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鹿しかにく

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鹿しかにく

鹿しかにく(しかにく、えい: Venison)は、鹿しかにく食用しょくようとしたものである。

特徴とくちょう

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トナカイのステーキ(ノルウェー料理りょうり

シカるいにくは、一般いっぱんてきこうタンパクでてい脂肪しぼうという栄養えいようがくてき特徴とくちょうがある[1][2]。さらに鉄分てつぶん含有がんゆうりょう非常ひじょうたか[2]。こうした特徴とくちょうから、生活せいかつ習慣しゅうかんびょうといった病気びょうき予防よぼうにつながる食品しょくひんとして注目ちゅうもくされることもしばしばである[2]鹿しかにくは、ヘモグロビンミオグロビンといったヘムてつふくタンパク質たんぱくしつ含有がんゆうするため、ほかの畜肉と比較ひかくしてにくいろあかとなる[3]。こうした赤色あかいろ血液けつえき連想れんそうさせてしまい消費しょうひしゃ敬遠けいえんされることもある[3]。また、世間せけんでは鹿しかにくは「かたにおいがきつい」という評価ひょうかおおいが、これはきがわるいなど処理しょり方法ほうほう問題もんだいがあることが原因げんいんであり、実際じっさいやわらかくにおいがおだやかという特性とくせいをもつ[1]

生食なましょく場合ばあいEがた肝炎かんえん感染かんせんげんとなることがあるため、加熱かねつ調理ちょうりしてべることが必須ひっすである。また、じゅうにく胞子ほうしちゅう Sarcocystis fayeri による食中毒しょくちゅうどく可能かのうせい報告ほうこくされている(後述こうじゅつ)。

鹿しかにく流通りゅうつう形態けいたいとして、狩猟しゅりょうにより直接的ちょくせつてき野生やせいのシカからにく方法ほうほうと、野生やせいのシカを捕獲ほかくして一時いちじてき飼育しいくしたもの(いちやしなえ鹿しか)、もしくは完全かんぜん飼育しいくにあるシカ(完全かんぜんやしなえ鹿しか)からにく方法ほうほうがある[4]一般いっぱんてきアカシカニホンジカルサジカダマジカなどがおもやしなえ鹿しかぎょう利用りようされ、やしなえ鹿しかおこなくにヨーロッパアメリカニュージーランド日本にっぽん韓国かんこくなどひろ地域ちいきにわたる[4][5]

鹿しかにく栄養えいよう

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鹿しかにくせい[6]
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 120 kcal (500 kJ)
0.00 g
糖分とうぶん 0.00 g
食物しょくもつ繊維せんい 0.0 g
2.42 g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.950 g
22.96 g
ミネラル
ナトリウム
塩分えんぶん可能かのうせいあり)
(3%)
51 mg

成分せいぶんめい塩分えんぶん」を「ナトリウム」に修正しゅうせいしたことにともない、かく記事きじのナトリウムりょう確認かくにんちゅうですが、とう記事きじのナトリウムりょう未確認みかくにんです。(詳細しょうさい

%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
出典しゅってん: USDA栄養えいようデータベース英語えいご

ヨーロッパ

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なま鹿しかにくのエスカロープ
鹿しかにくエスカロープ

欧州おうしゅう(ドイツやハンガリーなど)では、鹿しかにくはじめとする狩猟しゅりょう野生やせい動物どうぶつにく (game meat) は高級こうきゅうレストランで特別とくべつべられる「最上さいじょう」のにくとしてあつかわれる[1]世界せかい最大さいだい鹿しかにく消費しょうひこくはドイツで、年間ねんかん消費しょうひりょうは4まんトンから4まん5000トンとなっており、輸入ゆにゅう半数はんすうちかくをめる[1]

