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回遊かいゆう

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回遊かいゆうかいゆう、洄游、かいゆう)とは、成長せいちょう段階だんかい環境かんきょう変化へんかおうじて、うみからかわへ、またかわからうみ生息せいそく場所ばしょ移動いどうする行動こうどうまたひろ海域かいいき移動いどうおこなうこと。上記じょうきのようなさかな回遊かいゆうぎょ[1][2][3]。これにたいしてほぼおな海域かいいき深浅しんせんえてうつさかな定置ていちぎょ[1]

概要がいよう

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1ねんのうちに外洋がいようすうせん - すうまんキロメートルにわたって移動いどうするクジラなどの回遊かいゆうは、わたどりわた相当そうとうするものでよくられている。しかし広義こうぎ回遊かいゆうではスズキヒラメのように沿岸えんがん浅場あさばふかじょう往復おうふくする行動こうどう、またはウナギアユサケなどのようにかわうみ往復おうふくする行動こうどう回遊かいゆうふくむ。このような広義こうぎ回遊かいゆうをおこなう動物どうぶつおおく、頻度ひんど規模きぼ多種たしゅ多様たようである。回遊かいゆうはこれらの動物どうぶつ漁獲ぎょかく利用りようする人類じんるいにとっても重要じゅうよう事象じしょうとなる。

サケるいなどうみでも生活せいかつする回遊かいゆうぎょには淡水魚たんすいぎょとはことなり、アニサキス寄生きせいしている可能かのうせいがある[2]

比喩ひゆてきに、いそがしく広範囲こうはんいうごまわることをめない人間にんげんのことを回遊かいゆうぎょ表現ひょうげんされることもある。

うみにおける回遊かいゆう

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ザトウクジラ Megaptera novaeangliae

だい規模きぼ回遊かいゆうおこなうみせい生物せいぶつは、クジライルカマグロカツオカジキサバサンマイワシニシンなどがいる。これらはたか遊泳ゆうえい能力のうりょくそなえ、えさ発生はっせい水温すいおん変化へんか繁殖はんしょくなどの条件じょうけんわせてなつには高緯度こういど地方ちほうへ、ふゆにはてい緯度いど地方ちほうへという回遊かいゆうかえす。

たとえばきた太平洋たいへいようザトウクジラは、なつにはリング海りんぐかい周辺しゅうへんまで北上ほくじょうし、ふゆにはバハ・カリフォルニア半島はんとうハワイ日本にっぽん南西諸島なんせいしょとうまで南下なんかする。なつリング海りんぐかいでは日照ひでり時間じかんながくなってプランクトンだい発生はっせいし、オキアミ魚類ぎょるい増加ぞうかするため、ザトウクジラはこれらのえさもとめて北上ほくじょうする。また、ふゆにやってくる熱帯ねったいうみでは繁殖はんしょくおこなう。

回遊かいゆう種類しゅるい

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水生すいせい動物どうぶつによって、回遊かいゆう目的もくてきは、繁殖はんしょくさくえさ越冬えっとうなどことなり、つぎのような種類しゅるいがある[3]

適温てきおん回遊かいゆう
このましい水温すいおんもとめる回遊かいゆう[1]
さくえさ回遊かいゆう
食餌しょくじもとめる回遊かいゆう[1]
産卵さんらん回遊かいゆう
産卵さんらんそだちやすい環境かんきょうもとめる回遊かいゆう[1]
ぶしかいゆう
ぶしおうじてぐんをつくった回遊かいゆう[4]
両側りょうがわかいゆう
アユなどのようにうみ淡水たんすいとを往復おうふくする回遊かいゆう[5]

死滅しめつ回遊かいゆう

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回遊かいゆうせいたない動物どうぶつが、海流かいりゅう気流きりゅうって本来ほんらい分布ぶんぷいきではない地方ちほうまでやってることがある。これらは回遊かいゆうせいがないゆえに本来ほんらい分布ぶんぷいきもどちからたず、生息せいそく条件じょうけんわるくなった場合ばあい死滅しめつするので、死滅しめつ回遊かいゆう(しめつかいゆう)とばれる。死滅しめつ回遊かいゆうという言葉ことばは、本質ほんしつてき回遊かいゆうではないことと、サケのように産卵さんらん死滅しめつする回遊かいゆうまぎらわしいため、繁殖はんしょく寄与きよしない分散ぶんさんという意味いみ無効むこう分散ぶんさんばれることもある。

メッキ(ギンガメアジ) 2017.11.13 鹿島かしまみなと

無駄死むだじににもみえるが、もしうみこうに生息せいそくてきした場所ばしょがあれば定着ていちゃくし、あらたな分布ぶんぷいきひろげることができるので、まったくの無駄死むだじにではない。また、気候きこう変動へんどう海流かいりゅうりゅう変動へんどうがあれば、それまで死滅しめつしていた地域ちいきあらたに定着ていちゃくできる可能かのうせいもある。

たとえばなつ本州ほんしゅう沿岸えんがんでは、本来ほんらい熱帯ねったい亜熱帯あねったい海域かいいき分布ぶんぷするチョウチョウウオるいスズメダイるいなどがられる。これらは日本にっぽんなつごすことはできても、ふゆ水温すいおん低下ていかなどにより死滅しめつすることになる。

