはな習慣しゅうかんがあったが、現在げんざいでは都市としでハトが繁殖はんしょくしてしまっているため、放鳥ほうちょう禁止きんしされている地域ちいきもある。

一部いちぶ地域ちいきでは、ハトの尾翼びよくばとすず英語えいごばん中国ちゅうごくで鸽铃、鸽哨)とばれるものが、猛禽もうきんるいおそわれないよう、娯楽ごらく追跡ついせきようけられる[11]

食用しょくよう

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しょく文化ぶんかとして、ドバトは中華ちゅうか料理りょうりでは普通ふつう食用しょくようにされる。また、フランス料理りょうりでもハトは食材しょくざいとして一般いっぱんてきである。ギリシア料理りょうりレバノン料理りょうりエジプト料理りょうりなど地中海ちちゅうかい沿岸えんがんにおいてハトはよくしょくされる[12]イギリスでも18世紀せいきころまでは自然しぜん繁殖はんしょくしたものらえて調理ちょうりしたハトが一般いっぱんてき食卓しょくたくのぼっていたといわれ、現在げんざいでもしょく文化ぶんかちゅうにその名残なごりられる。中近東ちゅうきんとうではふるくより、乾燥かんそうした風土ふうどでもはないでよくえる性質せいしつがあるため、ハトのための養殖ようしょくじょうとうのような建造けんぞうぶつ)もあり、貴重きちょう動物どうぶつせい蛋白たんぱくげんとして、一般いっぱんてき利用りようされている。ばととう(ピジョン・タワー)とばれるこのとうは、たかさは10mから15mほどで、場所ばしょによってスタイルがちがう。イランイスファハーン周辺しゅうへんにおいてはひとつおきにんだ日干ひぼしレンガたかげ、ハトの休息きゅうそくできる無数むすう空洞くうどうつくる。ここにハトがやってきて営巣えいそうするのである。その外側そとがわはぐるりと日干ひぼしレンガのかべによっておおわれており、内部ないぶ構造こうぞうえなくなっている。外壁がいへきにはいくつかのあながあけられており、そこからハトは出入でいりする。エジプトにおいてはなか空洞くうどうで、そのかわりにまりなんだんまれ、これがハトのとなっている。イランにおいてのピジョン・タワーのしゅ目的もくてき肥料ひりょうとしてのハトのくそ収集しゅうしゅうであり、そのため化学かがく肥料ひりょう普及ふきゅう利用りようされることはなくなっている。これにたいしてエジプトのピジョン・タワーは食用しょくようハトの飼育しいく目的もくてきとしており、現在げんざいでも使用しようされている。くそももちろん肥料ひりょうとして使用しようするが、二義的にぎてきなものである[13]

日本にっぽんでは一般いっぱんてきにはばと食用しょくようとすることはまれである。はじめて日本にっぽんにきた中国人ちゅうごくじんはしばしば、野生やせいのハトをだれつかまえようとせず、ハトもひとおそれないことにおどろく。日本にっぽんにおいて野鳥やちょう狩猟しゅりょうすることは鳥獣ちょうじゅう保護ほごほう規制きせいされているが、キジバト山鳩やまばと)は狩猟しゅりょうとりであり、食用しょくようにされることがある。ハトのたまごはハトのにく同様どうよう日本にっぽんでは食材しょくざいとして一般いっぱんてきではない。沸騰ふっとうしたおでもかたまらず、ほとんどべられることはない。

くび歩行ほこう

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ハトは歩行ほこうくび前後ぜんごりながらあるくことでられている。この動作どうさはハト以外いがいおおくのとりでもられるが、ハト(とくドバト)は、警戒けいかいしん非常ひじょうよわく、あるいている状態じょうたい身近みぢかかける機会きかいおおいため、おおくの人々ひとびとから「くびとり」として認知にんちされている[14]

このくび歩行ほこうは、暗闇くらやみや、ベルトコンベアうえぎゃくきにあるかせたときはおこなわれない。一方いっぽう移動いどうする風景ふうけい投影とうえいするスクリーンを周囲しゅういめぐらした実験じっけん装置そうちなかでは歩行ほこうしないままくびりをする。したがって、胴体どうたい前進ぜんしんしているときでも頭部とうぶだけはなるべく長時間ちょうじかんにわたって空間くうかんない静止せいしするようくび前後ぜんごさせ、視覚しかく情報じょうほう安定あんていしてられるようにおこなわれているものとかんがえられている。また、くびりのタイミングは、体重たいじゅうかたあしささえているあいだ重心じゅうしん安定あんていする位置いちるようになっている。それゆえに「安定あんていして歩行ほこうするため」というせつもある。恐竜きょうりゅう末裔まつえいである鳥類ちょうるい歩行ほこう研究けんきゅうは、まだまだ、なぞちている分野ぶんやであるとえる。