日本にっぽん

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かつて日本にっぽんでは鹿しかにくいのにくならんで一般いっぱんしょくされ、貴重きちょうタンパク質たんぱくしつ、またくすりにくとして、代表だいひょうてき大型おおがた獣肉じゅうにくだったが、現代げんだい日本にっぽんでの流通りゅうつう消費しょうひはヨーロッパとくらべて非常ひじょうすくない[1]日本にっぽん各地かくち北海道ほっかいどうでは、ハンターによりエゾシカ捕獲ほかくされ個人こじんてき食肉しょくにくとして利用りようされているにぎなかった。しかし、1990年代ねんだい後半こうはんから2000年代ねんだいになって北海道ほっかいどうにてえすぎたエゾシカによる問題もんだい農林のうりんぎょう被害ひがい交通こうつう事故じこ)が顕著けんちょになり、このエゾシカを資源しげんとして利用りようしようとするみが活発かっぱつしている[1]。エゾシカにくおもジンギスカンとして利用りようされることがおおいが、淡泊たんぱくでくせがすくないために様々さまざま味付あじつけで煮物にもの焼肉やきにくなどの料理りょうり使つかえる。エゾシカにくのカロリーは、牛肉ぎゅうにく豚肉ぶたにくくらべてやく3ぶんの1、タンパク質たんぱくしつはおよそ2ばい脂質ししつは10ぶんの1以下いか鉄分てつぶんは3ばい栄養えいようめんでもすぐれている。

現在げんざい日本にっぽん国外こくがいから輸入ゆにゅうされた鹿しかにくおおい。フランスうぶや、ニュージーランドさんのものがおお出回でまわっており、食用しょくよう飼育しいくされていて大量たいりょう生産せいさんされるものもあり、価格かかく国産こくさんひんよりやすい。

鹿しかにくには「もみじ(紅葉こうよう」という別名べつめいがあり、『もみじなべ』として鍋物なべもの利用りようされていた[4]名前なまえ由来ゆらい猿丸さるまる大夫たいふんだ和歌わか百人一首ひゃくにんいっしゅにもえらばれている「奥山おくやま紅葉こうよう鹿しかこえきくときあきはかなしき」からきているせつ[7][8][9]花札はなふだの10月(はな紅葉こうよう)のたねさつ(10てんさつ)が鹿しかであるため(よこいた鹿しか絵柄えがらしかと語源ごげんでもある)とするせつがある[10][11]仏教ぶっきょうの『殺生せっしょう戒』の理由りゆうから、動物どうぶつにくべる行為こういはばかられた江戸えど時代じだいには、『もみじ(紅葉こうよう)』は鹿しかにく隠語いんごとしてしょくされていた。[12]

花札はなふだやくいのしし鹿しかちょう」になぞらえていのにく鹿しかにく鶏肉とりにくをセットにした「いのしし鹿しかとり」(いのしかちょう)という料理りょうりされることがある。

生食なましょくによるじゅうにく胞子ほうしちゅう感染かんせんしょうおそ

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生食なましょく刺身さしみ)によって、2011ねん4がつ25にち厚生こうせい労働省ろうどうしょう薬事やくじ食品しょくひん衛生えいせい審議しんぎかい食品しょくひん衛生えいせい分科ぶんかかい食中毒しょくちゅうどくちちにく水産すいさん食品しょくひん合同ごうどう部会ぶかいにおいて報告ほうこくされた[13][14]馬刺ばさにおけるじゅうにく胞子ほうしちゅうSarcocystis fayeri食中毒しょくちゅうどく同様どうよう有症ゆうしょう苦情くじょう報告ほうこくされている[15]