また、南洋なんよう分布ぶんぷするロウニンアジなどヒラアジるい幼魚ようぎょ(メッキ)が暖流だんりゅうって北上ほくじょうすることもあり、これらも成魚せいぎょのように大型おおがたすることなくやがて死滅しめつするが、あたたかい工業こうぎょう排水はいすいなどを利用りようびある程度ていどおおきさになることもある。

とお回遊かいゆうかわうみをめぐる回遊かいゆう

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ヤマトヌマエビ Caridina multidentata両側りょうがわ回遊かいゆうおこな

動物どうぶつにはうみなか回遊かいゆうするものだけでなく、かわうみをまたぐ回遊かいゆうをするものも存在そんざいする。これはとお回遊かいゆう(とおしかいゆう)と総称そうしょうされる。

1ねんのうちで生息せいそく場所ばしょ移動いどうするものもいれば、生活せいかつたまきのある期間きかん移動いどうするものもある。いわゆる「かわ動物どうぶつ」としてられていても、じつ一生いっしょうのどこかでうみ利用りようしているという動物どうぶつ数多かずおおい。つまり、河川かせん環境かんきょう保護ほごかんがえる場合ばあいには、そのかわつながるうみ環境かんきょうにもまた注目ちゅうもくする必要ひつようがある。

とお回遊かいゆうは、どちらをメインに生活せいかつするか、どちらで産卵さんらんをするかにより分類ぶんるいすることができる。

さかのぼかわ回遊かいゆう
かわ産卵さんらんし、かわまれるが、生活せいかつだい部分ぶぶんうみってごし、産卵さんらんときふたたかわもどってくるものをさかのぼかわ回遊かいゆう(そかかいゆう)という。サケウグイくだうみがたマルタウグイカワヤツメなどがいる。
くだかわ回遊かいゆう
普段ふだんかわ生活せいかつしているが、うみって産卵さんらんし、誕生たんじょうしたこどもがかわをさかのぼるものをくだかわ回遊かいゆう(こうかかいゆう)という。代表だいひょうてきなのはウナギだが、ウナギの場合ばあいかわのぼらず沿岸えんがんいきごす個体こたいもいるので完全かんぜんにはてはまらない。にはアユカケヤマノカミなどのカジカ魚類ぎょるい甲殻こうかくるいではモクズガニなどがこれに該当がいとうする。
両側りょうがわ回遊かいゆう
普段ふだんからかわ生活せいかつしていて、産卵さんらんまれもかわだが、生活せいかつたまき一部いちぶ一旦いったんうみり、ふたたかわをさかのぼるものを両側りょうがわ回遊かいゆう(りょうそくかいゆう)という。とくたまごから孵化ふかこうあいだもなくうみり、ある程度ていどまで成長せいちょうしてからかわもどってくるというかたちをとるものがおおい。アユカジカしょうたまごがたヨシノボリるいウキゴリチチブなどの魚類ぎょるいげられるが、ヤマトヌマエビなどのヌマエビのエビ、テナガエビるいイシマキガイなど、おおくの甲殻こうかくるい貝類かいるいもこれに該当がいとうする。

そのにも、とお回遊かいゆう行動こうどうをとる動物どうぶつもいる。

陸封りくふう
かつてはとお回遊かいゆうおこなっていたものが、回遊かいゆうおこなわなくなったり、うみわりにみずうみなどで回遊かいゆうするようになったものを陸封りくふう(りくふう)という。ヒメマス琵琶湖びわこにおけるアユなどのほか、ヨシノボリやテナガエビなどでもられる。ヤマメアマゴとう陸封りくふうしゅ特別とくべつ命名めいめいがされる場合ばあいおおい。
周縁しゅうえんぎょ
普段ふだんうみ生活せいかつしているが、水域すいいき淡水たんすいいきにも侵入しんにゅうするさかな周縁しゅうえんぎょ(しゅうえんぎょ)という。スズキうみ産卵さんらんする両側りょうがわ回遊かいゆうともいえる)、クロダイシマイサキマハゼボラオオメジロザメなどの沿岸えんがんぎょがよくられる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e 「とやまと自然しぜん通巻つうかん48ごう津田つだ武美たけみ富山湾とやまわんふゆ」) 富山とやま科学かがく博物館はくぶつかん、2019ねん10がつ24にち閲覧えつらん
  2. ^ a b 食中毒しょくちゅうどく予防よぼう アニサキスによる食中毒しょくちゅうどくをつけましょう!”. 世田谷せたがやホームページ. 2022ねん6がつ15にち閲覧えつらん
  3. ^ a b 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん, 精選せいせんばん. “回遊かいゆうかいゆうとは”. コトバンク. 2022ねん6がつ15にち閲覧えつらん
  4. ^ ぶし回遊かいゆう(きせつかいゆう)の意味いみ - goo国語こくご辞書じしょ”. goo辞書じしょ. 2022ねん6がつ15にち閲覧えつらん
  5. ^ 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてんない言及げんきゅう. “両側りょうがわ回遊かいゆうとは”. コトバンク. 2022ねん6がつ15にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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