各国かっこくでのなど

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ばと(ハト)
日本語にほんごパタパタとつときのおと様子ようすかろやかにばたくおと「ハタハタ」に由来ゆらいするという[よう出典しゅってん]
pigeon(ピジョン) / dove(ダヴ)
英語えいごにおいて、ノルマンじんからの借用しゃくようである pigeon はおもいバトを、ゲルマン由来ゆらいの dove は野生やせいバト、とりわけコキジバト(turtle dove)をすが、現在げんざいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどでは pigeon で一括いっかつしてしまうこともおおい。また詩語しごとしては dove がこのんで使つかわれる。前述ぜんじゅつのノアのはこぶね伝説でんせつの「ハト」も、英文えいぶん旧約きゅうやく聖書せいしょでは dove である。pigeonには「ばと」のほかに「わかむすめ」や「のろま」の意味いみもある。doveには「ばと」のほかに「純潔じゅんけつひと」「やさしいひと」、恋人こいびとへのびかけ「my dove= かわいいひとよ」の意味いみもある。
paloma(パロマ
スペインでハトの意味いみ
Taube(タウベ)
ドイツ英語えいご dove とどうみなもとゲルマン祖語そご: *dubon)。doveと同様どうよう縮小しゅくしょうがたのTäubchenには「小鳩こばと」のほか恋人こいびとへのびかけの意味いみもある。
colombo(コロンボ
イタリアでハトの意味いみ。doveと同様どうようやさしいひと」や恋人こいびと意味いみもある。イタリアの伝統でんとう芸能げいのうコンメディア・デッラルテ登場とうじょうする「こいするわかむすめ」をあらわすキャラクターめいコロンビーナ小鳩こばとちゃん)である。
鴿どばと/鸽子(コーツ、普通ふつうばなし gēzi)、鴿どばと広東かんとん gaap3)
現代げんだい中国ちゅうごくで「ばと)」はもちいない。「ばと」(現代げんだい発音はつおんは jiū)は『詩経しきょう』をはじめとする古典こてん文献ぶんけんにはとり名称めいしょうとして登場とうじょうするが、それがハトだったかどうかはさだかではない[15]
なお漢字かんじの「ばと」は、発音はつおんあらわす「きゅう」と意味いみしめす「とり」からなる形声けいせい文字もじである[16]。「きゅう」はごえからきたとするせつがあるが、科学かがくてき俗説ぞくせつぎない。「ばと」の文字もじに「きゅう」がふくまれるのは、「きわむ」の文字もじに「きゅう」がふくまれるのと同様どうように、中国ちゅうごくにおいて「ばと」や「きわむ」が「きゅう」と声調せいちょうのみがことなるほぼ同音どうおん異義いぎであるためである。

個体こたいすう管理かんり

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[いつ?]スイス生物せいぶつ学者がくしゃ考案こうあんしたハトの個体こたいすう管理かんり方法ほうほうひとつはつぎのようなものであり、ノッティンガムバーゼルとう成功せいこうした[17]

  1. ハトの寝床ねどこ用意ようい給餌きゅうじする。
  2. 用意よういした寝床ねどこ以外いがいでは給餌きゅうじ禁止きんしする。
  3. 寝床ねどこでハトのたまご一定いってい割合わりあい偽物にせものえる。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 広義こうぎにカワラバトの飼養しよう品種ひんしゅがドバト、狭義きょうぎ飼養しよう品種ひんしゅさい野生やせいした個体こたいをドバトとするせつがあるが、ドバトの名称めいしょうすで江戸えど時代じだいからられることより、フン問題もんだいなどが社会しゃかい問題もんだいした1970年代ねんだい以降いこう新説しんせつえる。一般いっぱんてきにはカワラバトとドバトのあいだには明確めいかく線引せんひきはない。これは、すですうせんねんにわたり家禽かきんされつづけているカワラバトにたいして純粋じゅんすい野生やせいしゅとしてのカワラバトを見極みきわめきれないためである。したがって、学術がくじゅつめいとしてはカワラバト、呼称こしょうとしてはドバトということになる。