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ a b c d e f だい泰司やすじ紀之のりゆき本間ほんま浩昭ひろあき『エゾシカを食卓しょくたくへ ヨーロッパにまなぶシカるい有効ゆうこう活用かつよう丸善まるぜんプラネット、1998ねん9がつ10日とおかISBN 4-944024-57-6 
  2. ^ a b c 岡本おかもとただしだい, 坂田さかた澄雄すみお, 木下きのしたみきろう, 大西おおにし正男まさお野生やせいエゾシカにく栄養えいよう特性とくせいについて」『日本にっぽん栄養えいよう食糧しょくりょう学会がっかいだい57かんだい3ごう日本にっぽん栄養えいよう食糧しょくりょう学会がっかい、2004ねん、147-152ぺーじCRID 1390001206294110592doi:10.4327/jsnfs.57.147ISSN 028735162024ねん1がつ23にち閲覧えつらん 
  3. ^ a b 関川せきかわ三男みつお日本にっぽんやしなえ鹿しか-全日本ぜんにほんやしなえ鹿しか協会きょうかい活動かつどうから(10) : 鹿しか生産せいさん技術ぎじゅつ確立かくりつけて-調査ちょうさ研究けんきゅう(6)シカにく成分せいぶん商品しょうひん開発かいはつ」『畜産ちくさん研究けんきゅうだい61かんだい10ごうやしなえ賢堂かしこどう、2007ねん10がつ、1107-1111ぺーじCRID 1050564288651610112ISSN 0009-38742024ねん2がつ1にち閲覧えつらん 
  4. ^ a b c 増子ましこ孝義たかよし日本にっぽんやしなえ鹿しか-全日本ぜんにほんやしなえ鹿しか協会きょうかい活動かつどうから(8) : 鹿しか生産せいさん技術ぎじゅつ確立かくりつけて-調査ちょうさ研究けんきゅう(4)北海道ほっかいどうにおける一時いちじやしなえ鹿しか事業じぎょう展開てんかい」『畜産ちくさん研究けんきゅうだい61かんだい8ごうやしなえ賢堂かしこどう、2007ねん8がつ、881-886ぺーじCRID 1050845763628198656ISSN 0009-38742024ねん2がつ1にち閲覧えつらん 
  5. ^ 村松むらまつすすむ日本にっぽんやしなえ鹿しか-全日本ぜんにほんやしなえ鹿しか協会きょうかい活動かつどうから(1) : 日本にっぽん鹿しかやしなえ鹿しかじょにかえて」『畜産ちくさん研究けんきゅうだい61かんだい1ごうやしなえ賢堂かしこどう、2007ねん1がつ、163-166ぺーじCRID 1050001338695192192ISSN 0009-38742024ねん2がつ1にち閲覧えつらん 
  6. ^ Basic Report: 17164, Game meat, deer, raw Agricultural Research Service , United States Department of Agriculture , National Nutrient Database for Standard Reference , Release 26
  7. ^ 興津おきつかなめ江戸えどべもの作品社さくひんしゃ、1981ねん、14ぺーじ 
  8. ^ うみこうやまさちだい百科ひゃっか 3』望月もちづき賢二けんじ青葉あおばだか田中たなか金太郎きんたろう、ぎょうせい、1990ねん、192-193ぺーじ 
  9. ^ 鳥居本とりいもと幸代さちよ精進しょうじん料理りょうり日本人にっぽんじん春秋しゅんじゅうしゃ、2006ねん、243ぺーじ 
  10. ^ 市川いちかわ健夫たけお日本にっぽんしょく風土記ふどき白水しろみずしゃ、1998ねん、168ぺーじ 
  11. ^ 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてんだいはん編集へんしゅう委員いいんかい へん日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん だい12かん小学館しょうがくかん、2001ねん、1374-1375ぺーじ 
  12. ^ http://www.worldfolksong.com/calendar/japan/meat-another-name.html#:~:text=%E7%8D%A3%E8%82%89%E3%81%AE%E9%9A%A0%E8%AA%9E%E3%81%AB%E3%81%AF,%E3%81%8C%E4%BD%BF%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%80%82
  13. ^ しょくやすかんはつ0823だい1ごう (PDF)
  14. ^ じゅうにく胞子ほうしちゅうのヒト感染かんせんしょうについて
  15. ^ 青木あおき佳代かよ, 石川いしかわ和彦かずひこ, はやし賢一けんいち, 斉藤さいとう守弘もりひろ, 小西こにし良子りょうこ, 渡辺わたなべ麻衣子まいこ, 鎌田かまた洋一よういちシカにくちゅうSarcosystis原因げんいんとしてうたがわれた有症ゆうしょう苦情くじょう」『日本にっぽん食品しょくひん微生物びせいぶつ学会がっかい雑誌ざっしだい30かんだい1ごう日本にっぽん食品しょくひん微生物びせいぶつ学会がっかい、2013ねん、28-32ぺーじCRID 1390282679402143232doi:10.5803/jsfm.30.28ISSN 13408267 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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