出典しゅってん

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  1. ^ さんりん睿太ろう監訳かんやく『ケンブリッジ世界せかい食物しょくもつだい百科ひゃっか事典じてん2 主要しゅよう食物しょくもつ栽培さいばい作物さくもつ飼養しよう動物どうぶつ』(朝倉書店あさくらしょてん、2004ねん9がつ10日とおかだい2はんだい1さつ)645-646ぺーじ
  2. ^ F.E.ゾイナー『家畜かちく歴史れきし』(国分こくぶ直一なおかず木村きむらしんやく、1983ねん法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱんきょく)p.528
  3. ^ 2010伝書鳩でんしょばとによる実験じっけん
  4. ^ 佐々木ささき清光きよみつばと」(歴史れきしのなかの動物どうぶつ107)『週刊しゅうかん朝日あさひ百科ひゃっか日本にっぽん歴史れきし』107(朝日新聞社あさひしんぶんしゃ 1988ねん)、金子かねこひろしあきら小西こにしただしやすし佐々木ささき清光きよみつ千葉ちばとくなんじへん日本にっぽんのなかの動物どうぶつ事典じてん』(東京とうきょうどう出版しゅっぱん 1992ねん)に収録しゅうろく
  5. ^ オウムびょう(psittacosis )とは”. www.niid.go.jp. 2024ねん3がつ16にち閲覧えつらん
  6. ^ 日本にっぽん対策たいさくセンター|ばとはクリプトカッコスしょうなど人体じんたいにも影響えいきょうして危険きけんです”. www.hatotaisaku.jp. 2024ねん3がつ16にち閲覧えつらん
  7. ^ 動物どうぶつ愛護あいごおよ管理かんりかんする法律ほうりつ施行しこう規則きそく | e-Gov法令ほうれい検索けんさく”. elaws.e-gov.go.jp. 2022ねん4がつ17にち閲覧えつらん
  8. ^ 「ハトにえさ 条例じょうれい禁止きんし大田おおた 景観けいかんみだとりがいなやみ/したがわなければ罰則ばっそくも」『読売新聞よみうりしんぶん朝刊ちょうかん2022ねん7がつ27にち都民とみんめん
  9. ^ ハトのえさやり 条例じょうれい抑止よくし各地かくち効果こうか制定せいていもとめる区民くみん」『産経新聞さんけいしんぶん朝刊ちょうかん2023ねん5がつ19にち東京とうきょうめん同日どうじつ閲覧えつらん
  10. ^ 金沢かなざわえきうつくしさをまもる「たかパトロール」がスゴぎる! おたくま経済けいざい新聞しんぶん(2018ねん4がつ23にち
  11. ^ 鸽哨,消失しょうしつてき北京ぺきん声音こわね 每日まいにち头条(2017ねん5がつ28にち更新こうしん)2022ねん3がつ17にち閲覧えつらん
  12. ^ 松本まつもと仁一ひとかず『アフリカをべる』(朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1998ねん8がつ1にちだい1さつ発行はっこう)p.204
  13. ^ 遠山とおやままさきゆう沙漠さばくみどりを』(岩波いわなみ新書しんしょ、1993ねん6がつ21にちだい1さつ)pp.85-88
  14. ^ [1][リンク]
  15. ^ Schuessler, Axel (2007), ABC Etymological Dictionary of Old Chinese, Honolulu: University of Hawaii Press, p. 320, ISBN 978-0-8248-2975-9 
  16. ^ まなぶつとむ (2012), 字源じげん, 天津てんしん瀋陽しんよう: 天津てんしんせき出版しゅっぱんしゃ遼寧りょうねい人民じんみん出版しゅっぱんしゃ, p. 325, ISBN 978-7-5528-0069-2 
  17. ^ スー・ドナルドソン、ウィル・キムリッカ『ひと動物どうぶつ政治せいじ共同きょうどうたいなおがくしゃ、2016ねん、343ぺーじ 

関連かんれん項目こうもく

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とり一般いっぱんめい記事きじ

カタカナめい記事きじ自然しぜん科学かがくてき内容ないよう中心ちゅうしんとするのにたいし、一般いっぱんめい記事きじでは文化ぶんかてき側面そくめんひととのかかわりなどについて解説かいせつする。

外部がいぶリンク

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